6月9日~6月24日

りんご生産情報第5号
(6月9日~6月24日)
平成28年6月8日発表
青森県「攻めの農林水産業」推進本部
果実肥大良好!
良果を見極め、仕上げ摘果に全力を!!
「6月中旬」の薬剤散布は、6月18~19日ころ!!!
Ⅰ
要 約
開花が5日ほど早まったことに加え、5月の平均気温が黒石(りんご研究所)で
観測史上最高を記録し、日照時間も長かったことから、6月1日現在、果実肥大は
平年を上回っている。
結実は、中心果の欠落や肥大のバラツキが見られるが、おおむね良好で全般に標
準着果量を確保できる。
良品生産のため、仕上げ摘果は、果実の形質を見極めてできるだけ早く終了する。
「6月中旬」の薬剤散布は、黒石、弘前、三戸で、6月18~19日頃に行う。
津軽地域の黒星病の発生している園地では、間隔を守って薬剤散布を実施すると
ともに、病原菌の密度を下げるために被害葉・被害果を摘み取り、処分するか、土
中に埋める。
モモシンクイガ対策として「6月中旬」から毎回防除剤を使用する。
ふじは、有袋にすることにより、つる割れの軽減や着色の向上、収穫期の分散が
できるので有袋栽培に積極的に取り組む。
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Ⅱ 生産情報
1 果実肥大、作業の進み、病害虫の動き
(1)果実肥大
開花が5日ほど早まったことに加え、5月の平均気温が黒石(りんご研究所)
で観測史上最高を記録し、日照時間も長かったことから、6月1日現在、果実肥
大はつがる、ジョナゴールド及びふじとも平年を上回っている。
果実肥大
地
域
(6月1日現在、横径㎝、平年比%)
年
つがる
ジョナゴールド
ふ じ
本 年
2.5
2.8
2.2
黒
石
平 年
1.7
1.8
1.5
(りんご研究所)
前 年
2.9
3.1
2.6
平年比
147
156
147
本 年
2.5
2.5
1.8
弘前市独狐
平 年
1.7
1.7
1.3
(中南地域県民局)
前 年
2.8
2.7
2.1
平年比
147
147
138
本 年
2.3
2.5
2.1
板柳町高増
平 年
1.8
1.8
1.4
(西北地域県民局)
前 年
2.6
2.7
2.2
平年比
128
139
150
本 年
2.0
2.0
1.8
三戸町梅内
平 年
1.6
1.5
1.4
(三八地域県民局)
前 年
2.5
2.7
2.3
平年比
125
133
129
※各県民局のデータは農業普及振興室の生育観測ほ調査データ
(2)作業の進み(6月6日現在)
一つ成り摘果は王林、つがるで終盤であり、一部園地ではふじで始まった。
世界一や金星等の小袋かけはほぼ終了した。
特別散布「ふじの落花30日後頃」は、6月4日~6日が盛期であった。
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(3)病害虫の動き
(6月6日現在
りんご研究所)
腐らん病
摘果後の果柄感染継続中
黒星病
葉・果実とも分生子による2次感染継続中
無防除の県予察圃での新梢葉の発病葉率(ふじ)
(本年:黒石6月6日14.0%、平年:黒石6月5日12.4%)
斑点落葉病
まもなく葉上病斑が見られる(平年:黒石6月17日)
褐斑病
まもなく葉上病斑が見られる(平年:黒石6月22日)
ハダニ類
卵~成虫が混在して葉を加害中
リンゴコカクモン
ハマキ
越冬世代成虫の羽化始まる
(成虫誘引初発 本年:黒石6月3日、平年:黒石6月4日)
モモシンクイガ
越冬世代成虫の羽化始まる
(成虫誘引初発 本年:黒石5月24日、平年:黒石6月7日)
まもなく産卵が始まる
(産卵初発 平年:6月18日)
キンモンホソガ
老齢幼虫主体、まもなく第1世代成虫の羽化が始まる
(第1世代羽化50%日 平年:6月22日)
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2 作業の重点
(1)摘果
結実は、中心果の欠落や肥大のバラツキが見られるが、おおむね良好で全般に
標準着果量を確保できる。
摘果が遅れたり、着果量が多いと、今後の玉伸びだけでなく花芽形成などに悪
影響を及ぼすので、仕上げ摘果は果実の形質を見極めてできるだけ早く終了する。
原則として、果実は2~4年枝上に着生した頂芽に成った果実を残すようにす
る。良品生産のため、葉が多く付いた果そうに成った果実で、つる(果柄)が太
く長く、肥大が良好で形の良いものを残し、枝の下面に成った果実、さかさ実、
果台が長い果実(ふじではおよそ2㎝以上)は摘み取る。
中心果が欠落したり形質が悪い場合は、側果の中から形質の良いものを見極め
て残す。
品種別の標準的な着果程度
品
種
摘果の強さ
(残す果実)
紅玉
3頂芽に1果
つがる・ジョナゴールド
3.5頂芽に1果
ふじ・王林・早生ふじ・トキ・シナノゴールド・きおう・
金星・シナノスイート・未希ライフ・ぐんま名月・さんさ
・春明21・星の金貨・千雪・夏緑・恋空・祝・花祝
4頂芽に1果
北斗
4.5頂芽に1果
陸奥・世界一
5頂芽に1果
(2)袋かけ
ふじは、有袋にすることにより、つる割れの軽減や着色の向上、収穫期の分散
ができるほか、販売戦略上も重要である。特に本年は大玉傾向で、夏場の多雨に
よりつる割れの発生が懸念されるので、有袋栽培に積極的に取り組む。
袋かけは7月10日ころまでに終えるようにする。
なお、有袋栽培では、すす斑病やクワコナカイガラムシの防除対策を徹底する。
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(3)第5回目の薬剤散布「6月中旬」
「6月中旬」の薬剤散布は、黒石、弘前、三戸で6月18~19日ころに行う。
散布予定日に降雨が予想される場合には、事前散布に徹する。
第5回目:「6月中旬」
地 域
時
期
黒
石
弘
前
三
戸
6月18~
19日ころ
薬 剤 名 と 倍 数
散布量/10a
炭酸カルシウム水和剤
100倍
アントラコール顆粒水和剤
500倍
500ℓ
又はチウラム剤
500倍
チオノックフロアブル
トレノックスフロアブル
又はジマンダイセン水和剤
600倍
又は有機銅剤
1,200倍
キノンドー水和剤80
オキシンドー水和剤80
(4)黒星病対策
津軽地域で発生の多い園地が見られる。
病原菌の密度を下げるために被害葉・被害果を摘み取り、処分するか、土中に
埋める。なお、被害果はつる(果柄)ごと摘み取る。
また、分生子による感染を予防するために間隔を守って薬剤散布を実施する。
(5)モモシンクイガ対策
「6月中旬」から毎回防除剤を使用する。有袋栽培でも袋をかけ終わるまでは
無袋栽培に準じて防除する。
放任樹(園)が付近にあると発生源になるので伐採する。また、もも、なし、
日本すもも、西洋すもも(プルーン)、マルメロなども発生源になるので、適切
な管理を行う。
(6)うどんこ病対策
近年発生が増加している。被害果そう・葉そうは見つけ次第、枝ごと摘み取っ
て処分する。
(7)腐らん病対策
枝腐らんは、見つけ次第、切り取って処分する。
胴腐らんも見つけ次第、泥巻き法か、削り取り法で治療する。また、以前に治
療したものであっても確認し、適切に処理する。
摘果後の果柄感染による枝腐らんの発生の多い園地では、「6月中旬」にトッ
プジンM水和剤1,500倍またはベンレート水和剤3,000倍も使用する。
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(8)有袋栽培におけるすす斑病対策
袋かけ前の薬剤散布が重要なので、散布間隔をあけ過ぎないようにし、果実に
も薬液が十分付着するようにする。毎年のように本病の発生が見られる園地では
定期散布後5日以内を目安に袋かけを行う。その後も袋かけを継続する場合は、
次の定期散布までの間に袋かけを予定している樹を対象に有効な薬剤による特別
散布(実洗い)をしてから行う。
(9)ハダニ類対策
発生状況に応じて適正な防除を行う。散布の目安は1葉当たり2個体以上ある
いは寄生葉率50%以上である。殺ダニ剤は薬剤抵抗性が出やすいので、年2回以
内使用のものでも年1回の使用とする。
サンマイト水和剤とバロックフロアブルは、リンゴハダニだけの、マイトコー
ネフロアブルは、ナミハダニだけの適用なので、薬剤の選択には十分注意する。
リンゴハダニとナミハダニに対する殺ダニ剤の適用表
薬 剤 名
年使用回数
リンゴハダニ
ナミハダニ
サンマイト水和剤
2回以内
○
×
バロックフロアブル
2回以内
○
×
オマイト水和剤
1回
○
○
ダニサラバフロアブル
2回以内
○
○
コロマイト乳剤
1回
○
○
マイトコーネフロアブル
1回
×
○
ダニゲッターフロアブル
1回
○
○
スターマイトフロアブル
1回
○
○
○:適用する、×:適用しない
コロマイト乳剤は、6月下旬までの使用を避ける。
オマイト水和剤は、7月下旬までの使用を避ける。
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(10)クワコナカイガラムシ対策
発生が多いところでは、バン
ド巻きによる誘殺を6月下旬
(成虫の産卵前)に行い、7月
中旬(卵のふ化前)に除去す
る。
<第1世代幼虫の移動時期(防
除適期)の予測>
バンド巻きの実施方法
7月下旬ごろから発生する第
1世代幼虫の移動時期(防除時期)は、バンド巻きによる産卵消長から予測する
ことができる。バンド巻きは6月下旬ころから始める。
ア クワコナカイガラムシの発生樹を5樹選び、1樹当たり1か所にバンドを巻
く。5日ごとに新しいものと交換し、取り外したバンドを解体して、バンドの
表面や内側に産まれた卵のう数を記録する。
イ 産卵が見られたバンドの設置期間の中央日を「産卵日」とする。
ウ 産卵日以降、日平均気温から発育零点10.7℃を引いた温度を積算し、ふ化ま
でに必要な有効積算温度163.9日度に達した日が「ふ化日」となり、ふ化日から
2~3日後が「移動日」となる。
エ 防除剤による胴木洗いは、移動日及びその約10日後の2回実施する。
(11)リンゴコカクモンハマキ対策
発生の多いところでは、フェロモントラップによる成虫の誘引消長を利用して
適期にサムコルフロアブル10 5,000倍、フェニックスフロアブル4,000倍又は
ディアナWDG10,000倍を散布する。
(12)乾燥対策
5月は降水量が少なく、乾燥気味で経過している。
苗木や若木は乾燥の影響を受けやすいので、園地の状況を把握し、乾燥してい
る場合は、1㎡当たり20ℓ程度をかん水する。また、草からの蒸散を防ぐため、草
刈りをこまめに行い、樹冠下に敷き草する。
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(13)ビターピット対策
ビターピットは幼果期(6月)の少雨や夏期を中心とした生育期間の高温によっ
て発生が多くなる。例年よりも樹勢が強いと見られる場合や、幼果期の少雨、夏
期の高温が予想される場合、下表によりカルシウム剤を直接果実に付着するよう
に散布する。
なお、樹勢の弱い樹や高温時、あるいは干ばつ時には薬害発生(葉縁褐変)の
恐れがあるので避ける。
カルシウム剤の散布方法
資材名
散布時期
資材形状
(散布間隔)
スイカル
6月上旬~9月中旬
粉状
(10日以上)
セルバイン 6月上旬~9月上旬
粉状
(10日以上)
アグリメイト 6月上旬~9月中旬
液状
(15日以上)
3 一般作業
(1)追肥 (2)草刈り
水100ℓ当たり
使用量(倍数)
330g
(300倍)
250g
(400倍)
200mℓ
(500倍)
散布回数
(回)
3~5
3~5
5
(3)ひこばえ、徒長枝の整理
4 今後の作業予定(6月25日~7月8日)
(1)薬剤散布(6回目「7月初め」) (2)摘果 (3)袋かけ
(5)ひこばえ、徒長枝の切り取り (6)高接ぎ樹の誘引及び捻枝
(7)ビターピット対策
(8)マメコバチの巣箱回収
(4)草刈り
《 農薬使用基準の遵守 》
農薬を使用する場合は、必ず最新の農薬登録内容を確認する。
また、短期暴露評価の導入により使用方法が変更される農薬は、登録内容の変
更前であっても、変更後の使用方法で使用する必要があるため、変更の有無を次
のWebサイトで確認してから使用する。
○農林水産省「農薬情報」
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/
○(独)農林水産消費安全技術センター「農薬登録情報提供システム」
http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm
○青森県農業情報サービスネットワーク「アップルネット」農薬情報
http://www.applenet.jp/
農薬の使用にあたっては、事前に周辺住民に対し、農薬の散布日時や使用者の
連絡先等を十分な時間的余裕を持って知らせる。また、農薬の飛散により、周辺
作物や近隣の住宅等に被害を及ぼすことのないように、農薬飛散低減対策に留意
して散布する。
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《 ポジティブリスト制への対応 》
農薬の飛散により、周辺住民及び作物に被害を及ぼすことのないように、散布
情報の提供・交換等地域が連携し、農薬飛散低減対策に留意して散布を行う。
~青森県農薬危害防止運動実施中(5月1日~8月31日)~
早めの「適正着果を」!適正着果量確保推進期間中(5月~7月中旬)
有袋栽培にも取り組みましょう!
農作業事故が多発しています!農作業安全を心がけましょう!
山火事など火災の発生防止に努めましょう!
【 第2回りんご等果樹生産技術研修会のお知らせ 】
地域 時
期
場
所
津軽 6月14日(火)
黒石市:(地独)青森県産業技術センターりんご研究所
午前10時~12時
県南 6月15日(水)
五戸町:(地独)青森県産業技術センターりんご研究所
午前10時30分~12時
県南果樹部
次回の「りんご生産情報」第6号は6月24日(金)発表の予定
担 当 課
担 当 者
電話番号
報 道 監
- 9 -
報道機関用提供資料
りんご果樹課
生産振興グループ 今総括主幹
直通 017-734-9492
内線 5092
農林水産部 津島農商工連携推進監
内線 4966