■総合リハビリテーション学研究科 栄養支援系領域 小川 由紀子 准教授 1.主な研究内容について 主な研究としては、歯科疾患と全身性疾患の相互関与を解明することです。1990 年代後半から米国では Periodontal Medicine と いう研究医療体系が提唱されるようになり、口腔領域から派生する疾患の研究が急速に展開されています。しかし、人を、特に 日本人を対象とした十分な疫学的なエビデンスの蓄積は極めて少ない状況です。そこで、私は、歯科疾患、特に歯周病と全身性 疾患との関連性を疫学的な手法を用いて解析してきました。主な研究業績としては、歯周病による長期間の慢性炎症が白血球数, 特に好中球数の上昇を引き起こすことから虚血性心疾患の発症機序を証明したものや、8 年間の長期コホート研究により、喫煙習 慣、飲酒習慣、肥満が歯周病の発症要因であることを解明したものなどがあります。これらの結果より、喫煙、肥満などの既知 の虚血性心疾患発症危険因子に加えて、歯周病を介在した一連の発症経路を疫学的に見いだしました。 我が国では、歯周病は口腔に限局した疾患であるとの認識が強いため、予防や治療にまったく注意が払われず、成人の 80%以 上が歯周病に罹患している現状です。生活習慣病予防が叫ばれる昨今、歯周病と生活習慣病の関連性を検討することは、時宜に かなった研究課題であると考え、今後も引き続き、歯周病が人間におよぼす影響について介入的な手法も導入し、疫学的に解明 していきたいと思っています。 2.主な共同研究先 シャープ株式会社 3.今まで指導した学位論文名 <博士論文> 2012 年度『地域住民の食生活介入のための地域診断に関する研究』 <修士論文> 2012 年度: 『蒸し調理の違いが咀嚼に及ぼす影響』 2013 年度: 『食育ツールの違いによる園児の 3 色食品判別力の比較』 4.主な論文 ・Ezaki,H.,Ogawa,Y.,Yoshida,Y.,Average bolus volume for water and intra- and interindividual variation, Fitness and Nutrition,19(1),18-26, 2015. ・小川由紀子,北澤由梨,高尾理樹夫,五藤泰子,橋本和弘,矢澤彩香,吉田幸恵,今木雅英:酒粕パンを用いた環境栄養学的 観点からの生活習慣予防に関する研究 第 2 報官能試験による評価,日本健康体力栄養学会誌,15(2),20-25,2010 ・Ogawa, Y.,Takahashi, S.,Yazawa, A.,Watanabe, K.,Hayashi, Y.,Yoshida, Y.,Imaki, M.:Physical Activity and Prevalence of Periodontal Disease in Japanese Factory Workers,Japanese Journal of Health,Fitness and Nutrition,11(1),34-36,2006 ・小川由紀子,高橋節子,吉田幸恵,今木雅英,棚田成紀:事業所の男性従業員における歯周疾患と生活習慣要因および医学的 検査値に関する研究,日本生理人類学会誌,5(2),48-53,2000 ・Ogawa Y.,Imaki M.,Yoshida Y.,Shibakawa, M.,Tanada, S.:An Epidemiological Study on the Assocoation Between the Total Leukocyte and Neutrophil Conuts, and Risk Factors of Ischemic Heart Disease by Smoking Status in Japanese Factory Workers,Applied Human Science, 17(6),239-247,1998 5.現在の指導している大学院生数 なし 6.どのような大学院生の受け入れを希望するか? 1.自分の研究に真摯に取り組める人 2.回りの人たちとコミュニケーションを取れる人 7.社会人を受け入れる場合の要望など 1.週に 2 日位は大学院に来ることが可能な人 2.自分の職場で、研究の対象者が準備できること 35
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