日本事情 第2章 日本語はどこから来たのか

第三讲 日本の政体
日本事情
日本国憲法
政治機構
行政改革計画
日本の皇室
日本の元号
日本の選挙
日本の内閣
日本の現行(げんこう)の憲法(けんぽう)。大日本
帝国憲法(ていこくけんぽう)(明治憲法(めいじけ
んぽう))に次ぐ日本2番目の憲法(けんぽう)であ
り,1946(昭和21)年11月3日公布(こうふ)され,
翌年(よくねん)の5月3日から施行(しこう)された。
〔成立(せいりつ)の過程(かてい)〕
第二次世界大戦(たいせん)後,連合国側(れんごうこくがわ)の,
軍国主義一掃(ぐんこくしゅぎいっそう),民主主義(みんしゅしゅ
ぎ)の確立(かくりつ)などの強い要請(ようせい)のもとに,当時の
日本の指導(しどう)者は憲法改正(けんぽうかいせい)案(あん)を
作成(さくせい)したが,その内容(ないよう)は従来(じゅうらい)の
基本原則(きほんげんそく)をそのまま維持(いじ)しようとしたもの
であった。そのため,連合国軍総司令(れんごうこくぐんそうしれ
い)部の強い指導(しどう)のもとに根本的(こんぽんてき)な改革案
(かいかくあん)が作成(さくせい)され,第90帝国議会(ていこくぎか
い)で審議(しんぎ)にかけられ,一部が修正(しゅうせい)されたの
ち,衆議院(しゅうぎいん)・貴族院(きぞくいん)とも圧倒的(あっとう
てき)多数で可決(かけつ)された。
〔原則(げんそく)と内容(ないよう)〕 日本国憲法
(けんぽう)は,国民主権(こくみんしゅけん)・平和
主義(しゅぎ)・基本的人権(きほんてきじんけん)
の尊重(そんちょう)を3大則(そく)とするが,その
おもな内容(ないよう)は,
(1)天皇(てんのう)を国政(こくせい)に関与(かん
よ)する権限(けんげん)のない「日本国の象徴(し
ょうちょう)」としたこと,
〔原則(げんそく)と内容(ないよう)〕
(2)国会を「国権(こっけん)の最高機関(さいこう
きかん)」とし,内閣(ないかく)は国会に対して連
帯(れんたい)して責任(せきにん)を負う議院内閣
制(ぎいんないかくせい)としたこと,
(3)衆議院(しゅうぎいん)・参議院(さんぎいん)と
も公選(こうせん)による議員(ぎいん)で組織(そし
き)することにし,地方自治(じち)を強化したこと,
〔原則(げんそく)と内容(ないよう)〕
(4)基本的人権(きほんてきじんけん)の保障(ほ
しょう)が強化され,これらの権利(けんり)が侵害
(しんがい)されないよう,裁判所(さいばんしょ)に
違憲立法審査権(いけんりっぽうしんさけん)があ
たえられたこと,
(5)戦争(せんそう)の放棄(ほうき)と戦力(せんり
ょく)の不保持(ふほじ)を規定(きてい)し,徹底(て
ってい)した平和主義(しゅぎ)をとったこと,である。
①権力分立(三権分立。立法権・行政権・司法
権)
抑制と均衡(checks and balances)をはかる。
一人または一部の人が三権のすべてをもつと、
自分に都合のよい法律を作り(立法)、都合のよ
い政治を行い(行政)、反対したりした都合の悪
い人を処罰することができ(司法)、民主政治は
できなくなる。
②三権の関係
●立法権と行政権 議院内閣制のもと、協力関係にある。
●立法権と司法権 違憲立法審査*1 弾劾裁判*2
*1 違憲立法審査
国会(立法府)や内閣(行政府)の行動が憲法に違反していない
かどうか、裁判所(司法府)が判断すること。内閣に対しての時は、
この言い方をさけ、「行政審査」と言うこともある。
*2 弾劾(だんがい)裁判
裁判官の資格を奪う裁判。
●行政権と司法権 裁判官の人事(最高裁判所長官の指名、そ
の他の裁判官の任命)
違憲立法審査
巨大(きょだい)化し,複雑(ふくざつ)化している行
政機構(ぎょうせいきこう)や事務(じむ)・事業を整
理したり統合(とうごう)して,行政(ぎょうせい)を
簡素(かんそ)化する改革(かいかく)。広い意味で
は,単(たん)に行政(ぎょうせい)だけではなく,
年々ふくらんでいる予算などの財政(ざいせい)の
改革(かいかく)もふくみ,行財政改革(ぎょうざい
せいかいかく)ともいわれる。
天皇(てんのう)の一族。皇室典範(こうしつてんぱ
ん)により,天皇以外(てんのういがい)の皇后(こ
うごう)・太皇太后(たいこうたいごう)・皇太后(こう
たいごう)・親王(しんのう)・親王妃(しんのうひ)・
内親王(ないしんのう)・王・王妃(おうひ)および女
王をいう。
天皇(てんのう)と皇族(こうぞく)を総称(そうしょ
う)して「皇室(こうしつ)」という。
年数をかぞえるため年につける称号(しょうごう)。
元号ともいう。中国の漢(かん)の武帝(ぶてい)の
ときに始まり,東洋諸国(しょこく)に見られたが,
今は日本だけにのこっている。日本では正式に
は大化(たいか)(645年)がはじめで,連続(れん
ぞく)して用いるのは大宝(たいほう)(701年)から
である。
江戸(えど)時代までは,天災(てんさい)などがあ
ると年号があらためられるのがふつうであったが,
明治以後(めいじいご),一世一元(いっせいいち
げん)の制(せい)(天皇(てんのう)1代に1年号)
がしかれた。
〔選挙(せんきょ)と代表制(せい)〕 国民(こくみん)
が直接(ちょくせつ)に政治(せいじ)を行うことは
現実(げんじつ)にはむずかしい。そこで国民(こく
みん)が選挙(せんきょ)によって代表者をえらび,
政治(せいじ)を行わせる代表制(せい)がとられて
いる。したがって,選挙(せんきょ)は国民(こくみ
ん)が主権(しゅけん)を行使し,政治(せいじ)に
参加(さんか)する重要(じゅうよう)な機会(きか
い)である。
〔選挙権(せんきょけん)の拡大(かくだい)〕 日本で最初
(さいしょ)の総選挙(そうせんきょ)(1890年)は男子満(ま
ん)25歳以上(さいいじょう),15円以上(いじょう)の納税
(のうぜい)者という,きびしい制限選挙(せいげんせんき
ょ)であった。その後,選挙権拡大(せんきょけんかくだ
い)運動がおこり,1925(大正14)年に男子普通選挙(ふ
つうせんきょ)が,1945(昭和20)年12月に満(まん)20歳
以上(さいいじょう)の男女に選挙権(せんきょけん)をあ
たえる完全普通選挙(かんぜんふつうせんきょ)が実現
(じつげん)した。
〔選挙権(せんきょけん)と被選挙権(ひせんきょけん)〕
選挙(せんきょ)で投票(とうひょう)する権利(けんり)を選
挙権(せんきょけん)といい,立候補(りっこうほ)して選挙
(せんきょ)される権利(けんり)を被選挙権(ひせんきょけ
ん)という。
・選挙権(せんきょけん)…満(まん)20歳以上(さいいじょ
う)のすべての国民(こくみん)。
・被選挙権(ひせんきょけん)…衆議院(しゅうぎいん)議
員(ぎいん)・市町村長・地方議会(ぎかい)議員(ぎいん)
は満(まん)25歳以上(さいいじょう),参議院(さんぎいん)
議員(ぎいん)および都道府(ふ)県知事は満(まん)30歳
以上(さいいじょう)。
〔選挙(せんきょ)区〕 衆議院(しゅうぎいん)と参議院(さんぎいん)
では選挙(せんきょ)区の分け方がちがっている。
・衆議院議員選挙(しゅうぎいんぎいんせんきょ)…かつては,市
町村をいくつかまとめて1選挙(せんきょ)区とし,各選挙(かくせん
きょ)区から2〜5人程度(ていど)の議員(ぎいん)をえらぶ中選挙
(せんきょ)区制(せい)がとられていた。1994(平成(へいせい)6)
年12月に施行(しこう)された公職選挙法(こうしょくせんきょほう)
改正(かいせい)によって,小選挙(せんきょ)区比例(ひれい)代表
並立制(へいりつせい)が導入(どうにゅう)され,2本立てとなった。
小選挙(せんきょ)区選挙(せんきょ)では全国を300の選挙(せんき
ょ)区に分け,比例(ひれい)代表選挙(せんきょ)では全国を11の
選挙(せんきょ)区に分ける。
・参議院議員選挙(さんぎいんぎいんせんきょ)…
かつては全国を1選挙(せんきょ)区とする全国区
と,都道府(ふ)県単位(たんい)の地方区に分か
れていたが,1982(昭和57)年から全国区は比例
(ひれい)代表選挙(せんきょ),地方区が選挙(せ
んきょ)区選挙(せんきょ)と改称(かいしょう)され
た。2000(平成(へいせい)12)年には,比例(ひれ
い)代表選挙(せんきょ)は,非拘束名簿(ひこうそ
くめいぼ)式比例(ひれい)代表制(せい)となった。
内閣は、内閣総理大臣と国務大臣が、集まって
話し合うしくみのものです。内閣をつくっている人
たちを、閣僚といいます。
●内閣総理大臣の仕事
内閣総理大臣は、内閣をまとめて率いる大臣で、
内閣府の長でもあります。ふつ
うは略して、総理大臣または首相とよばれていま
す。ほかの国務大臣より上の地位
にあるので、国務大臣を任命したり、やめさせた
りすることができます。また、い
ろいろな省・庁などを指揮したり、監督したりする
こともできます。さらに、省の大臣を兼ねることも
できます。
●国務大臣の仕事
国務大臣とは、内閣総理大臣以外の閣僚のこと
で省の大臣や庁の長官になって、行政の仕事を
分担します。国務大臣を任命したり、やめさせた
りできるのは、内閣総理大臣です。国会議員以
外の人を国務大臣に任命することもできますが、
憲法で、閣僚の過半数は国会議員でなければな
らない、と定められています。