自転車選手のパフォーマンス 身体能力 技術 勝つ事への

1-1) 選手の能力の定量化
通常、自転車の世界で、選手の速さを表すにはタイムで表します。例えば「筧選手が乗鞍を 56 分で走った」と言えば乗鞍ヒルクライムに出場した事のある選手
自転車選手のパフォーマンス
は、それがどれほど速いタイムかわかります。しかしそれがどれほど速いかを、乗鞍以外の場所
で出したタイムと比較する、あるいは乗鞍に参加したことのない選手が想像する事は難しいでし
ょう。各レースで、コースの勾配、距離、標高差は違います。
身体能力
技術
エネルギー代謝能力
心肺系の強さ
筋肉の組成
ペダリング技術
ポジション
その強さをタイム以外の規格化された数字(強さを表す代表的な数値)で表す事ができれば、ど
こで走ってもその数値で比較ができるようになります。またその数値が、選手の能力を誰とでも近
い条件として比較可能な数値であれば、その数値を聞いただけでどれくらい強い選手なのかが
想像できるようになります。その数値として Power 値を普段から測定していれば、「筧選手は乗鞍
を 56 分で走る」と聞くよりも「筧選手は 320W を 56 分間維持できる」と聞いた方が、自分の能力と
レース戦略
レースにおける勝負所の判断
精神力
勝利へのこだわり
冷静さ
勝つ事への
モチベーション
比較してイメージしやすくなるでしょう。
自転車選手のパフォーマンスに関係のある要因
として、
①身体能力
②技術
③勝つ事へのモチベーション
が挙げられます。選手はこれら三つの要素をそれぞれ異なる比率で持ち合わせています。練習では強いのに、試
合ではなかなか勝てないと言う選手はどのチームにもいると思います。①身体能力、が高くても③勝つための戦
略、あるいは執念が足りないのかも知れません。これら要素はレースで勝つ確率を上げるためにはいずれも欠か
せないモノです。①および②はレースで勝つためには重要な要素であり、パワーメーターを使って特定の方法で
Power 値を測定(定量化)する事ができます。身体能力を Power 値で測定すればある程度その選手のパフォーマ
ンスを予測する事ができます。
自分の自転車とローラー台を使って能力測定
③はレースを難しくかつおもしろくするための大事な要素ですが、さすがにこれは測れません。しかし Power 値で
選手の身体能力を測定する際に、その選手がどこまで自分の限界まで追い込めるのか?、という要素も必ず一緒に入ってきます。測定の値には、自分をどれだ
け追い込めたのか、と言う要素も含まれているのです。
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通常、選手の能力測定では、実験室で VO2 測定マスクを取り付けて、エルゴバイクに乗り、Power 値と同時に運動時の酸素摂取量を測定し、またどの強度が
AT(摂取量の変化点)になるか?を決めます。酸素摂取量は最も根本的な運動強度の測定方法ですが、近年、選手の特徴を生理学的因子で評価する場合、摂
取酸素量の変化点ではなく、血中乳酸濃度を測定してその変化点を能力の指標とする事が一般的になりつつあります。血中乳酸濃度の変化点で決める指標は
LTと呼ばれていますが、これについては後述します。
いずれにしろ、一般のレーサーにとってそういった施設にアクセスする機会はあまりないと思います。
また有料で測定する施設もありますが、殆ど全てのケースで、エルゴバイクを使う事が多いので、ポジションがバッチリ合った自分の自転車を使って測定する事
ができません。しかし自分の自転車にパワーメーターを取り付けていれば、自分の自転車が測定用のエルゴメーターになります。すると自分の自転車で、ローラ
ー台上でいつでもできますし、もちろんいつもの練習と同じように外で走りながら測定する事もできます。
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