異なるシステム、形式をもったグローバルのビジネス データを、 Microsoft

Yanmar Marine International
異なるシステム、形式をもったグローバルのビジネス データを、
Microsoft Power BI の採用で可視化。わずか 2 か月という短期間
で、事業戦略に有効活用できるデータ分析環境を構築
1912 年に創業し、農業機械、建設機械やエネルギー システム、ディーゼル エンジンなどの製造
ソリューション概要
○プロファイル
農 業 機 械、 建 設 機 械 やエ ネ ル ギ ー システム、
ディーゼル エンジンなどの製造と販売を手がけ
るヤンマー グループにおいて、プレジャーボー
ト 向 け 機 器 の 販 売 を 展 開する Yanmar Marine
International。本社機能をもつオランダから欧州、
アメリカ、アジアにいたる世界中の市場をターゲッ
トとし、事業を展開する同社では、今後も、ヤン
マー グループのグローバル ビジネス拡大とそこで
のブランド価値の向上に取り組んでいきます。
○導入製品とサービス
・Microsoft Power BI
・Microsoft Office 365
○パートナー企業
株式会社ギックス
○導入メリット
・Microsoft Power BI を採用し、2 か月でグロー
バル規模の分析基盤を構築
・過去や地域別のデータを収集・分析して、グロー
バルに共有することが可能に
・これまで見えていなかった情報が視覚化され、
セールスを数字でサポート
・会議の質向上や意思決定のスピードアップに
データを活用できる環境が整備
○ユーザー コメント
「現在、Power BI に入っているのは、実績、受注
残、予算、以上 3 種類のデータのみです。将来
的には在庫や生産情報などのデータを扱うこと
も構想していますが、具体的な計画はこれからに
なります。というのも、最初から情報を増やしす
ぎると使う側がついていけず、結果として利用さ
れないシステムになる懸念があるからです。まず
は、メンバーにダッシュボードを使いこなしても
らうべく、先の 3 種に絞ってデータの収集と分析
を行っていますが、使い勝手のよいダッシュボー
ドのおかげで、たとえ 3 種であってもさまざまな
視点からデータが分析できます。その有用性の
理解と併せて浸透も広がっており、課題として存
在していた販売計画の精度も向上できていると感
じています」
Yanmar Marine International
マーケティングマネージャー
前原 尚起 氏
と販売を手がけるヤンマー株式会社。国内だけでなくグローバルでも高い評価を得ている同社は、
2015 年 1 月で行われた事業再編により、プレジャーボート向け機器を統括する部門をオランダに
拠点を置く Yanmar Marine International に集約し、海外でのビジネス拡大をいっそう強化して
います。
この事業再編によって、これまで現地法人ごとで取り行われていたプレジャーボート向け機器のビ
ジネスは、オランダに構える本社からの統括体制へと変更されました。従来は地域ごとで異なるシ
ステムや形式のもと蓄積してきたビジネス データですが、新体制での意思決定においては、その統
合と可視化が必須事項となります。同社ではこの課題に対し、
「さまざまな形式のデータ統合と集計
の自動化」と「ダッシュボードのユーザビリティ」を評価し、Microsoft Power BI の採用を決定。わ
ずか 2 か月という短期間で、グローバルでのデータ分析基盤の構築を実現し、意思決定の場におけ
る議論の精度とスピードの向上に効果を成しています。同社では今後、Power BI の活用を本格化す
ることで、さらなる意思決定の発展と、同社競争力の強化をすすめていきます。
導入の背景とねらい
システムや形式が異なるグローバルのビジネス データの統合と見える化が急務
だった
ヤンマー グループにおいて、プレジャーボート向け 機器 の販 売を世界中で展開する Yanmar
Marine International ( 以下、YMI)。2015 年 1 月にヤンマー株式会社で行われた事業再編によって、
グローバルで統括するための本社機能が移管された同社へは、ヤンマー グループのグローバル ビ
ジネス拡大とそこでのブランド価値の向上が期待されています。
主要市場である欧州からマーケティングの最適化とオペレーションの効率化を行うべく、オランダ
に本社機能が設置された YMI。欧州、アメリカ、アジアとグローバルにプレジャーボート事業を
統括することになった同社の本社においては、ビジネス データの活用面で、課題が存在していた
といいます。Yanmar Marine International マーケティングマネージャー 前原 尚起 氏は、YMI に
よって生じた課題について、次のように説明します。
「事業戦略や予算を計画する場面では、地域ごとのビジネス データが必要不可欠です。ところが、
現地法人で使われているシステムやデータ形式はそれぞれで異なっており、先の計画立てに際して
多角的なデータの分析が困難な状況でした。また、これまではアメリカ、シンガポール、オラン
ダの地域統括会社 (RHQ) が各地域のビジネスを統括していましたが、YMI の設立に伴い全地域
のビジネスをオランダ本社から統括することとな
り、情報共有のカバレッジも一気に拡大したの
です」( 前原 氏 )。
YMI に本社機能が移管された後のビジネス デー
タは、地域拠点における業務フローを整備する
ことで、多少の人力は要するもののその集計と
分析が行えていました。しかし、同社が特に課
題を持っていたのは、過去のビジネス データを
Yanmar Marine International
Yanmar Marine International
ら分析が行える点とダッシュボードの利便性、(Web ベースのシステム
有効に生かせていない点にありました。
である背景で ) グローバルでの共有が迅速に行える点を評価し、2015
「過去のビジネス データは、販売計画の予測、
年 10 月にて、Power BI の導入を決定しました。同月には戦略コンサ
実績比較といった営業面だけでなく、そこにあ
ルティングとアナリティクスを軸としたサービスを展開する株式会社
わせた生産や在庫計画など、当社のビジネス全
ギックス ( 以下、ギックス ) へ、Power BI のダッシュボードと、各地
般に作用する非常に重要な情報となります。販
域の実績データを加工するマクロ ツールの開発を依頼し、翌月 11 月
売計画に大きなズレが生じた場合、供給不足に
から開発が本格始動しました。その後、わずか 2 か月という期間を経
よる顧客満足の低下や、在庫過多による損益計
て 2016 年 1 月、分析基盤の構築が完了しています。
上などが発生し、ビジネスへ大きな打撃を与え
かねないのです。販売計画の精度を高めるに際
しては、過去のビジネス データを多角的な視点
から分析しなければなりませんが、既存のシステ
Yanmar Marine
International
マ ー ケ テ ィン グ マ ネ ー
ジャー
前原 尚起 氏
短期間での開発が実現した背景について、株式会社ギックス 取締役 ア
ナリティクス事業リード 花谷 慎太郎 氏は、次のように説明します。
「YMI 様から依 頼をいただいた時点ですでに、Power BI を採用する
ムと体制ではそこに限界がありました。グローバ
ルにビジネス データを統合、分析する環境の構築は、急を要する課題
ことが決まっており、ダッシュボード上でどのような表現をしたいかと
だったのです」( 前原 氏 )。
いうイメージも固めて頂けていましたので、当社ではまず、過去の蓄
積分を含めた既存データを統合するためのプログラムをつくりました。
Power BI のダッシュボードの特徴は、目的に合わせて短期構築しやす
システム概要と導入の経緯、構築
グローバル規模の分析基盤を、Microsoft Power BI とマク
ロ ツールをもってわずか 2 か月で構築
いという点にあると思います。今回のプロジェクトではその Power BI
の特性を十分に生かし、短期間での分析基盤の開発が実現できたと思
います」( 花谷 氏 )。
YMI では 2015 年 9 月より、グローバルのデータを統合した分析基盤
の構築が検討されました。ビジネスの行方を左右するシステムゆえに
また、前原氏は、今回のプロジェクトにおける開発スピードの重要性に
その構築には短 期性が求められ、既存環境を生かせる方法として BI
ついて、次のように続けます。
(Business Intelligence) ツールの採用が方針として掲げられ、日本マイ
クロソフトが提供する Microsoft Power BI の採用を前提に、検討が進
「構築した分析基盤では、システムから取り込んだ生データをマクロ
ツールで加工し、ローカル環境の Power BI Desktop 上でデータへ多
められたといいます。
少の手作業を加えた後、クラウド ベースの Power BI Service をもって
前原氏は、Power BI を前提に検討を進めた理由について、次のように
メンバーへ共有するという形式をとっています。完全な自動化というわ
説明します。
けではありませんが、現在 YMI ではシステム全体の整備をすすめてい
る段階にあり、それが固まるまで待っていては、いつまでたっても分析
「ヤンマー本社の経営戦略部に所属していた 2014 年 9 月、各国市場の
基盤は整備できません。今回のプロジェクトでは、はじめから完璧な
有望性について社内に報告する機会がありました。経営層へのプレゼン
ものを求めるのではなく、まず先に動かせるものをつくり、そこから
テーションを伴うものであったため、そこではいかに納得性や論理性を
データ面やダッシュボードをチューニングしていくという考えでスター
持った分析結果を簡潔にわかりやすく提示するかが問われます。当時、
ヤンマーグループ全体で Office 365 を導入したタイミングだったことも
ギックスが構築
あり、初期コストが発生せず利用できる ( 当時 Excel のアドオンとして
提供されていた ) Power BI を利用して、分析とその結果の見える化を
行ったのですが、利便性の高さと、多様な形式
過去
販売実績
当期
販売実績
当期
受注残
当期
予算
1
ルーティンワークとして簡単
な作業で機械的に作成できる
もの
のデータから分析を行える点が強く印象に残っ
ていました。YMI における各地域拠点のビジネ
データ統合マクロ(プログラム)
ス データは、形式こそバラバラですが、しっか
りしたデータとして蓄積されています。Power
BI であれば、それらを自動化した形で統合し、
統合データ
(Power BI へのインプット)
多角的な分析も容易に行えると期待したのです」
る Power BI ですが、YMI では他のツールとも
比較検討を行った上で、多様のファイル形式か
2
経営の基本指標を確認
できる初期ダッシュ
ボードの作成
今後ニーズに応じてブラッシュ
アップされることを蓄積
( 前原 氏 )。
現在はクラウド ベースのツールへと移行してい
4 種類のデータを統合
するマクロ―ツールの
構築
経営ダッシュボード
(Power BI レポート)
株式会社ギックス
取締役
アナリティクス事業リード
花谷 慎太郎 氏
初期ダッシュボードと統合データを作成するマクロ ツールは、わずか 2 か月という短期間で開
発が完了している
Yanmar Marine International
トしましたが、Power BI はこのような方針において最適な選択だった
してしまう可能性があります。さらにその分析結果についても、散布図
と感じています」( 前原 氏 )。
や階段チャートなど、さまざまな表示が可能ですので、ひとめでメンバー
全員が情報を理解できます。意思決定の精度とスピードは、大幅に高め
「Power BI の特徴として、ギックスの標榜する『イテレーションを前提
られたといえるでしょう」( 前原 氏 )。
とした分析活動』に適していることがあげられます。複数のデータ ソー
スをつないで統合し、まず『最低限動くもの』を作ります。そのアウト
現在はまだ、Power BI の使い方を浸透させている段階ですが、ツール
プットを活用してビジネス上の成果を享受しながら、並行して、足りな
としての利便性の高さは、その浸透スピードをも早めていると、前原 氏
い部分を見極めたり、より高度な分析のニーズを掘り起こしていきます。
は続けます。
このような、いわゆる『リーンな開発』は、ギックスが目指す価値の提
供に非常にマッチしているのです。今回の YMI 様のように、
『まず最低
「現在、Power BI に入っているのは、実績、受注残、予算、以上 3 種類
限、ここまでやりたい』ということが明確である一方で『本来目指すべ
のデータのみです。将来的には在庫や生産情報などのデータを扱うこと
き理想形は、まだ描きにくい』という課題をお抱えのお客様は多くいらっ
も構想していますが、具体的な計画はこれからになります。というのも、
しゃいます。そうした場合には、事前の要件定義に時間を投下するより
最初から情報を増やしすぎると使う側がついていけず、結果として利用
も、まず『最低限動くもの』を作ってから、それを段階的に進化させる
されないシステムになる懸念があるからです。まずは、メンバーにダッ
『イテレーション プロセス』を前提とした分析環境の構築を行うべきだ
シュボードを使いこなしてもらうべく、先の 3 種に絞ってデータの収集
と考えています」( 花谷 氏 )。
と分析を行っていますが、使い勝手のよいダッシュボードのおかげで、
たとえ 3 種であってもさまざまな視点からデータが分析できます。その
導入の効果
有用性の理解と併せて浸透も広がっており、課題として存在していた販
ビジネスのリアルタイムの状況が把握可能になり、意思決定
の精度とスピードが飛躍的に向上
売計画の精度も向上できていると感じています」( 前原 氏 )。
2016 年 1 月より Power BI の運用を開始した YMI。同社では現在、17
社内におけるユーザー拡大も視野に入れ、活用を進めていく
のアカウントのもとで Power BI Service が利用されています。マネージ
今後の展望
メント層に加え、関連部門のメンバーを主なユーザーとし、月次会議な
短期間で構築が完了した分析基盤が既に有効に機能している YMI です
どで活用されている Power BI ですが、前原氏はすでに、その効果が現
が、前原氏は今後、会議の質と意思決定のスピードのさらなる向上を見
れているといいます。
据え、Power BI のダッシュボードを活用していくことを計画しています。
「まず、これまで見えていなかった情報が見える化できたことが効果と
「意思決定の場とデータの分析作業が分断している場合、現在のビジ
して挙げられます。たとえば地域ごとの実績差異について、従来でも並
ネスの速度に追従することは難しく、そのような会議はもはや時代遅
列した比較はできましたが、
『差異の原因』までを瞬時に、かつ多角的
れだといえるでしょう。Power BI を導入したのは、会議中にその場で
に分析できるようになったことが大きな違いです。この『瞬時に』とい
データを動的に分析することで、会議の質と意思決定までのプロセス、
う点が、意思決定の場においては非常に重要なのです。もしも原因の解
スピードを向上させることにも狙いがありました。すでにその効果は
明が次の会議へ持ち越されてしまうと、その間でビジネス チャンスを逃
現れていますが、さらに向上させるためには、メンバーが Power BI を
開発当初
現在
ギックスにて構築された初期ダッシュボード ( 画像左 )。Excel のピボットテーブルに似た利便性の高い操作性をもつ Power BI 上では、YMI により日々刷新がなされ、運用開始当初と比較しそのダッ
シュボードも劇的に変化している ( 画像右 )。多角的な視点から見える化されたデータは、クラウド サービスの利点をもって即座にグローバルへ共有される
Yanmar Marine International
使いこなすことが求められます。近いうちに専任のヘルプデスクをお
Power BI を採用したグローバル規模の分析基盤を短期構築し、ビジネ
くことで、メンバーの Power BI の利用スキルをもう一段階高めていく
ス データの有効活用を推し進める YMI。今後、Power BI の活用が本
予定です」( 前原 氏 )。
格化するにつれ、同社のビジネスはさらなる発展を遂げていきます。
さらに、同社では社内におけるユーザー拡大も視野に入れた活用も構想
されています。
「Power BI は容易に操作でき、ユーザーを選ぶことはありません。社員
の多くがあらゆる場面でデータを有効に、即座に活用できるようになれ
ば、当社の競争力はさらに向上できますので、将来的には全社的に活用
することも検討しています。現在、Power BI のダッシュボードは 1 種類
しか使っていませんが、ユーザーの拡大に応じ、部門ごとで必要なデー
タを扱ったダッシュボードも構築することになるでしょう。いますぐでは
ありませんが、優先度の高い部門から段階的にすすめていきたいと考え
ています」( 前原 氏 )。
導入についてのお問い合わせ
本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/
本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2016 年 4 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。
■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/
■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755
(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )
※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。
*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。
*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。
〒 108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー
6013-MN1