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発表解禁日時:2016年6月13日(月)13.00 JST、05.00 GMT、00.00 EDT
Koichi Tezuka
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス (BNEF)
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石炭・ガスの低価格は続くが、再生可能エネルギーはコスト競争に勝つ
今年のBNEF長期予測では、25年間の全世界の発電設備投資額を11兆4,000億ドルと予想し、電気自動車
の普及に伴う2040年までの電力需要の増加は8%に及ぶとしている。
ロンドン、ニューヨーク、2016年6月13日-石炭とガスの低価格傾向は続くが、それによって今後数十年に渡
って進むと予想される世界の電力システムの根本的変化、すなわち風力や太陽光などの再生可能エネル
ギーと、電池などのバランシング手段への移行が妨げられることはないだろう。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによる最新の長期予測「New Energy Outlook (NEO) 2016」
では、世界の石炭、ガス、石油価格の推移を、1年前の予測に比べて大幅に低く見積もっている。 一方、さ
らに重要なこととして、風力および太陽光発電のコストは、より速いペースで低下すると予想される。
この予測は2016~2040年の期間を対象としており、二酸化炭素排出量に関しては明暗両面の予想がある。
中国では、GDP成長の鈍化と、経済の再編によって、2025年までに排出量がピークに達すると見られる。
一方、インドやその他のアジア新興国における石炭火力発電の増加に伴い、2040年の全世界の排出量は、
2015年の水準を約700メガトン(5%)上回ると予想されている。
BNEFの欧州、中東、アフリカ担当責任者で、NEO 2016の責任者でもあるSeb Henbestは、次のように述べ
ている。「2016年から2040年までの全世界の再生可能エネルギー投資額は約7兆8,000億ドルに達し、発電
設備投資全体の3分の2を占めるが、国連が定めた2℃の気候変動目標に見合う排出量を実現するには、さ
らに数兆ドルの投資が必要となるだろう」
NEO 2016の注目すべき結論10点を以下に示す。
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石炭・ガスの低価格傾向は続く。 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスでは、石炭とガスの価格の
長期予想を、それぞれ33%および30%引き下げた。これは、これらの資源の供給過剰が続くという見通しを
反映している。 これにより、石炭・ガス火力発電のコストは低下する。
風力発電と太陽光発電のコストは急速に低下する。 2040年までに、陸上風力発電の1メガワットあたりの平
準化発電コストは41%低下し、太陽電池の発電コストは60%低下する。これにより、多くの国で2020年代中
に、それ以外のほとんどの場所でも2030年代には、これら2つが最もコストの低い発電技術となる。
化石燃料発電への投資額は2兆1,000億ドルと予想される。 石炭・ガス火力発電への投資は、主に新興国で
続く。 石炭火力の新設には約1兆2,000億ドル、ガス火力には8,920億ドルが投じられる。
ただし、投資が最も多いのは再生可能エネルギーである。 グリーン発電への合計投資額は7兆8,000億ドル
で、陸上および洋上風力発電が3兆1,000億ドル、メガソーラー、屋根上及びその他の小規模太陽光発電が3
兆4,000億ドル、水力発電が9,110億ドルとなる。
2℃の目標を達成するにはさらに多くの投資が必要である。 大気中のCO2レベルを、気候変動に関する政府
間パネルが定めた「安全な」制限値の450ppm以下に抑えるには、2040年までに、上記の7兆8,000億ドルに
加えて、さらに5兆3,000億ドルをゼロカーボン電源に投資する必要がある。
電気自動車(EV)の普及が電力需要を支える。 2040年には、EVの普及によって、世界の電力需要が2,701テ
ラワット時(8%)押し上げられる。これは、2040年の世界の軽車両市場の新車販売数の35%をEVが占めると
いうBNEFの予測に基づく。これは台数でいうと4,100万台で、2015年の販売数の約90倍となる。
小規模太陽光発電システムに併設される蓄電池の市場は2,500億ドル規模になる。EVの普及により、電池
のコストはさらに低下する。これにより、主に住宅用・商業用太陽光発電システムの電力の貯蔵と放電に用
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いられる蓄電システムの設置容量は、現在の400メガワット時未満から、2040年には760ギガワット時まで増
加する。
中国の石炭火力発電は従来の予測よりも弱含みで推移する。 中国経済の変動と、再生可能エネルギーへ
の移行により、同国の今後10年間の石炭火力発電容量は、過去2年のNEOでのBNEFの予測値より1,000テ
ラワット時(21%)低くなる。
これにより、インドが世界の排出量推移の鍵を握るようになる。 同国の電力需要は、2016年から2040年の間
に3.8倍に増加すると予想される。 今後24年間に再生可能エネルギーに6,110億ドル、原子力に1,150億ドル
の投資が行われるとはいえ、増加する電力需要を主に満たすのは引き続き石炭火力発電所である。 このた
め、同国の電力産業の年間排出量は2040年までに3倍に増加すると予想される。
欧州では再生可能エネルギーが主流となり、米国ではガスを追い越す。 風力、太陽光、水力といった再生
可能エネルギー発電は、2040年に欧州の発電量の70%を占める。なお、2015年現在の割合は32%である。
米国では、2015年の14%から2040年には44%に増加し、ガス発電の割合は33%から31%に減少する。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの最高責任者Jon Mooreは、次のように述べている。「新エ
ネルギーに関する見通しでは、1年前の2015年版に比べて、石炭とガスの価格推移を大幅に低く見積もって
いるが、それでも今後25年間にクリーン電力への急速な移行が起きるという予測が変わっていないのは注
目すべきことだ」
NEO 2016プロジェクトの上級エネルギーエコノミストElena Giannakopoulouは、次のように付け加える。「この
予測で意外に思われるかもしれない結論の一つは、北米を除いてガスの黄金時代は訪れないということだ。
世界の電力供給源としては、ガスは2027年に再生可能エネルギーに追い越される。 2037年には再生可能
エネルギーは石炭も追い越す」
2016~2040年の主要発電技術の年間発電量(1,000テラワット時)
12
Coal
10
Gas
8
6
Nuclear
4
Hydro
2
Wind and solar
0
2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 2032 2034 2036 2038 2040
出典:ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスNEO 2016
石炭に関する見通しは、世界の気候変動対策にとって重要な意味を持つ。 昨年12月のパリ会議では、196
カ国が参加して、全世界の気温上昇を2℃より「十分低く」抑えることと、「全世界での排出量のピークをでき
る限り早く実現すること」を目指すことが合意された。 NEO 2016によれば、全世界で再生可能エネルギーへ
の移行が進むにもかかわらず、電力産業の排出量がピークに達するまでにさらに11年かかる。
NEO 2016は、各国で計画中のプロジェクトと現在の政策に加え、将来の電力需要、電力システムの構造、
および技術コストの推移に関するモデルを総合的に考察して作成されている。 2020年以後に、炭素削減を
促進するための新しい政策手段が取られることはないと仮定している。 この予測には、約65人の専門家が
アナリストとして参加している。
NEO 2016のメディア向けのエグゼクティブ・サマリーは、マイクロサイト上のこのリンクからダウンロード可能。
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