資料1 気仙沼市まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン(案) (概要版) 平成27年9月 気仙沼市 気仙沼市まち・ひと・しごと創生 構 成 第1章 人口の現状分析 第2章 人口ビジョン 第1章 人口の現状分析 現 状 総人口の推移 本市の人口は、昭和55(1980)年の92,107人をピークに年々減少し、国立社会保障・人口問題研 究所(社人研)の推計によると、本市の人口は、平成52(2040)年には42,656人と推計しており、平成 22(2010)年から30年間の人口減少率は42.0%に達し、3万人以上の減少になると予測されている。 ●総人口の推移 (人) 社人研 推計値 人口のピーク 人口減少率 42% 約3万人 減少 資料:平成22(2010)年までは国勢調査(編入・合併前の唐桑町、本吉町人口を含む)平成32(2020)年以降は国立社会保障・人口問 題研究所(社人研)の推計値 1 第1章 人口の現状分析 現 状 年齢3区分別人口の推移 本市の年齢3区分別人口の構成比の推移では、宮城県の推移と比較すると、年少人口の割合で は県平均とほぼ同じ比率で推移しているが、生産年齢人口は、近年になるほど県平均を下回り、逆 に老年人口は県平均を約8ポイント(平成22(2010)年)大きく上回っている。 将来的には、平成32年を境に、老年人口と生産年齢人口が逆転する。 ●年齢3区分別人口構成比の推移(現況) ●年齢3区分別人口構成比の推移(将来) (人) 社人研 推計値 資料:平成22(2010)年までは国勢調査、平成32(2020)年以降は国立社 会保障・人口問題研究所による推計値 資料:平成22(2010)年までは国勢調査、平成27(2015)年は4月30日 現在住民基本台帳 2 第1章 人口の現状分析 現 状 人口ピラミッドの推移(1) 本市の年齢構成を昭和55(1980)年から30年ごとの推移についてみると、昭和55(1980)年では、 年少人口、生産年齢人口の層が厚い三角形の構成となっているが、長期的に年少人口、生産年齢 人口の際立った人口減少と相まって、超高齢社会によるさまざまな社会的影響が懸念される。 老年人口の 増加 ●人口ピラミッド(昭和55(1980)年) ●人口ピラミッド(平成22(2010)年) 女 男 0 1,000 2,000 3,000 男 4,000 20〜24歳の 減少が顕著 資料:昭和55(1980)年、平成22(2010)年は国勢調査 ●人口ピラミッド(平成52(2040)年) 男 女 4 0 0 1,000 2,000 3,000 女 女 1,000 2,000 3,000 4,000 生産年齢人 口の減少 老年人口が多く、生産年齢人 口、年少人口が極度に少ない 人口構成 3 4,000 第1章 人口の現状分析 現 状 出生・死亡の推移 本市の出生・死亡者数の推移を見てみると、平成12年(2000)年まで、出生数が死亡者数を上回る 「自然増」の推移を示していたが、平成13(2001)年以降は、死亡者数が出生数を上回る「自然減」の 状況が続き、出生数の減少傾向と高齢化の進展等による死亡者数の増大により、「自然減」の数値が 拡大している。 ●出生・死亡の推移 資料:各年住民基本台帳(気仙沼市統計書) (人) 震災による死亡者増 4 第1章 人口の現状分析 現 状 15歳〜49歳女性人口数、比率の推移 出生に大きく関わる15歳〜49歳女性人口数は、年々減少傾向にあり、総人口に対する比率の推 移では、県平均から4〜5ポイント下回って推移している。 ●15歳〜49歳女性人口数、比率の推移 資料:各年住民基本台帳(気仙沼市統計書) 5 第1章 人口の現状分析 現 状 未婚率・出生率 本市男性の未婚率は、近年になるにつれ高くなり、平成22(2010)年の35歳〜39歳の男性では、国より も2.9ポイント、県よりも5.6ポイント高くなっている。 1人の女性が一生に産む子どもの人数とされる「合計特殊出生率」の本市の推移をみると、昭和45( 1975)年以降本市の出生率は、県や国よりも高い水準で推移してきたが、平成25(2013)年では、県平 均を上回るものの国平均を下回る数値となっている。 ●合計特殊出生率の推移 ●気仙沼市未婚率の推移 平成 20歳〜24歳 12年 25歳〜29歳 (2000年) 30歳〜34歳 35歳〜39歳 平成 20歳〜24歳 17年 25歳〜29歳 (2005年) 30歳〜34歳 35歳〜39歳 平成 20歳〜24歳 22年 25歳〜29歳 (2010年) 30歳〜34歳 35歳〜39歳 国 92.9% 69.3% 42.9% 25.7% 93.4% 71.4% 47.1% 30.0% 91.4% 69.2% 46.0% 34.8% 男 県 91.3% 66.7% 41.6% 25.8% 92.2% 67.4% 45.1% 29.7% 87.0% 63.2% 42.1% 32.1% 市 89.7% 63.8% 42.9% 29.8% 86.7% 68.2% 45.9% 34.9% 89.0% 68.9% 49.9% 37.7% 国 87.9% 53.9% 26.5% 13.8% 88.7% 59.0% 31.9% 18.4% 87.8% 58.9% 33.9% 22.7% 女 県 86.4% 52.6% 26.1% 12.9% 87.3% 56.6% 35.5% 18.1% 85.4% 56.0% 32.5% 21.7% 市 83.6% 49.0% 24.5% 13.1% 81.8% 51.5% 29.4% 18.5% 84.7% 51.3% 32.4% 21.2% ※着色は、県平均を上回る数値を示す。 資料:全国、宮城県、厚生労働省「人口動態統計」、 気仙沼市統計書 6 第1章 人口の現状分析 現 状 転入・転出の推移(その1) 本市における転入、転出の社会動態について、常に転出数が転入数を上回り、本市における人口 減少の主因となっている。 平成23(2011)年における転出者増は、震災による市外の仮設住宅やみなし仮設への避難等によ る転出者が増大したものと推測される。 資料:各年住民基本台帳(気仙沼市統計書) ●転出・転入の推移 (人) 震災による転出 7 第1章 人口の現状分析 現 状 転出・転入の推移(その2) 18歳代を中心とした若年層が、14~26%もの大きなマイナスの数値を示し、高校卒業後の 進学や就職による転出と推察される。その後においても、21歳までは、10%を超えて減少す る年が散見される。 ●平成22(2010)年から平成27(2015)年の純移動率(12歳〜30歳) 年齢 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 男 0.14 0.15 0.19 0.14 0.16 0.14 -0.09 0.12 0.15 0.12 0.20 0.15 0.19 0.16 0.18 0.17 0.13 0.13 0.13 平成22年 女 合計 -0.13 0.03 -0.01 0.08 -0.09 0.08 -0.09 0.04 -0.02 0.08 0.07 0.11 -0.38 -0.22 0.09 0.11 0.01 0.08 -0.03 0.06 -0.01 0.10 0.22 0.19 -0.02 0.11 -0.07 0.06 -0.01 0.10 -0.21 0.01 -0.26 -0.03 -0.09 0.03 -0.11 0.03 男 -0.18 -0.24 -0.21 -0.30 -0.15 -0.03 -0.23 -0.05 0.09 -0.06 -0.16 0.03 -0.18 -0.21 -0.04 -0.14 -0.13 -0.17 -0.16 平成23年 女 合計 0.09 -0.05 0.00 -0.13 0.01 -0.10 0.12 -0.09 0.16 0.00 0.06 0.01 -0.30 -0.26 0.07 0.00 -0.13 -0.01 -0.08 -0.07 0.15 0.00 -0.08 -0.02 -0.19 -0.19 0.06 -0.08 0.00 -0.02 -0.05 -0.10 0.09 -0.03 0.09 -0.04 0.10 -0.03 男 0.24 0.06 -0.01 0.04 0.18 0.11 -0.16 0.01 -0.17 -0.35 -0.04 -0.03 -0.12 0.07 0.02 0.04 0.11 -0.02 0.07 平成24年 女 合計 0.00 0.13 0.02 0.04 0.14 0.06 0.14 0.09 0.05 0.12 -0.06 0.04 -0.13 -0.14 0.03 0.02 -0.14 -0.15 0.09 -0.11 -0.09 -0.07 -0.16 -0.09 0.02 -0.06 0.00 0.04 0.03 0.02 0.07 0.06 0.09 0.10 0.11 0.05 0.07 0.07 男 0.06 -0.02 0.04 0.19 0.11 0.03 -0.22 -0.20 -0.33 -0.06 0.09 -0.04 0.04 0.00 0.03 0.10 -0.03 0.02 0.10 平成25年 女 0.01 0.13 0.17 0.05 -0.06 0.09 -0.17 -0.05 0.04 -0.14 -0.20 -0.14 0.00 0.06 -0.02 0.09 0.10 0.07 0.13 合計 0.03 0.06 0.10 0.12 0.03 0.05 -0.19 -0.13 -0.13 -0.10 -0.05 -0.09 0.02 0.02 0.01 0.10 0.03 0.05 0.11 平成26年 男 女 -0.03 0.13 0.04 0.18 0.19 0.07 0.11 -0.08 0.03 0.10 0.01 0.10 -0.32 -0.11 -0.31 0.12 0.01 -0.07 0.02 -0.18 -0.12 -0.03 0.00 0.05 -0.04 0.19 0.00 0.07 0.11 0.12 -0.09 0.18 0.01 0.08 0.10 0.19 0.04 0.13 合計 0.05 0.11 0.13 0.02 0.06 0.05 -0.21 -0.06 -0.03 -0.08 -0.08 0.02 0.08 0.04 0.11 0.05 0.04 0.15 0.09 平成27年 男 女 0.05 0.17 0.20 0.08 0.11 -0.06 0.03 0.10 0.02 0.08 -0.02 0.05 -0.35 -0.06 -0.01 -0.14 0.05 -0.22 -0.12 -0.12 0.03 0.06 0.05 0.07 0.06 0.04 0.16 0.08 0.09 0.14 0.02 0.09 0.18 0.22 0.08 0.15 0.04 0.00 合計 0.11 0.14 0.03 0.06 0.05 0.01 -0.19 -0.07 -0.09 -0.12 0.04 0.06 0.05 0.12 0.11 0.06 0.20 0.12 0.02 注:純移動率の計算〜例として、平成22年12歳(男性)800人は、翌年は平成23年13歳(男性)に移行する。その人数が1,000 人の場合、平成23年12歳(男性)の純移動率は、1,000-800=200 200÷1,000=0.200である。 各年の値は、前年の男性、女性別、年齢別人口数を基に算出。 資料:各年気仙沼市統計書 8 第1章 人口の現状分析 人口動態の影響度分析 国の推計方法に基づく検討 社人研の推計方法によれば、現況の趨勢で推移するパターン1では、本市の平成72(2060)年の 将来人口は、26,206人となる。また、合計特殊出生率を平成52(2040)年から2.07とし、かつ社会増減 を0としたシュミレーション2の場合、46,271人となり、老年人口比率は将来的に下げ止まる。 ●老年人口比率の推移の推計 ●国の推計方法による将来人口推計 (人) シミュレーション2(合計特殊出生率 2.07、 社会増減 0 ) 日本創生会議推計 パターン2 社人研推計 パターン1 シミュレーション1(合計特殊出生率 2.07 ) 資料:国立社会保障・人口問題研究所による推計値 9 第1章 人口の現状分析 人口動態の影響度分析 将来人口に及ぼす移動の影響度(その1) パターン1とシミュレーション1とを比較することで、将来人口に及ぼす出生の影響度(自然増減の 影響度)の分析を行い、またシミュレーション2との比較で、将来人口に及ぼす移動の影響度の分析 を行う。 1)自然増減の影響度 シミュレーション1の平成52年(2040年)の総人口/パターン1の平成52年(2040年)の総人口)の数値に応じて、以下の5 段階に整理。 「1」=100%未満、「2」=100~105%未満、「3」=105~110%未満、 「4」=110~115%未満、「5」=115%以上の増加 2)社会増減の影響度 シミュレーション2の平成52年(2040年)の総人口/シミュレーション1の平成52年(2040年)の総人口)の数値に応じて、以下の5 段階に整理。 「1」=100%未満※注、「2」=100~110%未満、「3」=110~120%未満、 「4」=120~130%未満、「5」=130%以上の増加 ※注:「1」=100%未満には、「パターン1」の将来の純移動率の仮定値が転入超過基調となっている市町村が該当 分 類 計算方法 影響度 自然増減の 影響度 ミュレーション1の平成52年(2040年)推計人口=45,939人 パターン1の平成52年(2040年推計人口=42,656(人) ⇒45,939/42,656=107.7% 3 社会増減の 影響度 シミュレーション2の平成52年(2040年)推計人口=55,062(人) シミュレーション1の平成52年(2040)年推計人口=45,939(人) ⇒55,062/45,939=119.9% 3 この結果から、本市の将来人口に及ぼす影響は、自然増減と社会増減がともに大きく、この2つの 側面からの対応が必要である。 10 将来人口に及ぼす移動の影響度(その2) 宮城県内の市町村における人口の自然増減と社会増減の影響度は次のとおりとなる。 自然増減の影響度(2040) 1 1 2 0 大和町、富谷町 3 総 計 名取市、利府町 4 0 5 2 2 5 総 計 1 0 5 0 0 10 3 0 20 仙台市 6 多賀城市、岩沼市 大崎市、蔵王町、 東松島市、大河原 柴田町、川崎町、 町 亘理町、美里町 2 4 4 2 0 社 会 増 減 の 影 響 度 ( 2 0 4 0 ) 3 社会増減の影響が極め て少なく、自然増減の 影響が大きい 15 石巻市、気仙沼市 白石市、角田市、 登米市、栗原市、 塩竈市、山元町 七ヶ宿町、村田 町、丸森町、七ヶ 松島町 浜町、大衡村、加 美町、涌谷町、女 川町 南三陸町 大郷町、色麻町 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 23 4 0 35 11 第2章 人口ビジョン 位置づけ、対象期間、人口目標 1. 気仙沼市人口ビジョンの位置づけ 気仙沼市は、東日本大震災からの復興に向け、さまざまな取り組みを行ってきたが、その動きは、正に国が 進める「まち・ひと・しごと創生」を先取りした動きであった。 地方創生を体系的に進めるべく、平成27(2015)年4月に「気仙沼市まち・ひと・しごと創生本部」を設置、同 年6月には「けせんぬま創生戦略会議」を組織し、人口減少問題に対応するための「気仙沼市まち・ひと・しご と創生人口ビジョン(以下「人口ビジョン」という)を策定した。 本人口ビジョンは、気仙沼市の人口の現状と将 来の姿を示し、人口減少をめぐる問題に関する市民の認識の共有を図るとともに、今後、目指すべき将来の 方向を提示することを目的としている。 2. 人口ビジョンの対象期間 気仙沼市まち・ひと・しごと創生人口ビジョンの対象期間は、平成52(2040)年とする。 3. 人口目標 合計特殊出生率が2020年に1.60、2030年に1.90、2040年に2.20に達し、社会増減が2021年から2035年ま では毎年100人増加、2036年以降は毎年200人増加すると仮定し、平成52(2040)年の気仙沼市の人口は 53,500人を目標とする。(次項グラフ参照) 12 第2章 人口ビジョン 気仙沼市の人口目標・推計(その1) 本市においては、若年層の流出を防ぎ、新たな定住促進や産業振興による職場の確保等の多面的な施策に より、国の目標値を上回る下記数値を採用するものとし、下記の条件を設定のうえ推計する。 ①平成27(2015)年人口を7月末現在の住民基本台帳人口に置換 ②合計特殊出生率 平成22(2010)年:1.44、平成32(2020)年:1.60、平成42(2030)年:1.90、平成 52(2040)年以降:2.20 ③社会増減 2021年から2035年までは毎年100人ずつ増加、2036年以降は毎年200人ずつ増加すると仮定 平成52(2040)年の将来人口は、53,557人となり、平成82(2070)年には、人口が下げ止まり、増 加に転じる。 人口目標・推計(気仙沼市) (人) 80,000 70,000 60,000 73,489 67,179 65,801 58,286 気仙沼市の人口目標・推計 53,557 42,656 日本創成会議推計 2 070年 人口の下げ止まり 38,925 47,473 30,000 20,000 50,738 50,376 48,368 50,000 40,000 Ver.1-1 26,206 国立社会保障・人口問題研究所推計 10,000 0 13 第2章 人口ビジョン 基本認識 4. 気仙沼市の人口問題に対する基本認識 (1)気仙沼市の人口減少問題をどう受け止めるか 気仙沼市の人口減少について、社会増減については、平成に入ってからは年間300~1,000人の転出超過 (平成23年は△2,398人)となっており、自然増減については近年は出生数400人前後に対して死亡数は900 人前後となっている。また、産業面では主力の漁業・水産業において、国際競争力の激化と全国的な魚離れ などにより関連産業も含め産業規模が連続的に減少してきた。こうした実情を踏まえても、今、まさに、気仙沼 市の人口減少問題を市の最大の重要課題と捉え、少しでも是正できるよう、様々な取り組みを進めていくべき 時にきている。 (2)人口減少の流れを変えるために 〜気仙沼市の人口減少の要因〜 ①合計特殊出生率が1.4程度で、人口置換水準(2.07)を下回っていること。 ②特に若い世代を中心に人口の流出が流入を上回り、社会減少が大きいこと。 ③人口構成比率の高い高齢者等の死亡数が高止まりしていること。 〜この流れを変えるために〜 ①子どもを産み育てやすい環境を整え、子育て世代が希望する子どもの数を産めるようにする。 ②雇用の場を増やし、若い世代を中心に、帰郷できる環境を整えるとともに、移住定住策により都市部から のUターン者流入を増やすことに加え、高卒新卒市内就職促進による流出減により、社会増を達成する。 ③出生率の上昇と社会増によっても、高齢者等の死亡数の高止まりにより、人口噌加に転じるまでは難し い。 14 第2章 人口ビジョン 基 本 認 識 (3)世界で活躍する気仙沼人とふるさと気仙沼 気仙沼を離れていても、ふるさとと様々な形で繋がっていることが大切 ■帰郷・定住しなくても気仙沼をビジネスのフィールドとしたり、都会と地元の人の流れを作る。 ■ふるさと気仙沼を離れ活動する気仙沼出身者が、ふるさとの誇りを持って活躍できるよう、母 港を守り続ける。 ■各卒業中学校単位での歳祝いや物故祭等の同級会が節目で行われる風習があり、このよう な気仙沼とのつながりを絶やさない。 (4)交流人口の増大・第二市民構想 転入促進策や少子化への対策を打ちながらも、現実的には人口減少は進むことが予想され、 これを補うため、 交流入口や長期滞在者、二地域居住者の創出を図っていく。(次頁グラフ参照) ■気仙沼で暮らす魅力をPR。 ■図書館・美術館などの文化施設やスポーツ施設の拡充、医療・福祉関連施策の充実。 ■将来的に空室が出ることが想定される公営住宅の早い段階での転用や一般住宅の空家を 戦略的に活用。 (5)「世界に羽ばたく産業のまち」、「日本で一番住みたいまち」 ■「世界の港町」として水産業の持続発展を進める。 ■水産業一極集中の弱点を克服する産業構造の転換を推進する。 ■自然環境や歴史・文化を生かした「田舎でスローに生きる価値感」を醸成する。 ■人と人のつながりを活かした地域づくりをすすめる。 15 第2章 人口ビジョン 気仙沼市の人口目標・推計(その2) 観光戦略に基づく人口推計として、「気仙沼市の人口目標・推計(その1)」で推計した数値に、旅行消費額による支 え分人口を加味したものである。 「定住人口1人減少(年間消費額121万円の減少)=国内旅行者(宿泊)61人分(2.0万円/人)とし,観光戦略におけ る目標数値から旅行消費額による支え分人口を算出して推計する。平成52(2040)年の将来人口は、63,721人である 。 人口目標・推計(気仙沼市) (人) Ver.1-2 100,000 90,000 80,000 72,097 70,000 60,000 67,179 68,450 気仙沼市の人口目標・推計 +旅行消費額(宿泊者数のみ) による支え分 63,721 58,286 53,557 50,000 気仙沼市の人口目標・推計 40,000 30,000 20,000 10,000 60,902 60,540 58,532 50,738 50,376 48,368 2 070年 人口の下げ止まり 47,473 観光戦略における数値目標 3年以内(2013年度~2015年度) 宿泊者数30万人 6年以内(2016年度~2018年度) 宿泊者数39万人 10年以内(2019年度~2022年度) 宿泊者数62万人 ※2023年度以降の宿泊者数は同数で推計 0 16 今後の基本的視点 5. 今後の基本的視点 (1)気仙沼市の人口減少問題に取り組む意義 震災復興は、第1次気仙沼市総合計画(改訂版)が目指す本市の目標である「世界に羽ばたく産業のまち」 「日本で一番住みたいまち」に通ずるプロセスであり、あらためて気仙沼市の人口減少問題に取り組んでいく こ とを行政のみならず、産業界や地域、多くの気仙沼市民とともに共有し、チーム気仙沼で取り組んでいく。 (2)今後の基本的視点 ①市外への人口流出の流れを変える 気仙沼市から都市部への人口流出に歯止めをかけ、気仙沼市に住 み 、働き、豊かな生活を送りたいと思う人々の希望を実現するため、産業振興と魅力ある地域づくりを進め、転 入の流れを作る。 ②若い世代の就労・結婚・子育ての希望を実現する 若い世代が安定して働き、希望どおり結婚・出産・子育 てをすることができる社会経済環境を実現する。 ③誰もが安心して暮らしていけるための環境を整える 人口減少に伴う地域の変化に柔軟に対応し、気仙沼 市 の地域特性に即して、本市が抱える課題の解決を図り、誰もが安心して暮らしていけるための環境づくりに 取り組む。 ④地域の魅力を守り、創り、発信する 気仙沼の自然や文化、地域の絆などを維持するとともに、時代に応じ 17 た 将来の方向 6. 目指すべき将来の方向 (1)「世界に羽ばたく産業のまち」~ 「しごと」創出と「ひと」の流れ~ ◎持続発展可能な産業の振興と市民の経済的安定 ・地域産業の競争力の強化 ・起業支援並びに新たな産業誘致と創出 ・地方での人材還流、地方での人材育成、地方の雇用対策 ほか (2)「日本で一番住みたいまち」 ~ 「まち」の魅力と郷土の誇り~ ◎幸福感を感じて暮らし、誇りを持てる故郷づくり ◎安全・安心なまちと自立した地域づくり ・移住・長期滞在、二地域居住の推進 ・市外避難者の帰郷支援 ・結婚・妊娠・出産・子育ての継続的な支援 ・自立・協働・循環による持続可能な小地域の実現 ・地域らしさ(スローライフ)の維持と推進 ・地域ぐるみの防災体制の充実 ・地域に根差した魅力ある教育プログラムの充実 ほか 18 将来の方向 (3)気仙沼市の創生の実現が、国の創生につながる 気仙沼市は、復興からのまちづくりに当たり、次の視点で復興を進めてきた。このことは、壊れたまちをどのよ う に直すか、ということではなく、復興の先にどのようなまちを目指すのかというまちづくりのイメージ指針である 。 地方にある「世界の港町」 ○海を中心に自然をベースとした生活 ○スローシティー、スローフード ○都会の真似はしない ○産業は国際的に展開 ○日本一活気溢れる港町 東日本大震災以降 、「地域の社会課題の解決なくして真の復興なし」との思いで、将来のまちをイメージし な がら復旧・復興を進めてきた。「しごと」の創造と「ひと」の呼び込み、この好循環を支える「まち」の自立と魅 力づ くり。気仙沼市は、復興事業とともに、正に地方創生を先行して進めてきており、今、「人口ビジョン」と「ま ち・ひ と・しごと創生総合戦略」の策定並びに実践期に入った。 ◎人口ビジョン及び総合戦略策定 にあたっての視点 ○市民の力の結集 ○市外の力の参加 ○プロセスの重視 ○みんなが担い手 人口数千人規模の町における様々な成功例は数多く示されている一方、地方の中核をなすのは人口5~8 万人規模の地方都市であり、全国には数多く存在する。その中で、行政、産業界、地域、NPO、市民などが自 立・協働し創生に取り組む気仙沼市が結果を出し、ロールモデルとなることが、日本の創生につながるものと確 信する。 気仙沼で生まれ、自然の恵みと地域の愛情を浴びて育ち、巣立っていく子どもたちが、多様な価値観、高度 な知識・技術とふるさとの誇りをもって世界に羽ばたき、躍動する。そうした環境を整えていけば、気仙沼は「地19 方にある世界の港町」となり、明るい社会が創り上げられると信じている。
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