ネットワークを介した コミュニケーションに関する論文 の紹介 日常生活のコミュニケーション – – – – – ほとんどの人間関係は「対面的関係」 非言語的情報が豊富で、情緒的 社会的な要素が大きく影響 個人対個人 即時性 Computer-Mediated Communication – – – – – – 「非対面的」な状態で人間関係が発生する 非言語的情報に乏しい 匿名性により、社会的手がかりが乏しい 電子会議室など「公共の場」が介在する テーマが決まっているなど、課題指向性 非即時性 • CMCは日常生活のコミュニケーションチャ ンネルとは大きく異なる特性を持つ CMCに関する見解 • 非個人的なもので嫌悪感を生じやすい? • 空間的制約からの解放 • 「社会的情報処理」の観点 – 「不確実性」の減少とともに親密さが増す – 人間関係で最も重要な要因「時間」 – 短期間の観察ではわからない傾向 CMCによる人間関係の調査 • 金官圭,1998年 • NIFTY-Serveのフォーラム参加者たちに対 するアンケート調査 – CMCで関係を持つ相手の有無とその程度 – 相手の人口統計学的特徴の認知状況 CMCで形成される人間関係 • 特定の相手の有無 – いると答えた人が80% • 「いる」と答えた人のうち… – 「相手に実際に会い、友人になった」50% – 「電話などCMC以外のメッセージとかわす」 11% – 「CMCでメッセージをかわすだけ」30% 個人的関係の深さ • 相手はいるが、CMCのみの人 – 個人的な話題など、フォーラムのテーマ以外 の話題はしない • 相手に実際にあったことがある人 – 互いに個人的な話題も行い、互いに影響 • 特定の相手はいない人 – ネット利用歴は長い人も • CMCへの慣れより、積極性の問題? CMCによる人間関係の機能 • 日常のコミュニケーションの持つ機能 • 道具的機能 – 有用な情報を得る • 情緒的機能 – コミュニケーションによる喜び、楽しさ – 相手に対する印象 • CMCでも同様に機能している 匿名性の及ぼす影響 • 相手の素性の認知状況 • 「会ってはいない」人達 – ある程度は知っている、または推測している • 「実際に会った」人達 – 互いの氏名、職業、居住地など多くの情報 – 電話などCMC以外のつきあいに広がることも 多い。 – CMCの制約を補い、日常生活と同様の関係 CMC独自の特徴 • 日常のコミュニケーションでは、相手の素 性・特徴は速やかに認知される。 • 比べて、CMCでは、深い交流がある間柄 でも解らないことが多い。 • CMCでの人間関係の核は「共通の関心 事」 • 互いに関する情報が少なくても関係が維 持できる 電子コミュニティ形成に関する研究 • 篠原一光、三浦麻子、1999年 • スレッド型のWWW掲示板を約5ヶ月運営 し、利用者の発言状況を観察 – 参加者はハンドルを使用 – メール、ホームページ公開など掲示板外での CMCによる交流は自由 • 参加者には対人コミュニケーション特性、 ネットワークの利用に関する質問を行う パーソナリティ • CMCにおける社会的手がかり – 意図的に開示される情報のほかに – メールのヘッダ、文体など多くの情報がある – 送ったメッセージそのものが人となりを物語る • 匿名性の中に社会的手がかりが示される – それを元に、規範に従った応対ができる • 返信の早さ、時刻などにより親密さの印象 が変わる 自己開示性と自己意識 • 「私的自己意識」 – 内面・感情など自分自身に関する • 「公的自己意識」 – 他人からどう見られているか • 掲示板では発言が多くの人の目に触れる 期間が長い • 公的自己意識の強い人は発言に慎重 参加者の種類 • 発言数、発言時期等から参加者を分類 • 低参加群 – 発言数の少ない人達、ROM • 高参加群 – 発言数が多い、レスにも積極的 • 初期高参加群 – 掲示板立ち上げ当初は、高参加群と同様に積 極的に参加 参加者の主なネットワーク利用 • 低参加群 – ホームページ閲覧、メーリングリスト購読 • 高参加群 – ホームページ閲覧・作成、メーリングリスト購 読・発言、掲示板 • 初期高参加群 – ホームページ閲覧・作成、メーリングリスト購 読、掲示板 社会的スキルの調査 • KISS-18 – 1 8の質問で回答者の社会的スキルを評価 • 一般的マネジメントスキル – 仕事上など一般的な社会の管理能力 • コミュニケーションスキル – コミュニケーションを円滑に進められるか • 対人ストレス対処スキル – 対人問題への対処能力 参加者のコミュニケーション能力 • 高参加群と初期高参加群の傾向差 • 高参加群ではコミュニケーションスキルと 対人ストレス対処スキルに高い評価 • 初期高参加群では対人ストレス対処スキ ルに低い評価 • 初期高参加群では、対人ストレスに対処し きれず、積極的な参加が長続きしない まとめ • CMCは日常生活と比べて認知的制約が 多い中で深い関係を作ることに成功してい る – 課題指向性の強いコミュニケーションから始ま り、「共通の関心事」が互いの接点となる • 社会的スキルがコミュニケーションへの積 極性に影響するのは、日常生活と同じ – 公的自己意識の問題ではない 疑問 • 匿名性の及ぼす影響 – 長所:社会的地位にとらわれない交流 – 短所:警戒心によるコミュニケーションの阻害 • 匿名性―情報に信頼性がないなかで – 相手の信頼性の推測、相手から情報の開示 を引き出すスキルが必要 – このようなCMCのためのスキルの獲得方法 は? • 掲示板の発言数の減少(ROMの出現)
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