6月24日(金)

平成28年度 大阪大学
大学院 博士課程講義
ナノテクキャリアアップ特論
ナノテクが拓く新しい電子セラミックスの世界
㈱村田製作所 鴻池健弘
2016年6月24日(金)5時限目(16:35~18:05)
大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料
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講義内容
1.講師と村田製作所の紹介
2.ファインセラミックスについて
3.日本が生んだ電子セラミックス
4.誘電体について
5.チタン酸バリウム BaTiO3
6.積層セラミックコンデンサ
7.ナノスケールの誘電体
8.化学溶液堆積法(CSD法)
9. BaTiO3 マイクロ構造体の形成
10.(Ba,Sr)TiO3 薄膜の形成
11. BaTiO3 / SrTiO3 超格子膜の形成
12.配向方位を制御したBaTiO3 薄膜
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講師自己紹介
鴻池 健弘(こうのいけ
たけひろ)
株式会社 村田製作所 勤務
1981年 村田製作所入社
以来35年間電子部品用セラミック
材料の開発・製造に従事
関西学院大学 理学部物理学科卒
ジョージア工科大学 セラミックエンジニアリング修士課程修了
(株)村田製作所 執行役員 新規技術センター センター長
同志社大学理工学部 非常勤講師
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村田製作所の紹介
創業
売上高
営業利益
グループ企業
従業員数
1944年10月
1兆2108億円
本社:京都府 長岡京市
JR長岡京駅
から徒歩1分
村田製作所
2754億円
105社(国内31社、海外74社)
長岡京駅
54,674名
(国内23,973名、海外30,701名)
※売上高・営業利益は、2016年3月期決算
従業員数は2016年3月31日時点のものです
グループ企業数は2015年3月31日時点のものです
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市場とアプリケーション
ムラタの技術が、
エレクトロニクスの可
能性を押し広げます
•携帯電話やコンピュータ、
AV機器、家電製品などのエ
レクトロニクスの中心分野
から、
•自動車やヘルスケア、
環境・エネルギーなどの
新領域まで
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暮らしに安心、安全、便利を・・・
携帯電話
パソコン&周辺機器
• スマートフォン
• モバイルルータ
ー
• ノートPC
• タブレットPC
• プリンタ
自動車
テレビ&家電製品
•
•
•
•
薄型テレビ
デジタルカメラ
冷蔵庫
エアコン
ヘルスケア
• 安全システム
• 電気自動車
• インフォテイメント
環境・エネルギー
• 各種医療機器
• ライフログ
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• HEMS
• BEMS
• スマートメーター
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売上高の推移
(億円)
13,000
2015年度
売上高
1兆2,108億円
前年比
116.0%
12,000
11,000
10,000
9,000
2016年度
(予想)
1兆2,250億円
前年比
101.2%
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(予想) ※
※ 2016年4月28日公表値
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地域別売上高
( 億円)
13,000
南北アメリカ
8%
12,000
11%
▲4.1%
11,000
7%
ヨーロッパ
7%
10,000
8%
9,000
8%
▲0.5%
中華圏
8%
24.9%
アジア・その他
7%
8,000
18%
8%
7,000
6%
6,000
5,000
9%
7%
日本
62%
10%
58%
- 前年比伸び率
11%
55%
4,000
50%
55%
3,000
8%
12.9%
2,000
1,000
0
18%
14%
2011
18%
21%
18%
11%
9%
8%
2012
2013
2014
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18%
▲3.8%
7%
2015
2016
(予想) ※
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※ 2016年4月28日公表値
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主要製品
ラインアップ
コンデンサ
インダクタ (コイル)
ノイズ対策部品
EMI除去フィルタ
抵抗器
サーミスタ
センサ
タイミング
デバイス
発音部品
電源
マイクロメカトロ
RFID用デバイス
マッチングデバイス
RF コンポーネント
RF モジュール
ワイヤレス接続
プラットフォーム
超低電力短距離 RF-IC
フィルタ
回路基板
イオナイザモジュール
オゾナイザモジュール
フロントエンド
モジュール
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村田製作所の主要製品 世界シェア&主要製品所要数
製品名
世界
シェア
(%)
製品所要数
スマート ノートPC タブレッ 自動車 デジタル スマート
フォン
トPC
TV
ウオッチ
1000
600 ~3000
600
EMI除去フィルタ
35
90
200
50
表面波フィルタ
50
2~20
コネクティビティモジュール
60
1
1
チップインダクタ
30
30
200 100
30
95
ショックセンサ
1~3
4
75
セラミック発振子
15~20
多層デバイス
5
2
2
多層回路基板
1~2
これらの世界トップシェア商品群を持っています
積層セラミックコンデンサ
40
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750
100
4~20
1
200
800
60
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200
20
1
20
1
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電子セラミックスの性質と村田製作所の主要製品
圧電体
誘電体
コンデンサ
電気を蓄える働き
誘電体基板
LCフィルタ
高周波モジュール
電気
機械
エネルギーの
相互変換の働き
発振子
セラミックフィルタ
ショックセンサ
超音波センサ
ブザー、スピーカ
半導体
導体と絶縁体の
中間、 電気を制御
PTCサーミスタ
NTCサーミスタ
E M I 除去フィルタ
コイル
温度変化を電気に
赤外線センサ
変換する働き
絶縁体
磁性体
磁気エネルギーを
蓄える働き
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焦電体
電気を通さない 絶縁体基板
多層回路基板
働き
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村田製作所のポリシー
よい電子機器は よい電子部品から、
よい電子部品は よい材料から。
研究開発への投資
材料からの一貫生産
設備・原料の内作
焼成
原料
完成
成形
加工
評価・分析
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六古窯とファインセラミックス
六古窯
瀬戸焼:愛知県瀬戸市
常滑焼:愛知県常滑市
越前焼:福井県丹生郡越前町
信楽焼:滋賀県甲賀市
丹波立杭焼:兵庫県篠山市
備前焼:岡山県備前市伊部
名古屋:
ノリタケ
日本ガイシ
日本特殊陶業
越前焼
福井村田製作所
清水焼
丹波立杭焼
瀬戸焼
信楽焼
常滑焼
備前焼
岡山村田製作所
京都:
村田製作所
京セラ
尾張旭:
MARUWA
地図データ: ©Google,ZENRIN
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Slide
クラシックセラミックスから電子セラミックスへ
清水焼
セラミックス
天然の原料
食器、花器、タイルなど
クラシックセラミックス
伝統的な製法
登り窯
ねじ
包丁
ファインセラミックス
タービンローター
構造材料
高度に制御
された工程
機能材料
電子セラミックス
化学的に精製
された原料
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各種電子部品
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単結晶とセラミックス(=多結晶)
単結晶
1つの固体が
1個の結晶
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セラミックス(多結晶)
グレイン
(粒子)
お城の石垣
粒界
結晶同士の境い目
これが1個の結晶
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日本が生んだ電子セラミックスの歴史
1930年 加藤、武井 が亜鉛フェライト ZnFe2O4 を発見
1933年 加藤、武井 が銅亜鉛フェライト(Cu,Zn)Fe2O4を発明
1936年 東京電気化学(現TDK)が(Cu,Zn)Fe2O4を工業化
1944年 小川、和久 がBaTiO3を発見
(日本、米国、ソ連でほぼ同時期に、独立で発見される)
1950年
白根、沢口 がPZTを発見
(残念ながら圧電性は測定されなかった)
1951年
1954年
村田製作所がBaTiO3をコンデンサに応用、工業化
ヤッフェ(米)がPZTの圧電性を発見
(1955年ヤッフェが所属するクレバイト社が PZTの特許を取得)
1962年 村田製作所がPZTを用いた圧電フィルタを開発
1963年 松下電器が PZT+Pb(Mg,Nb)O3「PCM圧電磁器」を開発
1967年 松岡(松下電器)がZnOバリスタ「ZNR ®」を開発
現 Panasonic
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日本生まれの電子セラミックス
材料
(通称)
チタン酸バリウム
(チタバリ)
PZT
(ピージーティー)
スピネルフェライト
(フェライト)
化学式
BaTiO3
Pb(Zr,Ti)O3
MFe2O4
MはNi,Zn,Mn
などの2価イオン
酸化亜鉛バリスタ
(Z N R®)
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ZnO
分類
特徴的な性質
強誘電体
電気を蓄える
半導体
電流をコントロール
圧電体
電気で伸び縮み
焦電体
温度変化を電気に変換
磁性体
磁気を蓄える
半導体
異常電圧を吸収
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誘電分極の種類とモデル図
界面
- + + - + -+
++ - + - +- - - +
+ -+ - -
-
+ -+ - +
+ - +- +
+ - - +
+
+ + -+
+ - +
+ -- +
E
+
+
+
+
+
E(電界)=0
--
++
--
--
++
--
++
++
--
++
--
--
++
--
++
E(電界)=0
電界
① 界面分極
++
有極性分子
++ --
--
++ --
--
E(電界)=0
③ イオン分極
++
++ --
++ --
E
電界
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電界
② 配向分極
++ --
++ --
永久双極子
(双極子モーメント)
E
-
+
+
++
E(電界)=0
④ 電子分極
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E
電界
Slide 17/72
誘電分極メカニズムと誘電率の周波数依存性
光の周波数では
比誘電率は
屈折率の二乗
n = √εr ・μr
光
比
誘
電
n : 屈折率
εr: 比誘電率
μr:比透磁率
(通常 μr = 1 )
率
εr
可視光
(εr=1)
超低周波
~103Hz
周波数
~1013Hz
~1016Hz
~109Hz
(~マイクロ波)(~遠赤外) (~紫外)
界面分極
配向分極
(空間電荷分極)
荷電粒子が、ある
距離だけ移動して
界面(または特定
の空間)にたまる
イオン分極
永久双極子が
配向する
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電子分極
正負のイオンが
相対的に変位
する
原子核と電子雲
が相対的に変位
する
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誘電体・強誘電体
誘電体 ( =物質としては「絶縁体」と同じ )
絶縁体 かつ 電界下での 誘電分極 という観点で
議論される物質
電荷が平衡位置からわずかにずれる
→
誘電分極
誘電体の中には
外部電界が作用してない場合でも
電気分極 を生じている ものがある
自発分極
+
自発分極を持つ誘電体の中には、
外部電界を自発分極と逆向きに印加したとき
自発分極の向きを逆転できるものがある。
=
強誘電体
-
永久双極子
常誘電体
自発分極なし
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正方晶と立方晶のBaTiO3
結晶構造=ペロブスカイト構造
4+
Ti
4+
Ti
が
動ける
室温
正方晶
120℃以上
キュリー温度を超えると
強誘電体
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立方晶
常誘電体
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BaTiO3 の相転移と比誘電率の温度特性
菱面体晶
斜方晶
立方晶
正方晶
BaTiO3 +添加物
純粋なBaTiO3
キュリー温度
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BaTiO3 のドメイン(分域)
透過型電子顕微鏡 ( TEM ) による観察
コア・シェル構造/ドメイン構造が見えます
シェル
コア
グレイン
(結晶粒)
ドメイン (分域)
永久双極子
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Slide 22/72
積層セラミックコンデンサの内部構造
BaTiO3 を主成分
外部電極
(Cu,Ni, Snなど)
とするセラミックス
内部電極構造
研磨断面写真
内部電極 (Ni )
昔はPd(パラジウム)、Pd-Ag などが
主流でしたが、今はNiが主流です。
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0.5mm
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積層セラミックコンデンサの誘電体厚さ
誘電体セラミックスの厚さは1μm以下!!
0.5μmも実用化済み
参考: 人間の赤血球 8μm
大腸菌 1~2μm
インフルエンザウイルス 0.1μm
白いところが誘電体セラミックス、
黒いところは 電極部分です。
15年前 3μm
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5年前 1μm
現在 0.5μm
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Slide 24/72
積層セラミックコンデンサの小型化
0.25mm×0.125mm
直径0.5mm
のシャープ
ペンシルの芯
(高さ0.125mm) の
積層セラミックコンデンサ
の開発に成功
2012年9月5日発表(村田製作所)
0.25mm×0.125mm
2.0mm×1.2mm
0.6mm×0.3mm
1.6mm×0.8mm
1.0mm×0.5mm
0.4mm×0.2mm
0.25mm×0.125mm
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Slide 25/72
積層セラミックコンデンサ搭載状況
車には1000~3000個
スマートフォンには
約750個
液晶TVには
約600個
積層セラミック
コンデンサ
ゲーム機には
約300個
タブレットPCには
約600個
ノートパソコンには
約800個
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デジカメには
約300個
スマートウオッチには約200個
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Slide 26/72
より薄い誘電体を作るプロセス
スクリーン印刷
積層セラミックコンデンサ
で用いているプロセス
シート成形
スプレーコート
スピンコート
スパッタ
MOCVD( Metal Organic Chemical Vapor Deposition )
PLD( Pulsed Laser Deposition )
MBE( Molecular Beam Epitaxy )
1nm
10nm
100nm
1μm
10μm
100μm
誘電体の厚み
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Slide 27/72
ナノ粒子作製 ブレークダウンとビルドアップ
①ブレークダウン法
原料粉末
(例:粒径2μm)
粉砕
粉砕後
(例:粒径100nm)
硬いセラミックス製の球
(粉砕メディア)と一緒に
回転させて、粉砕する
ボールミル
②ビルドアップ法
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Slide 28/72
ナノスケールのセラミックス形成方法の例
プロセス
ウエット
プロセス
CSD
Chemical
Solution
Deposition
使用する原料
化学溶液
有機金属溶液
ゾルゲル
マイクロエマルジョン
・・・など
ガス
ドライ
有機金属ガス
・・・など
プラズマ
イオン化した原子
・・・など
プロセス
原子・分子
・・・など
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膜の形成方法
電気泳動
スピンコート
ディップコート
インクジェット
・・・など
CVD(Chemical Vapor Deposition)
ALD(Atomic Layer Deposition)
・・・など
スパッタ
イオンプレーティング
・・・など
MBE(Molecular Beam Epitaxy)
真空蒸着
・・・など
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Slide 29/72
化学溶液堆積法(CSD法)
化学溶液
(CSD solution)
ゾルゲル液
または
有機金属溶液
①
Chemical Solution Deposition
①
②
コート方法
T. Hosokura, A. Ando, and T. Konoike,
RSC Adv., 5, 97563-97567 (2015)
電気泳動
熱処理
または
スピンコート
結晶化薄膜
堆積薄膜
または
③ ディップコート
③
②
電気泳動法
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スピンコート法
ディップコート法
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Slide 30/72
BaTiO3 マイクロ構造体の形成
化学溶液
(CSD solution)
ゾルゲル液
または
有機金属溶液
①
②
③
コート方法
電気泳動
熱処理
または
堆積薄膜
スピンコート
結晶化薄膜
または
ディップコート
ゾルゲル法 + 電気泳動法 + 電子線描画法 を用いて
チタン酸バリウム(BaTiO3)マイクロ構造体を形成する
→ フォトニック結晶: 屈折率の異なる複数の透明媒質からなる周期構造により
実現される光の伝播を制御する構造体
10mm
5mm
例1) 2-D フォトニック結晶(Si)
例2 ) 3-D フォトニック結晶(Si)
Appl. Phys. Lett., Vol. 75, 21,3277 1999
A.Birner, et al., Mater. Sci. Semi. Proc. 3, 487(2000)
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Slide 31/72
BaTiO3 のマイクロ構造体作製法の検討
チタン酸バリウム(BaTiO3)の作製法
→数nm径の超微粒子が必要
・高濃度ゾルーゲル法
(粒径10nm程度の単分散溶液が作製可能)
微細な規則構造の作製法
→200nm径の微細加工が必要
・電子線描画法で微細な規則構造の型を作る
(数nmレベルのサイズで加工が可能)
モールドへのキャスティング方法
→緻密で均質な充填が必要
・ゾルの電気泳動
(緻密な膜形成が可能)
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ゾルゲル法 と
電気泳動法 と
電子線描画法
を組み合わせて
BaTiO3マイクロ
構造体を形成
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Slide 32/72
電気泳動用のBaTiO3ゾル粒子溶液作製方法
Ba(OC2H5) 2
Ti(O-i-C3H7)4
1.1mol/l
前駆体溶液
-20℃以下
CH3OC2H4OH(2-MOE)
CH3OH (体積比3:2)
(グローブボックス内で調整 in N2)
加水分解
H2O, CH3OC2H4OH (体積比1:1)
H2O/Ba = 7.0 (モル比)
BT ゾル溶液
電気泳動用BTゾル溶液
2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)添加
による表面電位の改質
電気泳動用に表面電位を改質したBTゾル溶液が得られる
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Slide 33/72
BaTiO3ゾル粒子の電気泳動方法
N2雰囲気
電気泳動
・N2封入
・-20℃以下
陽極
BaTiO3ゾル
SUSワイヤー
電極間距離1cm
陰極
Pt/Ti/SiO2/Si基板
BaTiO3の前駆体溶液
正の電荷を持ったゾル粒子が陰極に析出する
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Slide 34/72
ゾルの電気泳動方法によるキャスティングプロセス
1,スピンコートでレジストを塗布
Pt / Ti / SiO2 / Si 基板
2,電子線描画によるモールド作製
1μm
Pt / Ti / SiO2 / Si 基板
電子線描画法で作製したモールド(鋳型)
3, 電気泳動によるBaTiO3ゲルの
キャスティング(150℃熱処理)
Pt / Ti / SiO2 / Si 基板
4,レジストの剥離
Pt / Ti / SiO2 / Si 基板
形成したマイクロ構造体
電気泳動の陰極基板を微細構造のモールドにすることでマイクロ構造体が形成できる
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Slide 35/72
作製したマイクロ構造体の光学特性の測定
・二次元三角格子配列
・a=450nm, r=140nm
M
K
M
G
G
500nm
可視光領域の反射強度測定模式図
ハロゲン光源
偏光子
対物レンズ
G → M
x40
フォトニック結晶
スペクトルアナライザ
Appl. Phys. Lett., Vol. 75, 21,3277 1999
ΓM方向での光の反射を測定して構造に起因する反射スペクトルを確認する
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可視光域の反射測定結果
解析ソフト MPB (MIT Photonic Bands)による計算値と実測値の比較
TMモード
反射強度(a.u.)
反射強度(a.u.)
1.2
1.23
1.2
1.2
1
1.03
1
1
0.8
0.83
0.8
0.8
0.6
0.63
0.6
0.6
0.4
0.43
0.4
0.4
0.2
0.23
0.2
0.2
0
規格化周波数(a/r)
規格化周波数(a/r)
TEモード
0
0.03
G
1
M
6
計算値
-0.1
1.1
実測値
0
1
G
6
M
-0.1
計算値
フォトニックバンドギャップ
1.1
実測値
計算値で予測される位置にフォトニックバンドギャップに起因する
反射ピークを確認した
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格子間隔を変化させた反射測定結果
格子間隔を450nm, 500nm, 550nmにして作製した試料の反射測定結果
TE格子間隔450nm
反射強度(a.u.)
TE格子間隔500nm
500
TE格子間隔550nm
600
700
800
900
1000
1100
1200
波長(nm)
格子間距離を変化させることで反射ピーク位置を制御できる
→ 反射や透過させたい光の波長をコントロールできるようになる
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チタン酸バリウムマイクロ構造体の形成のまとめ
・電子線描画法とゾルゲル法と電気泳動法を組み合わせて
BaTiO3マイクロ構造体が形成できる
・作製したBaTiO3マイクロ構造体からフォトニックバンドギャップ
に起因する反射ピークを確認した
⇒ 電子線描画法とBTゾル粒子の電気泳動法を組み合わせて
BaTiO3マイクロ構造体薄膜を形成することで新規フォトニック
結晶が形成できる
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(Ba,Sr)TiO3 (BST)薄膜の形成
化学溶液
(CSD solution)
ゾルゲル液
または
有機金属溶液
①
②
③
コート方法
電気泳動
熱処理
または
スピンコート
堆積薄膜
結晶化薄膜
または
ディップコート
有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて
チタン酸バリウムストロンチウム(Ba,Sr)TiO3 薄膜を形成する
→ スピンコートによる薄膜微細構造制御と
その電気特性
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(Ba,Sr)TiO3 (BST)薄膜作製方法
コーティング液作製条件
Ba/Sr : 70/30
酢酸Ba
酢酸Sr
酢酸
成膜条件
Pt
上部電極
Pt
Tiイソプロポキシド
スピンコートBST薄膜
2-メトキシエタノール
1軸配向 Pt(111)
BT(バッファー)
SiO2(熱酸化)
Si(100)
スピンコート溶液
Siウエハー上に1軸配向したPt
(111)上にBST薄膜を形成した
熱処理条件
(酸素雰囲気、300 ℃/min昇温)
600 ℃、700 ℃、800 ℃で評価した
スピンコート
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電子顕微鏡(SEM)による膜形状の観察
BST
BST
Pt
Pt
250nm
250nm
600 ℃で熱処理したBST膜
700 ℃で熱処理したBST膜
比誘電率 εr=350
比誘電率 εr=500
(20nm程度の粒子で形成されている) (30nm程度の粒子で形成されている)
600 ℃、700 ℃で熱処理した場合には粒子状の膜が形成される
⇒熱処理温度が上がると粒成長が進む
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SEMによる膜形状の観察(2)
BST
BST
Pt
Pt
250nm
800 ℃で熱処理したBST膜
比誘電率 εr=1100
(柱状構造をしている)
250nm
600 ℃で熱処理した後、
さらに800 ℃で熱処理したBST膜
比誘電率 εr=550
(40nm程度の粒子で形成されている)
スピンコート後、800 ℃で熱処理すると柱状構造膜が形成される
600 ℃で熱処理した後、800 ℃で熱処理をすると一度できた粒の成長が起こる
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(Ba,Sr)TiO3 (BST)膜のX線回折結果
Pt(111)
Si
Pt(111)
Intensity(a.u.)
Intensity(a.u.)
Si
BST(111)
(100)
20
(101)
(200)
30
40
(201)
50
(211)
(100)
60
2θ
20
(101)
30
(200)
40
(201) (211)
50
60
2θ
600 ℃で熱処理したBST膜(粒子状)
800 ℃で熱処理したBST膜(柱状)
800 ℃熱処理ではPt(111)の上にBST(111)1軸配向膜が形成される
⇒Ptに対して、エピタキシャル成長する
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(Ba,Sr)TiO3薄膜の形成 まとめ
熱処理温度や昇温速度条件を変えることで、
結晶構造やグレイン構造が変えられる
結晶構造やグレイン構造を変えることで、
薄膜の比誘電率を制御できる
スピンコート法によって微細構造制御が
可能で、有用な電気特性制御の方法となる
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BaTiO3 /SrTiO3超格子膜の形成
化学溶液
(CSD solution)
ゾルゲル液
または
有機金属溶液
①
②
③
コート方法
電気泳動
熱処理
または
スピンコート
堆積薄膜
結晶化薄膜
または
ディップコート
有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて
チタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの格子が
交互に積層された超格子構造の薄膜を形成する
⇒スピンコート法による超格子膜の形成
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BaTiO3 / SrTiO3超格子膜形成方法の比較
新工法=スピンコート法
従来の工法=MBE
Molecular Beam Epitaxy
スピンコート法のメリット
①化学量論組成
②組成を変えても簡便に形成できる
③短時間での膜形成が可能
スピンコート法のデメリット
→これまで10nm以下の配向した薄膜
の形成が行えていない
10 nm以下の膜厚で
強誘電性が発現
Takaaki Tsurumi et al:Thin
Solid Films 509 (2006) 13
ミスフィット歪応力による強誘電性の発現
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スピンコート法によって
10nm以下で(100)配向した
BaTiO3/SrTiO3超格子膜を
形成する
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Slide 47/72
スピンコートでのBaTiO3/SrTiO3超格子膜形成方法
化学溶液: 濃度: 0.07M
BaTiO3 (BT): Ba(CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100
SrTiO3 (ST): Sr (CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100
基板 :Pt(100)/MgO(100)
Pt(100)
MgO(100)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
交互に10層ずつ形成する
Pt(100)
スピンコート
熱処理:800 °C (in O2)
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MgO(100)
BaTiO3 / SrTiO3 超格子膜
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20層積層したBaTiO3 / SrTiO3超格子
スピンコートによって、BaTiO3 / SrTiO3 各10層ずつ、
計20層の超格子膜の作製と評価
(溶液濃度とスピンコート条件を調整して薄膜形成、800℃で熱処理)
断面(FE-SEM)
BaTiO3 / SrTiO3 層
Pt(100)
BaTiO3/SrTiO3
Pt
MgO(100)
MgO
100nm
T. Hosokura et. al., Cryst. Growth Des., 2011, 11, 10, 4253.
緻密な超格子膜が形成できている
合計20層で膜厚130 nmなので、1回のコートで6.5nmの膜形成
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STEM / EDS分析による膜の組成分析
Scanning Transmission Electron Microscopy/ Energy Dispersive X-ray Spectroscopy
STEM像
Ti 元素マッピング
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Ba 元素マッピング
Ba、Srが
相互拡散
せずに
超格子膜
ができて
いる
Sr 元素マッピング
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μ-XRDによる 100 ピークの 2θ-ωスキャン
100umM. 100umW
100umM. 100umW
23.040 °
24.321 °
23.713 °
1000
100
超格子ピーク
1
10
Log (Counts)
21.265 °
1e4
21.892 °
1e5
22.482 °
BTST
19
20
19
BTST
20
100umM. 100umW
21
21
22
2θ /deg
22
2-Theta - Scale
23
23
24
25
24
25
100umM. 100umW - File: BTST300_01.raw - Type: 2Th alone - Start: 18.900 ° - End: 25.300 ° - Step: 0.010 ° - Step time: 300. s - Temp.: 25 °C (Room) - Time Started: 0 s - 2-Theta: 18.900 ° - Theta: 11.050 ° - Chi: 3.94 ° - Phi: 454.74 ° - X: -1.0 mm -
Operations: Smooth 0.100 | Import
超格子ピーク位置からBT/ST:1層の膜厚を 7.2nm と算出
→FE-SEM観察結果(6.5nm)とよい一致をみた
超格子構造に起因するスペクトルを確認
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HAADF-STEMによる超格子膜の観察
High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy
Annular Bright-Field Scanning Transmission Electron Microscopy
HAADF-STEM image
ABF-STEM image
6.5nm
・(100) cube on cube のエピタキシャル成長していることがわかる
コントラストから界面は明確でBa,Srの相互拡散は見られない
・欠陥がBT/ST界面に存在している(各層内部には無い)
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BaTiO3 /SrTiO3 格子界面の転位構造の観察
HAADF-STEM image
ABF-STEM image
酸素欠陥
BaのSrTiO3層への拡散
BaTiO3 / SrTiO3界面でのBa, Srの拡散はほとんどない(1原子層程度)
ABF-STEM imageから酸素も含めた欠陥と考えられるコントラストが見られる
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P-Eヒステリシス測定
上部電極を形成して電気特性評価を行った
Pt
15
10
P(分極) (mC/cm2)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
BaTiO3(100)
SrTiO3(100)
Pt(100)
5
0
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
-5
-10
MgO(100)
-15
比誘電率 (εr): 400
E(電界) (kV/cm)
T. Hosokura et. al., Cryst. Growth Des., 2011, 11, 10, 4253.
MIM構造では強誘電性を示さない
⇒ミスフィット歪が緩和されることが考えられる
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BaTiO3 /SrTiO3 超格子膜の形成 まとめ
スピンコート法によって層6.5nmの薄膜が形成できる
BaTiO3/SrTiO3膜の形成によって最下層から20層まで
エピタキシャル成長する超格子膜が形成できる
欠陥はBT/STの界面にみられる
格子定数の違いは、刃状転位や酸素欠陥の導入で緩和
される
スピンコート法によっても配向した超格子薄膜の形成
によって新規薄膜キャパシターへの応用が期待できる
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配向方位を制御したBaTiO3 薄膜の作製
化学溶液
(CSD solution)
ゾルゲル液
または
有機金属溶液
①
②
③
コート方法
電気泳動
熱処理
または
スピンコート
堆積薄膜
結晶化薄膜
または
ディップコート
有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて
チタン酸バリウム薄膜の結晶の配向方位を制御する
⇒ 結晶方位を (100)、(110)、(111)
方向に制御したBaTiO3薄膜を作る
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(100), (110), (111) 配向制御したBaTiO3 薄膜
化学溶液: 濃度: 0.07M
BaTiO3 : Ba(CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100
基板 :Pt(100)/MgO(100) , Pt(110)/MgO(110) ,
Pt(111)/MgO(111)
Pt(100)
Pt(110)
Pt(111)
MgO(100)
MgO(110)
MgO(111)
20回繰り返し
スピンコート
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熱処理: 800 °C (in O2)
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BaTiO3薄膜断面の透過型電子顕微鏡像
(100) oriented BaTiO3 film
(110) oriented BaTiO3 film
(111) oriented BaTiO3 film
BaTiO3(100)
Pt(100)
BaTiO3(110)
Pt(110)
BaTiO3(111)
Pt(111)
MgO(100)
MgO(100)
MgO(110)
MgO(100)
MgO(111)
MgO(100)
 BaTiO3 層は緻密で粒界や界面などは現れない
 回折像からPt と BaTiO3 が同じ方位をそろえて配向していることが確認できる
 3軸配向したBaTiO3 薄膜が Pt/MgO 基板上に形成できた
T. Hosokura et. al., RSC Adv., 2015, 5, 97563.
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X線回折とX線極点図測定 (100), (110)配向
(110) oriented BaTiO3 film
(100) oriented BaTiO3 film
3軸配向したBaTiO3 (100) 薄膜が
Pt(100)/MgO(100) 基板上に形成
されている
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3軸配向したBaTiO3 (110) 薄膜が
Pt(110)/MgO(110) 基板上に形成
されている
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(100) 配向 と(110) 配向の成長過程
Ba
Ti
O
表面
表面
断面
断面
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Pt
(110) 配向 BaTiO3膜
(100) 配向 BaTiO3膜
Pt(100)面上にTi-O 面が成長
(1/3)
Pt(110)面上にO-O 面が成長
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(100) 配向 と(110) 配向の成長過程
Ba
Ti
O
表面
表面
断面
断面
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Pt
(110) 配向 BaTiO3膜
(100) 配向 BaTiO3膜
Ti-O 面にBa-O面が成長
(2/3)
O-O 面にBa-Ti面が成長
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(100) 配向 と(110) 配向の成長過程
Ba
Ti
O
表面
表面
断面
断面
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Pt
(110) 配向 BaTiO3膜
(100) 配向 BaTiO3膜
Pt (100)上にBaTiO3(100) が成長する
(3/3)
Pt (110)上にBaTiO3(110) が成長する
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X線回折とX線極点図測定
(111)配向
(111) 方向に配向した BaTiO3 薄膜
Pt(111) 基板
BaTiO3(111)
Pt(111)
Pt(111)
MgO(111)
MgO(111)
 6回対称の回折が BaTiO3 (111) 薄膜から確認できる
 Pt(111)/MgO(111) 基板からは3回対称の回折が確認できる
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X線回折とX線極点図測定
(111)配向
(111) 方向に配向した BaTiO3 薄膜
Pt(111) 基板
BaTiO3(111)
Pt(111)
Pt(111)
MgO(111)
MgO(111)
 60°回転した双晶のBaTiO3(111) 薄膜がPt(111)配向膜基板上に
形成されていることが示唆される
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Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向
Ba
Ti
O
(1/3)
Pt
表面
断面
表面
断面
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Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向
Ba
Ti
O
(2/3)
Pt
表面
断面
表面
断面
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Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向
Ba
Ti
O
(3/3)
Pt
表面
断面
表面
断面
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Pt(111)から 60° 回転
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各配向 BaTiO3 薄膜の比誘電率測定
測定は1 kHz , 0.1 Vで行った
配向方位
膜厚
(nm)
静電容量
(nF)
比誘電率
誘電損失
BaTiO3(100)
165
11.7
1107
0.043
BaTiO3(110)
160
22.1
2030
0.058
BaTiO3(111)
165
22.5
2072
0.061
 (110)配向膜と(111)配向膜の比誘電率は(100)配向膜の
比誘電率の約2倍になる
→ 配向方位の違いによって比誘電率に違いが現れる
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比誘電率の温度特性評価
 BaTiO3 薄膜の比誘電率は測定した温度領域では安定
 得られたBaTiO3 薄膜の結晶構造が疑立方晶のペロブスカイト構造である
ため, 正方晶ペロブスカイト形強誘電体のBaTiO3で確認できるような
120℃付近(キュリー温度)での相転移が起こらない
 比誘電率の向上は、成長の際に発生する応力に起因していると推測される
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P(分極)→
BaTiO3薄膜のP-E 測定
(111)
電界=300 kV/cmでの直流抵抗
(110)
配向方位
比抵抗(Ω·cm)
(100)
BaTiO3(100)
5.91 x 108
BaTiO3(110)
4.48 x 108
BaTiO3(111)
8.70 x 107
E(電界)→
BaTiO3(111) 配向薄膜は BaTiO3(100)配向薄膜や BaTiO3(110)配向薄膜
に比べて比抵抗が低い
 BaTiO3(111)薄膜の双晶界面が比抵抗を下げる要因と推測する
 比抵抗が下がったことでP-E ループが膨らんでいる
 BaTiO3(110)配向薄膜が高い比誘電率(=2000)で、 温度特性が安定、
かつ高い比抵抗を有している
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本日の講義の まとめ
日本は多くの独創的な電子セラミックスを創出してきた
村田製作所も電子セラミックスを技術のベースにして発展してきた
強誘電体のチタン酸バリウム BaTiO3 は積層セラミックコンデンサ
などに使われ、あらゆる電子産業を支えている
チタン酸バリウムの優れた材料特性をさらに引き出すためには、
ナノスケールの材料設計と制御が重要
化学溶液堆積法(CSD法)は新規の電子材料設計に有用なナノテク
ノロジーである
CSD法によって誘電体膜の微構造、結晶性、配向性などを制御する
ことが可能
ナノテクを用いるとバルクのセラミックスでは得られなかった新しい
特性が得られる
今後ナノテクが電子セラミックスの新しい世界を開拓し、広く世の
中に寄与していくことが期待される
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本日の講義 終了
おつかれさまでした
www.murata.com
㈱村田製作所
鴻池健弘
15 June 2016
Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved.
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