熊本災害支援報告

熊本災害支援報告
【派遣日程】
4 月27 日(水)~4 月28 日(木)
【報告者】
福岡県 中山 大輔
【メンバー】
川上 幸治,杉山 信博,白石 竜二,中山 大輔
【派遣先】
益城町総合体育館 ⇒ ホテルエミナース(西原村)
【交通状況】
8 時58 分博多発の新幹線にて熊本入り。ほぼ時刻表通り。
博多からの九州新幹線は1時間に1本ペースのため、かなりの混雑。
熊本駅には、ほぼ時刻表通り到着。駅には飲食店が2店営業しているものの、
ガスが来てない店舗もあり、営業できない飲食店の方が多い。コンビニは営業。
商品も通常通りのようである。お土産店は営業。昼食後、タクシーで熊本県薬剤
師会入り。タクシーが少なく、7,8人の列で待ち時間20分。
県薬で派遣先へのルートの説明等を受け、北九州ブロックが用意したレンタカー
のカギを受け取り、益城町総合体育館へ移動。現地近くまでほぼ渋滞。移動時間
約65 分。現地13 時15 分ごろ到着。先発チームから申し送りを受け、先発チー
ムはレンタカーで県薬へ移動。
【ライフライン】
電気〇、水道×、ガス?
【活動内容】
初日は日赤テント内にて、姫路および広島の医療チームと患者対応。
日赤および姫路の医療チームに薬剤師がいるものの、診察の際は一緒に張り付き
診察内容を確認。在庫から適切な薬剤を提案し、調剤・投薬を実施。
薬品は限られているものの、卸への発注も可能なため、随時必要な薬剤を発注
する。PC、プリンターが1台ずつあり、薬品リストを作成しているが、医療チー
ムが変わると、使用する薬剤が少しずつ変わることがあるので、都度発注・リス
トの作り直しを行い、診察ブースへ配布する。
22 時まで診察実施。診療は22 時までで、翌朝9 時より診療開始。
22 時過ぎより薬剤師全体ミーティング実施。次の北九州ブロックチームより、
ホテルエミナース(西原村)に入る旨の指示が現地リーダー薬剤師よりあり。
その日の状況について次の豊前築上薬剤師会チームリーダーへメール連絡。
23 時ごろ解散。
4 名中2 名は日赤テント内、2 名は車中泊。
翌朝は8 時前より活動。朝食待ちの被災者の方へ手指消毒実施。その後、OTC
相談ブースで患者対応。OTCで対応できるか、救護所で診察が必要かを薬剤師が
トリアージし、OTC対応で大丈夫な場合は、2,3日分を無償配布する。たとえ
ば、湿布6枚、トローチ6錠、アリナミンA錠6錠、目薬1本など。
朝の1 時間で10 名ほど相談あり。相談内容は多岐。打撲によるシップ希望、
目の違和感での目薬配布、のどの不調でうがい薬の投薬等々。その後、静岡チー
ムとOTC ブースを交代。体育館内を巡回して被災者へ声掛け実施。シップ希望者
2 名あり。その時点で、益城町総合体育館のスタッフ人数は足りていたため、リ
ーダー薬剤師と相談の上、ホテルエミナースに移動。ホテルエミナースでは、現
地リーダーへ経緯説明。その後、救護室に2 名残り日赤チームと患者対応、2 名
は西原村避難所へ移動。1 名は山西小学校で先発隊に合流。被災者へゴールデン
ウィーク後のかかりつけへの受診を促す等の対応。もう1 名は西原中学校にて先
発隊への状況確認後、河原小学校へ現地確認のため移動。救護所看護師より、必
要薬剤の要望を受け、山西小学校薬剤師をピックアップしてホテルエミナースに
戻る。ホテルにて河原小学校の状況報告と薬剤の準備を実施。次の豊前築上薬剤
師会チーム到着のため、河原小学校の状況報告と申し送り、救護所での業務申し
送りを実施。速やかに熊本県薬剤師会へ移動。移動時間60 分。市内の渋滞は変
わらず。その後、新幹線にて北九州へ。新幹線は時刻表通り運航。
【雑感】
災害発生後2週間が経過していたため、全体的に落ち着いている印象。疾患とし
ては、エコノミー症候群以外には、慢性疾患からくる不調や薬切れ、昼夜の寒暖
差による喉の不調・咳・発熱、疲労やストレスからくる抵抗力低下によるヘルペ
ス、打撲、目の不調等が目につく。子供は敷地内で遊んでいる最中の怪我も見ら
れる。感染症、皮膚疾患等が今後増えてくるのかもしれない。
トイレの消毒液は薬剤師が調整して、ボランティアが消毒をして回る状況。水道
が来ていないため、トイレ後の手洗いの水も不足し、衛生状態の悪化が気にな
る。西原村の避難所では、引き揚げ直前にノロウィルスの発生報告あり。インフ
ルエンザ疑いの症例もあり。避難所のプライバシーは全くない。自衛隊による入
浴サービスがあるが、それ以外で服を着替えるにも苦労する環境。今後、専門チ
ームの支援継続はもちろん必要である。早急に望まれるのは、上下水道の復旧
と、仮設住宅の準備ではないか。プライバシーの確保、休息の場として、感染症
拡大を防ぐ隔離の意味合いも含め、仮設住宅の準備が急がれるのではないか。
医療機関、薬局もかなり稼働し始めているが、移動手段のない患者や医療機関が
再開できない場合は、かかりつけ自体を変更する必要がある。益城町総合体育館
は専門チームの人員は足りているようだが、西原村は不足している。また、情報
の収集・発信が不十分に感じる。私たちの次のチームがホテルエミナースに入る
ことが前日に決定しているも、現地には伝わっていなかった。情報収集と発信に
特化した専門班が必要と感じる。大人数は必要ないが、少人数での継続した専門
職の支援は引き続き必要であろう。