1 「新・長岡京市観光戦略プラン(仮称)」 策定及び推進本部構築

「新・長岡京市観光戦略プラン(仮称)」
策定及び推進本部構築コンサルティング業務
基 本 方 針
1.はじめに
平成18年3月に策定された現在の観光戦略プランは、策定後10年が経過し、様々な
意味で節目の年を迎えています。観光戦略プランの中で計画化されている「アクションプ
ログラム」は、長岡京市の観光を戦略的に展開していくために、10年程度先の中長期的
なスパンを視野に入れながら設定されたものであり、観光のニーズや社会的背景も含め見
直しの時期といえます。また、平成28年度は、長岡京市第4次総合計画のスタートの年
であり、
「観光戦略プランの見直しと推進」が実施計画に位置付けられ、各種観光施策を推
進するうえでのシンクタンク機能を果たすとされたことからも観光戦略プランの統括的見
直しが必要とされています。
長岡京市は、昭和47年の市制施行以来、交通の利便性や歴史・自然の豊かさを背景に
大きな発展を遂げてきました。特に近年では、京都縦貫自動車道の開通や阪急西山天王山
駅の開業など、新たな交通結節点となる都市基盤整備の充実を受け、様々な分野における
次のステージへのステップアップ機運が高まっています。
観光・地域経済の分野においても、それらのインフラ充実を軸とした交流人口の増加と
観光消費の拡大を促す施策展開が必要とされており、このような現状を受け、その方針、
理念、方向性、ターゲット、またその手法、進捗管理などを明確に示す「新・観光戦略プ
ラン」の策定を行います。なお、今回の観光戦略プランのシンクタンク化事業では、進捗
管理などを行ううえで最も重要な要素と言える推進本部組織の再構築についても取り組む
こととし、日に日に変化する時代のニーズや社会的背景、観光動向などに対応し、行政、
企業、団体、個人等が同じ目的と方向性をもって観光課題に取り組むことを目指します。
2.長岡京市の観光
長岡京市を訪れる観光客は、年間約130万人。特に春と秋の観光シーズンには、多く
の観光客や住民が、長岡天満宮のキリシマツツジ、乙訓寺のボタン、柳谷観音楊谷寺のア
ジサイ、光明寺の紅葉などの名所・旧跡を求め来訪します。
京都駅から約10分、大阪からは約30分と、非常に交通の便に恵まれた本市ではあり
ますが、いわゆる観光産業が盛んな街というよりは、暮らす街、つまりベッドタウンとい
う印象が強く、大観光都市“京都市”に隣接しているにも関わらず、観光として受け入れ
る交流人口にはまだまだ伸びしろがあると思われます。
一方で、先にも述べた天満宮や光明寺など、全国的にも知名度のある寺社仏閣や、京都
ならではの深い歴史ロマンに満ちた名所・旧跡が市内に数多く点在しており、各施設では、
1
京都市内ほどの混雑もなく落ち着いた雰囲気のなか京都の醍醐味を体感することができる
ことや、本市でしか体験できないプログラム、便利さと自然の融合が感じられる見事な景
観など、京都とはまた一味違った観光素材を持ち合わせています。
3.長岡京市の観光課題
① 観光消費額の低迷
現在、長岡京市を訪れる観光客の大半は、日帰りの観光客です。京都市に宿泊した
り、京都を訪問された方のプラスワン観光という位置づけと言えます。そして、1人
当たりの観光消費額は、わずか400円前後という状況です。様々な要因が密接に絡
み合って観光消費額の低迷を招いていることは言うまでもありませんが、この一人当
たりの観光消費額の増加は重要な取り組み課題です。
② 二次交通の不足
長岡京市には、様々な観光スポットが市内の全域に点在しています。
長岡京市への交通アクセスは、鉄道、高速、幹線道路、バス等、かなり充実してい
ますが、観光スポットとスポットを結ぶ二次交通には、多くの課題を抱えています。
このことが滞在時間の短縮を招き、様々な観光課題にも影響を与えています。
③ 土産物等の不足
観光産業が主軸の街ではないと言いながらも、年間100万人以上の観光客が来訪
されていることは事実です。しかしながら、以前行った観光基礎調査(ニーズ調査)
では、お土産物等の少なさは、観光客・住民双方から指摘される課題でありました。
④ 宿泊施設の不足
宿泊施設が無いことは、直接的にも間接的にも観光消費額の低迷に影響を与えてい
るといえます。
⑤ 駐車場の不足
観光シーズンには、乗用車や観光バスの駐車場不足による交通渋滞が大きな課題とな
っています。限られた土地をいかに有効利用するか、道路の狭さなどの事情も相まって
深刻な課題であります。
⑥ 認知度の低さ
大観光都市“京都市”に隣接している、交通の利便性が高いなどの強みがあるにも
関わらず、全国的な認知度はまだまだ低いと言わざるを得ません。
⑦ 観光素材の点在化
長岡京市の代表的な観光素材は、エリア的にも、シーズン的にも点在化しています。
現在は、この長岡京市にとって強みにも弱みにもなる「点在化」というキーポイント
をうまく活かしきれていません。
2
4.まとめ
本市が抱える観光課題は、二次交通や駐車場の不足などインフラ整備に関わるものから、
観光消費額の低迷や土産物等の不足、認知度の低さなどベッドタウンである本市ならでは
の課題まで、複雑で多様化を極めます。
以上のような本市特有の観光課題に加え、本格的な人口減少や少子高齢化時代の到来を
始めとする様々な課題を抱える現代社会において、都市としての魅力を高め、「選ばれる
まち」となることは、いまや自治体運営における重要な取り組み課題と言えます。
「長岡京市第4次総合計画」に掲げる『住みたい 住み続けたい悠久の都 長岡京』。こ
の15年後の将来像の実現に向けた施策のひとつとして、今回のコンサルティング事業の
企画を提案してください。
つまり、観光誘客強化をめざし消費額をあげ、地域経済の活性化につなげることはもち
ろんですが、定住促進につながる交流人口の増加や、市のブランドイメージアップにつな
がるシティプロモーション的観光施策を展開することも必要とされます。さらに、推進本
部として再構築される組織は、DMO組織への発展性やアドバイザー等の導入などを見据
えた企画提案を大いに期待するところであります。
3