2016 年 6 月 20 日 プレスリリース 機械系CAE市場に関する調査を実施(2016 年) 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて CAE 市場についての世界及び日本国内における調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 1 月~5 月 2.調査対象:CAE ベンダ 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリングを併用 <CAE とは> CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピュータにより製品の設計や開発工程を支援するという概念で あり、それを実現するためのツールとして、機械系システムの強度や流体における抵抗などの特性を解析対象と する機械系 CAE や、1DCAE などのモデルベース開発ツール、数値計算を支援する数値解析などその他の CAE がある。 本調査における機械系 CAE 市場とは、構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など、前者の機械 系 CAE を対象とし、事業者売上高ベースで算出した。 【調査結果サマリー】 2015 年の機械系 CAE 世界市場規模は前年比 6.9%増の 3,134 百万 US ドル 2015 年の機械系 CAE 世界市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比 6.9%増となる 3,134 百万 US ドルとなった。世界経済の減速をうけ、製造業の設備投資への意欲が弱まることから CAE 市場も 成長率は鈍化していくと見込む。但し、市場は中期的にみると安定的な成長を続け、2020 年の同世 界市場規模は 4,655 百万 US ドルになると予測する。 2015 年の機械系 CAE 国内市場規模は前年比 4.7%増の 672 億円 2015 年の機械系 CAE 国内市場規模(事業者売上高ベース)は前年比 4.7%増となる 672 億 32 百 万円となった。日本経済の動向も不透明感がでてきているが、製品開発期間の短縮など CAE への期 待は根強く、市場は安定的な成長を続け、2020 年の同市場規模は 918 億円になると予測する。 1DCAE など新たな支援ツールのニーズが高まり、CAE 市場にも変化の兆候 CAE の主流は、これまで強度や流体における抵抗などの特性を計算する構造解析や熱流体解析 などの機械系 CAE であった。一方で、モデルベース開発と呼ばれる手法が自動車の設計等の開発 現場で適用されるようになってきており、1DCAE といった新たな支援ツールのニーズが高まっている。 今後は、1DCAE と従来の機械系 CAE の連携は大きなテーマになってくるものと考える。 ◆ 資料体裁 資料名:「CAE 市場の実態と展望 2016」 発刊日:2016 年 5 月 31 日 体 裁:A4 判 289 頁 定 価:200,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 6 月 20 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. 機械系 CAE 市場概況 【世界市場】2015 年は前年比 6.9%増となる 3,134 百万 US ドル 2015 年の機械系 CAE 世界市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比 6.9%増となる 3,134 百万 US ドルとなった。これまで中国を筆頭に新興国が世界経済をけん引してきたが、2015 年以降は資源価 格の低迷や中国経済の成長率鈍化などが影響し、世界経済が減速しつつある。製造業の設備投資額 の影響を受けやすい CAE 市場も、成長率は鈍化していくと見込む。但し、市場は中期的にみると安定 的な成長を続け、2020 年の機械系 CAE 世界市場規模(同ベース)は 4,655 百万 US ドルになると予測 する。(図 1 参照) 【日本市場】2015 年は前年比 4.7%増となる 672 億円 2015 年の機械系 CAE 国内市場規模(事業者売上高ベース)は前年比 4.7%増となる 672 億 32 百万 円となった。2015 年までの数年間で、極端な円高から脱し、円安に転換したことが奏功し、輸出型製造 業の業績は好転している。世界経済の停滞感をうけ、日本経済の動向も不透明感がでてきているが、製 品開発期間の短縮など CAE への期待は根強く、機械系 CAE 市場は安定的な成長を続ける見通しであ る。今後も市場は成長し、2020 年の機械系 CAE 国内市場規模(同ベース)は 918 億円になると予測す る。(図 2 参照) 2. 注目すべき動向 2-1.IoT 時代を見据えた CAE の新たな動き CAE の主流は、これまで強度や流体における抵抗などの特性を計算する構造解析や熱流体解析な どである機械系 CAE であった。現在、モデルベース開発と呼ばれる手法が自動車の設計等の開発現場 で適用されるようになってきたことで、CAE にも新たな動きがでている。 モデルベース開発においては、機械や電機、電子、油圧、熱、制御など、多分野にまたがる複雑なシ ステムのモデリングが適用され、熱や運動などの物理現象と制御信号を統合的に取り扱う場面が増えて きている。それらを支援するツールとして、新たに 1DCAE が利用されるようになってきた。今後、1DCAE と、従来の機械系 CAE の連携は大きなテーマになってくるものと考える。 また、将来的に IoT(Internet of Things;モノのインターネット)が普及し、さまざまな機械類の稼働デー タなどが集められるようになれば、そのデータをもとに解析を行い、保守や製品開発に活かすような取組 みが進められる。CAE は IoT 時代に向けて、さらに大きな役割が期待される。 2-2.クラウドコンピューティングの活用は目前に 機械系 CAE をクラウドコンピューティング環境で利用することは、現時点ではあまり普及しているとは言 い難い。ユーザー側にはセキュリティの懸念、ベンダ側には従来のライセンス販売を主体とするビジネス モデルとの相性の悪さなどの要因がある。 しかしながら、クラウドベースの機械系 CAE アプリケーション活用事例も増えつつある。機械系 CAE については、開発段階の一時期に集中して利用されることが多いため、使いたいときに使った分だけ料 金を支払うことができるクラウドサービスとは、親和性が高いといえる。今後、ユーザー側での活用事例が 増えるとともに、機械系 CAE のクラウド環境における利用シーンは本格化するものと考える。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 6 月 20 日 プレスリリース 図 1. 機械系 CAE 世界市場規模推移・予測 (百万USドル) 120% 5,500 108.9% 5,000 106.9% 106.0% 108.3% 109.0% 109.0% 109.0% 4,655 4,500 機械系CAE市場規模 4,000 前年比 80% 3,321 2,932 100% 3,921 3,598 3,500 3,000 4,272 3,134 2,692 60% 2,500 2,000 40% 1,500 1,000 20% 500 0% 0 2013年 2014年 2015年 2016年 (予測) 2017年 (予測) 2018年 (予測) 2019年 (予測) 2020年 (予測) 矢野経済研究所推計 注 1:事業者売上高ベース 注 2:2016 年以降は予測値 図 2. 機械系 CAE 国内市場規模推移・予測 (百万円) 110,000 104.7% 104.7% 107.1% 107.8% 106.7% 105.6% 105.0% 100,000 90,000 87,400 機械系CAE市場規模 77,600 80% 72,000 70,000 61,325 64,197 100% 82,800 前年比 80,000 91,800 67,232 60,000 60% 50,000 40,000 40% 30,000 20,000 20% 10,000 0 0% 2013年 2014年 2015年 2016年 (予測) 2017年 (予測) 2018年 (予測) 2019年 (予測) 2020年 (予測) 矢野経済研究所推計 注 3:事業者売上高ベース 注 4:2016 年以降は予測値 注 5:国内市場は、機械系 CAE 世界市場規模の内数 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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