歩行動作の評価・学習システム - 健康長寿をアシストする - 電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授 岡田 英孝 1 高齢者人口の増大 長寿社会の到来 (長く生きられるようになった) 研究背景 高齢化の推移と将来推計 生産年齢人口の減少 要介護者の増大 社会保険制度,医療制度の破綻 65歳以上の要介護認定者数の推移 ( 平成27年版高齢社会白書,内閣府) “健康”長寿社会の実現 ⇒ 国民的課題 QOL(Quality Of Life)を高める ⇒ 日常生活動作(ADL)の 維持が前提条件 ⇒ 歩行能力の維持が重要 ( 平成27年版高齢社会白書,内閣府) 2 加齢にともなう歩行能力の低下 女性 歩行速度(m/秒) 男性 年齢(歳) 年齢(歳) 緩やかな低下 (1.1%/10年) 急激な低下 (16.0%/10年) 緩やかな低下 (2.0%/10年) (Himann et al., 1988) 急激な低下 (12.4%/10年) 3 加齢にともなうストライド特性の変化 歩行速度(m/秒) 1.6 ** ** ** 1.2 2 1.6 1.2 0.8 0.8 0.4 0.4 0 0 20代 1 ステップ頻度(歩/秒) 60代 70代 80代 0.6 ステップ長(m) 0.8 ** ** 20代 0.6 70代 80代 ステップ長/身長 0.5 ** 60代 ** ** ** 60代 70代 80代 0.4 0.3 0.4 0.2 0.2 0.1 0 0 20代 60代 70代 80代 20代 ** 20代との有意差(p<.01) 4 動作解析(kinematics分析とkinetics分析) 剛体リンクモデルの構築 Kinematics 重心位置,部分角度,関節角速度…etc. 肩関節 頭部 頚関節 上腕 肘関節 体幹 前腕 股関節 手関節 大腿 手 膝関節 下腿 足関節 足 逆動力学的分析 ai αi フォースプラットフォーム Mid rid Segment i+1 Fip rip Mip Segment i mi・g Fid Kinetics 関節トルク,関節トルクパワー,関節がな した力学的仕事…etc. Segment i-1 Fid + Fip + mi・ g = mi・ ai Mid + Mip + rid×Fid + rip×Fip = Ii・αi 5 歩および走における下肢関節の関節トルクパワー 2 1.5 1 0.5 0 -0.5 -1 2nd R-on 1st R-on 股関節 1 0.5 0 -0.5 -1 -1.5 -2 膝関節 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 -0.5 -1 青年 n =12 1.30±0.09m/s 足関節 高齢者 n =25 1.25±0.16m/s 67% 0 20 40 60 %歩行周期 (%) 80 100 関節トルクパワー (watt/kg) 関節トルクパワー (watt/kg) 1st R-on 2nd R-on 股関節 6 4 2 0 -2 -4 4 2 0 -2 -4 -6 -8 膝関節 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 青年 n =12 3.71±0.31m/s 高齢者 n =22 3.58±0.56m/s 45% 足関節 0 20 40 60 80 100 %ランニング周期 (%) 6 歩行中の下肢関節の力学的仕事の年代別比較 0.9 0.8 足関節 膝関節 股関節 0.213 0.7 正仕事 0.6 0.287 0.5 0.289 0.293 0.4 0.3 関節の力学的仕事 (J/kg) 0.128 0.083 0.076 0.550 0.070 0.2 0.291 0.282 0.255 E1 E2 E3 -0.107 -0.116 -0.116 -0.382 -0.383 -0.084 -0.078 0.1 0.0 0 -0.1 Y -0.171 -0.2 負仕事 -0.3 -0.4 -0.408 -0.067 -0.5 -0.6 -0.129 -0.7 -0.8 -0.344 Y:20代青年 65歳≦E1<70歳 70歳≦E2<75歳 75歳≦E3 -0.9 7 Angular Velocity [rad/s] Joint Torque Power [W/kg] Angle [deg] Joint Torque [N*m/kg] 歩行速度および身長が動作に及ぼす影響(股関節の例) Normalized Time [%] Normalized Time [%] 歩行動作の重要な特徴点において歩行速度と身長による影響がある 8 歩行速度と身長の調整 Before After 𝑦𝑖′ = 𝛽𝑉 ∙ 𝑉 + 𝛽𝐻 ∙ 𝐻 + 𝛼 + (𝑦𝑖 − (𝛽𝑉 ∙ 𝑉𝑖 + 𝛽𝐻 ∙ 𝐻𝑖 + 𝛼)) 𝑦′ 𝛽𝑉 , 𝛽𝐻 𝑉, 𝐻 :調整値 :偏回帰係数 :全体平均 𝑦𝑖 :個人の値 𝛼 :定数項 𝑉𝑖 , 𝐻𝑖 :個人の歩行速度および身長 9 歩行動作の加齢度評価(阿江,2010を応用) 逸脱度 若年者群=基準値 個人の歩行動作 歩行動作変数のZスコアを算出し,年齢を予測 𝑦 − 𝑦𝑌 𝑍= 𝑆𝐷𝑌 𝑦 : 各個人の取得データ 𝑦𝑌 : 若年者群の平均 𝑆𝐷𝑌 : 若年者群の標準偏差 個人の予測年齢のZスコア=歩行動作加齢度指数 (Gait-Motion Aging Index; GMA_Index) 10 重回帰分析による年齢予測 説明変数 NAd Ad1 or or Ad2 or 年齢との相関が有意 Ad3 NAd:未調整 Ad1:歩行速度を調整 Ad2:身長を調整 Ad3:歩行速度と 身長を調整 rmsCV < 50 [%] 目的変数:年齢 変動係数:𝑟𝑚𝑠𝐶𝑉𝑖𝐹𝑌 = 𝑛 𝑦𝑖𝑌𝑘 𝑆𝐷𝑖𝑌 𝑆𝐷𝑖𝑌 1 𝑛 𝑛 2 𝑘=1 𝑦𝑖𝑌 × 100 [%] (阿江ら,2011) :若年者の被験者数 :ピーク値i における若年被験者k の取得データ :ピーク値i における若年者群の標準偏差 11 重回帰分析結果 0.6 𝑃𝐻2 P_H2 P_K3 𝑃𝐾3 0.4 変数 𝑇𝐾5 T_K5 𝑇𝐾5 -66.14 𝜃𝐴3 -0.50 -0.23 ** 1.1 𝜃𝐻2 -0.50 -0.21 ** 1.1 𝑇𝐴2 -19.80 𝑃𝐻2 -9.12 𝑹R𝟐2 𝜔𝐾4 ω_K4 𝜔𝐾1 ω_K1 𝜔𝐴1 ω_A1 θ_H2 𝜃𝐻2 θ_K4 𝜃𝐾4 θ_K3 𝜃𝐾3 θ_A3 𝜃𝐴3 0 NAd Ad1 Ad1 Ad2 Ad2 Ad3 NAd Ad3 Ad1:歩行速度 Ad2:身長 Ad3:歩行速度と身長 θ_A1 𝜃𝐴1 偏回帰係数 *** 𝑇𝐻3 T_H3 𝑇𝐴2 T_A2 0.2 𝑹𝟐 = 𝟎. 𝟐𝟕 Ad3 定数項 207.07 標準偏回帰係数 P値 -0.25 *** -0.19 *** -0.15 * VIF 1.2 1.2 1.3 *** (*: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.001) の調整で低下 12 歩行動作加齢度指数(GMA_Index) GMA_Index もっとも 逸脱 若年者に 近い FY FM FE 被験者A 被験者B Age [yrs] GMA_Indexが0に近い:若年群の標準的な歩行動作 回帰直線 に近い:同年代の標準的な歩行動作 13 従来技術とその問題点 計測に大掛かりな装置が必要で,解析に手 間がかかる 歩行動作を簡易に計測する装置が登場.し かし,評価方法は科学的エビデンスに基づ いていない 歩行者固有の歩行動作を定量化していない 14 新技術の特徴・従来技術との比較 歩行速度,形態を考慮に入れることで,歩行者 固有の歩行動作を定量化 加齢の影響が大きい動作変数(ストライド特性 と足部動作)の計測に特化し,計測を簡略化 エビデンスに基づいた歩行動作の評価・診断 フィードバックシステムによる学習機能 15 提案内容 歩行動作の 1) 計測 2) 評価(加齢度評価) 3) 学習(フィードバック) を行えるシステムの開発 エビデンスに基づき,かつ簡便なもの 16 歩行動作改善のためのバイオフィードバックシステム 加速度センサ ジャイロセンサ ゴニオメータ1 ゴニオメータ2 ゴニオメータ3 視覚/聴覚フィードバック リアルタイムで目標値と重ね合わせ表示 目標値とのずれを音で提示 フットスイッチ 17 歩行動作バイオフィードバックシステム リアルタイム 聴覚フィードバック 歩行訓練 +計測 オフライン 視覚フィードバック 動作の評価 +改善点の認識 サイクル・ループを繰り返す中で歩行動作を改善 18 足関節トルクの推定 19 想定される用途 個人ユースを想定したヘルスケア製品 ‐スマートフォン用アプリケーション ‐スマートウォッチとの連動 WEBを用いた歩行診断・学習支援 - 歩行動作データベースの構築 - 年齢に応じた標準動作を提示 歩行動作以外の運動計測への応用 - ランナーの競技力向上支援 20 実用化に向けた課題 センサ(慣性センサ)の小型化・軽量化 着脱を容易にする形状の工夫 運動意欲を促進するインターフェイスの開発 簡易情報からの生体内力の推定 21 企業への期待 慣性センサのモディファイ(歩行計測に特化) 無線通信によるデータ欠損への対応(転送 技術の改善,データ補間) 足圧センサを併用すれば,足関節トルクの推 定が可能となり,加齢度評価の精度向上が 期待できる 22 お問い合わせ先 国立大学法人 電気通信大学 産学官連携センター 産学連携コーディネーター 今田 智勝 TEL 042-443 - 5724 FAX 042-443 - 5726 e-mail imada@sangaku.uec.ac.jp 23 次世代型高性能熱交換器開発のための 伝熱管流れの可視化および熱伝達予測式の提案 国立大学法人電気通信大学 情報理工学研究科 知能機械工学専攻 助教 榎木 光治 技術開発の背景 空調機の日本国内 における世帯普及率と保有台数 91.2 % 3.0 台 世帯普及率 世帯保有台数 内閣府2015年調べ 空調機の消費電力 食器洗い機 2% 衣料乾燥機 3% 空調機の消費電力膨大 空調機 25% その他電力 20% 空調機の高性能化が急務 温水洗浄便座 4% 電気カーペット 4% テレビ 10% 冷蔵庫 16% 照明 16% 家庭消費電力の年間平均内訳 (資源エネルギー庁,2010) 熱交換器を高性能化が必要 従来の技術とその問題点 現在の熱交換器 螺旋溝付伝熱管 高効率化 エアコンの室内機 蛭子ら,日本機械学会熱工学講演論文集,1997 内径7-10mm程度 現在の熱交換器は,管内に螺旋溝をつけて伝熱促進を図っている 内表面積の増加 螺旋溝付伝熱管・・・・ 管内に均一な液膜を形成 溝付伝熱管の技術革新は頭打ちで,ブレークスルーが必要 今回紹介する新技術 螺旋溝付伝熱管 次世代型熱交換器 技術の ブレークスルー 1mm 蛭子ら,日本機械学会熱工学講演論文集,1997 内径1mm程度 次世代型熱交換器 ・・・・ 冷媒流路を1mm程度まで微細化 流路を非円形 次世代型熱交換器開発の為には,微細管内の相変化熱伝達や圧力損失 の特性を実験により明らかにする必要あり 熱伝達整理式と圧力損失整理式を作成する なぜ微細化すると熱伝達良くなる? 大径管 微細管 D 10D 伝熱面積 流路面積 10D π π(10D)2 4 = 4 πD 10D π(D)2 = 4 流路面積当たりの伝熱面積の増加による伝熱性能の向上 4 D なぜ非円形化すると効率が良くなる? 非常に薄い液膜 熱抵抗となる液膜が,非円形管では表面張力の効果で薄くな るため 微細管の技術開発研究で行う主な実験 微細管内の相変化熱伝達や圧力損失 気液二相流で,さらに表面張力の効果が大きく物理現象が複雑 特性は実験で明らかにする必要がある 微細管研究で行う主な実験・・・3種類 • 相変化熱伝達実験 微細管内の相変化熱伝達特性を調べる • 圧力損失実験 微細管内の圧力損失特性を調べる • 高速度カメラを用いた管内流れの観察実験 伝熱や圧力損失特性のメカニズムを解明する 実験で使用した伝熱管と可視化ガラス管 伝熱管・・・熱伝達と圧力損失実験 D=1.00mm Dh=1.02mm 可視化ガラス管・・・流動様相の観察 Dh=0.88mm 発表の流れ 1. 流動様相の観察映像 2. 熱伝達特性と熱伝達メカニズムの解明 3. 熱伝達整理式 4. 本技術の知的財産,メリット,経歴,問い合わせ先 円形流路内垂直流の流動様相観察映像 1.03 1.03 撮影方向 Up Down Up Down Up Down Slug Churn Annular G = 50 kg/(m2・s) , x = 0.2 0.01倍速(1000fps撮影) G = 200 kg/(m2・s) , x = 0.4 0.005倍速(40000fps撮影) G = 400 kg/(m2・s) , x = 0.8 0.001倍速(40000fps撮影) 従来径管と同様に,スラグ流,チャーン流,環状流を観察 矩形と三角形流路内垂直流の流動様相観察映像 上昇流(下降流と流動様相に差異なし) 撮影方向 1.36 1.10 矩形 三角形 撮影方向 Slug G = 50 kg/(m2・s) x = 0.2 , 0.01倍速 矩形 三角形 Churn G = 200 kg/(m2・s) x = 0.4 , 0.005倍速 円管と同様,スラグ流,チャーン流,環状流が観察 矩形管 三角形 Annular G = 400 kg/(m2・s) x = 0.8 , 0.001倍速 円管水平流の流動様相観察映像 Flow direction 撮影方向 1.03 Slug Gravity G = 50 kg/(m2・s) , x = 0.2 0.01倍速(2000fps撮影) 気体プラグは管頂側を流れる Stratified G = 50 kg/(m2・s) , x = 0.8 0.0075倍速(4000fps撮影) 擾乱は管頂部に達しない Wavy G = 100 kg/(m2・s) , x = 0.5 0.0075倍速(4000fps撮影) 擾乱は管頂部に達する Churn G = 200 kg/(m2・s) , x = 0.3 0.0025倍速(4000fps撮影) Annular G = 400 kg/(m2・s) , x = 0.8 0.001倍速(15000fps撮影) 垂直流と同様に,スラグ流,チャーン流,環状流を観察 低流量・中・高クオリティ域で,水平流に特有の,層状流と波状流が出現 25 G = 400 kg/(m2 ·s) q = 4 kW/m G = 400 25 kg/(m ·s) G = 400 kg/(m2·s) 2 q = 8 kW/mq = 4 kW/m2 0.4 0.2 0.6 0.4 0.8 0.6 x 0.8 1 1 x 15 10 5 0 30 15 α 流動方向の影響(円管) 20 = 200 G kg/(m = 2002·s) kg/(m2·s) 25 G 25 2 2 q =kW/m 16 kW/m 15 q = 16 kW/(m2·K) 0.2 0 0 30 20 20 15 5 10 15 10 50 0 流路形状の影響(上昇流) 5 0.4 0.6 0.8 1 0 0.2 x 0 Horizontal 2 0 22 01 0.2 0 G = 400 0.2 0.4 kg/(m 0.4 0.62 G = 50 kg/(m ·s) G = 0.2 kg/(m ·s) 0G 0400 0.2 0.4 2·s) 0.4 0.6 0.6 0.8 0.8 1 50 kg/(m ·s) 25 2 = 400 kg/(m 25 22 2 2 q = 2 kW/m q = 16 kW/m kW/m Slug Churn Slug Churn AnnularAnnular No-obs. q = 42 kW/m q =No-obs. 8 kW/m 30 0.2 30 30 2 kW/(m kW/(m2·K) ·K) kW/(m2·K) Horizontal Horizontal UpwardUpward 15 Downward15 Downward 2 kW/(m2·K) Circular 2 2Upward 2 G = 400 kg/(m ·s) 50 ·s) 30 kg/(m 25 25 G 2 2= 30 kg/(m 2·s) q1 = 2161kW/m kW/m q = 2 kW/m 4 2 0.6 0.4 0.8 0.6 0.8 x x Slug 20 Wavy Slug Stratified Wavy Stratified Churn Churn Annular Annular No-obs.No-obs. 20 10 20 20 105 5 10 0 0.230 CircularCircular Rectangular Rectangular Triangular Triangular 15 15 10 10 55 5 0 15 0 G = 400 G kg/(m = 4002·s) kg/(m2·s) 2 2 q = 2 qkW/m = 2 kW/m 10 α 0 2 kW/(m kW/(m2·K) ·K) 20 沸騰熱伝達実験結果 s) kg/(m2·s) 2 kW/m kW/(m2·K) 微細管の沸騰熱伝達特性 0 30 G = 400 kg/(m 2 q = 8 kW/m 0.4 0.6 0.8 x 22 2 G = 100 kg/(m ·s) 50 kg/(m ·s) 25 G22 = 50 kg/(m 2·s) q = 2 kW/m 4 kW/m q = 4 kW/m 00 30 0 1 0.2 0.4 2 2 G = 100 kg/(m ·s) = 100 kg/(m2·s) ·s) GG= 2 400 kg/(m 2 25 2 q = 2 kW/m 2 kW/m kW/m qq == 16 0.6 0.8 1 0 x 0.2 0 kW/(m2·K) kW/(m2·K) kW/(m2·K) 10 20 20 従来径管では良好な熱伝達を達成できない領域で,微細管は非 15 常に良好な熱伝達で,従来管よりも2-10倍程度良好な熱伝達 Slug Wavy Stratified Churn Annular Slug Wavy 5 15 10 Circular Rectangular 10 Circular Rectangular 熱伝達に流動方向や流路形状の影響あり 5 5 流動様式は主にスラグ流 0 0 15 30 0 0 0.2 0.4 0.6 x 0.8 1 Stratified Churn 伝熱メカニズムの解明 流路形状での熱伝達の差異 非円形管では,流路断面周上に液膜の分布が生じ 辺上では,円管よりも更に薄い液膜が存在 非円形管の熱伝達が良好 気体プラグが通過する際の各断面の液膜分布 流動方向での熱伝達の差異 水平流では気体プラグ周囲液膜が管頂点部で薄く Circular Horizontal 管底部で厚くなっていることが確認された 垂直流よりも,水平流の熱伝達が良好 そこで, 可視化ガラス管を外部より,工業用ドライヤーで一様加熱し, 沸騰熱伝達実験に近い条件で,スラグ流域の流動様相の観察 非円形管の辺上と,水平流の管頂部に薄い液膜が存在するか検証 矩形管加熱上昇流の可視化映像 1.36 G = 50 kg/(m2・s) , x = 0.2 , q = 5 kW/m2 0.01倍速(2000fps撮影) 流動方向によらず三角形管でも同様 の蒸発現象を観察 円管では確認できず 非円形管の非常に良好な熱伝達は, 辺上の薄い液膜蒸発によって達成 撮影方向 様々な研究者の実験データとの比較 データベース 実験総数 : 1388 (16研究) 流動方向 : 水平流,上昇流,下降流 直 径 : 0.5 – 3.69 mm 冷 媒 : 各種フロン(新冷媒R32,R1234yf含む) H2O,CO2 質量速度: 23.4 – 1000 kg/(m2・s) 熱 流 束 : 1 – 391 kW/m2 本整理式とデータベースの比較 αcal. kW m-2K-1 50 Chen 10 Lazarek and Black +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% Jung et al. +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% -30% 5 1 0.5 αcal. kW m-2K-1 50 Liu and Winterton 10 Mori et al. +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% Sumith et al. +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% -30% 5 SD = 12.5 % 1 R30 = 98.4 % 0.5 αcal. kW m-2K-1 Kandlikar and 50 Balasubramanian Saitoh et al. +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 10 Zhang et al. +30% +30% HFC CFC HCFC HFO Water CO2 -30% -30% 可視化して伝熱メカニズム 5 を明らかにすると,適切な 物理量を式に組むことがで 1 0.5 0.5 1 5 10 -2 -1 αexp. kW m K 50 0.5 1 5 10 -2 -1 αexp. kW m K 50 0.5 1 5 10 -2 -1 αexp. kW m K 50 き,非常に良い式ができる 本技術に関する知的財産権 1. 発明の名称:微細流路を用いた熱交換機器の沸騰熱伝達性能 シミュレーション装置,およびプログラム 2. 出 願 番 号 : 特 願 2 0 1 5 - 1 5 0 8 5 1 3. 出 願 人 : 国立大学法人 電気通信大学 4. 発 明 者 : 榎木 光治,宮田 一司,森 英夫 想定される本技術のメリット 1. 微細管を使用することで熱交換器の性能が格段に向上 2. 消費電力の低下や熱交換器の小型化,冷媒充填量を減らせる 3. 空調機に限らず,さまざまな熱交換器に応用できる 例えば自動車や,冷蔵庫,電子機器,太陽光温水器,ボイラーなど 企業の方々への期待 微細管を使用することで熱交換器の高性能化が可能である事が, これまでの研究で明らかになった 1. 冷凍空調機器の熱交換器の高性能化を検討中の企業と共同研究 を希望. 2. 空調機への応用に限らず様々分野に応用が可能. 微細管の非常に良好な伝熱ポテンシャルを基に,新分野に活 かしていく事を検討していただける企業と共同研究を希望. 3. 微細管を使わなくとも,現在伝熱機器の性能向上でお悩みの ある企業と共同研究を希望.可視化実験などから原因探る. 産学連携の経歴と学会受賞歴 産学連携の経歴 2013年度 NEDO 2013-2014年度 JST 研究成果最適展開支援プログラム 研究分担者 省エネルギー革新技術開発需要(先導研究)研究分担者 学会受賞歴 2010年度 国際会議IMPRES2010 Best Poster Award 受賞 2013年度 (社)日本冷凍空調学会 優秀講演賞 受賞 2013年度 (社)日本冷凍空調学会 学術賞(論文賞)受賞 2016年度 (社)日本冷凍空調学会 研究奨励賞受賞 お問い合わせ先 国立大学法人 電気通信大学 産学連携センター 産学連携コーディネーター TEL いまだ ともかつ 今田 智勝 : 042-443-5871 F A X : 042-443-5726 e-mail : [email protected]
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