遺伝子組換え生物の不適切な取り扱いについて

株式会社バイファ
2016 年 6 月 17 日
遺伝子組換え生物の不適切な取り扱いについて
株式会社バイファ(本社:北海道千歳市、代表取締役社長:夜久晃治、以下「弊社」)は、本
日、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘ
ナ法)の使用等において、不適切な対応があり、厚生労働省より厳重注意を受けました。
弊社は、カルタヘナ法に基づき、社内に安全委員会を設置し、遺伝子組換え微生物(酵母菌の
一種 Pichia pastoris、以下「組換え体」)を用いた遺伝子組換え人血清アルブミンの製造につい
て、適正な管理に努めてまいりました。
しかしながら、製造に使用した組換え体の加熱不活化処理が十分ではなく、ごく微量の組換え
体を含む可能性のある廃液及び廃棄物の一部が工場内の作業区域外に漏出していたことが判明
いたしました。
千歳市及び近隣の住民の皆様をはじめ多数の方々に、ご迷惑とご心配をおかけする事態を招き
ましたことを深くお詫び申し上げます。
弊社としましては、この事態を真摯に反省し、再発防止策を徹底して、信頼回復に努めてまい
ります。
組換え体は、カルタヘナ法上の GILSP 遺伝子組換え微生物として登録されており、その安全
性が確認されております。また、今回の事案では、製造工程において不活化された廃液は、排水
処理の過程でも不活化され、弊社工場敷地内を含め工場外に排出される排水からは組換え体は検
出されておりません。従いまして、住民の皆様及び環境(生物多様性)への影響はないものと判
断しております。
詳細につきましては以下の通りでございます。
1.
経緯
2011 年 10 月から 2012 年 3 月に実施した 3 ロットの試作製造時の環境モニタリングで作業区
域外からごく微量の真菌が検出されたため、同定調査を行いました。その結果、この真菌は
Pichia pastoris であることが判明し、組換え体の漏出が推定されました。これを受け、弊社に
て開催した安全委員会において、この Pichia pastoris が組換え体であったとしてもカルタヘナ
法に抵触しないと誤った判断をいたしました。
最終的にこの真菌は 2013 年 8 月に組換え体であることが確定しましたが、この誤った判断に
基づき、その後、組換え体の漏出原因の究明とその対策を継続して実施いたしました。しかしな
株式会社バイファ
がら、ごく微量の組換え体が残ることから、2016 年 2 月に本件を厚生労働省に報告するととも
に、漏出実態の把握と環境(生物多様性)への影響について評価いたしました。
2.
原因
遺伝子組換え体の取扱いに関する教育が徹底しておらず、法律解釈に関する認識不足があった
ものと考えております。
3.
再発防止策
今後、弊社では、以下の通り徹底した再発防止策に取り組みます。

加熱処理による不活化工程については、漏出防止策の見直しを行うとともに、仮にこ
の工程で組換え体が残存した場合でも完全に不活化ができるように新たに熱処理装
置を導入します。それに伴い、工場内の作業区域についても見直しを行います。

弊社従業員のカルタヘナ法に関する理解をさらに深めていくため、定期的に教育訓練
を実施し、更に徹底した設備や製造フローの再点検を実施します。

カルタヘナ法に係る遵法状況の確認を受ける等再発防止を確実なものとします。
Pichia pastoris
様々な組換えタンパク質の製造に使われた実績を持っています。このピキア酵母自体は、人には感染症を起こさない非
病原微生物であり、無害です。味噌や醤油の表面白カビのひとつとしても知られています。
食品などに混入し、漬物、シロップ、ジュースなどから分離されることも稀ではなく、古くから人と共存しています。
また、サケいずしの熟成過程に存在していたり、米国では乾燥ピキア酵母としてブロイラー用飼料の一部として添加す
ることが認められています。
GILSP
優良工業製造規範のこと。GILSP 遺伝子組換え微生物は、特殊な培養条件下以外では増殖が制限されること、病原性が
ないこと等のため、最小限の拡散防止措置を執ることにより産業上の使用等をすることができるもの。
以上
【本件に関するお問合せ窓口】
株式会社バイファ
TEL:0123-28-8180