原 著 題 名 所 気 管 支 喘 息 の 日 常 診 療 に お け る 呼 気 中 一 酸 化 窒 素 測 定 の 有 用 性 に つ い て 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 呼 吸 器 セ ン タ 石 井 源 ( い し い げ ん )、 笠 原 は ら け い た )、 黒 田 佑 ( く ろ 晴 菜 ( も ろ ほ し は る な )、 洋 輔 ( う ち 属 昭 和 著 者 名 太 ( か さ ゆ う す け )、 諸 星 肥 田 典 ぎ わ ら か 介 ー 慶 だ 子 ( ひ だ の り こ )、 蘒 原 よ う す け )、 堀 内 一 ( ほ り ず や )、 丹 澤 盛 ( た ん ざ わ し げ る )、 鈴 木 隆 ( す ず き た か し ) ラ ン ニ ン グ タ イ ト ル 喘 息 日 常 診 療 時 呼 気 中 一 酸 化 窒 素 測 定 の 義 連 絡 先 著 書 名 お よ び 所 属 石 井 昭 和 浜 市 北 部 病 院 呼 吸 器 セ ン タ ー 哉 源 大 横 1 意 は 抄 録 [ 背 景 と 目 的 ] 日 常 喘 息 診 療 て 呼 気 中 一 酸 化 窒 素 ( FeNO : Fractional exhaled nitric oxide ) が 携 帯 型 測 定 器 に よ り 簡 易 に 測 定 で き る よ う に な っ た 。 こ れ を 使 用 し ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る 喘 息 患 者 に お い て 、 FeNO 値 の 増 減 が 示 す 意 味 に つ い て 喘 息 コ ン ト ロ ー ル テ ス ト ( Asthma control test )、 呼 吸 機 能 と 比 較 し 検 討 し た 。 [ 喘 に ACT : 対 象 と 方 法 ] ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て コ ン ト ロ ー ル さ れ た 息 患 者 108 名 に 治 療 期 間 の 前 後 で FeNO 測 定 と 、 呼 吸 機 能 検 査 を 施 行 し た 。 FeNO 減 少 / 分 け 、 呼 吸 機 能 と 比 較 検 討 し た ACT 増 加 群 に [ 結 果 ] ACT FeNO 減 少 群 で は 、 呼 吸 機 能 検 査 を 経 過 観 察 期 間 前 後 で 比 較 す る と 、 % FEV1 は 有 意 に 改 善 し て い た ( ) が 他 の 閉 塞 性 障 害 の 指 標 は 変 化 を 認 め な か っ た 。 FeNO 増 加 群 で は FeNO 値 の 増 加 に 平 行 し て 気 流 制 を 表 す 呼 吸 機 p=0.0010 2 限 能 。 の 指 標 p=0.0005 多 く 意 に 悪 、 % V25: p=0.0130 、 % MMF: p=0.0161 )。 一 方 、 い 患 ず れ の 喘 息 も FeNO 値 は 的 に は 相 関 関 [ 結 語 ] は 者 有 化 を 示 し た ( % FEV1: の 群 ま た は 全 対 象 患 者 に お い て や 呼 吸 機 能 検 査 の 指 標 と 直 接 係 は 認 め ら れ な か っ た 。 り ACT FeNO を 日 常 喘 息 診 療 で 測 定 す る こ と に よ 気 道 炎 症 の 経 時 的 変 化 が 推 定 で き 、 特 に FeNO 増 加 時 は 気 流 制 限 の 悪 化 を 伴 い 、 治 療 変 更 を 決 め る 指 標 の 1 つ に な る 可 能 性 が あ る 。 キ ー ワ ー ド 、 FeNO 、 気 管 支 喘 息 、 呼 気 中 一 酸 化 窒 素 ACT 略 語 ACT: Asthma control test FeNO: Fractional exhaled nitric oxide ICS: Inhaled corticosteroid MMF: Maximum mid-expiratory flow rate ppb: parts per billion SE: standard error 3 本 文 < 緒 言 > 気 管 支 喘 息 は 慢 性 気 道 炎 症 に よ る 気 道 過 敏 性 の 亢 進 と 気 道 狭 窄 が 疾 患 の 本 態 で あ る 。 発 症 早 期 に は 気 道 狭 窄 は 可 逆 性 で あ る が 、 気 道 炎 症 が 継 続 す る こ と で 気 道 の 器 質 的 変 化 ( リ モ デ リ ン グ ) を 起 こ し 、 不 可 逆 的 な 気 流 制 限 と 持 続 的 な 気 道 過 敏 性 の 亢 進 を 来 た す 1 っ て そ の 基 本 的 病 態 で あ る 気 道 炎 症 の 状 態 を 把 握 す る こ と は 診 断 の み な ら ず 、 適 切 な 抗 炎 症 治 療 の 施 行 に も つ な が り 重 症 化 を 防 ぐ た め に 重 要 で あ る 。 近 年 、 気 道 炎 症 を 評 価 す る 方 法 と し て 呼 気 中 一 酸 化 窒 素 ( FeNO : Fractional exhaled nitric oxide ) が 測 定 さ れ る よ う に な っ た 。 FeNO は 比 較 的 簡 便 で 非 侵 襲 的 に 測 定 が 可 能 で あ り 、 瞬 時 に 結 果 が 得 ら れ 、 日 常 診 療 に お け る 気 道 炎 症 の 評 価 の 手 段 と な り う る 2,3 。 一 方 ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て 、 臨 床 的 に は 症 状 と 呼 吸 機 能 上 は 比 較 的 良 好 に コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る 喘 息 患 者 に お い て も 、 FeNO の 変 動 が 認 め 4 ) 。 よ ) 、 ら れ る 。 特 に FeNO が 増 加 す る 場 合 に は 気 道 炎 症 の 増 悪 が 推 定 さ れ る 。 今 回 の 研 究 で は 、 ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る と 考 え ら れ る 喘 息 患 者 に お い て 、 外 来 診 療 時 に FeNO を 測 定 し 、 喘 息 コ ン ト ロ ー ル テ ス ト ( 、 呼 吸 機 能 と 比 較 し FeNO 測 ACT: Asthma control test ) 定 が 喘 息 の 状 討 し た 。 < 研 究 方 法 > 当 院 外 来 理 ガ イ ド 持 続 型 た 。 定 1 ) 態 悪 化 の 指 標 に な り う る か を 検 通 院 治 療 中 で 本 邦 の 喘 息 予 防 ・ 管 ラ イ ン 20121 ) に 従 っ て 診 断 し た 軽 症 - 中 等 症 持 続 型 の 喘 息 患 者 を 対 象 と し 治 療 に よ り 従 来 の ガ イ ド ラ イ ン に よ る 判 で ほ ぼ コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る 状 態 の 患 者 を 対 象 と す る た め に 、 カ ル テ 上 の 記 載 で 、 4 ヶ 月 以 上 の 期 間 ( 観 察 前 期 間 )、 治 療 の 変 更 無 く ACT20 点 以 上 を 維 持 で き て い る 患 者 の そ の 後 の 経 過 を カ ル テ 上 で 追 跡 観 察 し た 。 さ ら に 、 そ の 後 4 ま た は 6 ヶ 月 の 間 ( 経 過 観 察 期 間 、 受 診 の 間 隔 に よ り 期 間 が 異 な る ) に 、 治 療 の 5 変 更 無 く ( 処 方 ICS: Inhaled corticosteroid 状 況 よ り 吸 入 ス テ ロ イ ド ( ) を は じ め と し た 投 薬 は 、 80 い た )、 自 覚 的 に 中 等 度 以 上 % 以 上 遂 行 さ れ て の 発 作 を 認 め ず 、 ACT20 点 以 上 を 維 持 し て い た 者 ( ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て ほ ぼ コ ン ト ロ ー ル さ れ た 状 態 ) 108 名 ( 男 / 女 47 人 / 61 人 、 平 均 年 齢 50.7 ± 1.4 才 、 現 非 喫 者 ( 過 去 喫 煙 既 89.7 ± 1.5 % ) を 対 象 と し 煙 往 12 人 )、 平 均 % FEV1 た 。 ま た ア レ ル ギ ー 性 鼻 炎 の 既 往 が あ る 患 者 と な い 患 者 の FeNO の 比 較 検 討 を 行 っ た が 有 意 な 差 は 認 め ら れ ず 、 今 回 は 一 緒 に 検 討 対 象 と し た 。 対 象 患 者 に お い て こ の 経 過 観 察 期 間 の 前 後 2 ポ イ ン ト で NObreath® ( Bedfont, UK ) 4,5) を 使 用 し 測 定 し た FeNO 値 ( 2 回 計 測 値 を 採 用 ) と 、 、 呼 吸 機 能 検 査 ( CHESTAC880®, CHEST を 使 用 し 測 定 ) 結 果 を カ ル テ よ り 抽 出 し 、 FeNO 値 が 2 ポ イ ン ト 間 の 比 較 で 減 少 し た 群 ( FeNO 減 少 群 、 FeNO decreased group, n=65 ) と 、 FeNO 値 が 増 加 し た 群 ( FeNO 増 加 群 、 FeNO increased group, n=43 ) に 分 け て 検 討 し 。 2 群 間 呼 吸 ACT た に 6 は 年 し 齢 平 、 均 ACT 、 機 能 で は 有 意 な 差 は 認 め ず 、 過 去 の 喫 煙 、 治 療 、 鼻 炎 合 併 、 ア ト ピ ー 素 因 に お い て も 有 意 な 差 は 無 か っ た 。 観 察 開 始 時 の FeNO 値 は 、 FeNO 減 少 群 で 有 意 に 高 値 で あ っ た ( Table1 )。 FeNO 、 、 呼 吸 機 能 に つ い て 、 各 群 で の 経 時 的 変 化 両 群 間 で 比 較 し 、 FeNO 値 が 変 化 し た 時 に 、 や 呼 吸 機 能 検 査 値 の 変 動 に ど の 様 に 反 映 さ れ る か を 検 討 し た 。 統 計 解 析 は Macintosh の StatView® を 用 い て 行 っ た 2 変 数 の 相 関 関 係 に つ い て は 回 帰 分 析 に よ る 相 関 を 検 討 し た 。 デ ー タ の 正 規 性 に つ い て は 各 デ ー タ 群 に お い て ヒ ス ト グ ラ ム を 描 き 、 近 似 値 と し て 正 規 分 布 グ ラ フ を 描 け る か ど う か 検 討 し た ( Fig1 )。 こ の 結 果 、 FeNO 増 加 群 の V50 の デ ー タ は 完 全 に は 正 規 性 が 得 ら れ ず 、 正 確 に は 正 規 分 布 よ り 逸 脱 し て い る と 思 わ れ た 。 今 回 は 他 の デ ー タ で は 正 規 性 が あ り 、 FeNO 増 加 群 の V50 の デ ー タ も ヒ ス ト グ ラ ム 上 は 正 規 性 に 近 似 の 形 態 を 呈 し て お り 、 症 例 数 も 43 例 と 比 較 的 大 き い も の で あ る こ と よ り 、 必 も ACT を ACT 7 ず し 。 正 規 分 布 が 確 定 さ れ な 場 合 で も t-test が 適 応 可 能 で あ る ( 頑 強 性 robustness ) と の 解 釈 に 基 づ き FeNO 減 少 群 、 増 加 群 の エ ン ト リ ー 時 の 比 較 は Student t-test ( 対 応 の な い 2 群 の 検 定 ) で 行 っ 、 ACT い た 。 FeNO と 呼 吸 機 能 の 経 過 観 察 期 間 前 後 の 比 較 に つ い て は Paired t-test ( 対 応 の あ る 2 群 の 検 定 ) を 用 い て 検 討 し た 。 た だ 一 方 で 、 一 部 に 正 規 性 に 不 確 実 な も の も あ る こ と か ら 、 ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク 検 定 で あ る Wilcoxon signed-rank test で も 検 定 を 行 っ た 。 p 値 に 関 し て は 、 0.05 以 下 を 統 計 学 的 に 有 意 と し た 。 各 デ ー タ は 平 均 値 ± 標 準 誤 差 で 表 し た 。 今 回 の 検 討 に つ い て は 当 院 倫 理 委 員 会 に よ り 後 ろ 向 き 試 験 に よ る カ ル テ よ り の デ ー タ 抽 出 の 承 認 を 得 て い る 。 < 結 果 > FeNO 減 少 群 で は 、 呼 吸 機 能 検 査 を 経 過 観 察 期 間 前 後 で 比 較 す る と 、 % FEV1 は 軽 度 で は あ る が 有 意 に 改 善 し て い た ( 前 90.4 ± 1.9 % 、 後 93.2 ± 1.9 % 、 p=0.0010 )。 し か し 、 一 % V50 ( 前 53.6 8 方 で ± 3.3 % % 、 、 後 54.6 ± 3.2 % 後 36.6 ± 3.1 % 、 p=0.50 )、 % V25 ( 、 p=0.63 )、 % 前 35.5 ± 3.1 MMF ( 前 54.1 ± 3.6 % 過 察 期 間 前 後 で 後 56.2 ± 3.8 % 、 p=0.24 ) に は 経 有 意 差 は み ら れ な か っ た 。 に つ い て も 有 意 差 は 認 め な か っ た ( Fig2,Table2 )。 一 方 、 FeNO 増 加 群 に て 呼 吸 機 能 や 較 す る と 、 FeNO 値 の 増 を 表 す 呼 吸 機 の 多 く 示 し た ( % FEV1: p=0.0005 、 % p=0.0130 、 % MMF: p=0.0161 )。 ま し た 、 た ( を 観 察 期 間 前 後 で 比 加 に 平 行 し て 気 流 制 限 の 指 標 も 有 意 に 悪 化 を 前 88.6 ± 2.5 % 、 後 85.2 ± 2.7 % 、 前 32.4 ± 3.1 % 、 後 29.4 ± 2.9 % 、 前 49.5 ± 4.0 % 、 後 46.0 ± 4.0 % 、 で は 意 ACT も 軽 度 前 24.4 ± 0.1 、 あ る が 後 24.0 ± 0.2 、 有 に p=0.0052 化 ) ( Fig3,Table2 )。 以 上 の 検 定 は pared t-test に よ る 解 析 結 果 ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク 検 定 で あ る Wilcoxon signed-rank test に よ る 検 定 で も 同 様 の 結 果 で あ っ た 。 ま た ず れ の 喘 息 患 者 群 に お い て も 、 FeNO 値 は や 呼 吸 機 能 検 査 の 指 標 と 強 い 相 関 関 係 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、 患 者 全 体 に お い て も FeNO と 、 呼 吸 機 能 の 検 査 あ い V25: ACT 悪 で て 能 ACT 観 る が 、 、 い ACT ACT 9 、 結 果 と は 有 意 な 相 関 は 認 め ら れ な か っ た ( Table3 )。 唯 一 、 FeNO 増 加 群 で 経 過 観 察 期 間 後 FeNO 呼 吸 機 の 比 較 で は 、 % FEV1 値 と 能 の ( R=0.290 、 P=0.050 )、 % V50 ( R=0.369 、 P=0.015 )、 % V25 ( R=0.328 、 P=0.032 MMF ( R=0.363 、 P=0.017 ) と い ず れ も 弱 い 相 み ら れ た ( Table3 )。 さ ら に 、 観 察 前 後 で の FeNO の 変 化 率 (( 後 の 値 − 前 の 値 ) / 前 の 値 ) や 各 呼 吸 機 能 検 査 値 の 変 化 率 と の 相 関 )、 % が と ACT 関 ま た FeNO 観 察 開 始 時 の 値 と の 相 関 も 検 討 し た が 、 い ず れ の 群 、 時 相 で も 有 為 な 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。 < 考 察 > 今 回 、 我 々 は ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て 、 コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る 気 管 支 喘 息 の 経 過 観 察 中 に FeNO 値 の 増 加 ま た は 減 少 が 、 呼 吸 機 能 や 変 動 に ど の 様 に 反 映 さ れ る か を 検 討 し た ACT の た 。 FeNO 減 少 群 、 つ ま り 気 道 炎 症 が 軽 減 し と 推 測 さ れ る 群 で は 、 FeNO 減 少 に 平 行 し て FEV1 の 上 昇 を 軽 度 で は あ る が 有 意 に 認 め た 。 し し 、 % V50 、 % V25 、 % MMF な ど の 比 較 的 細 か 10 、 い 気 道 を 反 映 す る と 考 え ら れ る 指 標 に つ い て は 有 意 な 改 善 は 認 め ら れ な か っ た 。 こ れ は 、 既 に 末 梢 気 道 で 器 質 的 変 化 が 存 在 し 、 気 道 炎 症 が 改 善 し て も 可 逆 性 の 乏 し い 気 道 狭 窄 が 存 在 し て い る た め と 考 え ら れ る 。 ま た 、 健 常 者 非 喫 煙 者 の FeNO 値 と 比 較 す る と 、 今 回 の 検 討 に お け る FeNO 減 少 後 の 値 ( FeNO=30.0 ± 3.2ppb ( parts per billion )) で も 健 常 者 の FeNO 値 よ り も 有 意 に 高 値 と な っ て い た 。 こ の こ と よ り 、 今 ま で の 喘 息 コ ン ト ロ ー ル が 比 較 的 良 好 と 考 え ら れ て い る 状 態 で も 気 道 炎 症 は 残 存 し 、 気 道 の 潜 在 的 な 器 質 的 変 化 の 進 行 の 原 因 と な る 場 合 が あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 一 方 、 に つ い は FeNO 低 下 に 伴 う 有 意 な 変 化 は 認 め ら れ ず 、 自 覚 症 状 に FeNO 値 が 必 ず し も 反 映 さ れ る も の で は な か っ た こ れ に 対 し て 、 FeNO 増 加 群 で は 観 察 前 後 で は 軽 度 で は あ る が 有 意 に 悪 化 が 認 め ら れ た 。 一 方 、 自 覚 症 状 の 変 化 が 軽 微 で あ っ て も 、 多 く の 呼 吸 機 能 の 指 標 は FeNO 増 加 に 伴 い 有 意 な 気 流 制 限 の 悪 化 を 示 し た 。 ACT 11 ACT 。 、 、 FeNO が 増 加 し て い く こ と は 、 気 管 支 喘 息 患 者 に お い て 潜 在 的 気 道 炎 症 の 悪 化 と そ の 継 続 を 意 味 し て お り 、 気 道 炎 症 に 伴 い 中 枢 よ り 末 梢 気 道 ま で の 機 能 的 、 器 質 的 狭 窄 が 進 行 し 呼 吸 機 能 が 低 下 し て い く 過 程 に 当 て は ま る と 考 え ら れ た 。 以 上 の こ と は 自 覚 症 状 が ほ と ん ど な く 、 ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て 臨 床 的 に は 安 定 に コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る と 見 え る 喘 息 患 者 で も 、 気 道 炎 症 の 抑 制 が 不 充 分 で あ り 、 気 道 リ モ デ リ ン グ が 進 行 し 、 気 流 制 限 の 悪 化 が 引 き 起 こ さ れ る 可 能 性 が あ る こ と を 示 し て お り 、 よ り 強 い 抗 炎 症 治 療 を 必 要 と す る 場 合 が あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 FeNO 値 は 、 気 管 支 喘 息 の 診 療 に お い て 好 酸 球 性 気 道 炎 症 の 診 断 、 ス テ ロ イ ド の 反 応 性 の 判 定 、 ス テ ロ イ ド 治 療 を 必 要 と す る 気 道 炎 症 の 評 価 、 ICS の ア ド ヒ ア ラ ン ス の 評 価 、 な ど に は 有 用 で あ と さ れ て い る 2 。 ま た 、 喘 息 治 療 に お け る ICS 使 用 量 の 調 節 に FeNO は 有 用 な 指 標 に な っ た と の 報 告 が あ る 4,5 か し 、 一 方 で 、 FeNO の 測 定 が 他 の 指 ) ) 。 し 12 る 標 に 比 較 し て 、 喘 息 コ ン ト ロ ー ル に 有 用 な 指 標 に は な ら な か っ た 、 と の 相 反 す る 報 告 も あ る 6 - 9 。 こ の 理 由 の 1 つ と し て は 、 FeNO が 気 道 以 外 の ア レ ル ギ ー 炎 症 の 影 響 を 受 け 上 下 す る な ど 、 本 来 の 気 道 炎 症 を 反 映 し て い な い 場 合 が あ る た め と 考 え ら れ る 。 ま た 小 児 で ア ト ピ ー 素 因 の 関 与 が 推 測 さ れ る 喘 息 患 者 で は FeNO 値 は よ り 有 用 な 指 標 と な り う る 5,10 ) が 、 成 人 で 非 ア ト ピ ー 、 気 道 リ モ デ リ ン グ が 関 与 し た 喘 息 症 状 で は 指 標 に な り に く い と も 推 測 さ れ る 11,12 )。 気 管 支 喘 息 の 診 療 に お い て FeNO 値 の 変 動 が 観 察 さ れ る 患 者 で は 、 従 来 の 喘 息 評 価 の 指 標 で あ る 自 覚 症 状 と 呼 吸 機 能 に 加 え 、 経 時 的 に FeNO を 測 定 、 観 察 す る こ と で 、 気 道 炎 症 の 変 化 を 推 測 し 、 喘 息 の 悪 化 を 早 期 に 認 識 す る こ と が で き る 可 能 性 が あ る 。 日 常 喘 息 診 療 時 の FeNO 測 定 は 、 喘 息 治 療 方 針 決 定 に お い て 有 用 な 標 と し て 使 用 で き る と 思 わ れ た 開 示 す べ き COI は あ り ま せ ん 。 ) 指 13 、 。 < 1) 専 2) 引 用 文 献 > 喘 息 予 防 ・ 管 理 ガ イ 日 本 ア レ ル ギ ー 学 会 門 部 会 監 修 : 協 和 企 ド 画 ラ イ ン 2012 社 団 法 喘 息 ガ イ ド ラ イ ン 、 東 京 、 2012. 人 Dweik RA, Boggs PB, Erzurum SC, et al: An official ATS clinical practice guidline:interpretation of exhaled nitric oxide levels(FENO) for clinical applications. Am J Respir Crit Care Med 2011;184:602-15. 3) め 4) 松 永 和 人 、 一 ノ 瀬 正 和 : 喘 息 長 期 管 理 の た の 炎 症 モ ニ タ リ ン グ . 臨 牀 と 研 究 2012;89:345-50. Smith AD, Cowan JO, Brassett KP, et al: Use of exhaled nitric oxide measurements to guide treatment in chronic asthma. N Engl J Med 2005; 352:2163-73. 5) Powell H, Murphy VE, Taylor DR, et al: Management of asthma in pregnancy guided by measurement of fraction of exhaled nitric oxide; a double-blind, randomized controlled trial. Lancet 2011;378:983-90. 6) Shaw DE, Berry MA, Thomas M, et al: The use of exhaled nitric oxide to guide asthma management. A randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med 2007;176:231-7. 7) Calhoun WJ, Ameredes BT, King TS, et al: Comparison of physician-, biomarker-, and symptom-based strategies for adjustment of inhaled 14 corticosteroid therapy in adults with asthma: the BASALT randomized controlled trial. 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J Allergy Clin Immunol 2012;129:1491-8. 12) Silkoff PE, Lent AM, Busacker AA, et al: Exhaled nitric oxide identifies the persistent eosinophilic phenotype in severe refractory asthma. J Allergy Clin Immunol 2005;116:1249-55. 15 < 表 > 16 < 図 の 説 明 > Fig1 Histogram of FeNO decreased/increased group. These graphs showed normal distribution of the data except V50 in FeNO increased group. However , the histogram of V50 in FeNO increased group also showed near shape of normal distribution. Fig2 Changes of ACT, respiratory functions and FeNO in FeNO decreased group. %FEV1 was significantly improved, and the other index were not changed. Bars: standard error 17 Fig3 Changes of ACT, respiratory functions and FeNO in FeNO increased group. ACT and respiratory functions were significantly worse. Bars: standard error number < 図 > Fig1-(1) Histogram of FeNO decreased group Before ACT FeNO Before 22.5 10 17.5 15 8 12.5 6 10 7.5 4 5 2 2.5 20 21 After 22 23 24 ACT(score) 25 26 19 0 0 0 ACT 20 21 22 23 24 ACT(score) 50 100 150 200 FeNO(ppb) After 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 25 26 %FEV1 12 20 19 number Before 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 250 300 50 60 After FeNO 70 80 90 100 110 120 130 %FEV1(%) %FEV1 16 25 22.5 20 17.5 15 12.5 10 7.5 5 2.5 0 14 12 10 8 6 4 2 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 FeNO(ppb) 18 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 %FEV1(%) Fig1-(2) Before Histogram of FeNO decreased group %V50 Before 14 12 number 20 14 12.5 6 10 4 2 6 5 4 20 40 After 60 80 100 %V50(%) 120 140 number 0 %V50 120 0 140 0 6 12 12 10 10 8 8 Fig1-(3) 100 120 0 20 40 60 80 %V25(%) 100 0 120 20 40 60 80 100 120 140 160 %MMF(%) Histogram of FeNO increased group Before ACT 30 Before FeNO Before 14 16 14 10 20 15 10 12 8 10 6 8 6 4 5 2 0 21.5 22 0 22.5 23 23.5 24 24.5 25 ACT(score) 25.5 4 2 0 0 ACT %FEV1 18 12 25 After %MMF 0 0 60 80 %V50(%) 140 2 2 40 120 4 4 20 60 80 100 %MMF(%) 6 6 0 40 16 14 4 20 After %V25 16 0 number 60 80 100 %V25(%) 14 2 number 40 After 8 5 20 18 10 10 2 0 12 15 8 2.5 0 20 10 7.5 0 %MMF 12 15 8 25 Beforer 16 17.5 10 30 %V25 22.5 10 20 30 After 40 50 FeNO(ppb) 60 70 80 40 FeNO After 22.5 80 100 120 %FEV1(%) 140 %FEV1 14 20 12 17.5 15 10 12.5 8 10 6 7.5 4 5 2 2.5 0 0 20.5 21 21.5 22 22.5 23 23.5 24 24.5 25 25.5 0 ACT(score) 60 50 100 150 200 FeNO((ppb) 250 19 300 0 40 60 80 100 %FEV1(%) 120 140 Fig1-(4) Histogram of FeNO increased group number Before %V50 Before Before 12 12 10 10 10 8 8 8 6 6 6 4 4 4 2 2 2 0 0 0 20 40 After 60 80 %V50(%) 100 120 20 40 After 8 7 60 80 %V25(%) %V25 100 120 %V25 12 10 8 3 2 4 60 80 %V50 %V50(%) Fig.2 100 120 140 %MMF 4 2 0 40 60 80 100 120 140 160 %MMF(%) 6 2 20 40 8 6 1 0 20 After 12 10 0 0 14 6 5 4 %MMF 0 0 140 %V50 10 9 number %V25 12 0 0 10 20 30 40 50 60 70 %V25(%) 80 90 100 0 20 40 FeNO decreased group 100 80 60 40 20 0 before after FeNO(ppb) ACT %FEV1(%) %V50(%) %V25(%) %MMF(%) 20 60 80 100 120 140 160 %MMF(%) Fig.3 FeNO increased group 100 80 60 40 20 0 before < 英 文 題 名 ・ after FeNO(ppb) ACT %FEV1(%) %V50(%) %V25(%) %MMF(%) 姓 名 ・ 所 属 ・ Abstract > Usefulness of fractional exhaled nitric oxide by portable device, NObreath® in daily asthma management. Gen Ishii, Keita Kasahara, Yusuke Kuroda, Haruna Morohoshi, Noriko Hida, Yosuke Hagiwara, Kazuya Horiuchi, Shigeru Tanzawa, Takashi Suzuki Showa university Northern Yokohama Hospital Respiratory center 21 Abstract Background and purpose: The measurement of FeNO (Fractional exhaled nitric oxide) has been done in diagnosis and management of asthma. A portable device NObreath® has been recently developed to measure FeNO. In order to evaluate usefulness of the measurement of FeNO for asthma management, we investigated a correlation between the data of FeNO and those of respiratory functions. Methods: We measured FeNO and respiratory functions in 108 asthmatics before and after stable treatment, and then compared the FeNO values with respiratory function values in FeNO decreased group and increased group. Result: The measurements showed that the airflow limitation was worsening in the FeNO increased group. Only %FEV1 was improved in the FeNO decreased group . Conclusion: There is possibility that the measurement of FeNO is able to presume a change of inflammation in airway and recognize deterioration of asthma early for daily asthma management. Key word Asthma, FeNO 22
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