平成28年度 大阪大学 大学院 博士課程講義 ナノテクキャリアアップ特論 ナノテクが拓く新しい電子セラミックスの世界 ㈱村田製作所 鴻池健弘 2016年6月24日(金)5時限目(16:35~18:05) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 1/72 講義内容 1.講師と村田製作所の紹介 2.ファインセラミックスについて 3.日本が生んだ電子セラミックス 4.誘電体について 5.チタン酸バリウム BaTiO3 6.積層セラミックコンデンサ 7.ナノスケールの誘電体 8.化学溶液堆積法(CSD法) 9. BaTiO3 マイクロ構造体の形成 10.(Ba,Sr)TiO3 薄膜の形成 11. BaTiO3 / SrTiO3 超格子膜の形成 12.配向方位を制御したBaTiO3 薄膜 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 2/72 講師自己紹介 鴻池 健弘(こうのいけ たけひろ) 株式会社 村田製作所 勤務 1981年 村田製作所入社 以来35年間電子部品用セラミック 材料の開発・製造に従事 関西学院大学 理学部物理学科卒 ジョージア工科大学 セラミックエンジニアリング修士課程修了 (株)村田製作所 執行役員 新規技術センター センター長 同志社大学理工学部 非常勤講師 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 3/72 村田製作所の紹介 創業 売上高 営業利益 グループ企業 従業員数 1944年10月 1兆2108億円 本社:京都府 長岡京市 JR長岡京駅 から徒歩1分 村田製作所 2754億円 105社(国内31社、海外74社) 長岡京駅 54,674名 (国内23,973名、海外30,701名) ※売上高・営業利益は、2016年3月期決算 従業員数は2016年3月31日時点のものです グループ企業数は2015年3月31日時点のものです 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 4/72 市場とアプリケーション ムラタの技術が、 エレクトロニクスの可 能性を押し広げます •携帯電話やコンピュータ、 AV機器、家電製品などのエ レクトロニクスの中心分野 から、 •自動車やヘルスケア、 環境・エネルギーなどの 新領域まで 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 暮らしに安心、安全、便利を・・・ 携帯電話 パソコン&周辺機器 • スマートフォン • モバイルルータ ー • ノートPC • タブレットPC • プリンタ 自動車 テレビ&家電製品 • • • • 薄型テレビ デジタルカメラ 冷蔵庫 エアコン ヘルスケア • 安全システム • 電気自動車 • インフォテイメント 環境・エネルギー • 各種医療機器 • ライフログ Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. • HEMS • BEMS • スマートメーター Slide 5/72 売上高の推移 (億円) 13,000 2015年度 売上高 1兆2,108億円 前年比 116.0% 12,000 11,000 10,000 9,000 2016年度 (予想) 1兆2,250億円 前年比 101.2% 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (予想) ※ ※ 2016年4月28日公表値 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 6/72 地域別売上高 ( 億円) 13,000 南北アメリカ 8% 12,000 11% ▲4.1% 11,000 7% ヨーロッパ 7% 10,000 8% 9,000 8% ▲0.5% 中華圏 8% 24.9% アジア・その他 7% 8,000 18% 8% 7,000 6% 6,000 5,000 9% 7% 日本 62% 10% 58% - 前年比伸び率 11% 55% 4,000 50% 55% 3,000 8% 12.9% 2,000 1,000 0 18% 14% 2011 18% 21% 18% 11% 9% 8% 2012 2013 2014 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 18% ▲3.8% 7% 2015 2016 (予想) ※ Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. ※ 2016年4月28日公表値 Slide 7/72 主要製品 ラインアップ コンデンサ インダクタ (コイル) ノイズ対策部品 EMI除去フィルタ 抵抗器 サーミスタ センサ タイミング デバイス 発音部品 電源 マイクロメカトロ RFID用デバイス マッチングデバイス RF コンポーネント RF モジュール ワイヤレス接続 プラットフォーム 超低電力短距離 RF-IC フィルタ 回路基板 イオナイザモジュール オゾナイザモジュール フロントエンド モジュール 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 8/72 村田製作所の主要製品 世界シェア&主要製品所要数 製品名 世界 シェア (%) 製品所要数 スマート ノートPC タブレッ 自動車 デジタル スマート フォン トPC TV ウオッチ 1000 600 ~3000 600 EMI除去フィルタ 35 90 200 50 表面波フィルタ 50 2~20 コネクティビティモジュール 60 1 1 チップインダクタ 30 30 200 100 30 95 ショックセンサ 1~3 4 75 セラミック発振子 15~20 多層デバイス 5 2 2 多層回路基板 1~2 これらの世界トップシェア商品群を持っています 積層セラミックコンデンサ 40 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 750 100 4~20 1 200 800 60 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. 200 20 1 20 1 Slide 9/72 電子セラミックスの性質と村田製作所の主要製品 圧電体 誘電体 コンデンサ 電気を蓄える働き 誘電体基板 LCフィルタ 高周波モジュール 電気 機械 エネルギーの 相互変換の働き 発振子 セラミックフィルタ ショックセンサ 超音波センサ ブザー、スピーカ 半導体 導体と絶縁体の 中間、 電気を制御 PTCサーミスタ NTCサーミスタ E M I 除去フィルタ コイル 温度変化を電気に 赤外線センサ 変換する働き 絶縁体 磁性体 磁気エネルギーを 蓄える働き 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 焦電体 電気を通さない 絶縁体基板 多層回路基板 働き Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 10/72 村田製作所のポリシー よい電子機器は よい電子部品から、 よい電子部品は よい材料から。 研究開発への投資 材料からの一貫生産 設備・原料の内作 焼成 原料 完成 成形 加工 評価・分析 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 11/72 六古窯とファインセラミックス 六古窯 瀬戸焼:愛知県瀬戸市 常滑焼:愛知県常滑市 越前焼:福井県丹生郡越前町 信楽焼:滋賀県甲賀市 丹波立杭焼:兵庫県篠山市 備前焼:岡山県備前市伊部 名古屋: ノリタケ 日本ガイシ 日本特殊陶業 越前焼 福井村田製作所 清水焼 丹波立杭焼 瀬戸焼 信楽焼 常滑焼 備前焼 岡山村田製作所 京都: 村田製作所 京セラ 尾張旭: MARUWA 地図データ: ©Google,ZENRIN 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide12/72 12/72 Slide クラシックセラミックスから電子セラミックスへ 清水焼 セラミックス 天然の原料 食器、花器、タイルなど クラシックセラミックス 伝統的な製法 登り窯 ねじ 包丁 ファインセラミックス タービンローター 構造材料 高度に制御 された工程 機能材料 電子セラミックス 化学的に精製 された原料 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 各種電子部品 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 13/72 単結晶とセラミックス(=多結晶) 単結晶 1つの固体が 1個の結晶 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 セラミックス(多結晶) グレイン (粒子) お城の石垣 粒界 結晶同士の境い目 これが1個の結晶 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 14/72 日本が生んだ電子セラミックスの歴史 1930年 加藤、武井 が亜鉛フェライト ZnFe2O4 を発見 1933年 加藤、武井 が銅亜鉛フェライト(Cu,Zn)Fe2O4を発明 1936年 東京電気化学(現TDK)が(Cu,Zn)Fe2O4を工業化 1944年 小川、和久 がBaTiO3を発見 (日本、米国、ソ連でほぼ同時期に、独立で発見される) 1950年 白根、沢口 がPZTを発見 (残念ながら圧電性は測定されなかった) 1951年 1954年 村田製作所がBaTiO3をコンデンサに応用、工業化 ヤッフェ(米)がPZTの圧電性を発見 (1955年ヤッフェが所属するクレバイト社が PZTの特許を取得) 1962年 村田製作所がPZTを用いた圧電フィルタを開発 1963年 松下電器が PZT+Pb(Mg,Nb)O3「PCM圧電磁器」を開発 1967年 松岡(松下電器)がZnOバリスタ「ZNR ®」を開発 現 Panasonic 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 15/72 日本生まれの電子セラミックス 材料 (通称) チタン酸バリウム (チタバリ) PZT (ピージーティー) スピネルフェライト (フェライト) 化学式 BaTiO3 Pb(Zr,Ti)O3 MFe2O4 MはNi,Zn,Mn などの2価イオン 酸化亜鉛バリスタ (Z N R®) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 ZnO 分類 特徴的な性質 強誘電体 電気を蓄える 半導体 電流をコントロール 圧電体 電気で伸び縮み 焦電体 温度変化を電気に変換 磁性体 磁気を蓄える 半導体 異常電圧を吸収 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 16/72 誘電分極の種類とモデル図 界面 - + + - + -+ ++ - + - +- - - + + -+ - - - + -+ - + + - +- + + - - + + + + -+ + - + + -- + E + + + + + E(電界)=0 -- ++ -- -- ++ -- ++ ++ -- ++ -- -- ++ -- ++ E(電界)=0 電界 ① 界面分極 ++ 有極性分子 ++ -- -- ++ -- -- E(電界)=0 ③ イオン分極 ++ ++ -- ++ -- E 電界 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 電界 ② 配向分極 ++ -- ++ -- 永久双極子 (双極子モーメント) E - + + ++ E(電界)=0 ④ 電子分極 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. E 電界 Slide 17/72 誘電分極メカニズムと誘電率の周波数依存性 光の周波数では 比誘電率は 屈折率の二乗 n = √εr ・μr 光 比 誘 電 n : 屈折率 εr: 比誘電率 μr:比透磁率 (通常 μr = 1 ) 率 εr 可視光 (εr=1) 超低周波 ~103Hz 周波数 ~1013Hz ~1016Hz ~109Hz (~マイクロ波)(~遠赤外) (~紫外) 界面分極 配向分極 (空間電荷分極) 荷電粒子が、ある 距離だけ移動して 界面(または特定 の空間)にたまる イオン分極 永久双極子が 配向する 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 電子分極 正負のイオンが 相対的に変位 する 原子核と電子雲 が相対的に変位 する Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 18/72 誘電体・強誘電体 誘電体 ( =物質としては「絶縁体」と同じ ) 絶縁体 かつ 電界下での 誘電分極 という観点で 議論される物質 電荷が平衡位置からわずかにずれる → 誘電分極 誘電体の中には 外部電界が作用してない場合でも 電気分極 を生じている ものがある 自発分極 + 自発分極を持つ誘電体の中には、 外部電界を自発分極と逆向きに印加したとき 自発分極の向きを逆転できるものがある。 = 強誘電体 - 永久双極子 常誘電体 自発分極なし 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 19/72 正方晶と立方晶のBaTiO3 結晶構造=ペロブスカイト構造 4+ Ti 4+ Ti が 動ける 室温 正方晶 120℃以上 キュリー温度を超えると 強誘電体 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 立方晶 常誘電体 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 20/72 BaTiO3 の相転移と比誘電率の温度特性 菱面体晶 斜方晶 立方晶 正方晶 BaTiO3 +添加物 純粋なBaTiO3 キュリー温度 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 21/72 BaTiO3 のドメイン(分域) 透過型電子顕微鏡 ( TEM ) による観察 コア・シェル構造/ドメイン構造が見えます シェル コア グレイン (結晶粒) ドメイン (分域) 永久双極子 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 22/72 積層セラミックコンデンサの内部構造 BaTiO3 を主成分 外部電極 (Cu,Ni, Snなど) とするセラミックス 内部電極構造 研磨断面写真 内部電極 (Ni ) 昔はPd(パラジウム)、Pd-Ag などが 主流でしたが、今はNiが主流です。 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. 0.5mm Slide 23/72 積層セラミックコンデンサの誘電体厚さ 誘電体セラミックスの厚さは1μm以下!! 0.5μmも実用化済み 参考: 人間の赤血球 8μm 大腸菌 1~2μm インフルエンザウイルス 0.1μm 白いところが誘電体セラミックス、 黒いところは 電極部分です。 15年前 3μm 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 5年前 1μm 現在 0.5μm Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 24/72 積層セラミックコンデンサの小型化 0.25mm×0.125mm 直径0.5mm のシャープ ペンシルの芯 (高さ0.125mm) の 積層セラミックコンデンサ の開発に成功 2012年9月5日発表(村田製作所) 0.25mm×0.125mm 2.0mm×1.2mm 0.6mm×0.3mm 1.6mm×0.8mm 1.0mm×0.5mm 0.4mm×0.2mm 0.25mm×0.125mm 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 25/72 積層セラミックコンデンサ搭載状況 車には1000~3000個 スマートフォンには 約750個 液晶TVには 約600個 積層セラミック コンデンサ ゲーム機には 約300個 タブレットPCには 約600個 ノートパソコンには 約800個 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 デジカメには 約300個 スマートウオッチには約200個 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 26/72 より薄い誘電体を作るプロセス スクリーン印刷 積層セラミックコンデンサ で用いているプロセス シート成形 スプレーコート スピンコート スパッタ MOCVD( Metal Organic Chemical Vapor Deposition ) PLD( Pulsed Laser Deposition ) MBE( Molecular Beam Epitaxy ) 1nm 10nm 100nm 1μm 10μm 100μm 誘電体の厚み 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 27/72 ナノ粒子作製 ブレークダウンとビルドアップ ①ブレークダウン法 原料粉末 (例:粒径2μm) 粉砕 粉砕後 (例:粒径100nm) 硬いセラミックス製の球 (粉砕メディア)と一緒に 回転させて、粉砕する ボールミル ②ビルドアップ法 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 28/72 ナノスケールのセラミックス形成方法の例 プロセス ウエット プロセス CSD Chemical Solution Deposition 使用する原料 化学溶液 有機金属溶液 ゾルゲル マイクロエマルジョン ・・・など ガス ドライ 有機金属ガス ・・・など プラズマ イオン化した原子 ・・・など プロセス 原子・分子 ・・・など 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 膜の形成方法 電気泳動 スピンコート ディップコート インクジェット ・・・など CVD(Chemical Vapor Deposition) ALD(Atomic Layer Deposition) ・・・など スパッタ イオンプレーティング ・・・など MBE(Molecular Beam Epitaxy) 真空蒸着 ・・・など Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 29/72 化学溶液堆積法(CSD法) 化学溶液 (CSD solution) ゾルゲル液 または 有機金属溶液 ① Chemical Solution Deposition ① ② コート方法 T. Hosokura, A. Ando, and T. Konoike, RSC Adv., 5, 97563-97567 (2015) 電気泳動 熱処理 または スピンコート 結晶化薄膜 堆積薄膜 または ③ ディップコート ③ ② 電気泳動法 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 スピンコート法 ディップコート法 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 30/72 BaTiO3 マイクロ構造体の形成 化学溶液 (CSD solution) ゾルゲル液 または 有機金属溶液 ① ② ③ コート方法 電気泳動 熱処理 または 堆積薄膜 スピンコート 結晶化薄膜 または ディップコート ゾルゲル法 + 電気泳動法 + 電子線描画法 を用いて チタン酸バリウム(BaTiO3)マイクロ構造体を形成する → フォトニック結晶: 屈折率の異なる複数の透明媒質からなる周期構造により 実現される光の伝播を制御する構造体 10mm 5mm 例1) 2-D フォトニック結晶(Si) 例2 ) 3-D フォトニック結晶(Si) Appl. Phys. Lett., Vol. 75, 21,3277 1999 A.Birner, et al., Mater. Sci. Semi. Proc. 3, 487(2000) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 31/72 BaTiO3 のマイクロ構造体作製法の検討 チタン酸バリウム(BaTiO3)の作製法 →数nm径の超微粒子が必要 ・高濃度ゾルーゲル法 (粒径10nm程度の単分散溶液が作製可能) 微細な規則構造の作製法 →200nm径の微細加工が必要 ・電子線描画法で微細な規則構造の型を作る (数nmレベルのサイズで加工が可能) モールドへのキャスティング方法 →緻密で均質な充填が必要 ・ゾルの電気泳動 (緻密な膜形成が可能) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 ゾルゲル法 と 電気泳動法 と 電子線描画法 を組み合わせて BaTiO3マイクロ 構造体を形成 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 32/72 電気泳動用のBaTiO3ゾル粒子溶液作製方法 Ba(OC2H5) 2 Ti(O-i-C3H7)4 1.1mol/l 前駆体溶液 -20℃以下 CH3OC2H4OH(2-MOE) CH3OH (体積比3:2) (グローブボックス内で調整 in N2) 加水分解 H2O, CH3OC2H4OH (体積比1:1) H2O/Ba = 7.0 (モル比) BT ゾル溶液 電気泳動用BTゾル溶液 2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)添加 による表面電位の改質 電気泳動用に表面電位を改質したBTゾル溶液が得られる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 33/72 BaTiO3ゾル粒子の電気泳動方法 N2雰囲気 電気泳動 ・N2封入 ・-20℃以下 陽極 BaTiO3ゾル SUSワイヤー 電極間距離1cm 陰極 Pt/Ti/SiO2/Si基板 BaTiO3の前駆体溶液 正の電荷を持ったゾル粒子が陰極に析出する 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 34/72 ゾルの電気泳動方法によるキャスティングプロセス 1,スピンコートでレジストを塗布 Pt / Ti / SiO2 / Si 基板 2,電子線描画によるモールド作製 1μm Pt / Ti / SiO2 / Si 基板 電子線描画法で作製したモールド(鋳型) 3, 電気泳動によるBaTiO3ゲルの キャスティング(150℃熱処理) Pt / Ti / SiO2 / Si 基板 4,レジストの剥離 Pt / Ti / SiO2 / Si 基板 形成したマイクロ構造体 電気泳動の陰極基板を微細構造のモールドにすることでマイクロ構造体が形成できる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 35/72 作製したマイクロ構造体の光学特性の測定 ・二次元三角格子配列 ・a=450nm, r=140nm M K M G G 500nm 可視光領域の反射強度測定模式図 ハロゲン光源 偏光子 対物レンズ G → M x40 フォトニック結晶 スペクトルアナライザ Appl. Phys. Lett., Vol. 75, 21,3277 1999 ΓM方向での光の反射を測定して構造に起因する反射スペクトルを確認する 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 36/72 可視光域の反射測定結果 解析ソフト MPB (MIT Photonic Bands)による計算値と実測値の比較 TMモード 反射強度(a.u.) 反射強度(a.u.) 1.2 1.23 1.2 1.2 1 1.03 1 1 0.8 0.83 0.8 0.8 0.6 0.63 0.6 0.6 0.4 0.43 0.4 0.4 0.2 0.23 0.2 0.2 0 規格化周波数(a/r) 規格化周波数(a/r) TEモード 0 0.03 G 1 M 6 計算値 -0.1 1.1 実測値 0 1 G 6 M -0.1 計算値 フォトニックバンドギャップ 1.1 実測値 計算値で予測される位置にフォトニックバンドギャップに起因する 反射ピークを確認した 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 37/72 格子間隔を変化させた反射測定結果 格子間隔を450nm, 500nm, 550nmにして作製した試料の反射測定結果 TE格子間隔450nm 反射強度(a.u.) TE格子間隔500nm 500 TE格子間隔550nm 600 700 800 900 1000 1100 1200 波長(nm) 格子間距離を変化させることで反射ピーク位置を制御できる → 反射や透過させたい光の波長をコントロールできるようになる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 38/72 チタン酸バリウムマイクロ構造体の形成のまとめ ・電子線描画法とゾルゲル法と電気泳動法を組み合わせて BaTiO3マイクロ構造体が形成できる ・作製したBaTiO3マイクロ構造体からフォトニックバンドギャップ に起因する反射ピークを確認した ⇒ 電子線描画法とBTゾル粒子の電気泳動法を組み合わせて BaTiO3マイクロ構造体薄膜を形成することで新規フォトニック 結晶が形成できる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 39/72 (Ba,Sr)TiO3 (BST)薄膜の形成 化学溶液 (CSD solution) ゾルゲル液 または 有機金属溶液 ① ② ③ コート方法 電気泳動 熱処理 または スピンコート 堆積薄膜 結晶化薄膜 または ディップコート 有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて チタン酸バリウムストロンチウム(Ba,Sr)TiO3 薄膜を形成する → スピンコートによる薄膜微細構造制御と その電気特性 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 40/72 (Ba,Sr)TiO3 (BST)薄膜作製方法 コーティング液作製条件 Ba/Sr : 70/30 酢酸Ba 酢酸Sr 酢酸 成膜条件 Pt 上部電極 Pt Tiイソプロポキシド スピンコートBST薄膜 2-メトキシエタノール 1軸配向 Pt(111) BT(バッファー) SiO2(熱酸化) Si(100) スピンコート溶液 Siウエハー上に1軸配向したPt (111)上にBST薄膜を形成した 熱処理条件 (酸素雰囲気、300 ℃/min昇温) 600 ℃、700 ℃、800 ℃で評価した スピンコート 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 41/72 電子顕微鏡(SEM)による膜形状の観察 BST BST Pt Pt 250nm 250nm 600 ℃で熱処理したBST膜 700 ℃で熱処理したBST膜 比誘電率 εr=350 比誘電率 εr=500 (20nm程度の粒子で形成されている) (30nm程度の粒子で形成されている) 600 ℃、700 ℃で熱処理した場合には粒子状の膜が形成される ⇒熱処理温度が上がると粒成長が進む 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 42/72 SEMによる膜形状の観察(2) BST BST Pt Pt 250nm 800 ℃で熱処理したBST膜 比誘電率 εr=1100 (柱状構造をしている) 250nm 600 ℃で熱処理した後、 さらに800 ℃で熱処理したBST膜 比誘電率 εr=550 (40nm程度の粒子で形成されている) スピンコート後、800 ℃で熱処理すると柱状構造膜が形成される 600 ℃で熱処理した後、800 ℃で熱処理をすると一度できた粒の成長が起こる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 43/72 (Ba,Sr)TiO3 (BST)膜のX線回折結果 Pt(111) Si Pt(111) Intensity(a.u.) Intensity(a.u.) Si BST(111) (100) 20 (101) (200) 30 40 (201) 50 (211) (100) 60 2θ 20 (101) 30 (200) 40 (201) (211) 50 60 2θ 600 ℃で熱処理したBST膜(粒子状) 800 ℃で熱処理したBST膜(柱状) 800 ℃熱処理ではPt(111)の上にBST(111)1軸配向膜が形成される ⇒Ptに対して、エピタキシャル成長する 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 44/72 (Ba,Sr)TiO3薄膜の形成 まとめ 熱処理温度や昇温速度条件を変えることで、 結晶構造やグレイン構造が変えられる 結晶構造やグレイン構造を変えることで、 薄膜の比誘電率を制御できる スピンコート法によって微細構造制御が 可能で、有用な電気特性制御の方法となる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 45/72 BaTiO3 /SrTiO3超格子膜の形成 化学溶液 (CSD solution) ゾルゲル液 または 有機金属溶液 ① ② ③ コート方法 電気泳動 熱処理 または スピンコート 堆積薄膜 結晶化薄膜 または ディップコート 有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて チタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの格子が 交互に積層された超格子構造の薄膜を形成する ⇒スピンコート法による超格子膜の形成 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 46/72 BaTiO3 / SrTiO3超格子膜形成方法の比較 新工法=スピンコート法 従来の工法=MBE Molecular Beam Epitaxy スピンコート法のメリット ①化学量論組成 ②組成を変えても簡便に形成できる ③短時間での膜形成が可能 スピンコート法のデメリット →これまで10nm以下の配向した薄膜 の形成が行えていない 10 nm以下の膜厚で 強誘電性が発現 Takaaki Tsurumi et al:Thin Solid Films 509 (2006) 13 ミスフィット歪応力による強誘電性の発現 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 スピンコート法によって 10nm以下で(100)配向した BaTiO3/SrTiO3超格子膜を 形成する Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 47/72 スピンコートでのBaTiO3/SrTiO3超格子膜形成方法 化学溶液: 濃度: 0.07M BaTiO3 (BT): Ba(CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100 SrTiO3 (ST): Sr (CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100 基板 :Pt(100)/MgO(100) Pt(100) MgO(100) BaTiO3(100) SrTiO3(100) BaTiO3(100) SrTiO3(100) BaTiO3(100) SrTiO3(100) 交互に10層ずつ形成する Pt(100) スピンコート 熱処理:800 °C (in O2) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 MgO(100) BaTiO3 / SrTiO3 超格子膜 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 48/72 20層積層したBaTiO3 / SrTiO3超格子 スピンコートによって、BaTiO3 / SrTiO3 各10層ずつ、 計20層の超格子膜の作製と評価 (溶液濃度とスピンコート条件を調整して薄膜形成、800℃で熱処理) 断面(FE-SEM) BaTiO3 / SrTiO3 層 Pt(100) BaTiO3/SrTiO3 Pt MgO(100) MgO 100nm T. Hosokura et. al., Cryst. Growth Des., 2011, 11, 10, 4253. 緻密な超格子膜が形成できている 合計20層で膜厚130 nmなので、1回のコートで6.5nmの膜形成 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 49/72 STEM / EDS分析による膜の組成分析 Scanning Transmission Electron Microscopy/ Energy Dispersive X-ray Spectroscopy STEM像 Ti 元素マッピング 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Ba 元素マッピング Ba、Srが 相互拡散 せずに 超格子膜 ができて いる Sr 元素マッピング Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 50/72 μ-XRDによる 100 ピークの 2θ-ωスキャン 100umM. 100umW 100umM. 100umW 23.040 ° 24.321 ° 23.713 ° 1000 100 超格子ピーク 1 10 Log (Counts) 21.265 ° 1e4 21.892 ° 1e5 22.482 ° BTST 19 20 19 BTST 20 100umM. 100umW 21 21 22 2θ /deg 22 2-Theta - Scale 23 23 24 25 24 25 100umM. 100umW - File: BTST300_01.raw - Type: 2Th alone - Start: 18.900 ° - End: 25.300 ° - Step: 0.010 ° - Step time: 300. s - Temp.: 25 °C (Room) - Time Started: 0 s - 2-Theta: 18.900 ° - Theta: 11.050 ° - Chi: 3.94 ° - Phi: 454.74 ° - X: -1.0 mm - Operations: Smooth 0.100 | Import 超格子ピーク位置からBT/ST:1層の膜厚を 7.2nm と算出 →FE-SEM観察結果(6.5nm)とよい一致をみた 超格子構造に起因するスペクトルを確認 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 51/72 HAADF-STEMによる超格子膜の観察 High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy Annular Bright-Field Scanning Transmission Electron Microscopy HAADF-STEM image ABF-STEM image 6.5nm ・(100) cube on cube のエピタキシャル成長していることがわかる コントラストから界面は明確でBa,Srの相互拡散は見られない ・欠陥がBT/ST界面に存在している(各層内部には無い) 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 52/72 BaTiO3 /SrTiO3 格子界面の転位構造の観察 HAADF-STEM image ABF-STEM image 酸素欠陥 BaのSrTiO3層への拡散 BaTiO3 / SrTiO3界面でのBa, Srの拡散はほとんどない(1原子層程度) ABF-STEM imageから酸素も含めた欠陥と考えられるコントラストが見られる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 53/72 P-Eヒステリシス測定 上部電極を形成して電気特性評価を行った Pt 15 10 P(分極) (mC/cm2) BaTiO3(100) SrTiO3(100) BaTiO3(100) SrTiO3(100) BaTiO3(100) SrTiO3(100) Pt(100) 5 0 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -5 -10 MgO(100) -15 比誘電率 (εr): 400 E(電界) (kV/cm) T. Hosokura et. al., Cryst. Growth Des., 2011, 11, 10, 4253. MIM構造では強誘電性を示さない ⇒ミスフィット歪が緩和されることが考えられる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 54/72 BaTiO3 /SrTiO3 超格子膜の形成 まとめ スピンコート法によって層6.5nmの薄膜が形成できる BaTiO3/SrTiO3膜の形成によって最下層から20層まで エピタキシャル成長する超格子膜が形成できる 欠陥はBT/STの界面にみられる 格子定数の違いは、刃状転位や酸素欠陥の導入で緩和 される スピンコート法によっても配向した超格子薄膜の形成 によって新規薄膜キャパシターへの応用が期待できる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 55/72 配向方位を制御したBaTiO3 薄膜の作製 化学溶液 (CSD solution) ゾルゲル液 または 有機金属溶液 ① ② ③ コート方法 電気泳動 熱処理 または スピンコート 堆積薄膜 結晶化薄膜 または ディップコート 有機金属の溶液 + スピンコート法 を 用いて チタン酸バリウム薄膜の結晶の配向方位を制御する ⇒ 結晶方位を (100)、(110)、(111) 方向に制御したBaTiO3薄膜を作る 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 56/72 (100), (110), (111) 配向制御したBaTiO3 薄膜 化学溶液: 濃度: 0.07M BaTiO3 : Ba(CH3COO)2 : Ti(O-i-C3H7)4 =100: 100 基板 :Pt(100)/MgO(100) , Pt(110)/MgO(110) , Pt(111)/MgO(111) Pt(100) Pt(110) Pt(111) MgO(100) MgO(110) MgO(111) 20回繰り返し スピンコート 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 熱処理: 800 °C (in O2) Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 57/72 BaTiO3薄膜断面の透過型電子顕微鏡像 (100) oriented BaTiO3 film (110) oriented BaTiO3 film (111) oriented BaTiO3 film BaTiO3(100) Pt(100) BaTiO3(110) Pt(110) BaTiO3(111) Pt(111) MgO(100) MgO(100) MgO(110) MgO(100) MgO(111) MgO(100) BaTiO3 層は緻密で粒界や界面などは現れない 回折像からPt と BaTiO3 が同じ方位をそろえて配向していることが確認できる 3軸配向したBaTiO3 薄膜が Pt/MgO 基板上に形成できた T. Hosokura et. al., RSC Adv., 2015, 5, 97563. 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 58/72 X線回折とX線極点図測定 (100), (110)配向 (110) oriented BaTiO3 film (100) oriented BaTiO3 film 3軸配向したBaTiO3 (100) 薄膜が Pt(100)/MgO(100) 基板上に形成 されている 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 3軸配向したBaTiO3 (110) 薄膜が Pt(110)/MgO(110) 基板上に形成 されている Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 59/72 (100) 配向 と(110) 配向の成長過程 Ba Ti O 表面 表面 断面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Pt (110) 配向 BaTiO3膜 (100) 配向 BaTiO3膜 Pt(100)面上にTi-O 面が成長 (1/3) Pt(110)面上にO-O 面が成長 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 60/72 (100) 配向 と(110) 配向の成長過程 Ba Ti O 表面 表面 断面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Pt (110) 配向 BaTiO3膜 (100) 配向 BaTiO3膜 Ti-O 面にBa-O面が成長 (2/3) O-O 面にBa-Ti面が成長 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 61/72 (100) 配向 と(110) 配向の成長過程 Ba Ti O 表面 表面 断面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Pt (110) 配向 BaTiO3膜 (100) 配向 BaTiO3膜 Pt (100)上にBaTiO3(100) が成長する (3/3) Pt (110)上にBaTiO3(110) が成長する Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 62/72 X線回折とX線極点図測定 (111)配向 (111) 方向に配向した BaTiO3 薄膜 Pt(111) 基板 BaTiO3(111) Pt(111) Pt(111) MgO(111) MgO(111) 6回対称の回折が BaTiO3 (111) 薄膜から確認できる Pt(111)/MgO(111) 基板からは3回対称の回折が確認できる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 63/72 X線回折とX線極点図測定 (111)配向 (111) 方向に配向した BaTiO3 薄膜 Pt(111) 基板 BaTiO3(111) Pt(111) Pt(111) MgO(111) MgO(111) 60°回転した双晶のBaTiO3(111) 薄膜がPt(111)配向膜基板上に 形成されていることが示唆される 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 64/72 Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向 Ba Ti O (1/3) Pt 表面 断面 表面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 65/72 Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向 Ba Ti O (2/3) Pt 表面 断面 表面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 66/72 Pt(111)上へのBaTiO3(111)配向 Ba Ti O (3/3) Pt 表面 断面 表面 断面 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Pt(111)から 60° 回転 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 67/72 各配向 BaTiO3 薄膜の比誘電率測定 測定は1 kHz , 0.1 Vで行った 配向方位 膜厚 (nm) 静電容量 (nF) 比誘電率 誘電損失 BaTiO3(100) 165 11.7 1107 0.043 BaTiO3(110) 160 22.1 2030 0.058 BaTiO3(111) 165 22.5 2072 0.061 (110)配向膜と(111)配向膜の比誘電率は(100)配向膜の 比誘電率の約2倍になる → 配向方位の違いによって比誘電率に違いが現れる 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 68/72 比誘電率の温度特性評価 BaTiO3 薄膜の比誘電率は測定した温度領域では安定 得られたBaTiO3 薄膜の結晶構造が疑立方晶のペロブスカイト構造である ため, 正方晶ペロブスカイト形強誘電体のBaTiO3で確認できるような 120℃付近(キュリー温度)での相転移が起こらない 比誘電率の向上は、成長の際に発生する応力に起因していると推測される 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 69/72 P(分極)→ BaTiO3薄膜のP-E 測定 (111) 電界=300 kV/cmでの直流抵抗 (110) 配向方位 比抵抗(Ω·cm) (100) BaTiO3(100) 5.91 x 108 BaTiO3(110) 4.48 x 108 BaTiO3(111) 8.70 x 107 E(電界)→ BaTiO3(111) 配向薄膜は BaTiO3(100)配向薄膜や BaTiO3(110)配向薄膜 に比べて比抵抗が低い BaTiO3(111)薄膜の双晶界面が比抵抗を下げる要因と推測する 比抵抗が下がったことでP-E ループが膨らんでいる BaTiO3(110)配向薄膜が高い比誘電率(=2000)で、 温度特性が安定、 かつ高い比抵抗を有している 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 70/72 本日の講義の まとめ 日本は多くの独創的な電子セラミックスを創出してきた 村田製作所も電子セラミックスを技術のベースにして発展してきた 強誘電体のチタン酸バリウム BaTiO3 は積層セラミックコンデンサ などに使われ、あらゆる電子産業を支えている チタン酸バリウムの優れた材料特性をさらに引き出すためには、 ナノスケールの材料設計と制御が重要 化学溶液堆積法(CSD法)は新規の電子材料設計に有用なナノテク ノロジーである CSD法によって誘電体膜の微構造、結晶性、配向性などを制御する ことが可能 ナノテクを用いるとバルクのセラミックスでは得られなかった新しい 特性が得られる 今後ナノテクが電子セラミックスの新しい世界を開拓し、広く世の 中に寄与していくことが期待される 大阪大学 大学院 ナノテクキャリアアップ特論 講義資料 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. Slide 71/72 本日の講義 終了 おつかれさまでした www.murata.com ㈱村田製作所 鴻池健弘 15 June 2016 Copyright © Murata Manufacturing Co., Ltd. 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