「“ステップ・ゼロ”からの支援プロジェクト」を実施します

平 成 28 年 6 月 14 日
東 北 経 済 産 業 局
「“ステップ・ゼロ”からの支援プロジェクト」を実施します
~稼げる中小企業への変革を支援するために~
この度、東北経済産業局では、独立行政法人中小企業基盤整備機構東北本部、東北経済連合
会東経連ビジネスセンターと共に、地域の中小企業支援を強化するための調査事業「“ステッ
プ・ゼロ” からの支援プロジェクト」をスタートさせることといたしましたのでお知らせいたしま
す。
これは、金融機関等の認定支援機関や大学、地域の支援機関等が連携し、支援の必要な中小
企業を発掘するとともに、地域中小企業の課題と解決に至るプロセスを共有していくプロジェクト
です。
1. 背景
去る 6 月 2 日に取りまとめられた日本再興戦略 2016、「ローカルアベノミクス」の章では、
地域中小企業の世界市場を目指した海外展開支援や、IT 利活用をはじめとする中堅企業・
中小企業・小規模事業者の生産性向上支援等に積極的に取り組むこととしております。
支援のあり方については、これまで「東北支援人材サミット」を開催し、日本再興戦略に基
づく「支援の『見える化』」や、関係機関の連携方策について議論を重ねて参りました。
昨年度の会合では、海外市場開拓や、生産性向上を実現し、収益の改善を実現した中小
企業から事例報告いただいたところ、そうした成功企業からも、支援施策との距離感が指摘さ
れました。
2. 「“ステップ・ゼロ”からの支援プロジェクト」の目的
これまでの支援は、何等かの方法により、自らのイニシアチブで支援者にアプローチを取
ってきた企業に行ってきましたが、このプロジェクトでは、地域支援組織(大学、金融機関、各
県支援組織等)が連携し、相談できずに悩んでいる企業にも働きかけ、外部支援受け入れの
スタートラインに立っていただくものです。1 社でも多くの中小企業に支援が届き、新しいビジ
ネスモデルにチャレンジしていただけることを目指します。詳しい概要は別添のとおり。
3. 今後のスケジュール
6 月下旬に委託事業者の公募を開始し、委託事業者を決定した後、本格的活動を行う予定。
(本発表資料のお問い合わせ先)
東北経済産業局産業支援課長 遠藤 憲子
担当者 五十嵐、大黒
電 話: 022-221-4882(直通)
平成28年度 地域経済産業活性化対策調査
“ステップ・ゼロ”からの支援プロジェクト
~稼げる中小企業への変革を支援するために~
2016年6月14日
東北経済産業局
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中小企業が減っていく。特に被災地が著しい
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
東北
全国
中小企業事業所数
2012年
2006年
12年ー06年
42,669
49,476
-13.8%
38,711
46,501
-16.8%
59,565
72,742
-18.1%
36,304
42,205
-14.0%
42,277
47,721
-11.4%
61,887
72,856
-15.1%
281,413
331,501
-15.1%
3,852,934 4,197,719
-8.2%
平成27年、平成22年中小企業白書
付属統計資料2表より 加工
2
より効果的な支援とは何か、試行錯誤が続く。全国的には「やる気のある企業」への集
中支援や、地域経済に影響力のある中堅・中核企業への支援により、関係する企業
全体への波及効果を期待した支援が開始されている。
成長企業支援状況
ジャパンブランド、中核企業支
援施策等で年間100社程度支援
ものづくり補助金等で年間
750社程度を支援。
東北のものづくり企業推定2万
社のうち、約850社を支援
(全体の4%程度)。
3
東北支援人材サミットを開催し、支援者側、企業側の立
場から、それぞれ意見を聴取
●平成25年度の日本再興戦略を受けて開催された「東北地方産業競争力
協議会」の提言を受けて平成26年度から開催。
 「企業の身近でそのニーズを深く聞き取れる支援者(伴走型)と課題解決
できる専門性の高い支援者(専門型)をマッチングし、双方の能力を高める
とともに、そのネットワーク化を進めるための仕掛け作り」に言及。
●平成27年度は、売り上げ低迷から、支援者のサポートを受けて収益改善
に至った3社に登壇いただき、ディスカッションを実施した。
2016年3月23日
東北支援人材サミットより
4
企業側の意見(支援者の飛び込み営業で、最初の一歩を踏み出した2社)
玉澤精機株式会社
(山形県米沢市)
○創業:昭和33年
電気・通信機器部品、コネクター
端子部品製造
○創業以来、切削加工をはじめプ
レス加工やコネクター端子部品の
製造を行う。
○製品市場の縮小、リーマンショッ
クの影響等で売上げが激減するが、
金融機関の紹介で、ハブとなる支
援者と出会い、カイゼン事業に着
手。1年半で
売上げのV回復。
月に一回工場の
有給休暇日も出
来た。
課題を社外に漏らすことは恥。
何度も訪問を受けて開いた胸襟
株式会社大武・ルート工業
(岩手県一関市)
○創業:昭和43年
医療機器製造業、スポーツ機器、小
型産業機械等の販売・製造
○高い技術力を活かし自動ネジ供給
機の製造販売で海外展開を果たした
ものの、模倣品の大量発生で販売不
振となる。その時、偶然やってきた特
許流通アドバイザーの訪問をきっかけ
に、知財戦略構築、その後の自社ブラ
ンド創出で問題解決。医療用として認
可を受けたトレッドミ
ルも自社ブランドで
製造販売で売り
上げ回復。
「特許流通アドバイザー」の飛び
込み営業からそれは始まった
5
3社のうち残り1社は、自らの積極的行動で必要な支援者を得て前進
株式会社川喜
(岩手県釜石市)
○創業:昭和24年
製麺製造業
○1980年代の釜石経済低迷期から域外販路開拓を
積極的に展開。
○お客様の声から、100%岩手県産の原材料を使
用した「生そば」を製造。
○東日本大震災後、物流の寸断により、急激な売上
げ減に見舞われる。その後、積極的にセミナーや勉
強会に参加し、必要な支援者には積極的にアプロー
チし、大学との技術共同開発(滅菌技術開発で賞味
期限の延長を実現)やブランド構築、商品の高付加
価値化や販売戦略等により、震災前の売上げを回復
していく。
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こうした企業を次々発掘し、支援の流れに乗せたいが・・・
3社のうち2社は、自ら発信する企業群ではなかった
(少なくとも自らは認識せず)
支援人材サミットの議論では、そもそも「支援策を知らなかった。」
「自社と支援施策が結びつかなかった。」「役所は敷居が高い」
「制度利用が負担」という意見も寄せられた。
企業側から発信するケースは少ない。
多くの企業は、課題を先送りしているか、気づいてい
ない可能性がある。
3社の事例から、支援が必要なのは、「悩んでいる企業」。
どうやって出会っていけるか。
7
支援者側、支援者への意見でも
【支援者A氏】
東北のものづくり企業350社以上訪問したが積極的な戦略を持つ企業は少ない。多くの企業が
「外部支援はいらない」と答える。運良く支援を求める企業に出会っても、支援者に「おまかせ」型の
場合が多い。
【支援者B氏】
初めて会った人に企業の悩みを言える社長は少ない。支援前の段階での説得、信頼関係こそ鍵。
一度外部支援の受け入れを決めてくれたら(ステップ・ゼロに立つ) 、進展は早い。
【支援者C氏】
信頼関係の構築や長期的な支援の観点から、専門家が一人で企業訪問するのではなく、日頃から
企業と接触のある伴走型支援者と一緒に企業を訪問する、一緒に活動することが重要。
【企業側の意見】
支援者と1対1の関係になると、企業側は弱くなる。気の進まない事を受け入れるケースもある。
見下して接する専門家も多いなど、過去の経験が外部支援を疎遠にしている要因もある。
チームでの支援は効果的である。
8
悩みをなかなか言えない経営者
どうやって説得するのか。支援者側に
こそ高いスキルが求められる
多くの企業を支援のスタートラインに
誘いたいが・・・・
ステップ・ゼロの壁
9
ステップ・ゼロとは
 企業をその気にさせる、「支援を受けてみよう」、対策の「一歩を踏み出そう」
と決意させる。そのスタートラインが「ステップ・ゼロ」
 支援施策をいくら準備しても、水面下にいる支援の必要な企業に届かない
専門家派遣、
チーム編成
支援機関同士の連携・受け渡し
ハブ支援者
身近な伴走
型支援者
1st STEP
「真の」課題把握
2nd STEP
処方箋の
検討
3rd STEP
対策実行
壁の克服、時間軸
ステップ・ゼロ
10
今回のプロジェクトが目指すターゲット
支援の依頼を待
つのではなく、挑
戦していく企業づ
くりをオール東北
で仕掛けていくし
くみづくり
今回の対象エリア
企業訪問の現場から支援企業を絞り込む。その手法構築のため、今回は、企業
の情報収集/分析、実際の支援を通じ、企業側の現状、ポテンシャルの高い領域
把握と支援のあり方検討と同時に支援者側のネットワーク構築、スキルアップの
両面を狙う。
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調査イメージ
年度末に、成果発表大会(支援人材サミットの発展形)を開催
翌年度の既存事業活用へ
生産性向上
チーム
販路開拓チーム
実際の支援企業の
絞り込み、支援チーム
とのマッチング
ブランディング
チーム
海外展開チーム
ハブ支援者による実行委員会を各県でも開催
(東経連ビジネスセンター、中小企業基盤整備機構東北本部、
学識経験者ほか)
調査協力者による社長ヒアリングの実施 (発掘)
研究開発チーム
ステップ・ゼロの
発掘ノウハウを
「見える化」
ヒアリングサポート
チーム
企業の身近にいる伴走型支援機関等(特に金融機関)の参加を呼びかけ
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【参考】
東北地域で活躍するプレイヤー図
地域企業
地域企業
伴走型支援人材
認定支援機関
(金融機関職員、士業、商工会議所、商工会職員等の産業支援機関職員)
伴走型支援と専門的支援人材をつなぐ機関等の例
IM協議会
インキュベーション
マネージャー
カイゼン
(経営改善等)
東経連
紹介・チーム支援
ビジネスセンター
中小企業
基盤整備機構
研究者
(技術開発等)
専門分野に特化した
支援機関等
中小企業再生支援協議会、経営改善支援セ
ンター、事業引継センター、公設試等
デザイン・
ブランディング
(知財活用等)
マーケティング
(販路開拓等)
※中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律で認定された機関
専門的支援人材
大学等の地域連携
に関する組織など
よろず支援拠点