概要版 - 足立区

平成27年度
河川魚類等調査委託
報告書(概要版)
調査の概要
毛長川(ふれあい橋上流)
綾瀬川(桑袋ビオトープ公園付近)
垳川(葛西用水合流付近)
【目的】足立区内の河川に生息する魚類等の生物の把握。
【調査地点】足立区内の4河川6地点。(右図参照)
【方法】投網、タモ網、小型定置網、刺網、カゴ網などを用いて、
魚類の任意採集を実施しました。
綾瀬川の2地点では、底生動物の採集も実施しました。
【環境】本調査地点中、最も上流に位置します。
植物が多く生育し、瀬・淵の形成もみられます。
【確認種】ニホンウナギ、コイ、ギンブナ、タイリク
バラタナゴ、オイカワ、マルタ、タモロコ、カマツカ、
ニゴイ、スゴモロコ、ドジョウ、チャネルキャット
フィッシュ、アユ、カダヤシ、ミナミメダカ、スズ
キ、ボラ、ウキゴリ、マハゼ、ヨシノボリ属、シモフリ
シマハゼ、ヌマチチブ、カムルチー 計23種
【環境】直立護岸となっていて、ヨシなどの
抽水植物はみられません。干潮時には一部で
泥干潟が干出します。
【確認種】ニホンウナギ、ギンブナ、ボラ、
スミウキゴリ、マハゼ、アシシロハゼ、シ
モフリシマハゼ、ヌマチチブ 計8種
(底生動物)ヒメタニシ、ヤマトカワゴカイ、
カワヒバリガイ、テナガエビ、モクズガ
ニ、アメンボなど 計30種
【環境】両岸とも直立護岸となっていて、ヨ
シなどの抽水植物はみられません。
【確認種】コイ、ギンブナ、タイリクバラ
タナゴ、モツゴ、タモロコ、ブルーギル、
オオクチバス、ボラ、マハゼ、ヨシノボリ
属、ヌマチチブ 計11種
オイカワ
投網
刺網
タモ網
アユ
ヒメタニシ
結果の概要
・合計7目14科33種の魚類が確認されました。
・10魚種が重要種に該当しました。
・1魚種が国内外来種、7魚種が国外外来種に該当しました。国外
外来種のうち5魚種は特定外来生物に該当しました。
・確認魚種の最も多かった地点は毛長川(23種)、最も少なかっ
た地点は綾瀬川の桑袋ビオトープ公園付近(8種)でした。
・確認魚種の生活型は、毛長川と垳川では淡水魚の占める割合が、
荒川では海水魚と河口魚の占める割合が高い傾向にありました。
・底生動物(綾瀬川のみ実施)は、42種類が確認され、8種が重要
種、6種が外来種(うち1種が特定外来生物)に該当しました。
魚類
種
数
25
2
2
1
15
3
10
1
1
1
6
7
6
5
タイリクバラタナゴ
マハゼ
ボラ
ドジョウ
ニホンウナギ
ギンブナ
モツゴ
荒川(新田3丁目付近)
【環境】ワンドが造成されていて、抽水
植物も多く生育しています。干潮時には
泥干潟が形成されます。
【確認種】コイ、ギンブナ、ニゴイ、ス
ゴモロコ、カダヤシ、スズキ、シマイ
サキ、ボラ、マハゼ、アシシロハゼ、
アベハゼ、ヌマチチブ 計12種
調査地点別の確認種数
20
カムルチー
11
綾瀬川(内匠橋上流)
2
1
6
5
5
4
7
7
3
1
0
荒川
(新田)
荒川
(千住)
重要種
一般種
綾瀬川
(内匠)
国内外来種
魚類
種
数
比
綾瀬川
(桑袋)
その他国外外来種
3
3
2
1
80%
3
70%
60%
50%
3
5
3
特定外来生物
2
1
2
1
1
1
シマイサキ
1
3
【環境】河岸にワンドが整備されています。抽水植物が多く
生育していて、干潮時には泥干潟もみられます。
【確認種】ギンブナ、マルタ、カダヤシ、ミナミメダカ、
スズキ、ブルーギル、コクチバス、ヒイラギ、ボラ、ビリ
ンゴ、マハゼ、アシシロハゼ、アベハゼ、シモフリシマハ
ゼ、ヌマチチブ 計15種
ヒイラギ
ベンケイガニ
1
1
1
1
1
40%
1
13
ニゴイ
2
5
5
4
10%
1
0%
荒川
(新田)
不明
7
2
30%
20%
荒川(千住新橋緑地わんど広場)
垳川
生活型別の種数比
100%
90%
毛長川
【環境】直立護岸となっていますが、一部で
泥の堆積と植物の生育がみられます。干潮時
には一部で泥干潟が干出します。
【確認種】ニホンウナギ、コイ、タイリク
バラタナゴ、マルタ、モツゴ、ニゴイ、ス
ズキ、ボラ、スミウキゴリ、マハゼ、アシシ
ロハゼ、シモフリシマハゼ、ヌマチチブ
計13種
(その他底生動物)ヒメタニシ、カワヒバ
リガイ、テナガエビ、クロベンケイガニ、
ベンケイガニなど 計33種
荒川
(千住)
淡水魚
両側回遊魚
綾瀬川
(内匠)
遡河回遊魚
綾瀬川
(桑袋)
降河回遊魚
1
1
毛長川
河口魚
垳川
アシシロハゼ
ビリンゴ
海水魚
橙色枠の地点:海水魚・河口魚が多い
水色枠の地点:淡水魚が多い
赤色の種:重要種
青色の種:国外外来種(下線は特定外来生物を示す) 紫色の種:国内外来種
マルタ
平成27年度
経年変化
種
数
・今年度までの9年間で合計9目20科49種の
魚類が確認されています。
・重要種はこれまで11魚種が確認されていて、
毎年4~10種の間で推移しています。
・特定外来生物はこれまで5魚種が確認されて
いて、毎年2~5種の間で推移しています。
・多様な環境がみられる毛長川は、どの年度も
多くの魚種が確認されています。特に今年度
では23種もの魚類が確認されました。
・単調な環境の垳川は、どの年度も確認種数は
少ないですが、近年はやや増加傾向がみられ
ます。
・汽水域の荒川と綾瀬川は、その年の出水など
の影響により、確認種数が変動することが考
えられます。(例えば、出水時は淡水魚の生
活型の種が多く確認されることがあります。)
種
数
45
河川魚類等調査委託
35
2
2
2
1
25
3
2
4
2
3
4
19
15
18
10
8
7
H19
8
6
H20
H21
H22
綾瀬川_桑袋
毛長川
5
H24
H25
H26
14
7
8
H25
H26
10
4
H23
H24
H27
注)荒川と綾瀬川、毛
長川、垳川の4河川は
毎年実施、隅田川と花
畑川、中川の3河川は、
5年に1度(H19とH24)
実施。
調査地点ごとの魚類の確認種数の経年変化
(5年ごとに実施の3河川:今年度は未実施)
18
種
数
15
12
垳川_神明(H19~24)
9
垳川_六木(H19~24)
6
垳川_葛西(H25~27)
3
0
H23
15
18
2
9
綾瀬川_内匠
10
重要種
22
全河川合計
(H19とH24は7河川で実施、それ以外の年は4河川で実施)
15
H22
1
10
荒川_千住
H21
一般種
0
20
H20
飼育品種
2
2
3
16
15
5
2
4
20
3
1
1
1
2
隅田川
花畑川
中川
H19
H24
トピック
特定外来生物が多く確認されました。
・今年度確認された特定外来生物は、魚類5種(チャネルキャットフィッシュ、カダヤシ、ブルーギル、オオク
チバス、コクチバス)、底生動物1種(カワヒバリガイ)、両生類1種(ウシガエル)でした。
・チャネルキャットフィッシュ(毛長川で確認)は、これまで成魚が1個体確認されたのみで
したが、今回は稚魚が2個体確認されました。周辺水域で繁殖していることが懸念されます。 ウシガエル(幼生)
・コクチバスは、足立区内では確認例数の少ない種です。今年度の秋の出水時に上流から流さ
れた個体が偶発的に確認されたものと思われます。
オオクチバス
コクチバス
ブルーギル
チャネルキャットフィッシュ
目名
科名
種名
荒川 千住
新田
新橋
3丁目
緑地
付近 わんど
広場
9月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
ウナギ
コイ
ウナギ
コイ
ニホ ン ウ ナ キ ゙
コイ
ギンブナ
タイ リクハ ゙ラ タナ ゴ
オイカワ
マルタ
モツゴ
タモロコ
カ マツカ
ニゴイ
ス ゴモロ コ
ドジョウ
ト ゙ジョウ
ナマズ アメリカナマズ チャネルキャット フ ィッシュ
サケ
アユ
アユ
カダヤシ カダヤシ
カ ダヤシ
ダツ
メダカ
ミナ ミメダカ
スズキ スズキ
スズキ
シマイサキ
シマイサキ
サンフィッシュ フ ゙ルー ギル
オ オ クチハ ゙ス
コクチハ ゙ス
ヒイラギ
ヒイラギ
ボラ
ボラ
ハゼ
スミウキゴリ
ウキゴリ
ビリン ゴ
マハゼ
アシシロ ハ セ ゙
アベハ セ ゙
ヨシノボリ属
シモフリシマハゼ
ヌマチチフ ゙
タイワンドジョウ カ ムルチー
9月
カダヤシ
合計 7目14科33種
綾瀬川の護岸部の植生。
ベンケイガニ等の生息
環境となっています。
7月
桑袋ビオトープ
公園付近
10月
7月
1
5
10月
2
1
4
1
1
1
3
1
1
1
2
3
1
1
葛西
用水
合流
付近
9月
9月
5
3
4
74
1
2
6
8
1
6
1
3
ふれあ
い橋上
流付近
3
21
9
30
2
11
1
2
垳川
1
1
1
1
90
83
5
1
1
13
23
8
1
17
2
1
2
15
34
1
3
31
22
35
3
22
6
23
15
2
4
15種
6
9
12
9種
2
6
9
1
28
5
33
9種
6種
3
9
4
46
7
3
3
37
2
1
2
1
降河
淡水
淡水
淡水
淡水
遡河
淡水
淡水
淡水
淡水
淡水
淡水
淡水
両側
淡水
淡水
海水
海水
淡水
淡水
淡水
海水
海水
両側
両側
河口
河口
河口
河口
不明
河口
両側
淡水
外
来
種
重
要
種
生
活
型
国:EN、都:VU
国外
都:留
都:留NT
都:留NT
(国:VU)
国:DD
国内
特定
特定
国:VU、都:CR+EN
特定
特定
特定
都:NT
都:留
都:NT
都:留
国外
5種
19種
13種
平成27年度調査 底生動物確認種一覧
調査地点
・足立区には、さまざまな環境の河川がみられ、それ
ぞれの河川に特徴のある魚類相が形成されています。
・調査河川は、海域との連続性は高いですが、周辺水
域(池・湿地等の氾濫原)との連続性は低いといえ
ます。池や湿地等を再生するような取り組みが、生
物多様性を高めるためにも、今後、望まれます。
・河川管理上撤去されがちな護岸に堆積した泥や植生
も、生物の生育・生息環境としては重要です。
・外来種を持ち込まない、ペットを野外に放さないと 「新田わくわく♡水辺広場」(荒川河川敷)に造
成された池。貴重な生息環境となっています。
いった取り組みが、外来種対策として必要です。
内匠橋上流
付近
毛長川
8種
23種
11種
-
10種
8種
14種
注) 1.種名および分類は、『河川水辺の国勢調査のための生物リスト 平成27年度生物リスト 河川環境データベース』(国土交通省、平成27年)に準
拠しています。なお、これまでトウヨシノボリ類、トウヨシノボリ(型不明)などとしていたものは、ヨシノボリ属として扱っています。
2.表中の数字は確認個体数を示しています。
3.生活型 加納ほか(2000)を参考に、以下のとおり区分しています。
淡水:淡水魚(生活史を淡水域で完結する種)
遡河:遡河回遊魚(産卵のために河川に遡上する種)
降河:降河回遊魚(産卵のために海へ下る種)
両側:両側回遊魚(生活史の一時期を海域で過ごす種)
海水:海水魚(海域で産卵を行う種であり、基本的には河川淡水域では成長しない。)
河口:河口魚(河口域で全生活史をほぼ完結する種)
4.重要種(赤色で示した種) なお、国内外来種に該当する種は()内に示し、集計から外しています。
国:EN・・・環境省RDB(2015)の絶滅危惧ⅠB類、 国:VU・・・環境省RDB(2015)の絶滅危惧Ⅱ類、 国:DD・・・環境省RDB(2015)の情報不足
都:CR+EN・・・東京都RDB(2010)区部における絶滅危惧Ⅰ類、 都:VU・・・東京都RDB(2010)区部における絶滅危惧Ⅱ類、
都:NT・・・東京都RDB(2010)区部における準絶滅危惧、 都:留・・・東京都RDB(2010)区部における留意種
5.国外外来種(青色で示した種) 特定・・・特定外来生物、 国外・・・特定外来生物以外の国外外来種
6.国内外来種(紫色で示した種) 国内・・・国内外来種(国内の他の地域から人為的に移入された種)
カワヒバリガイ
まとめ
綾瀬川
2
12種
0
H27
No.
国内外来種
3
3
3
荒川_新田
H19
その他の国外外来種
2
調査地点ごとの魚類の確認種数の経年変化
(毎年実施の4河川)
25
特定外来生物
4
5
平成27年度調査 魚類確認種一覧
足立区全体における魚類の確認種数の経年変化
40
30
報告書(概要版)
確認種
タンスイカイメン科、Prostoma属、ヒメタニシ、ヒメモノアラガイ、ハブタエモノアラガイ(国外)、サカマキガイ
(国外) 、カワヒバリガイ(特定)、ヤマトシジミ( 国: NT、都:留) 、ヤマトカワゴカイ、スエヒロミミズ属、ウ
内匠橋上流
チワミミズ属、ミズミミズ属、ヨゴレミズミミズ、ミズミミズ亜科、ナガレイトミミズ亜科、ユリミミズ属、イトミミズ亜
付近
科、ミゾレヌマエビ、カワリヌマエビ属(国外or国内)、テナガエビ( 都: 留) 、クロベンケイガニ(都:留)、
ベンケイガニ(都:留)、コシアキトンボ、アメンボ、ヌカカ科、ツヤユスリカ属、ユスリカ属、ホソミユスリカ属、
ハモンユスリカ属、ミギワバエ科、カンテンコケムシ、オオマ リコケムシ( 国外)、ハネコケムシ科
タンスイカイメン科、エダヒドラ属、ヒメタニシ、コシダカヒメモノアラガイ(国:DD)、カワヒバリガイ(特定)、
ヤマ トシジミ(国:NT、都: 留) 、ヤマトカワゴカイ、ウチワミミズ属、ミズミミズ属、フサゲミズミミズ、ヨゴレミ
桑袋ビオトープ公園
ズミミズ、ミズミミズ亜科、エラミミズ、ナガレイトミミズ亜科、ユリミミズ属、イトミミズ亜科、ハバヒロビル、アタ
付近
マビル、カワリヌマエビ属(国外or国内)、テナガエビ(都:留)、クロベンケイガニ(都:留)、モクズガニ
(都:留)、アメンボ、ヤマトヒメユスリカ族、エリユスリカ亜科、ユスリカ属、ホソミユスリカ属、ハモンユスリカ
属、オオマリコケムシ(国外)、ハネコケムシ科
重要種( 赤色で 示した種)
国:NT・・・環境省RDB(2014)による準絶滅危惧、 国:DD・・・環境省RDB(2014)による情報不足
都:CR・・・東京都RDB(2010)区部における絶滅危惧ⅠA類、 都:留・・・東京都RDB(2010)区部における留意種
外来種( 青色で 示した種)
特定・・・特定外来生物、 国外・・・特定外来生物以外の国外外来種、 国内・・・国内外来種
合計
33種類
30種類