コバルト60遠隔治療装置の シミュレーションを通しての EGS 5とGEANT 4の比較 柴田 洋希、田伏勝義、捫垣智博 名大・大学院 医学系研究科 背景 1 近年、粒子線治療施設の増加に伴い、粒子線治療 が一般に知られるようになってきた。 このような状況を受け、当研究室でも粒子線治療の モンテカルロシミュレーションに対応する必要がある と考えた。 背景 2 現在、当研究室では、粒子線に対応したコードとし て、GEANT 4を導入中である。 GEANT 4の導入にあたって、EGSとの構造、言語 などの違いから、EGS 5や実測と、GEANT 4の結 果を比較する必要があると考えた。 基礎的なシミュレーション 水ファントムに光子線を入射し、PDDを取得する。 照射条件 照射ビーム 照射野 SSD 粒子数 :Co-60γ線(1.17 MeV、1.33 MeV) :10×10 cm2 :80 cm :GEANT 4 5 億個 EGS 5 10 億個 Geometry データ取得領域: 0.5 ×0.5 ×0.1 cm3のボク セルをビーム中心軸上に 300 個 Source 80 cm Air 10 cm 10 cm Water ・ ・ ・ ・ ・ 0.1 cm 0.5 0.5 cm cm 30 cm 30 cm 30 cm 結果1 PDD 100 GEANT4 EGS5 chamber PDD [ % ] 80 60 40 20 0 0 5 10 depth [ cm ] 15 20 結果2 Energy Deposition Energy Deposition [ MeV/cm3/primary ] 4.0E-04 GEANT4 EGS5 3.5E-04 3.0E-04 2.5E-04 2.0E-04 1.5E-04 1.0E-04 5.0E-05 0.0E+00 0 5 10 depth [ cm ] 15 20 結果3 EGSの値に対するGEANTの値の比 1.03 1.02 relative value 1.01 1.00 0.99 0.98 0.97 0.96 0.95 0 5 10 depth [ cm ] 15 20 目的 EGS 5とGEANT 4を用いてコバルト60遠隔治療装 置を再現し、シミュレーションを行い、その結果を比 較する。 シミュレーション条件など 使用したコード: EGS 5 ver.1.0.2 GEANT 4 ver.8.3 SSD : 80 cm 線質 : γ線( Co - 60 等方線源) 1.17、1.33 MeV 照射野 : 10 × 10 cm2 カットオフエネルギー : 光子:10 keV 電子:521 keV 使用した物質 線源:コバルト 線源容器:ステンレス ヘッド外壁:鉛 ヘッド、コリメータ: タングステン chardは、リージョンの最小幅とした。 GEOMETRY – GEANT 4 ヘッド内部を再現。 線源を円筒形として 近似し、内部からγ線を照 射。 Source SSD = 80 cm Collimeter Tough Water Collimeter-GEANT 4 Y Z X Z GEOMETRY – EGS 5 Source ヘッド内部を再現。 線源を円筒形として 近似し、内部からγ線を照 射。 Collimeter SSD = 80 cm コリメータを板状に近似。 Tough Water Collimeter-EGS 5 X Z Y Z 検討項目 ファントム表面でのスペクトル PDD 10 cm 深のOCR ファントム表面でのスペクトル ファントム入射直前の 光子のエネルギーを 取得。 Source EBINは10 keVとした。 粒子数: GEANT 4 1億 個 EGS 5 1億 個 SSD = 80 cm Collimeter データ取得面 Tough Water 光子線のスペクトル 40 GEANT4 EGS 5 35 relative value [ % ] 30 25 20 15 10 5 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 energy [ MeV ] 1 1.2 1.4 光子線のスペクトル 1.0 GEANT4 EGS 5 0.9 relative value [ % ] 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 energy [ MeV ] 1 1.2 1.4 ビーム方向の限定 PDD、OCRの シミュレーションでは、 計算速度向上のために、 入射粒子の方向余弦を 限定してシミュレーションを 行った。 ビーム方向を限定した場合のスペクトル 50 GEANT4 EGS 5 GEANT4 limited EGS 5 limited 45 relative value [ % ] 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 energy [ MeV ] 1 1.2 1.4 ビーム方向を限定した場合のスペクトル 1.0 GEANT4 EGS 5 GEANT4 limited EGS 5 limited 0.9 relative value [ % ] 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 energy [ MeV ] 1 1.2 1.4 結果① EGS 5とGEANT 4では低エネルギー部分で 違いがみられた。 ビーム方向を限定することで、低エネルギー 成分が減少すると同様の傾向を示した。 PDD ファントム中心軸上に ボクセルを配置。 照射野 10 × 10 cm2 ボクセルサイズは、 0~1.2 cm深 : 0.5×0.5×0.1 ㎝3 1.5~20 cm深 : 0.5×0.5×0.5 ㎝3 粒子数: GEANT 4 9 億 個 EGS 5 13 億 個 (統計誤差 8%以下) 実測は電離箱により測定。 Tough Water ・ ・ ・ ・ ・ 0.5 0.5 cm cm 30 cm 30 cm 30 cm 基準深の値で正規化したDepth Dose 120 GEANT4 EGS5 実測 relative value [ % ] 100 80 60 40 20 0 0 5 10 depth [ cm ] 15 20 10㎝深でのOCR 10 ㎝ 深に 0.5×0.5×0.5 cm3の ボクセルを碁盤目状に配置。 照射野 10 × 10 cm2 計算された線量分布より OCRを取得。 粒子数: GEANT 4 6.5 億個 EGS 5 13 億 個 (統計誤差 6%以下) CV 30 cm 実測はフィルム法で 取得した線量分布から DDシステムを用いて 取得した。 30 cm 30 cm 10 cm 深のOCR 120 EGS5 GEANT4 実測 relative value [ % ] 100 80 60 40 20 0 -15 -10 -5 0 5 distance from axis [ cm ] 10 15 結果② 正規化したDepth Doseでは、 EGS 5、GEANT 4ともに10cm深以降で実測とよい 一致がみられたが、ビルドアップ領域では実測と差 がみられた。 OCRでは、照射野辺縁まで、EGS 5とGEANT 4で よい一致が見られたが、実測と比較すると低線量部 で差がみられた。 考察 今回の条件では、スペクトルは EGS 5とGEANT 4で同様の傾向を示した。 スペクトルの形状が似ているため、 PDDやOCRといった吸収線量の計算で 良い一致を示したと考えられる。 今後の検討課題 低エネルギー部でみられた スペクトルの差についての詳細な解析 ビーム方向を限定せずにPDD、OCRの計算 を行う
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