比較的健常な一人暮らし高齢者の生活支 援と安全確保のための在宅支援システム 一人暮らし者のQOLを向上させる癒しシステム 同志社大学 理工学部 機械システム工学科 藤井 透 在宅者支援システム 【概要】 寡婦または鰥夫の精神的安定と寝たきりなど、消極的態度になることを 防ぐ目的で、故人の生前の顔あるいは上半身または全身および音声をコン ピュータ上で再現し、日々の生活に対して、規則的な活動ができるよう精神 的応援を与えるシステム。 本システムでは、寡婦または鰥夫と故人との間で簡単な会話ができるよう に、予め応答専用パソコンに会話応答プログラムも組み込んでおく。システ ム運営当初は、利用者の同意を得て、会話をモニターし、応答時間、応答 文の選択、修正を行う。表示装置は利用者の家庭の各部屋に設置し、利用 者の移動に応じ、赤外線センサーなどにより利用者の位置、姿勢を把握し、 表示装置を切り替える。利用者の応答が特定の間途切れたり、あるいは、 特別の文言、例えば「助けて」、「苦しい」などを受け取った場合は、センター に通報するシステムを備える。 なお、対話相手は利用者の希望に応じ、選択することができる。また、寡 婦または鰥夫以外でも利用者になれる。 背景 一人暮らし人口の増加ー 高齢者人口が総人口に占める割合の推移 (%) 30 現在わが国は... 75歳以上 65∼74歳 25 急激な少子高齢化 20 15 2050年には総人口の約40%が高齢者 10 5 0 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2003 2005 2015 2025 (年) 出典:平成15年度厚生労働白書 超高齢化社会の到来 一人暮らし高齢者数の推移(65歳以上人口100人当たり) (一人暮らし高齢者数/65才人口(100人)) 一人暮らし高齢者数の増加 高齢者の約6.3人に一人が 一人暮らし 出典:総務庁統計局「国勢調査報告」 背景(続き) 一人暮らし者の現状 ー 生きがい,心の支えの喪失 (孤独感) 日常の活動値, 人とのコミュニケーション頻度の減少 社会活動に対する意欲の低下 身体的,精神的老化が進行 日常生活の活動レベルが低下 老化が加速度的に進行 ホームヘルパーなどの手助け 身体面の補助 実態は 会話相手として精神面の補助? 常駐している訳ではないため,いずれも一時的なもの ヘルパー不在時 事故が生じる可能性 精神的なケアが不充分 目的 ホームヘルパーなどの手助けなく... ●精神的なケア ●自宅内での事故を未然に防止 ●孤独感の軽減 ●事故が発生した場合には迅速に対応 ●個人の生活の質の向上 (Quality of Life ) ●心身ともに充実した快適な生活 介助・介護を受ける時期の遅延 社会全体の活力向上 介護負担問題の緩和 3/7 目的 第3条(サービスの内容) 身体上の介護に関すること ア ホームヘルパーなどの手助けなく... 食事の介護、イ 排泄の介護、ウ 衣類着脱の介護 エ 入浴の介護、オ 身体の清拭及び洗髪 ●自宅内での事故を未然に防止 カ●精神的なケア 通院等の介助その他必要な身体の介護 家事に関すること ●孤独感の軽減 ●事故が発生した場合には迅速に対応 ア 調理 イ 衣類の洗濯及び補修 ウ 住居等の清掃及び整理整頓 エ●個人の生活の質の向上 生活必需品の買物 ●心身ともに充実した快適な生活 オ (Quality 関係機関等との連絡 of Life ) カ その他必要な家事 相談及び助言に関すること ア 生活、身上及び介護に関する相談助言 介助・介護を受ける時期の遅延 イ その他必要な相談及び助言 外出時における移動の介護 外出時の移動の介護等外出時の付添いに関すること 社会全体の活力向上 介護負担問題の緩和 鹿児島県熊毛郡上屋久町 ホームヘルパーの派遣に関する条例 在宅支援システム:基本概念 既存の技術を有機的に結合させたシステム構成により,下記2項目を実現し 対象者の精神的なケアと一人暮らし生活の安全確保を行う 一人暮らし者(対象者)の話し相手(応対者)をヴァーチャル的に創生, 対象者に対して激励と適切な行動指示を与える 規則正しい生活=健康維持 気力の充実,高揚 日常の活動レベルの上昇 自立心の向上 身体的,精神的健康の長期維持 ヴァーチャル応対者と対象者との対話記録,対象者の行動のセンシング(モニタリング) により対象者の状況をリアルタイムに把握 健康状態の把握 一人暮らし生活の安全確保 在宅支援システム(ヴァーチャル応対者) 応対者 ex.) 他界した配偶者 一人暮らし の対象者 朝ごはんはなぁ∼に 定型の会話パターンを用意 クライアント側 コンピュータ ディスプレイ コンピュータ 位置セ ンサー センター側 対象者へのインタビューに基づい 対象者へのインタビューに基づい て,反応など各種記録 て,反応など各種記録 ↓(分析) ↓(分析) 応対者の個性をデータベース化 応対者の個性をデータベース化 して蓄積 して蓄積 当初は応対者と対象者の会話をオペレータがモニタリング より滑らかに適切な会話が進むように会話パターン,応答動作を改良 対象者に対して激励と適切な行動支持 気力の充実,増進 在宅支援システム(行動のセンシング) インターネット センターと接続 い 今日は ね い天気 クライアント 側パソコン :対象者 :ディスプレイ :位置センサ ●ディスプレイは対象者の見えるところに複数配置 ●赤外線位置センサ等により,対象者の位置をリアルタイムに把握 ●ディスプレイに現れる応対者の目線は常に対象者の目線に合わせる 在宅支援システム(一人暮らし生活の安全確保) コンピュータ コンピュータ センサ ディスプレイ オハヨウ ギリギリー センター側 警告を発信 ●返答がない ●長時間動かない 人員を派遣 クライアント側 迅速な対応が可能 健康状態の把握 対象者の室内行動,音声返答を解析 異常の早期発見 対象者の必要とする情報,生活上の指示は応対者を通じ連絡 在宅支援システム(発展) コンピュータ コンピュータ 一人暮らし の対象者 都会の息子家族 センター側 ● プライバシーに関わ るとき,接続を切る インターネット クライアント側 弟夫婦 娘夫婦 遠方の家族 ・子供 ・孫 既存の最新技術の有効利用 1.画像生成(コンピュータゲーム・ソフト) 2.音声合成(同上。・・・・声の質を問わなければ、Windows 上でも利用ソフトあり。) 3.発声と表情の連携(同上。Free soft: Galatea project:6年 前の研究成果で、当面はこれを使います) 4.対話者の位置認識(既に、コンピュータゲームでハード・ ソフト実現)・・・・1カメラ方式、赤外線検知方式など。 5.インターネット網(光ファイバー)⇒ センターのコンピュー タだけで対応可。クライアント側にPC不要(メンテ楽に) 問題点 1.音声認識: ① 高齢者の場合、音声がはっきりしない場合が多い(ただ、 不特定多数を対象としないので、比較的認識のハードル は低いと考える)。 ② ひとり暮らしの方は、テレビなどを点けっ放しに ⇒ 雑音 が大きく、音声の認識を困難にする。 2.構文解析: 話者の返答、会話は突発的で、散発的なこ とが予想される。これらの構文は???(ただし、高齢者 は会派範囲が狭いと考えられるので、オペレータとの1週 間程度の対話である程度会話内容が分類可能と期待)。 3.実験をどうするか??? 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :在宅者支援システム 出願番号 :特願2003-290325 出願人 :学校法人同志社 発明者 :藤井 透 お問い合わせ先 同志社大学 リエゾンオフィス 産学連携コーディネーター 永田 和彦 TEL 0774-65-6223 FAX 0774-65-6773 e-mail [email protected]
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