「電子コミュニティと人のネットワーク」 川﨑 博子

サブテーマ報告
前回の宿題と全体のまとめ
2001年2月1日
川崎博子
前回の宿題
• 「遊学」とインターネット利用の比較
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「遊学」とは?
例
遊学する人々の情報源
藩にとっての利点
類似点と相違点
江戸時代の制度「遊学」
• 個人が学びたいテーマをもとに、
師を求めて各地を渡り歩くこと
• 実際には…
– 藩校で優秀な者が、藩に願い出て
許可を得て出ていった
– 帰ってきた者は藩校の教師になったり、
藩の役人として重職に就いた
– 許可が得られず自費で出掛けたり
脱藩する例も…
例:長崎に遊学した者
• 記録に残っている者:1052名
– 6年以上の遊学期間があった者:41名(約5%)
– 2回以上遊学を行った者:99名(約10%)
• 長期にわたる遊学を行ったり、何度も
遊学に出られる者はほとんどいなかった。
遊学する人々の情報源
• 藩校や塾での先輩、他藩からの遊学生
– 出身地による土地の縁
– 同じ塾に集まる情報の縁
• 帰国後や遊学中に文通する
– 遊学期間を過ぎてもさらに交流を深める
藩にとっての利点
• 藩の為政者にとって
– 遊学した藩士は諸国の情勢を知る
大切な情報源だった
– 藩に有益な情報を自分で判断する人材を
育成するために、藩校での教育が重要だった
現在の電子コミュニティとの比較
• 類似点
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興味・関心を軸に人のつながりを形成する
藩に止まっては触れられない情報が得られる
様々な価値観に触れることができる
自発性
• 相違点
– 時間、移動先など実はあまり自由でもない
– 「藩から派遣」という立場は変わらない
– 行く先々で全人柄的な参加
全体のまとめ
• 「網状の」人間関係
– 自立共生と相互依存
– インターネットを使う利点
• インターネット利用の現状
– 電子コミュニティの実際
– 小さな集団の中の覇権
– 問題の発生と解決
• 電子コミュニティを意味創造の場に
「網状の」人間関係
• 何らかの共通性を持つ人達の集団
– 共通の関心、利害関係、役割など
• それぞれに確立した「個」が
互いの相違点を認識しつつ
自発的に意味と価値を作り出していく
自立共生と相互依存
• 自立的な依存関係、共通の基盤
– 集団に参加することで何ができるか
– 教え、教わる、意志決定の基盤の共有
• 集団の中で情報の共有が
自然なかたちで行われる
– 参加者が互いに信頼しあうことが必要
インターネットを使う利点
• コンピュータ・ネットワークにより
より広く、自由になった人間関係
– 場所、時間の制約からの解放
– 集団の門戸の広さ
• 複数の集団に所属し、それぞれの
価値観のバランスを取る
– 多様な人間関係、多様な価値観
– ひとつに偏ることなく、個人の意志で
独自の「個性」を確立できる
インターネット利用の現状
• マスメディアの参加
– 受け身的なメディアとしての利用
• Webブーム
– 素朴なコミュニケーションのみを
求める利用者が多い
– 集団を維持していくのは大変なこと
– 長く続くと集団が閉鎖的になる場合もある
– 異なる価値観の共存が難しくなる
電子コミュニティの実際
• 「常連さん」が中心人物
• 個人が主催する「場」の場合
– 「場」で知り合った人達と交流するための
「場」になってしまう
• その場その場のテーマ、参加者個人が
求心力として場を維持するしかない
• 独自ルール、スラングの発生
– 常連と新入り・ROMの二層構造ができる?
小さな集団の中の覇権
• 盛んに投稿する者が「場」の性格を決定す
る
– 「場」の参加者を引っ張る舵取りになる
– 投稿しない人は居ないのと同じこと
– 「そこにいる人」どうしが和気藹々とやっている
ところに、見慣れない個性の者が登場する
と?
• このような集団では
新しい価値観に対応できなくなる。
問題の発生と解決
• 上下関係ではなく
– 上層部に問題解決を押しつけるのではなく
• 全員が同じ集団の一員として
– 問題を自分たちから切り離さず、
共通の問題という意識を持つことで
自発的な参加を促す
• 共通の問題意識が求心力になる
電子コミュニティを
意味創造の場にするには
• 参加者間のコミュニケーションを密にとる
– コンピュータというコミュニケーションツールの
得意技?
– 参加者全員が互いに合意(信頼)を得る必要
• 利害(役割)の調整とルールの設定
– 能率化を図る、参加へのインセンティブを得る
– 集団に参加しているのだという充実感
• 少人数の集団でならこれが実践できる
– 大きな問題は「集団の集団」で解決する
参考文献
• 「長崎遊学者事典」
• 「ネットワーク社会の深層構造」
• 「コミュニティ・ソリューション」