金価格の動向

2016年6月23日
(No.2,492)
〈マーケットレポートNo.4,871〉
金価格の動向
安全資産として見直し機運が強まる
年初から金価格は上昇
【金価格とドル円レート】
(ドル/トロイオンス)
2,000
(円/ドル)
安全資産として金が選好される
70
80
■金価格は11、12年のピークの後、下落基調で推
移してきましたが、今年に入り上昇に転じています。
6月22日の価格は、年初来で19.3%の上昇となっ
ています。その要因は、米国利上げ期待の後退を
受けて、ドル安が進行したことと、年初に発生した金
融市場の不安定さから、金の安全資産としての見
直し機運が高まったためと思われます。
1,600
■また、直近ではBrexit(英国のEUからの離脱)に
対する懸念が高まったことも、金価格上昇の一因と
なっています。
(注)データは2006年1月~2016年6月(月次)。
2016年6月は22日のデータ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
円ベースの金価格は横ばい
ドルベースの上昇を円高が相殺
■ただし、円ベースの金価格は右のグラフで見るように、
今年に入ってからは、ボックス圏での推移となっており、
年初からの上昇率は4%弱にとどまっています。ドル
ベースでの金価格の上昇を、円高の進行が相殺し
ているためです。これは、外国為替市場で、円が金
と同様に安全資産として選好されているためです。
90
1,200
100
ドル安
110
800
120
ドル高
400
金価格(左目盛)
ドル円レート(右軸、逆目盛)
0
06/1
08/1
10/1
(千円/トロイオンス)
180.0
12/1
14/1
130
140
16/1
(年/月)
【円ベースの金価格】
160.0
140.0
120.0
100.0
80.0
60.0
40.0
06/1
08/1
10/1
12/1
14/1
16/1 (年/月)
(注)データは2006年1月~2016年6月(月次)。 2016年6月は22日
のデータ。金価格に月末の為替レートで円価格に換算。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
金価格は市場心理のバロメーター
■ 英 国 の EU 離 脱 か 残 留 か を 決 め る 国 民 投 票 が ■英国の国民投票後の金相場では、米国の長期金
23日に行われます。金価格は、離脱となれば今後
利や米ドルの動き、すなわち米国の金融政策や地
の金融市場の混乱などを見越して上昇、残留とな
政学的リスクなど、今後の金融市場に影響を及ぼ
ればリスク回避が修正され一時的に調整、といった
す事象に焦点があたると思われます。不透明感が
可能性があります。ただ、残留が選択された場合も、 強まれば、金価格が堅調に推移する可能性が高ま
離脱派の主張に一定の配慮が必要であり、英国や
ると考えられます。金価格の動向は、金融市場に対
EUに対する懸念は残ると思われます。金融市場へ
する投資家の心理状態を推し量る参考になります。
の不透明感を完全に解消することは難しく、引き続
いわば、「市場心理のバロメーター」と考えられ、金
き安全資産としての金が注目されると思われます。
価格の動向が注目されます。
2016年6月17日 「Brexit」 残留か離脱か(欧州)
2016年6月16日 米国の金融政策(2016年6月)政策金利は据え置き:低金利は長期化へ
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