発表概要 H28年度 熊本大学工学部マテリアル工学科「マテリアル工学

発表概要 H28年度 熊本大学工学部マテリアル工学科「マテリアル工学演習」
木拓也(135-t2706)
氏名(学籍番号)
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論文題目
Evaluation of zeolites synthesized from fly ash as potential adsorbents for
wastewater containing heavy metals
著者
WANG Chunfeng, LI Jiansheng, SUN Xia, WANG Lianjun, SUN Xiuyun
論文出典
Journal of Environmental Sciences 21(2009) 127-136
【緒言】
重金属イオンは、いくつかの工業廃水の中で最も重大な汚染物質の一つであることが知られている。金属
表面処理や鉱物処理産業によって生成される有害金属を天然水の中に排出する前に廃水から有毒な重金属イ
オンを効果的に除去する必要がある。
廃水から重金属イオンを除去する方法として、イオン交換法が適しており、経済的に実行可能な解決策の
一つとして、フライアッシュなどの安価な吸着剤の利用も排ガス浄化及び廃水からの有害金属、染料、およ
び有機物を除去するために広く試みられている。しかし、これらの場合では、フライアッシュは、依然とし
て低い吸着容量を示す。ゼオライトは、その構造的特徴および有益な特性により、イオン交換、分子ふるい
及び吸収における広範な用途が見出されてきた。ゼオライトへのフライアッシュの変換は、近年の廃棄物管
理の重要なテーマの一つとなっている。
しかし、重金属の回収と使用済み吸着剤の再生に関する研究はされていない。
そこで、本研究では、合成純粋ゼオライト(A型およびX型)における重金属イオンの除去性能を調査
し、影響因子を研究した。また、回収された残留フライアッシュにおける重金属イオンの除去性能を調査す
る試みも行った。産業応用に発展させるために、重金属イオンの回収及び吸着の再生についても調べた。
【実験方法】
未精製フライアッシュは塩酸溶液による酸洗浄法にて前処理を行った。純粋ゼオライトを二段階の方法で
フライアッシュから合成する。[1]まず、NaOH溶液と混合しSi成分の抽出を行う。その溶液をろ過し、
NaOH-NaAlO2溶液と混合して初期ゲルを作成する。続いて、初期ゲルをステンレス合金製オートクレーブを
用いて結晶化及びろ過後、蒸留水で洗浄し乾燥してゼオライトを粉末形態に保持した。また、残留フライアッ
シュについてもリサイクル処理を施しゼオライト粉末を作成した。試験には、比較のためこれらに加え、市
販のゼオライトも使用した。作製したゼオライトのキャラクタリゼーションにはXRDパターン及びSEM観
察、陽イオン交換容量(CEC)値を用いた。その後、これらのゼオライトを用いて二重金属イオン溶液を用い
た吸着試験を行った後、NaCl溶液を用いた重金属の回収及び吸着剤の再生を試みた。 【結果及び考察】
Fig.1にゼオライトA型及びX型のSEMによる形態素解析を示した。ゼオライトAは面取り縁キューブを形
成し、ゼオライトX型の形態は、八面体の粒子を示すことが観察された。
Fig.2によりゼオライトA型及びX型のCEC値は、それぞれ約38%及び35%増加し、合成前の酸洗浄工程が製
品のCEC値を改善するのに寄与することは明らかである。
Fig.3(a)は、残留フライアッシュにおける主要結晶相の石英とムライトをケイ酸ナトリウム及びアルミノケ
イ酸ナトリウムに変換したことで主な構成要素がケイ酸ナトリウムとアルミノケイ酸ナトリウムであったこ
とを示す融合残留フライアッシュのXRDパターンである。融合残留フライアッシュを水熱処理した後、
Fig.3(b)に示した主要な生産段階は単相及び高結晶性ゼオライトHSとして同定される。
これらの結果により、ゼオライトA型は、重金属イオンの廃水を精製するために使用できると期待され
る。 Fig.1 SEM images of synthetic Fig.2 Comparison of the CEC values Fig.3 XRD patterns of the residual fly ash after fused (a) and hydrothermal
pure-form zeolites. (a) zeolite A; of synthetic pure-form zeolites from (b) treatment.
(b) zeolite X.
raw and pretreated fly ash and the commercial grade zeolites.
【結論】
・ゼオライトA型はX型に比べて金属イオンを除去するのに効果的である
・全ての吸着剤は、Zn2+よりCu2+が高容量化と効果的な吸着を示す
・Cu2+をZn2+と比較して、3つの吸着剤の最大除去効率を得た
・金属イオンの回収は、5%NaCl溶液を用いて達成でき、再生工程の後にリサイクルできる
【参考文献】
[1] Yutaka Okada,Synthesis of Zeolite Using Fly Ash on Closed System,Japanese Society of Soil Science and Plant
Nutrition,62,(1991),1-6
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