米国大統領選挙の影響と今後の見通し

Market Report
2016年11月10日
米国大統領選挙の影響と今後の見通し
< 米国大統領選挙 ~ 共和党ドナルド・トランプ氏が勝利 ~ >
11月8日(現地時間)投票の米国大統領
選挙は、事前の大方の予想に反して共和党の
ドナルド・トランプ氏が勝利しました。また、同時
に実施された議会選挙でも上下両院で共和党
が過半数を維持する結果となり、オバマ政権下で
の大統領と議会のねじれ状況が解消されることと
なりました。
米国大統領選挙 選挙人獲得数
11月10日 午前10時半(日本時間)現在
(人)
350
300
250
200
150
290
228
100
50
市場コンセンサスに反して、トランプ氏が米国
大統領に選出されたため、金融市場の変動率
0
クリントン氏
トランプ氏
が上昇しており、当面、今後の米国の政策が
(民主党)
(共和党)
どのように変化するのかを探る展開が続くと見て
出所:各種報道を基に東京海上アセットマネジメント作成
います。本年6月末の英国国民投票に続き、
米国においても、既存政治・社会に対する市民の反発が予想以上に大きくなっていることが証明さ
れたとも言え、世界各国の政治情勢にも影響を与えそうです。特に、上下両院でも引き続き共和
党が多数政党となったことから、来年にかけての米国政治は内向き指向を強めていく可能性が高く、
世界各国の自国優先主義の伝播は、政治的リスクを高めるため注意が必要と見ています。
米国の経済政策については予断を許さないものの、大統領と議会で協調し易い経済政策としては、
減税を中心とした財政刺激策が候補として挙げられ、米国経済は従来想定よりも上振れる可能性
も指摘されています。世界的に、金融政策に依存した時代から、財政政策による経済サポートに軸
足が移行するならば、これまでの金融環境にとっては大きな変化と言えるでしょう。トランプ氏による財
政政策は、米国経済の追い風となって、想定以上に経済環境の好転をもたらす可能性がありそうで
す。そのため、今後の米国経済は、長期的な経済成長率の低下傾向はあるものの、循環的な景
気のボトムアウトや期待インフレ率上昇局面に入る可能性がでてくると考えています。
■当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当
資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。■当資料の内容はあくまで
作成日時点のものであり、将来変更される可能性があります。また、市場動向や個別銘柄の将来の動向を保証するものではありません。
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しかしながら、不確定要因として、トランプ氏や
共和党は、これまでのFRBによる金融政策に
対して否定的に捉えている色彩が強いことから、
金融市場の混乱が発生した時にそれを回避する
ための金融緩和というパスが通用しなくなるリスク
を考えておくべきかもしれません。
さらに、トランプ氏の内向き外交政策が、グロー
バルな貿易や投資活動を制約するリスクも無視
し得ず、当面は、投資家のリスク回避的姿勢が
強まる可能性が高いと言えるでしょう。
2016年11月10日
トランプ氏の主な政策面での主張
主な内容
外交・通商
駐留米軍の費用負担を要求
TPP(環太平洋連携協定)離脱
各通商協定等の再交渉
中国を為替操作国に認定
経済・税制
経済成長率を3.5%に引き上げ
国内雇用の創出
インフラ投資拡大
法人税・個人所得税の減税
金融
金融規制の緩和・廃止
FRB(米国連邦準備制度理事会)への監査
出所:各種報道を基に東京海上アセットマネジメント作成
まとめますと、米国経済へのプラス面は考えられるものの、経済・外交政策ともに不透明感が強まっ
たと見ることが妥当であるため、楽観から悲観まで、幅広いシナリオを想定しながらの対応が求められ
る局面と言えそうです。種々の可能性を検討しつつ、魅力的な投資機会を探っていく姿勢をさらに
強めていくべきと考えています。
< 国内株式市場への影響と今後の見通し >
トランプ氏の政策についてはいまだ不透明な部分が多く、短期的には変動の大きい相場展開が
続くことも想定されます。国内株式市場への影響という観点では、同氏はこれまでに日本や中国が
為替操作をしていると名指しで批判していることから、特に為替に関する政策や発言を注視する必
要があると考えています。
現在、日本企業の7-9月期の決算発表が佳境を迎えています。前年7-9月期に比べて円高
が進んだことなどから上場企業全体では減益決算となっているものの、減益率は前四半期に比べて
縮小してきており、来年度は再び過去最高レベルの利益水準に戻ると予想しています。
足元のTOPIX(東証株価指数)のPER(株価収益率)水準は過去5年間平均程度であり、
今後の企業業績の回復や、同氏の政策の方向性が固まり不透明感が払拭されるとともに、国内
株式市場は、再度、堅調な展開となると想定しています。さらに、企業は潤沢な手元キャッシュを
有しており、過去最高水準の配当や自社株買いの継続が期待できることや、日銀によるETFの購
入も需給面で株価を下支えすると見ています。
■当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当
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2016年11月10日
< 国内債券市場への影響と今後の見通し >
今後、円高と連動するかたちで日銀による追加緩和期待も高まると想定され、当面、国内債券
市場は底堅く推移すると見ています。ただし、日銀がイールドカーブ・コントロール政策を実施してい
るなかで、10年国債利回りの▲0.1%が下限金利として多くの市場参加者に意識されていること
や、急激な円高が示現しない限り、日銀が追加緩和政策を発動する可能性は低いことなどを考
慮すると、今後の長期金利の低下余地は限定的と見ています。
< 海外株式市場への影響と今後の見通し >
足元の米ドル相場や原油価格の水準は前年の同時期と同程度であり、米国企業業績への向
かい風がなくなることはプラスの要素と見ているほか、減税やインフラ投資による同国景気の押し上
げも期待できると想定します。しかしながら、トランプ大統領の政策および議会との関係を含めた政
権の執行能力は未知数であり、政策や重要人事に関するニュースや思惑などが今後の株価動向
を左右すると考えます。政策などの方向性が明らかになるにつれて、不透明感の後退などから株価
は緩やかに上昇する展開を見込んでいます。
< 海外債券市場への影響と今後の見通し >
トランプ政権で想定される保護主義的な動きが海外経済における不透明感を強めることが懸念
される一方で、大統領と議会が共和党で統一され、財政拡大策への期待が米国経済にとって追
い風となることが想定されます。これらを勘案すると、海外債券金利は、短期的には、これまで以上
に米国の金融政策やグローバル規模での経済情勢の動向を受けて、変動の大きい相場が想定さ
れます。また、米国において財政悪化懸念やインフレ圧力が台頭する局面では、米国を中心に利
回りが上昇する展開も想定しています。
< 為替市場への影響と今後の見通し >
今後の展開としましては、金融市場の混乱を受けて、FRB(米国連邦準備制度理事会)によ
る12月利上げが先送りされる可能性も想定されます。一方で、トランプ氏の経済政策は減税を中
心とした財政刺激策が見込まれ、米国経済は従来の想定よりも上振れする展開も考えられ、米ド
ルの下支え材料となると考えています。
日本に目を向けると、先行き不透明感から安全資産である円がさらに選好される可能性は否定
できません。一方で、本日の急激な為替の動きを受けて、日本銀行・財務省・金融庁の緊急三者
会合が開催され、急激な為替変動には注視する旨のコメントが発表されました。加えて、過度の円
高時には日銀の追加緩和策の発動による抑制が期待されます。これらを踏まえ、さらなる円高の
進行余地は限定的と見ています。
以 上
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投資信託に係るリスクについて
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