こ ん な 人は 伸び な い

学力を伸ばすには!
だれもが望む学力アップですが、その近
道がなかなかありません。そこで今回は、
ワールド ・アカデミーの阪井先生に秘訣
を聞いてみました。
質 ・学力には個人差があると思いますが、
伸びやすいタイプとそういないタイプの
大きな違いはどのようなことでしょう
か。
阪 ・そうでね。伸びる伸びにくいは
記憶力 ・集中力 ・興味のあるな
しなどにも違いがありますので、
一概に言えませんが、伸びないタ
イプは次のような人たちですね
こんな人は伸びない
「
復習を定着するまでしない。
」
「
素直でない。
」
「
文字がきたない。
」
「
作業に終わっている。
」
「
カンを使って適当に解く。
」
「
説明はただボーッと聞いている
だけである。
」 などがあります。
質 ・言われてみればあたりまえのよう
なことばかりですね。それでは一つ
ずつ理由を説明していただけますで
しょうか。
阪 ・はい。それでは順番に説明していき
ます。
「
復習を定着するまでしない。
」
これは言わずもがなですね。ほとん
どの子どもたちはこれにつきます。せ
っかく学校や塾で新しいテーマを学
習しても復習しないとすぐに忘れて
しまいます。
質 ・なるほど。それでは復習は1回で
もいいのでしょうか。それとももっと
回数を増やさないとだめなのでしょ
うか。
阪 ・復習はその人に応じて回数は異な
ります。一番いいのは定着するまで繰
り返す事です。ただ、定着するまで
回数は個人差がありますので、人に
より1回で数日覚えている場合もあ
れば5回復習してもなかなか覚え
られない人もあると思います。できれ
ば、2日後や3日後に1回ずつ復習
すると忘れにくくなります。
質 ・定着しなければ、頑張った努力も
無駄になってしまうわけですね。
阪 ・そうです。勉強しているのに成果が
現れないのです。
阪 ・では、「
素直でない。
」 とは。
勉強に限らずスポーツ等習い事でも
同じことが言えます。「
守破離 (
しゅ
はり 」) という言葉があります。「
守」
はまず基本に忠実に行う。「
破」 は
他の方法や考え方を取り入れ良いも
のを取り入れる。「
離」 は新しい独自
のものを生み出す。ということで、武
道や芸術分野においてよく使われま
す。
質 ・指導者の指導される基本をしっか
り守るということですね。
阪 ・基本に忠実が第一段階です。この
「
守」 を守らない人がいます。数学
で言えば、計算式や解き方を教わっ
た通りにしないで暗算で解いて間違え
る。英語でも、単語も覚えず基本構
文も覚えないで英語がわからないと言
っている。基本から謙虚に努力するこ
とが大切ですね。
質 ・できるようになってから、自分なりの
解き方などをしていってもいいのですね。
阪 ・だから、勉強でもスポーツでも素直 な子は上達が速いですね。
質 ・ 「
文字がきたない。
」 は私が考えて もよくないなと思いますね。
阪 ・そうなんですよ。決して達筆で書け とはいいません。自分の書いた文字です
ら後で自分で見てもわからない人がい ます。論外です。
また、問題を解くことに対してもう少
し真摯な気持ちで臨んでほしいですね。
特に入試ではこれからの自分の3年間
を決めるテストですから、採点監督に
読んでもらいやすい文字を書くことは
最低限の礼儀ですね。学校のテストも
同じです。
作業に終わっている。
」 について、
阪 ・「
単語や漢字を覚えてくる宿題を出す と、「
何回書いてくればいいですか。
」と
質問する生徒がいます。はじめは宿題
チェックのために 「
最低5回で、あとは 覚えるまで書いてきなさい。
」 と言った りします。暗記の仕方が分からない子
どもが多すぎます。
質 ・なるほど。ここでただ書いているだけ の人が出てくるわけですね。極端にいえ
ばテレビを見ながら、ノートにはただ 線を描いているだけというわけですね。
阪 ・まさしく、その通りです。
人により個人差がありますが例えば、
英単語の場合(
単語カードが有効です
ね。
また、
ノートに左は英単語右は意 味とどちらかを隠せるようにしておき ます。
)
まず、
英単語を声に出して発音 して、
意味を答える。
(
この時は書かなく
てもよい。
)
目と声と耳を使います。
一通
りできたら、
今度は日本語を英単語に 変える練習です。
日本語を見て英単語
を声を出して書く練習をする。
つまり、
目、
声、
耳、
手を使うことが大切です。
さ
らに、
覚えにくいものは何度も繰り返し
練習することが必要ですね。
この、
覚え られていないものをチェックの印をして、
次にチェックばかりを再度覚える。
とい うことをしない人が多いです。
質・
情報を記憶するには、
いろいろな器官 を同時に使うことが有効ということです
ね。
阪・
身体の能力をフル活動するのです。
こ うして記憶すると疲れます。
しかし、
そ
れだけ頭を使ったということになります。
歴史の内容を覚えたり、
英語の本文
を覚えたりするのも同じです。
つまり、
記憶の方法を身につけるのです。
ただ見
ているだけで覚えられることはよっぽど
記憶力の良い人だけです。
阪・
「
カンを使って適当に解く。
」
カンというのは一生懸命努力したあと
に活きてくるものです。
努力もしないで
カンに頼るのはカンと言いません。
それは
まさしく「
あかん」ことです。
これ以上説
明する必要はないと思います。
質・
そうですね。
根拠のないカンはカンと言
わないですね。
「
ヤマをはる」ということも
ある程度重要項目を認識していないこ とにはできないですからね。
阪・
では「
説明はただボーッと聞いているだ
けである。
」ですが、
これがまた多いのです。
学校でも塾でも
同じです。
生徒は、
説明を聞いているが(
右の耳から左の耳に流れているだけです
ね。
)
聴いていない。
休憩モードに入ってい
るのです。
あるいは、
違うことを考えてい る。
また、
板書もただ写す作業に終わって いる。
だから、
結局何をしたかわからない
手を動かしただけなのです。
そのため、
同じところを宿題にだされてもわから ないから、
宿題ができなかった。
と次の学
習時に弁解する生徒がいる。
悪循環で す。
質・
先生が説明されている時は、
脳を休め
てしまっているのですね。
しっかりと活用 しないといけないのに。
阪・
そのほうが楽ですからね。
あたりまえで
すが、
説明はしっかり聴くことが大切で す。
できれば、
説明を聴きながら「
あっ、
なるほど、
こうなって、
こういうことか。
」と
納得するまで、
考えることが、
理解への近
道です。
質・
聴きながら反芻するわけですね。
阪・
それで終わりではありません。
自分のも
のにするためには、
練習しないといけませ
ん。
この練習によって定着するかどうか 決まるのです。
質・
ありがとうございます。
このように説明
していただくと「
なるほど。
伸びないのに
は理由があるな。
」と思いますね。
それでは、
伸びやすい人の特徴はあり ますか。
私たちにはなかなか見当がつき
ませんが。
阪・
伸びない人の例の反対をすればいいわ けですね。
さらに、
次の三大ポイントを注意すれ ばすばらしいですね。
次のポイントは
「
あいさつができる」
「
時間を守る」
「
整理整頓」
ということです。
質・
えっ、
ちょっと学習と直接関係がないよ
うに思えるのですが、
、
、
。
阪・
そのように感じるのは当然と思います よ。
しかし、
まずはじめの二つは精神的 なことなのです。
最後は効率よく学習で
きる力になるのです。
以上のようなことを何度言っても改善
しない人はなかなか伸びません。
能力がアップする人の三大ポイント
「
あいさつができる」
礼儀をもって接することができる
質・
では、
どういったところが重要なのか教 えていただけますか。
阪・
はい。
単に、
挨拶をするだけではありま せん。
学習を始める時、
「
よし、
集中して
取り組むぞ。
頑張って理解するぞ。
」と
いう意気込みを自分自身に言い聞かせ
ることが大切です。
相撲で土俵 に入り 塩をまくとき、
両手で顔や体をパチパチ
と叩く力士がいます。
これは自分に気合
いをいれているわけです。
以前私の生徒に授業が始まる時挨拶
をした後、
ほっぺたをパチパチ叩く人がい
ました。
どうしたか聞くと、
本人は気合
いを入れているといっていました。
女の子
でした。
質・
気合い十分の女の子ですね。
阪・
あいさつというのは他人に対するだけで
なく自分自身にも「
よし、
やるぞ。
」とい う意気込みであいさつすることが大切で
す。
この学習時間は有意義なものにする
ぞという気持ちです。
武道の世界では、
師の技を見取り稽古
で盗むということが常でした。
学習にお いても大切なことだと思います。
「
時間を守る」
期限を守る、計画を立てられる
質・
次は「
時間を守る」ということですが、
基本的な姿勢としては確かに大切です
が、
学力との関係はどういうことでしょ うか。
阪・
時間だけでなく何事も決められたこと
を守ることはすべての事に通じます。
遅刻をしない。
宿題等の提出期限は守
る。
そして、
それを実行するための計画 を立てられればいうことはありません。
質・
ここでも、
何かに取り組むための心構え
が大切だ。
というようなことですね。
阪・
よく分かってこられましたね。
学校でも塾でも遅刻を平気でする人
がいます。
あと1分早く家を出れば間に
合うという人もいます。
今までも受験生
である中3の人でよく遅刻する人がい ました。
それは心のゆるみになります。
そ
の心のゆるみが大切な受験に対しても 知らないうちにおろそかになっていくので
す。
毎回毎回が受験本番の気持ちで臨む
ということが大切なのです。
「
整理整頓」
必要なプリントの整理、
情報の整理
質・
では「
整理整頓」ですがこれは大人で も苦手な人が多そうですね。
計画を立て
られることはこちらにも関係があるよう ですが。
阪・
そうなんです。
分かりやすくするために
項目ごとに整理して説明していますが、
共通していることや繋がりがあることが
多いのです。
まず、
身の回りが整理できない人は、
頭
の中の引出も上手く整理できません。
宿題プリントをすぐなくす人や、
やって きても何分もカバンのなかを探している
人がいます。
答え合わせが終わってから 見つかったなどど。
質・
確かに時間の無駄が多そうですね。
で は、
その整理整頓ができるようにはどう
すればいいのでしょうか。
阪・
これは性格もあるのでなかなか改善で
きませんね。
生徒の整理レベルであれば
ファイルを作ってその都度そこにファイリ
ングする習慣をつける。
あとで整理しよ
うと思っても難しいですね。
質・
ただ整理するだけなら学力とは直接 関係がないようですが。
阪・
単に物理的にファイルするだけではあ りません。
学習内容を頭の中の引出に 整理することが重要なのです。
物事を 論理的に理解したり考えたりする能力
が大切なのです。
つまり情報をいかに体 系的に分類整理できるかが問われるわ
けですね。
物事を体系的に考えられる 力は将来仕事についても必要とされる 力でもあります。
また、
計画と共通しますが「
いつまでに 何をするか。
」等の情報整理や優先順 位を決めることができる人は、
「
ヤマカン」
を発揮できるし、
学習も体系的に整 理できるので「
理解力・
記憶力」もアップ
していきます。
質・
なるほど。
学習能力はいろいろなことに
関係しているわけですね。
子どもたちが
どんどん自分の能力をアップしていくと
いいですね。
ありがとうございました。
阪・
可能な限り子どもたちにはこれらの項
目をひとつひとつ確実にクリアできるよ うに指導を心がけていきます。
ありがとうございました。
質・
・
・
質問者 阪・
・
・
阪井
数年前の対談記事より
抜粋いたしました。