資源のない日本、 将来のエネルギーの姿に関する講演 in 鳥取 化石、再エネ、原子力エネルギーのベストミックスの実現に向けて られました。経済産業省資源エネルギー庁では、日本におけるエネルギーの現状や将来の姿について、さまざまな地域の住民の方々を対象に、 平成26年4月に新しい 「エネルギー基本計画」 が閣議決定され、昨年7月には 「長期エネルギー需給見通し (エネルギーミックス) 」 が取りまとめ 化石エネルギーや再生可能エネルギー、原子力等のエネルギーミックスに対して、ご理解を深めていただくために講演会を開催いたしました。 エネルギー政策と幸せとの関係 日 本の製 造 業はこの 年 間、まったく 成 長しなかった。製造業がだめになり、給料が 下がり 生活が 苦 しい人が 増 えている。いま 日 本 人 の3 割 弱 の 人 が ﹁生 活 が 非 常に 苦 し 答 えている。お金の問 題で悩み 自 殺 する人 氏︵常葉大学経済学部教授︶ 業に雇 用が移れば、平 均のGDPは当 然下 が増 えた。 年代 後 半からはデフレになり い﹂ 、3割強の人が ﹁生活がかなり苦しい﹂ と がる。私たちの給 与はGDPから支 払われ 山本 隆三 20 ているので、当然給与も下がる。私たちの平 を失ったが、その原因もデフレにある。設備 規制緩和でさらに悪化。日本製品は競争力 近年の電気 料 金の上昇は、製造業に非 常 に大きな影響を与えた。製造業全体で支払 いが約1兆円 増 え、少ない利 益が賃 上げに 位で韓国や台 湾とほぼ同じ。日本 経済問題は、実は私たちの幸 福感に非常 は世 界 年 前、世界 20 倍。スイスは日本の2倍。日本だけ成長 していない。失われた 年だ。 約 ンガポールとオーストラリアが今は日本の 3位だった。当時の日本の半分程度だったシ 日本人1人当たりGDPは か、すなわち可処分所得と関係している。 りお金がいる。幸福度は、いくらお金がある 済 成長不 要 論 もあるが、私たちにはやっぱ は最早、アジアで一番豊かな国ではない。経 46 年を引き起こした原因の一つ 20 年 間 で 雇 用 を 失った。 の回収、貯留︶ など環境技術の分 CCS ︵ CO 排出量をイ 野でがんばるべきだ。しかし CO ギリス並に減らせないのは産業構造が違う ギリスとは違い、日 本 は製 造 業ががんばる からだ。金融、不動産、ITが成長産業のイ 雇用が伸びた産 業の代 表は医 療・福 祉だが、 び込むことにある。 しかない。地方創世の鍵も、強い製造業を呼 1人当たりGDPの高い産業から低い産 平均より1人当たりGDPの低い産業だ。 れ ら の 産 業 は この GDPの産業は、金融、製造業などだが、こ たりのGDPは当 然 異 なる。平 均より 高い たりのGDPの減 少 だ。産 業により1人 当 は、産 業 構 造の変化が引き起こした1人当 失われた 20 10 日 本 は こ れ か ら 蓄 電 や 電 気 自 動 車、 ではなく、化石燃料の支払いに費やされた。 2014年度は415万円になった。 あ っ た が、波 を 描 き な が ら 下 落 を 続 け、 投資を怠ったツケだ。 均給与は1997年がピークで467万円 90 に関 係がある。日 本 人の幸 福 度ランキング 社会全体の利益を考える 基調 講演 1.5 製造業の海外移転により空洞化が引き起 こされているとの主張があるが、データでは 空洞化は起こっていないように思える。日本 の製造業全体の競争力の低下が引き起こし た利益の減少だ。まだ、競争力の高い日本製 3E+Sの実現に向けたエネルギーミックス 国 の 富 が 海 外 に 流 出 し て い る こ と。ま た、 この負担は国内には受益をもたらさず、 もと、原子力は 電を可能な限り低減させるという考えの 電の効率化を進め、それらにより原子力発 エネ、再生可能エネルギーの導入、火力発 ︵経済産業省資源エネルギー庁︶ 燃料費の増加は、結果として、電気料金の ルギーミックスの方向性を提示。実現に向 須山 照子 上昇を招いている。電気料金は、東日本大 けて取り組んでいく。 品は多くあり、その競争力をさらに高め世 東 日 本 大 震 災 か ら 5 年、日 本 の エ ネ ル 震災以降、燃料費の増加、再生可能エネル バランスのよい エネルギー実現にむけて ギー 事 情 は 大 き く 変 わった。貿 易 収 支、経 ギーの賦課金などにより、2014年度で 20 22 国で指名買いされる日本製品も多くあり、 一 部は品不足になっている。その製品の製造を 済収支も急速に悪化している。原子力発電 エネルギー自給率についても、東日本大 響が出ている。 震 災 直 前 は 2 割 弱 あ っ た が 現 在 約 6 %。 OECD︵経済協力開発機構︶ ヶ国中、下 くない状況。環境面でも、世界的に地球温 暖化の原因である温室効果ガスの排出抑 制が求められている中、我が国は、震災前 と 比 較 し て、温 室 効 果 ガ ス 排 出 量 は 増 加。 温室効果ガスの発生抑制についても、我が 国として、責任ある立場を世界に示してい く必要がある。 こ う し た 中、2 0 3 0 年 の﹁長 期 エ ネ ル ギー需給見通し︵エネルギーミックス︶﹂を ︶が大前提としな 策定した。安全性︵ Safety ︶、経 済 が ら、安 定 供 給︵ Energy Security ︶、環境 Economic Efficiency 効率性の向上︵ ︶をバランスよく達成す 適合︵ Environment るために具体的な目標を設定。徹底した省 % にするというエネ 日本国内で行う工場の新設も行われている。 の停止に伴う火力発電の焚き増しによる燃 3.6 ∼ 再生可能エネルギーは安定供給のためのコ % ストがかかる。電力自由化には、 ヨーロッパで %、産業用は 料 費 の 増 加 は、2 0 1 3 年 度 に 約 40 上昇している。企業の雇用、収益等にも影 は、家庭用の電気料金 起きているような寡占化のリスクもある。 日本 昨年2015年度に約 兆円という規模。 25 から2番目の低さ。安定供給面でも好まし 34 兆 円、 でも制度設計を考えることが今後の課題だ。 しかし、エネルギーのもたらすリスクばか りを見るのではなく、ベネフィットを考えて ベストな電力会社やエネルギーミックスを選 給率の向上、温暖化対策といった社会全体に 択すべきだ。そこには電気料金の安定化や自 与する大きなベネフィットがあるからだ。 2.0 界市場を獲得することが必要だ。例えば、外 主催者 説明
© Copyright 2024 ExpyDoc