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6/25(土)
29th
サタデープログラムニュース
低線量の放射線被ばくは
はたして危険なのか?
講座番号24番 第3部 14:00~15:30
(京都大学放射性同位元素総合センター助教)
講師
角山雄一さん
東北大学理学部生物学科卒業後、京都
研究を始める。その後も農林水産省な
たりもしたが、大学の先生に呼び戻さ
線の人体における影響などの研究を続
植物生理学会や日本分子生物学会、放
会などにも所属している。
先生の研究はどのようなもの?
そもそも放射線の研究と一言にいっても様々な分野があるのをご存知でしょうか。物理学、生物学、
工学、医学などたくさんの学問があり、それぞれの専門分野は違うのです。そして先生は生物学の
研究者です。
震災前は放射線を人間の細胞に当てると何が起こるのかという研究をなさっていましたが、震災
後は福島の原発事故の反省とこれからどうしていくべきかなどの研究も始められました。
また、現代の人々は放射線を知らなさすぎるまま育ってしまっているとお考えになられ、東日本大
震災後に福島から県外避難をした人たちに、「放射能が移るから福島からくるな」と勝手なことを言っ
ていじめたり、非難してきた人を受け入れたくないと考えたり、福島でなくとも東北のものは何となく食
べたくないといった大人も少なくありませんでした。
実際に、放射線は伝染しませんし、東北のもの全体を阻害することがおかしいのは誰にだってわ
かることです。しかし、この中には学者もいました。疫学という統計学からは派生した学問の学者は上
記のようなことは考えていなかったのですが、物理学者たちは「危険だ」といったそうで、同じ学者の
中にも考え方に違いがあることには驚かされました。
このような無知からくる差別や偏見をなくすために、先生は小中高校に出張して生徒や教員に放
射線について教えることもしています。
また先生は他人の意見に流されず、自分の意思を貫くことが大切で、僕たちは自分の中に確固
としたものを持つための勉強をするべきだとおっしゃっています。
東日本大震災の原発事故
2011年の東日本大震災により起こった福島第一原子力発電所事故は国際的にも最悪レベルの
事故となりました。あの事故は完全に想定外であり、完全な復旧はまだまだ見通しがついていません。
にもかかわらず、福島から学ぶこともなく原発再稼働を推し進める政府には怒りを覚えるそうです。
一時期は原発がなくても生活には困らなかったし、
本当にまた原発を動かす必要はあるのかと先生
は考えています。
原発は技術の一つとして開発をするべきだと
は思うけれど、完全に安全が保障されているわけ
でもないのにすぐ再稼働するというのはおかしい
のではないか。まずは再発防止に努力すべきだ
という言葉にはちょっと考えれば誰にだってわか
ることなのに再稼働再稼働と繰り返す政府はやはり行動を変えるべきだと感じました。
現時点ではまだ完全に制御できていない原子力の要である「原子核」を使うのは早すぎたのでは
ないでしょうか。もっと研究を進めることが先決のような気がします。
先生は福島の各地で放射線を測定しました。しかし生物学だけで原発の事故を理解するのは不
可能なので、物理学者や疫学者たちと協力する必要があります。その場合専門外は他人に任せきり
ではなく、自分も物理的な放射線について勉強していらっしゃいます。これは京都大学でよく言われ
る「リベラルアーツ」というもので、学問に垣根なしというもので、自分の関心からはじまり、幅広く学ん
でいくというものです。京都大学はこれをモットーとしています。
当日は……
当日は放射線・放射能についてわかりやすく説明していただいたり、福島の原発事故について話
していただいたりします。放射線・放射能を全く知らないという人こそ、この講座に参加して楽しく学
ぶことができます。原子力に正しい知識を得るためにぜひご来場ください。
中学3年 C 組 戸本(文責)、3年 F 組 高安