ko2716_thesisreview

別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号
甲
論文審査担当者
第 2716 号
氏 名
主査
村上
雅彦
副査
宮崎
章
副査
瀧本
雅文
山口
明香
(論文審査の要旨)
カルプロテクチン(fecal calprotectin:FC)は,好中球の細胞質中に含まれるタ
ンパク質で,好中球が粘膜に浸潤する活動性炎症などの際に便中で上昇する. FC
は,潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)の疾患活動性を反映することが報告さ
れており,内視鏡的に炎症が消失した状態 (粘膜治癒)を予測できる可能性がある.
本研究は,UC 患者 112 例を対象とし,FC が粘膜治癒の予測因子となるか検討を行
ったものである.Mayo スコア 0 および 1 の場合,FC の AUC は 0.869 で,カットオ
フ値を 200µg/g における感度は 67%,特異度は 91%であり,他のいずれのマーカ
ーよりも予測能は高かった. Mayo スコア 0 および 1 を粘膜治癒と定義すれば, FC
は信頼できる予測マーカーであった.
本論文は,便中カルプロテクチンが寛解期の潰瘍性大腸炎患者における粘膜治癒
の有用なマーカーであり,大腸内視鏡検査に代わる簡易検査になりえることを明ら
かにした報告であり,新しい知見を得ていることから学術上価値があり,学位論文
に値すると判断した.
Fecal calprotectin is a clinically relevant biomarker of mucosal healing
in patients with quiescent ulcerative colitis
便中カルプロテクチンは寛解期潰瘍性大腸炎患者における
粘膜治癒の有用なマーカーである
Journal of Gastroenterology and Hepatology 2015 年
(主査が記載、500 字以内)
掲載予定