シティグループ証券寄附講座「グローバル金融制度論」 国際会計制度改革 の展望 2016年6月17日 シティグループ証券株式会社 東京都千代田区丸の内1丁目5番1号 新丸の内ビルディング シティグループ証券株式会社 取締役副会長 藤田 勉, Ph.D +81-3-6270-4885 [email protected] 本資料はシティグループ証券が情報提供を目的として作成したものであり、投資に関する助言又は金融商品の売買の勧誘を意図したものではありません。 会計制度の概念 1. 会計主体論は、①資本主理論(所有主理論)、②企業主体理論(エンティ ティ理論) 。IFRSは後者。 2. IFRSの基本哲学は、資本提供者のための会計制度。 3. 有価証券報告書作成の法的根拠は、金融商品取引法24条1項。 フランコ・ジャーマン型(大陸欧州、日本) 間接金融、確定決算主義、取得原価、実現基準、親会社説。 債権者保護を重視。ユニバーサルバンクによる間接金融中心。 アングロ・サクソン型(英米) 直接金融、税務申告主義、公正価値、発生基準、経済的一体説。 株式や債券の投資家など、不特定多数への情報開示が主目的。 2 会計制度の基本哲学 英国 アングロサクソン型体系、プリンシプル・ベース。 IFRSは、基本的には、英国の会計制度。旧英国植民地(カナダ、オーストラリ ア、香港など)も同じ。 大陸欧州諸国(フランス、ドイツなど) 連結決算はIFRS。単独決算は自国基準(配当計算、税法などの理由)の採用 も可。 米国 アングロ・サクソン型体系、ルール・ベース。 日本 フランコ・ジャーマン型体系、ルール・ベース。 会社法、税法は大陸法体系(明治時代)。金融法制は米国法体系(戦後)。 3 G20による世界的な規制強化 2009年4月のロンドンG20サミットは、リーマン・ショックの反省に立ち、財 務レバレッジ抑制と時価会計化を推進。 グローバルな金融監督の強化、コーポレートガバナンス規制、報酬などの 情報開示強化。 G20サミットの基本戦略 1. 世界的に、金融商品の時価会計(公正価値)化を進めるべく、IFRSの基準 を整備。 2. 金融商品の時価会計化→景気悪化時に景気循環増幅効果(プロシクリカリ ティ)が発生。金融機関経営を不安定化。 3. 大規模な金融機関(G-SIFIs)は、厳しい自己資本規制を設定。 4. 国際的な会計基準制度の統一、金融規制の強化、バーゼルⅢ(自己資本 と流動性の規制)はセット。 5. 「単一で、高品質で、グローバルな会計制度」の整備は、G20参加国共通 の国際公約。 4 IFRS適用の方式 1. ビッグバン方式 IFRSを無修正で導入。 カナダ、オーストラリアなど旧英国植民地は、従来からアングロサクソン方式、 プリンシプルベース。 2. コンバージェンス方式 自国基準を個々に修正し、IFRSと収斂させていく。日本は、従来は、この方式 で、最終的に、IFRSを強制適用する方針であった。 3. エンドースメント方式 部分的にカーブアウト、あるいは修正。 多くの国では、エンドースメント方式、あるいはそれに準じる方式が主流。日本 版IFRSは、この範疇。 日本は、①日本基準、②米国基準、③IFRS、④日本版IFRS、が並存へ。 5 結論:世界の潮流と日本の選択 メリット 1. 公正価値重視による企業のバランスシート・マネジメント能力の向上。 2. 財務諸表の比較可能性の向上。国際的親和性の向上。 今後の展望 1. 日本は、外交交渉、ましてや、多国間交渉が不得意。 2. 制度設計は、それをリードしたものが最も大きな恩恵を受ける。「した たかさ」が重要。 3. 日本の国益を最も高める方法は、日本が制度改革のリーダーとなり、 率先して、制度を進化させる。 4. これを実行するには、①高度な専門知識、②英語によるディベート力、 ③自らが世界の制度改革をリードするという強い意思が必要。 5. ルールを制する者が、ゲームを制する。 6 本資料はシティグループ証券(当社)が作成したものであり、他の第三者に過去に提供された他の資料の抜粋を含む可能性があります。本資料は、 当社又はその関係会社が作成配布したリサーチレポートに言及している可能性がありますが、本資料は調査部門が作成したものでなく、本資料に 記載された情報は、適用される規制当局により定義された「アナリストレポート」及び「リサーチレポート」に該当することを意図しているものではあり ません。本資料に記載された情報は、一般的に入手可能な情報であり、信頼に足ると思われる情報源から入手したものですが、正確性及び完全性 を保証するものではありません。本資料は情報提供のみを目的としており、特定の利用者の投資目的、財務状況、資力を考慮しておりません。本資 料は、投資に関する助言又は金融商品の売買の勧誘ではありません。先物、オプション、高利回り証券を含む特定の取引又は取引戦略は、相当の リスクを内包しており全ての投資家に適したものではありません。直接、間接、派生的を問わず、本資料に記載された情報の使用により又は本資料 に起因する損失に対して、当社は一切の責任を負いません。当社は、税務及び法律の助言を行うものではありません。お客様におかれましては、ご 自身の税務及び法務アドバイザーより助言を受けた上で、ご自身の目的、経験、資力に基づく投資判断をなさるようお願いいたします。本資料に含 まれる資料、記述、情報は当社に帰属するものであり、著作権その他の知的財産に関する法律によって保護されます。いかなる目的においても他 者への転送、再配布を行うことはできません。 Copyright © Citigroup Global Markets Japan Inc. 2016. All Rights Reserved. シティ(Citi)及びシティと弧のマーク(Citi with Arc Design)は、シティグループ・インク及びその関係会社の商号及びサービス・マークであり、世界中で 使用及び登録されています。 7 この資料は、お客様に対してマーケット情報等を提供する目的で作成されたものであり、当社が行う金融商品取引業の内 容をご案内する目的で作成されたものでありませんが、金融商品取引業における販売資料として一般投資家のお客様に 交付させていただく場合、当社が行う広告等に該当しますので、広告等に関する以下の表示事項にご留意ください。 金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項 上場有価証券の売買取引にあたっては、売買代金の他に売買代金にお客様と当社であらかじめ合意した料率を乗じ た売買手数料をいただきます。売買手数料の料率は、お客様と当社の間の合意により、都度又は定期的に決定され ますので、本書面上その料率等をあらかじめ記載することはできません。 上場有価証券を募集等により、または当社との相対取引により売買する場合は、原則売買対価のみを授受いただき ます。 上場有価証券は、発行者の信用状況の悪化等に伴う株価の変動により、損失が生じるおそれがあります。外国株式 は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 お取引にあたっては、契約締結前交付書面や目論見書またはお客様向け資料をよくお読み下さいますようお願いい たします。 商号等/シティグループ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 130 号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 8
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