より多くの人に糖尿病予防の生活指導ができるように

より多くの人に糖尿病予防の
生活指導ができるように
医療法人社団 新虎の門会
新浦安虎の門クリニック
○沼本 美由紀 大前 利道
大前 由美 堀内 純
(株)メディカルネット 永山 健二
【 目的 】

米国糖尿病学会(以下ADAと省略)が、
境界型糖尿病の基準をFPGで100以上、
126未満とするように提唱している。
今回の発表は、その基準を用いて
より多くの糖尿病予備軍を見つけ
生活指導が可能になるかを検証する。
【 対象 】

前回第34回の発表で用いた、
30分精密法の群を (2003年12月1日から
2005年12月31日までの合計180名)
A群 とする。

2006年1月1日から2006年6月30日の
健診と人間ドック受検者 合計3895名を
B群 とする。
【 方法 】
①A群に、日本基準のFPGとHOMA‐Rを組み合
わせたものと、 ADAの境界型基準を適用し
たものとで、生活指導対象者の割合を比較検
討する。
②B群にも日本の基準とADA境界型基準を適
用し、比較検討する。
③A群 と B群 の結果を比較検討する。
【 結果 】 ① A群:FPGのみ
現在の日本の基準
ADA基準
正常型
134
100~109
26
正常型
160
境界型
13
110~125
13
糖尿病型
7
糖尿病型
7
合計
180
合計
180
20/180=11.1%
46/180=25.5%
25.5 - 11.1% =14.4%の増加
【 結果 】 ② B群

B群では、日本の基準では 10.3%となり、
ADA基準適用すると 23.4% と増加した。
現在の日本の基準
正常型
3493
ADA基準
正常型
2984
100~109
509
境界型
211
110~125
211
糖尿病型
191
糖尿病型
191
合計
3895
合計
3895
402/3895=10.3%
23.4% - 10.3% =
911/3895=23.4%
13.1% の増加
【 結果 】 ③A群とB群の比較
生活指導が出来る割合
30.0%
FPGのみで生活指導が出来る割
合
A群
B群
日本基準
11.1%
10.3%
ADA基準
25.5%
23.4%
25.5%
23.4%
20.0%
11.1%
10.3%
10.0%
0.0%
日本基準
ADA基準
A群
11.1%
25.5%
B群
10.3%
23.4%
① A群
【 結果 】
○ 日本の基準
BS=110mg/dl
○
FPG と HOMA-R
ADAの基準
BS=100mg/dl
FPG と HOMA-R
HOMA-R
FPG
1.6
以下
1.6~2.5
2.5以上
合計
HOMA^R
PPG
1.6以下
1.6~2.5
正常型
89
41
30
160
正常型
79
境界型
1
4
8
13
100~109
糖尿病型
2
0
5
7
合計
92
45
43
180
50/180=27.8%
91/180=50.6%
2.5
以上
合計
38
17
134
10
3
13
26
110~125
1
4
8
13
糖尿病型
2
0
5
7
合計
92
45
43
180
63/180=35%
101/180=56.1%

35.0% - 27.8%= 7.2%の増加

56.1% - 50.6%= 5.5%の増加
【 結果のまとめ 】
・インスリンを測定しなくてもADAの境界型基準
を適応することで、A群で25.5%、B群で23.
4%となり、この値は前回34回大会の27.
8%にかなり近い値になった。
・A群にHOMA-Rの条件を2.5以上にした場合
でも、日本基準より、ADA境界型基準の方が、
生活指導対象者は7.2%増えた。
〇ADAの境界型糖尿病基準を当てはめると、
糖尿病予防の指導対象者が増加した。
【 考察 】
〇インスリン測定を行う方が、より的確な指導
に結びつける事ができます。
△ところが、糖尿病予防のためにインスリン測
定をすることは、主に宿泊ドックで行われる
ことはあるが、コスト的な面で一般的で
はない。
“より多くの人に糖尿病予防の生活指導をする”
ためには!?
インスリン測定が項目に
ない
・宿泊人間ドック
・日帰り人間ドック
・健診
FPG を ADA境界
型基準にあてはめる
より多くの糖尿病予備軍を確定
生活指導を行えることになる
現実的で有効な糖尿病予防になると
期待できると思われる!
FPG100以上を糖尿病予備軍とみなす?
欧米人と日本人の糖尿病タイプの違いがあると
いわれていますが、
FPG100mg/dl以上を糖尿病予備軍とみなす
ことは、患者さん、健診受健者さんにとっても
○ シンプル
○ わかり易い
○ 実際的である