シティグループ証券寄附講座「グローバル金融制度論」 株式会社制度概論 2016年6月10日 シティグループ証券株式会社 シティグループ証券株式会社取締役副会長 藤田 勉, Ph.D. +81-3-6270-4885 [email protected] 東京都千代田区丸の内1丁目5番1号 新丸の内ビルディング 本資料はシティグループ証券が情報提供を目的として作成したものであり、投資に関する助言又は金融商品の売買の勧誘を意図したものではありません。 株式会社とは何か? 会社制度は、合資会社(戦前の三菱)、合名会社(戦前の三井)、合同会社、 パートナーシップ、相互会社などその種類は数多い。 現在では世界の大会社のほとんどは株式会社。 アーマー、ハンスマン、クラークマンは、株式会社の中核的な特徴を以下に 集約[1]。 現代の世界の株式会社は共通してこれら5条件を備えている。5条件が、多く の国ではデフォルトルール(初期設定ルール) 。 1. 法人格 2. 有限責任 3. 株式の譲渡可能性 4. 取締役会構造における中央集権的経営 5. 出資者による共同所有 [1] Armour, John, Hansmann, Henry and Kraakman, Reinier H., "The Essential Elements of Corporate Law", Oxford Legal Studies Research Paper No. 20/2009, p. 7. 2 株式会社の歴史 1. 株式会社の源流は、大航海時代のジョイント・ストック・カンパニー制。 航海ごとに資本家が有限責任で投資を行う仕組み。 2. 「金はあるが冒険に出るのはいやだ」という資本家と、「金はないが、金 さえくれれば冒険も厭わない」という人のニーズが噛み合った。資本の 有限責任制の始まり。 株式会社の源流 16世 紀 頃 の 欧 州 に お け る ジ ョイ ン ト ・ス ト ッ ク ・カ ン パ ニ ー 制 個 別 事 業 に 対 して 、資 本 家 が 有 限 責 任 で 投 資 株式会社の起源 1602年 「オ ラ ン ダ 東 イ ン ド 会 社 」 1回 の 航 海 ご と に 清 算 し て い た カ ン パ ニ ー を 、 持 続 性 の あ る 組 織 に 変 更 会社 形態としての株式 会社の勝利 20世 紀 に 入 り 大 量 生 産 、 大 量 消 費 時 代 到 来 し た た め 企 業 が 巨 大 化 ① 有 限 責 任 、② 経 営 と資 本 の 分 離 、③ 利 便 性 の 高 い 資 金 調 達 、④ 株 式 の 譲 渡 性 、な ど 、株 式 会 社 制 度 の 優 位 性 3 出所:シティグループ証券 欧州の会社法の歴史 1. 1804年ナポレオン法典制定後のフランスでは、1807年商法典において、 初めて株式会社を会社の一形態として認めた(商法17条、18条)。 2. 近代的な株式会社法の発祥は英国。 3. 1844年に、ジョイント・ストック・カンパニー法により、準則主義に移行 [1]。 1855年有限責任法制定。会社法(Companies Act)と称する最初の制定法 は1862年会社法(総括法) 。 4. 1861年、ドイツ普通商法典が制定。ドイツで最初の成文法による会社法。 日本の会社法は、ドイツ法がベース。 5. EUの法制度:規則、指令、勧告など。 6. EUは、会社法の統一を目指す。しかし、英国法と大陸法の乖離は大きく、 完全な収斂は不可能。 7. 金融法は、英国の制度をベースに、EU加盟国の法制を統一。 8. 英国は、ソフトローをハードロー化。 [1] Hansmann, Henry and Kraakman, Reinier H., "The End Of History For Corporate Law", Yale Law School Working Paper No. 235(January 2000), p. 2. 4 本日のまとめ 株式会社制度の優位性 1. 株式会社制度は、 以下の特徴がある。 ①資本と経営を分離できる ②資本を小分けにして売買可能 2. 20世紀以降、多くの会社制度の中で、資金調達とM&Aに有利な株式会 社制度が急成長した。 3. 現在では、大会社=株式会社。 4. つまり、株式会社制度は「会社をモノのように売り買いできる」ことと、「プ ロの経営者を採用できる」ことにメリットがある。 5. そして、こうした株式会社制度特有の利点を生かしたいと考える経営者 は、株式を証券取引所に上場する。 結論:会社制度間競争の中で、株式会社制度が勝利した。 注:試験は神田秀樹著「会社法入門」から出題する。 5 本資料はシティグループ証券(当社)が作成したものであり、他の第三者に過去に提供された他の資料の抜粋を含む可能性があります。本資料は、 当社又はその関係会社が作成配布したリサーチレポートに言及している可能性がありますが、本資料は調査部門が作成したものでなく、本資料に 記載された情報は、適用される規制当局により定義された「アナリストレポート」及び「リサーチレポート」に該当することを意図しているものではあり ません。本資料に記載された情報は、一般的に入手可能な情報であり、信頼に足ると思われる情報源から入手したものですが、正確性及び完全性 を保証するものではありません。本資料は情報提供のみを目的としており、特定の利用者の投資目的、財務状況、資力を考慮しておりません。本資 料は、投資に関する助言又は金融商品の売買の勧誘ではありません。先物、オプション、高利回り証券を含む特定の取引又は取引戦略は、相当の リスクを内包しており全ての投資家に適したものではありません。直接、間接、派生的を問わず、本資料に記載された情報の使用により又は本資料 に起因する損失に対して、当社は一切の責任を負いません。当社は、税務及び法律の助言を行うものではありません。お客様におかれましては、ご 自身の税務及び法務アドバイザーより助言を受けた上で、ご自身の目的、経験、資力に基づく投資判断をなさるようお願いいたします。本資料に含 まれる資料、記述、情報は当社に帰属するものであり、著作権その他の知的財産に関する法律によって保護されます。いかなる目的においても他 者への転送、再配布を行うことはできません。 Copyright © Citigroup Global Markets Japan Inc. 2016. All Rights Reserved. シティ(Citi)及びシティと弧のマーク(Citi with Arc Design)は、シティグループ・インク及びその関係会社の商号及びサービス・マークであり、世界中で 使用及び登録されています。 6 この資料は、お客様に対してマーケット情報等を提供する目的で作成されたものであり、当社が行う金融商品取引業の内 容をご案内する目的で作成されたものでありませんが、金融商品取引業における販売資料として一般投資家のお客様に 交付させていただく場合、当社が行う広告等に該当しますので、広告等に関する以下の表示事項にご留意ください。 金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項 上場有価証券の売買取引にあたっては、売買代金の他に売買代金にお客様と当社であらかじめ合意した料率を乗じ た売買手数料をいただきます。売買手数料の料率は、お客様と当社の間の合意により、都度又は定期的に決定され ますので、本書面上その料率等をあらかじめ記載することはできません。 上場有価証券を募集等により、または当社との相対取引により売買する場合は、原則売買対価のみを授受いただき ます。 上場有価証券は、発行者の信用状況の悪化等に伴う株価の変動により、損失が生じるおそれがあります。外国株式 は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 お取引にあたっては、契約締結前交付書面や目論見書またはお客様向け資料をよくお読み下さいますようお願いい たします。 商号等/シティグループ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 130 号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 7
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