英国の欧州連合(EU) - 東京海上アセットマネジメント株式会社

Market Report
2016年6月27日
英国の欧州連合(EU)離脱の影響について
< 英国民投票はEU離脱の結果に >
英国において欧州連合(EU)に残留か離脱かを問う国民投票が6月23日(現地時間)に
実施され、開票の結果、離脱支持が全体の51.9%を占め、離脱が決まりました。結果を受けて、
残留を訴えてきたキャメロン首相は24日、辞任を表明しました。
また、24日の世界の金融市場は、事前の「残留」がやや優勢との見方に反する結果となったこと
から大きく動揺しました。主要株式市場は、投資家がリスク回避姿勢を強めたことから大幅下落と
なる一方、債券市場は利回り低下(価格は上昇)が進みました。為替市場においては、避難通
貨として円買いが先行する展開となり、主要通貨に対して大幅に円高が進行しました。
英国国民投票の結果
離脱
51.9%
残留
48.1%
出所:英国選挙管理委員会
株式市場
世界の主な金融市場の動き(6/24)
指数
TOPIX
日経平均株価(円)
ダウ工業株30 種指数(米ドル)
S&P 500 種指数
FTSE100 指数
DAX 指数
日本
米国
英国
ドイツ
終値
(6月24日)
1,204.48
14,952.02
17,400.75
2,037.41
6,138.69
9,557.16
債券市場
日本国債10年
米国国債10年
ドイツ国債10年
英国国債10年
騰落幅
(6月23日比)
▲ 94.23
▲ 1,286.33
▲ 610.32
▲ 75.91
▲ 199.41
▲ 699.87
騰落率(%)
(6月23日比)
▲ 7.26
▲ 7.92
▲ 3.39
▲ 3.59
▲ 3.15
▲ 6.82
為替市場(対円)
利回り(%)
(6月24日)
▲ 0.17
1.56
▲ 0.05
1.09
変化幅(%)
(6月23日比)
▲ 0.03
▲ 0.19
▲ 0.14
▲ 0.29
為替レート
(6月24日)
102.17
113.57
139.22
通貨
米ドル
ユーロ
英ポンド
変化率(%)
(6月23日比)
▲ 3.35
▲ 5.35
▲ 11.06
*為替レートはWMロイターレートを使用しており、変化率のマイナス表示は円高方向の変化を示します。
※上記は過去の実績であり、将来の動向等を示唆・保証するものではありません。
出所:Thomson Datastream、ブルームバーグ
■当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当
資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。■当資料の内容はあくまで
作成日時点のものであり、将来変更される可能性があります。また、市場動向や個別銘柄の将来の動向を保証するものではありません。
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Market Report
2016年6月27日
< 世界経済への影響 >
EUの規定により、実際の離脱までは少なくとも2年はかかることもあり、現時点において、英国
経済および世界経済が急激に変化することはないと想定しています。しかしながら、「①今後の離
脱手続きに関する不透明感」や、「②英国のEU離脱決定を受けて高まる欧州崩壊の可能性を
嫌気した金融市場の下振れ」は、明らかに世界経済の景気下振れリスクとなり得ます。特に、米国
では大統領選挙を控えており、グローバル政治の内向き傾向は気になるところです。
主要国政策当局は上記のリスクを十分に認識しており、この金融市場を通じた景気下振れリス
クを、いかにコントロールできるかが、当面の注目点となります。具体的には、米国連邦準備制度理
事会(FRB)の利上げ姿勢の後退、各国当局による為替市場でのポンド買い協調介入およ
び流動性供給などが予想されます。また、中長期的な視点では、市民レベルでの反欧州的な動き
を緩和するための財政政策の活用について、欧州各国が協調できるかも焦点となります。金融市
場の混乱を経ながら、政策当局が景気刺激の方向で協調できるようであれば、中長期的には世
界経済の安定に寄与する可能性もあるとみています。
日本経済に関しては、円が避難通貨として買い進まれていることもあり、金融市場を通じた悪影
響が比較的大きく出る可能性があります。そのため急激な為替変動に対して、財務省・日本銀行
がどのような対応を取るかが注目されます。
< 日本株式市場への影響 >
短期的には、英国によるEU離脱が世界経済や金融市場に与える影響の度合いを正確に見
極めることが難しく、先行き不透明感から避難通貨である円が買われ、輸出関連企業を中心に株
価が下落するリスクが想定されます。また、英国向けの売上比率が高い企業や、英国に重要な製
造・販売拠点を置く企業についても不透明感が株価の重石になることが予想されます。
ただし、各国中銀が共同で流動性供給を行うなどの対策を取ることが予想されるため、リーマン
ショックのような金融危機に発展し株価下落が続く可能性は低いと考えています。
今年度の企業業績については、過去最高レベルの利益水準を予想しており、株価の下落によっ
て日本株の割安感が強まりつつあります。また、企業は潤沢な手元キャッシュを保有しており、過去
最高水準の配当や自社株買いの継続が期待できることから、需給面で株価を下支えすると考えま
す。短期的な金融市場の混乱が落ち着けば日本株は上昇に向かうと予想しています。
< 日本債券市場への影響 >
国民投票の結果、英国のEU離脱が決定されたことは多くの国内債券市場参加者にとってサプ
ライズであり、結果判明後、残存年限の長い債券ほど金利低下が進みました。弊社では、今回の
英国EU離脱決定が発表される前から、7月に日本銀行による追加緩和政策が実施されること
を想定していましたが、今回の離脱決定を受けてその確率はさらに上昇したものと考えています。
日本銀行による追加緩和期待がある中で、国内債券市場は当面底堅く推移する展開を想定
していますが、市場の流動性が低下しているため、利益確定の売りなどにより市場が不安定化する
リスクには留意が必要であると考えています。
■当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当
資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。■当資料の内容はあくまで
作成日時点のものであり、将来変更される可能性があります。また、市場動向や個別銘柄の将来の動向を保証するものではありません。
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Market Report
2016年6月27日
< 外国株式市場への影響 >
各国金融システムの健全化が進んでいることや主要国の政策当局による協調体制を背景に、金
融市場の混乱が長期に継続する可能性は低いと考えており、金融市場は徐々に落ち着きを取り
戻すと想定しています。
ただし、英国がEU離脱に向けて動き出すことで、他のEU加盟国内でも同様の動きが広がり、
欧州崩壊の可能性が意識されれば、欧州だけでなくグローバル株式市場にとって下押し要因にな
る可能性があります。従いまして、各国の政治・政策動向を注視しつつも、環境の変化に左右され
にくい優良企業への選別投資が重要であると考えています。
< 外国債券市場への影響 >
G7の財務相、中銀総裁より為替安定に向けて流動性供給を行う旨の声明が出され、英国中
央銀行も必要な全ての措置を躊躇なく発動することを表明するなど、市場・経済の混乱に際して
政府、中央銀行が積極的な対応策を採る可能性も高まっているとみています。具体的には、FR
Bの利上げ姿勢の後退等を含めた、各国当局による金融市場を通じた景気下振れリスクのコント
ロールが想定されます。
また、規制強化等により金融機関の資本増強が進み、レバレッジも下がっていることもあり、今回
の結果を受け、金融システムに対する不安を背景としたリーマンショック時のような市場混乱に陥る
可能性は低いと考えています。
従いまして、今後短期間で大幅に海外債券利回りが低下することは考えにくく、政策当局やマク
ロ動向等を睨みながら現状の利回り水準を中心に推移すると考えています。
< 為替市場への影響 >
今後は、先行き不透明感から避難通貨である円がさらに買い進まれる可能性は否定できません。
しかし、「離脱」となった際の米ドル供給に対する各国中銀の協調姿勢が既に報じられているように、
リーマンショック時のようなリスクオフは起こりにくいと想定します。また、急速に進んだ為替相場に対し
て財務省筋からは急激な変動は望ましくない旨のコメントが発表されたことから、為替介入に踏み
切る可能性があるほか、日本銀行が臨時の金融政策決定会合を招集し、緊急の追加金融緩和
を実施する可能性も想定されることなどから、さらなる円高の進行余地は限定的と考えています。
以上
■当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当
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Market Report
投資信託に係るリスクについて
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細につきましては、個別の投資信託毎の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をよくご覧ください。
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