健康保険制度の安定した基盤を生み出す~保険料の「収納」業務~ 国民健康保険課 保険料係 胡中 裕紀 日本では、個々人の病院の利用度に関わらず、皆が毎月こつこつと保険料を払 うことで、互いの病院代を負担し合おうという国民皆保険制度が敷かれています。 そのため、保険料を支払うことは、制度の土台となる大切なことです。 自営業や退職後の方などを対象とした国民健康保険においては、保険料を払わ ない滞納者が国民健康保険制度の公平性を損なう問題となっています。 図 1.国民健康保険制度 0 人、0 円を目指す 収納の仕事は、支払いのない保険料を回収し、安定した医療費の給付を行 うための基盤をつくることです。 国民健康保険料を払っている割合を示した指標に、 「収納率」と呼ばれる ものがあります。この「収納率」を 100%に近づけていくこと、すなわち保 険料を払っていない人を 0 人に、滞納金額を 0 円にすることが目標です。 図 2.現在の収納率 市民と接するなかで学ぶ 業務では、払えない方と直接電話や窓口で話をする機会が多いのが特徴です。 窓口は平均 1 日 70 件程度、電話は 1 日 120 件ほどにのぼります。 ①お金にまつわる話や人生体験のあれこれ ・加古川市にも経済格差がある ・同じ「払えない」でも色々な背景がある 今後の市役所人生において役立つ ②自分が相手に与える影響力 加入者全員に… 口座振替、還付事務 払っていない方に… 督促状・催告書の送付 支払が厳しい方に… 払ってもらうよう交渉する(納付相談) それでも支払のない方に… 財産調査・差押*・執行停止* 図 3.具体的な仕事内容 配属当初の私 「払えなかったら仕方ない」 *差 押 ・・・滞納者の財産を本人の意思関係 なく強制的に換価し、保険料に充てること。 *執行停止・・・滞納者の財産を調査し、換価す るものが何もないと判断された場合に、滞納し ている保険料の請求を猶予すること。 大きな権利・義務 ある悲しい経験 ・自分の行動が相手の将来に影響すると実感 ・払わないリスクの説明を大切にする 今の私 「払ってもらわねば!」 明確な責任感や使命感を持つようになる ③数をこなして向上するスキル ・瞬時の判断力や理解力、柔軟さ、冷静さ ・積極的に対応を行い、数をこなす ・先輩の対応の良いところを盗む きちんと保険料を払ってくれた時に成長を実感する 結果が数字(収納率)に直結する→次回のやる気へ 新たな局面を迎えた 3 年目! ★賦課業務(保険料の計算・通知)へ ・より正確さを重視した業務 ・“横のつながり”を意識 道路の安全を考え続ける仕事 道路保全課 中里 信 道路保全課では毎日通る道路が毎日安全であるために、市民の苦情対応から大きな橋梁補修工事ま で多岐にわたる業務を行っている。補修工事には明確な技術基準がないため、現場に合わせた最適な 解決法をその都度思案する必要がある。ルーティンにならない仕事にやりがいを感じる。 補修工事の実態 総延長約 1109km(≒加古川~青森 間)ある市道 市民視点 の維持管理、補修を行っている。管理対象は道 利便性・快適性 路上の水たまりや街路樹の落ち葉から橋の工事 「早く綺麗に」 まで多岐にわたる。 工事の内容を大きく2つに分けると以下のよ うになる。 ① 能動的な補修事業 市内に 863 ある橋梁の点検・補修計画の 作成、補修工事の実施 技術者視点 職員視点 安全性・合理性 公平性・経済性 「最小規模で 長持ちするように」 ② 受動的な補修事業 町内会からの要望に応えての補修工事 「安く最大限の 効果を」 図 2 それぞれの立場から求めるもの 最適を考え続ける仕事 初めての現場 私が初めて担当した現場は志方町大澤の市道 の舗装工事だった。現場は亀甲上のひびわれや わだち掘れがどこまでも続く人通りのない山道 だった。 新設の工事とは異なり、補修工事には明確な 技術基準がない。そのため、現場に合わせた最 適を考える必要がある。 より良い工事を行うためには前述のような 様々な視点を持つ以外にも考慮すべき点がある。 例えば車や自転車・歩行者の交通量、道の幅な どが挙げられる。現場の状況は市内でも様々で あり、常に見落としている要素はないか客観的 に考え続けることもしなければならない。そう することで初めて、実際に利用する市民の方に 喜んでもらえる仕事ができると思う。 答えが一つではないからこそ、思考を停止さ せずに常に答えを探し求める仕事にやりがいを 図 1 工事前のひび割れの多い道路 工事を行うために、現場で立会いをした際は、 市民と施工業者、職員で工事の方法や範囲につ いて議論になり、それぞれの立場から求めるも のが違うことと、それらを調整することの難し さを痛感した。 感じる。 加古川の生きる自然を守る責任 農林水産課 北口貴博 農林水産課は3つの係に分かれており、私の所属する振興係は広く農林水産業の振興を行う係となっ ております。アライグマの駆除、アサリの放流、森林整備、伝染病予防のための牛の予防注射・・・等、 農林水産課振興係の幅広い仕事の魅力を紹介します。 ●業務内容から生まれるやりがい 林業振興事業 アライグマ、ヌートリア、イノシシ―。動物園 水産振興事業 近年の瀬戸内海は汚れ、魚などにとって住みに で見ればかわいい生き物たちですが、実は田畑を くい環境になっています。環境の改善のために海 荒らす“有害鳥獣” 。入庁2年目、農林水産課振興 をきれいにする効果があるといわれているアサリ 係の私はその駆除を担当しています。最初は幅広 の放流等、様々な事業を実施しています。漁業協 い市役所の仕事に驚かされました。しかし、回数 同組合の方と一緒に、船に乗り仕事をすることが を重ねるうちに有害鳥獣による被害の大きさを知 多く、船酔いをする私にとってつらい日もありま り、深刻な問題だと実感しました。今は農家の皆 すが、漁業関係者の方の要望に応えることができ さんに感謝され、やりがいのある大切な仕事だと たときに仕事のやりがいを感じることができます。 思っています。 (図2)藻場の設置イメージ図 【取組事例】 ・アサリの放流(約2t) (図1)年度別捕獲数 ・マコガレイ、ヒラメの稚魚の放流 ・藻場の設置等 【取組事例】 ・檻の購入・設置 ・鳥獣被害対策研修 ・緊急出動等 ●責任から生まれるやりがい 振興係では、1つの業務を1人もしくは2人で 行います。そのため、加古川の林業、水産業、畜 産業は私が担っていると考えると責任感を強く持 つことができます。また、やる気次第で、業務が 大きく変化することも魅力です。一方で、自分が だらしなければ、担当業務の方面の方々が不利益 を被ってしまうため、常により良いサービスを提 供できるよう努力しているところであります。 安心して子育てできるまちづくり ~保健師としての仕事の魅力~ 育児保健課 原 珠希 保健師は、地域の方々の健康づくりのお手伝いをしています。対象は、乳幼児や妊産婦、成人、高齢者、 障害者、難病患者、感染症患者など幅広く、保健指導や健康教育、地区活動などを通して、疾病予防や健康 増進に取り組んでいます。 「住み慣れた地域で、その人らしく生活すること」を大事に活動しています。 ◆ 地域での子育てをサポート ◆ 育児相談を通して 加古川市では、年間約 2400 人の新しい命が誕 生しています。 (1)「相談に乗ってもらえて楽になった」 核家族化や尐子化に伴い、それまで小さな子ど 私の所属する育児保健課では、事務職 4 名と保 もに触れたことがない方や、周囲に支援者がおら 健師 14 名が所属しており、子どもの健やかな成 ず孤立している方、育児不安を抱える方がたくさ 長と、安心して子育てができる環境づくりを目標 んいます。支援を行う中で、相手から感謝の言葉 に、妊産婦や乳幼児、その家族を対象に様々な事 を頂けると、大変嬉しく、やりがいを感じます。 業を行っています。 (2)様々な人生・生き方に触れる 育児相談では、育児の面だけでなく、家庭の状 <業務内容> 況や生育歴等を把握することも重要です。様々な ・乳幼児健康診査 人生に触れ、関わることができるところに保健師 ・育児相談 の面白みを感じます。 ・母子健康手帳の交付 (3)訪問を通して、家庭全体・地域全体が ・乳幼児等の予防接種 見えてくる ・妊婦健康診査費の助成 家庭訪問では、電話等では見えないその方の普 ・不妊・不育症治療費助成 など 段の様子や家庭の状況を実際に目にすることが できます。また各家庭や地域に出向くことで、地 <事業の流れ> 妊 娠 域全体の姿や課題が見えてくることもあります。 相談は単発で終了することも多々あります。し 妊婦訪問 出 産 乳 児 ◆より安心して子育てできるまちへ 母子健康手帳交付 かし限られた時間の中であっても、相手と信頼関 家庭訪問 電話・来庁相談 新生児訪問 両親学級 こんにちは赤ちゃん訪問 (全戸訪問) 親子教室 発達相談 幼 児 乳幼児健康診査 など 係を築くことで、その後困ったときに、思い出し てもらえるような存在になりたいと考えていま す。 また、個別での支援を通して見えてくる地域全 体の課題やニーズを施策に反映し、地域の方々が 健康に過ごし、より安心して子育てができるまち (4 か月・1 歳 6 か月・3 歳) づくりに取り組んでいきたいです。
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