(三) 日本文化の基本的な特徴

日本文化の基本的な特徴
——開放性と主体性——
一、日本文化の開放性と主体性
 (一)世界四大文明圏
 (二)中国文明
 (三)日本文化
(一)世界四大文明圏
世界四大文明圏




東アジア文明圏或は儒教文明圏
西洋のキリスト教文明圏、
西アジア―中東のイスラム文明圏
南アジア仏教―インド教文明圏
(二) 中国文明


漢民族を主体、「原生性(創造)」、「単一
性(継続)」
春秋戦国時代―所謂中国文明の「軸心
時代」―に基本、秦と漢を経て定着宋代
と明代の時期に変動があったが、
単一性:同化と排除
 同化: 仏教―東漢に伝来、唐に隆盛したが、
伝統文化 の構成部分、儒教の付属物
イスラム教文化―7世紀に伝来、宋と元に
発展、明末清初教育も盛ん 儒教に脅威
を与えない状況に、存在が可能
 清朝
 排除:キリスト教―唐に伝来、元、明、清の時
代、宣教したが、幾度も中断
 元朝
(三) 日本文化の基本的な特徴
 1 「開放性」
 2「主体性」
1.開放性
 日本文化:縄文文化+弥生文化の「混血」
 「開放性」:日本文化の「開放性」によって、
日本は中国文化、朝鮮文化、インド文化、
南蛮文化、紅毛文化、西欧文化、アメリカ文
化等を自国に取り入れた。
外来文化摂取三大期
 大化改新前後の中国隋唐文化の摂取、
 明治維新時期の西欧文化の摂取、
 第二次世界大戦後のアメリカ文化の摂取
2「主体性」
 「独自性」 ―神道人数、倫理観、美意識
 「主導性」―最も先進的な文化を吸収
 「選択性」―有益で、適応できる文化だけ
を吸収
 「融合性」―日本化:日本の文字、「現世仏
教」、「忠」の日本儒学
 「保守性」―宮廷音楽、舞踏
3 日本文化の「混雑性」
 ―古今、和洋、洋洋―日本文化の中にの文化的
諸要素が、統一された体系の中に雑然と併存して
いる。
 1日常生活の洋と和、各国の文化、『雑種文
化』、
 2日本語と外来語、漢語、数十箇国語、無国籍
言語
 3信仰、年中行事
 結論:
 このような混雑のような状態から日本文化の特色
は二重文化、混合文化、混血文化、雑種文化、
合金文化などとも呼ばれている。
基本的特徴の形成要因
??????
第一「周辺性」
 周辺文明国と比べると、古代の日本は文化が低い
レベルの状態である.古代の日本文化が中国文化
と対面するようになった時、高いところから低
いところへ流れてくるように、遥かに先進的な
中国文化が日本に取り入れられた。
 近世になって、日本の社会文化
は相当な発展を見せたが、西欧
の資本主義文化と比べると、ま
だ遅れていた。だから、近世以
後の日本は、西欧文化を大規模
に吸収した。
第二 閉鎖的な地理環境
 島国の主導権
 外族の侵入が少ない
結論として
日本は外来文化を取り入れる場合、常に自国の必要
に従って、自主的に対応した。
第三 単一民族:
 大和民族+古代アイヌ民族+近代朝鮮族
 単一民族は日本民族の文化心理において、高
度の一致性を保持、外来文化の吸収に有利。
民族の共同心理が形成。政府の政策の実施、社
会風潮の形成、短期間で全民族の承認
 一億=1
第四民族性格形成期の体験:
 土着文化の縄文文化、
BC3世紀の弥生文化―日本民族の形成+
社会発展
第五多元化の思惟方式:
 考古学+体質人類学+文化人類学+民俗
学などの研究、日本人が南北人種の混血
 多元化の思惟方式―「多神論」信仰
三、大化改新と隋唐文化の吸収
 中国文化吸収:漢、六朝―倭支配者に王号
 7世紀初:大王-天皇、倭-日本
 推古天皇、聖徳太子:遣隋使の小野妹子、
直接吸収
大化改新
645年、中大兄皇子、中臣鎌足
集権的官僚国家の建設と生産方式と政治制
度の移植
1土地制度、
2法律
班田収授法
公民公地
租庸調
近江令
飛鳥浄御原令
養老律令
3官制
4.教育
国、郡、里編成
大学寮設置、儒家の経典
世襲制、
5文学
6.舞楽
漢詩集:懐風藻、凌雲集,文
華秀麗集、経国集
白居易
雅楽:秦皇破陣楽、万歳楽、
太平楽、蘭陵王
7書道、
王義之の作品
三筆:空海、嵯峨天皇、
橘逸勢
9修史、
720年「日本書紀」
712年「古事記」
六国史
11医学、
鑑真和尚
唐代の「新修本草」
 8絵画、
唐絵の発達
正倉院の麻布菩薩、
絵巻の先駆 絵因果経
10暦法、
中国の唐暦
1685年貞享暦
1873年太陽暦
12建築、
長安モデル
710年平城京(奈良)遷都
794年平安京
13体育娯楽、
囲碁、双六、鶏合せ
射礼、賭弓、将棋
15年中行事
お正月の門松飾り、屠蘇酒、
餅
端午の節句、七夕、盂蘭盆
会、中秋の日、菊の節句、
立春前の節分の「豆まき」
14衣食風俗、茶
唐服の流行、髪上げ式
唐菓子の流行
団子、ワンタン
お茶の流行、嵯峨天皇
四、明治維新と西洋文化
の吸収
 1868年の明治維新、徳川氏から朝廷への政
権移行、実質上は封建制から近代的国家統
と資本制への移行に連なり、近代日本国家
の基礎を築いた。
1西洋教育制度の移植:
 1871年「学制」、1890年「教育勅語」、「国破
れて教育在り」
 日本は一方で西洋の近代教育の学制と科
学的な内容を吸収し、近代教育の形式を
整えた。もう一方では「忠君愛国」のよ
うな非近代的な教育理念を主張した。
 どんな結果をもたらしてきたのだろう??
(積極的と消極的な結果)
2西洋近代思想の流入
 明六社:西村茂樹、津田真道、西周、加藤
弘之、福沢諭吉、森有礼、
 西周の「人世三宝説」、津田真道の「情欲
論」「死刑論」、中江兆民の『民約訳解』
 福沢諭吉の『学問のすすめ』、『文明論之概
略』、加藤弘之の『真政大意』
 イギリスの功利主義、ドイツの国家主義思
想、実証主義史学、自由主義経済学、マル
クス主義経済学
3近代科学の創立
 外国人専門家の直接の指導のもとで始めら
れ、数学、物理、化学、地質学、医学、博物
学等の分野において多くの成果をあげた。
4近代産業と経済制度の移植:
 富国強兵、殖産興業、造船所、砲兵工廠、
電信
 株式会社制度、銀行制度、近代貨幣制度、
近代公債制度、近代保険の導入
5司法制度の改革:
 刑法、民法がフランスの法典を基礎に制定
された、商法はドイツの法典を基礎に制定さ
れた
6自由民権運動
 板垣退助の「民選議員設立建白書」
 思想家:大井憲太郎、植木枝盛、中江兆民
 「日本国国憲案」
7ドイツ式の憲法の制定:
 伊藤博文1889年「大日本帝国憲法」---アジ
ア国家における最初の憲法と言われる
8生活様式の「文明開化」
 服装、
散髪脱刀令
 牛乳、牛なべの食、
 僧侶の肉食、妻帯
開化鍋(別名“あぐら鍋”)
鹿鳴館
太陽暦の採用
五、敗戦とアメリカ文化の
吸収
1945年ポツダム宣言、ミズーリ号
の降伏調印
 1天皇の「人間宣言」:現人神、政教分離令、華
族制度の廃止
2.民主主義の憲法の制定
占領軍の指示の下、民主主義の「日本国憲法」
制定、1947年施行
平和憲法
 「主権在民」、家制度の廃止、
 天皇は国家の象徴、
 第九条:「戦争の放棄と戦力の不保持」を規定
3.政治の改革
1946年、極東国際裁判所の戦争犯罪人に対す
る裁判、7名に死刑、
東条英機
 政治犯の釈放、政党の復活、20歳以上の男
女に選挙権
4.教育制度
 4教育制度:六.三.三
制の採用、教科書の民
主的な改造、ローマ字
化ヘの日本語の改革、
 男女共学の改革
 :
5農地の改革
6.財閥の解散
7.組合法の制定
 三井、三菱、安田、住
 はじめ労働運動の復
友の財閥の資産凍結、
活を奨励したが、後禁
「独占禁止法」、
止
 「過度経済力集中排除
法」が制定、1950年1
953年の朝鮮戦争の
特需に復活
8.アメリカ文化の広範な影響:
 明治期のドイツの学風からアメリカ風
 学問-米の「社会心理学」「文化人類学」
「輿論調査」流行、
 訓古主義と文献主義から実証性の学風へ
 分析哲学と論理実証、
 ハリウッドの映画、アメリカ式の生活方式と
価値観
9アメリカ管理科学
 現代管理科学の発生地、
 経営管理技術と経営管理思想
 企業管理訓練方式、理事会制度、事業部制
度、長期経営計画、統計制度、人事制度、
俸給制度、全面品質管理制度、
 同時に、日本式の経営管理―集団主義と人
情
10アメリカ生活方式の魅力
 衣食住に影響、
 和服-洋服、
 ご飯に味噌汁-パンとチーズやコーヒーや
ミルク、
 2DK、3DK、住食一体の生活様式一変、
 アメリカの生活様式の目標
関連知識




朝鮮文化の吸収
インド文化の吸収
南蛮文化の吸収
蘭学の吸収
1.朝鮮文化の吸収
 金達寿の『日本の中の朝鮮文化』、
 日本の神宮、神社の原形が新羅の祖先を
祭る儀式に起源
日本皇室の祖先神の天照大神、新羅に由
来、
 京都の稲荷大社、松尾大社、祇園社なども、新
羅の秦氏が、氏神を祭祀する場所
 4世紀から百済、高句麗の滅亡によって、王族
達が日本に移住
松尾大社
祇園社
2.インド文化の吸収:
 奈良時代から平安時代初期、インドや南アジアの
文化も吸収
 インドの神々と日本人の生活、仏法守護神の
caksmi、吉祥天、yama
 仏教の慈悲思想が、日本の政治に影響、350年間
の死刑なし、天皇の即位の儀式
 インドの仏教と日本美術、インド神話と日本文学
 日本語の中のインド語:カワラ(瓦)、ダンナ(旦那、
檀那)、挨拶
3.南蛮文化の吸収
 14世紀―16世紀
のルネサンスと、
16世紀の宗教改革、
航海技術の進歩-
植民地の拡張
 ポルトガル:1543年、鉄砲の伝来とキリス
ト教―「南蛮文化」、「キリシタン文化」
 フランシスコザビエル1549年の上陸
 貿易と布教活動:織田信長の保護、価値体
系の解体、仏教の政治化.世俗化
 宗教書、宗教画、宗教劇、太陽暦、一夫一婦の
貞操、大名と庶民の同席-30万
 1587年、豊臣秀吉「伴天連追放令」
 鎖国令(1635年)
 南蛮文化:キリスト教、思想、倫理、教育、科学
技術、文学、美術、音楽、建築、風俗鉄砲の伝
来は戦争方法の革命を加速化し、日本統一の
速度を早めた
 医学、農学、天文学、航海技術、数学、測量、
地理学、暦学、兵学も日本に伝わった
 南蛮文化は日常生活にも影響:ズボン、メガネ、
コーヒー、ボタン、タバコ、ベランダ、バランス
4.蘭学の吸収
 鎖国後の日本は長崎を通し、オランダ流医学、天
文学や世界地理学など西洋の学説
 西洋近代科学の体系的な研究の発端:前
野良沢、杉田玄白の『解体新書』
 体系的な研究が始まり、「蘭学」と呼ばれる
 自然科学から近代思想や、社会制度や諸文
化に深まる、日本近代化への志向の芽が、
 天文学学者地動説を紹介、ニュートンの力学
紹介
 南蛮文化が西洋の中世の宗教文化とすれ
ば、蘭学は近代理性文化である