フロンの知識

フロン回収処理
フロン回 収 処 理
松 﨑技 術 士 事 務 所
大 阪 府 摂 津 市 千 里 丘 東 1 丁 目 20-2
Tel/Fax:072-622-5337
E-mail:[email protected]
技 術 士 (水 産 部 門 )
松 﨑 洋
地 球 環 境 問 題 とフロン
1. 地 球 環 境 問 題
フロンは 20 世 紀 に人 類 が開 発 した、自 然 界 には存 在 しない物 体 で
人 工 的 なもので、不 燃 性 であり、安 定 性 に優 れ、冷 凍 、空 調 、など
の冷 媒 とし幅 広 く用 いられておりましたが、1974 年 アメリカ UCLA のロ
ーランド教 授 により問 題 が提 起 され世 界 中 でフロン問 題 が取 り上 げ
られるようになった。
更 に、フロンは炭 酸 ガスと同 様 温 室 効 果 があることも分 かり、1997
年 の京 都 議 定 書 で温 室 効 果 ガスとしてその排 出 が規 制 されるよう
になった。
2. フロンについて
高 圧 ガス保 安 法 で正 式 には「フルオロカーボン」と言 いますが、此 処
では従 来 より使 いなれた「フロン」と言 うことにします。
概 要
フロンと言 うものは、自 然 界 には存 在 せず、人 類 が作 り出 したもので、
フッ素 、炭 素 、塩 素 などから人 工 的 に合 成 された化 合 物 です。その
性 質 は、無 味 、無 臭 で、毒 性 や、爆 発 性 がなく、非 常 に安 定 した
物 質 で熱 による分 解 も殆 どなく、他 の物 質 と化 学 反 応 を起 こして
変 化 することもない。また、気 化 しやすく熱 の吸 収 や放 出 に優 れた
特 性 を有 しているので、冷 媒 として広 く用 いられている。フロンのお
陰 で冷 蔵 庫 やエアコンが普 及 したと言 っても過 言 ではないと考 え
る。
フロンの構 成 と種 類
フロンはメタンやエタンなどの水 素 原 子 の一 部 または全 部 をフッ素
や塩 素 などのハロゲン元 素 に置 き換 えたもので、この組 み合 わせ
によりいろいろなフロンが作 られ20種 類 以 上 のものがあります。
(1) CFC/HCFC/HFC とは何 か?
F
○
-
F
○
F
○
F
○
|
|
|
C
○
-
Cl
○
F
○
-
C
○
Cl
○
-
F
○
-
C
○
|
|
|
F
○
H
○
H
○
CFC-12
HCFC-22
1
-
H
○
HFC-32
フロン回収処理
・CFC は、モントリオール議 定 書 による指 定 フロンでフッ素 及 び塩
素 を含 むもので 1995 年 より製 造 中 止 になっているものです。
・HCFC は、同 じく特 定 フロンで水 素 を含 むもので、2020 年 までに
全 廃 を求 められています。
・HFC は、フッ素 、水 素 は含 むものの、塩 素 を含 まないもので規 制
の対 象 から外 れておりますが、温 室 効 果 ガスとして排 出 規 制 の
対 象 となっております。
フロンの種 類 と規 制
冷媒
CFC
HCFC
HFC
オゾン層破壊係数 規制内容 期日
1
生産規制 1995年
生産規制
0.05
2020年末
消費規制
0
排出規制 ー
CFC/HCFC/HFC の種 類 と用 途
種類
特長及び代表的物質
Chloro Furuoro Carbon
塩素を含みオゾン層破壊の程度
が高い
CFC-11, CFC-12,(単独、混合
CFC
R500用)
CFC-113, CFC-114, CFC115
オゾン層破壊係数、0.5~1.0
HCFC
HFC
用途
・冷媒 業務用
低温機器
カーエアコン
遠心冷凍機
・発泡剤
・洗浄剤等
・冷媒 業務用
低温機器
Hydro Chloro Furuoro Carbon
ルームエアコン
塩素を含んでいるが水素があるた 遠心冷凍機
めオゾン層破壊の程度が小さい。
パッケージ
HCFC-22, HCFC123, HCFC-141b
エアコン
HCFC-142b, HCFC-225等
スクリュー
チラー
・発泡剤
・洗浄剤等
・冷媒 業務用
低温機器
カーエアコン
Hydro Furuoro Carbon
遠心冷凍機
塩素を含まず水素を含み
スクリュー
オゾン層の破壊がない。
チラー
HFC-134a, HFC143a, HFC-32,
ルーム
HFC-125,
エアコン
オゾン層破壊係数 0 ゼロ
パッケージ
エアコン
2
CFC, HCFC, HFC 及び 自然冷媒等の特性
冷媒
CFC
冷媒記号 冷媒成分
単独 R-11
R-12
混合 R-502
R-123
HCFC 単独 R-124
R-22
R-23
R-32
単独 R-125
R-134a
HFC
R-143a
R-404A
混合 R-407C
R-410A
R-507B
炭化水素
R-290
R-600a
アンモニア R-717
炭酸ガス
R-744
冷媒組成 沸点
%
℃
R22/115
48.8/51.2
R125/143a/134a 44/52/4
R32/125/134a 23/25/52
R32/125
50/50
R125/143a
50/50
プロパン
イソブタン
二酸化炭素
-
23.8
-29.8
-45.4
27.7
-11.9
-40.8
-82.1
-51.7
-48.1
-26.3
-47.2
-46.5
-43.6
-51.4
-46.7
-42.1
-11.7
-33.3
-78.5
大気中寿命 ODP
GWP
燃焼性
年 ※1
※2
※3
安全性 ※4
45
1.0
4,600 不燃 (A1)
100
1.0
10,000 〃 〃
0.334
4,520 〃 〃
1.4
0.02
120 〃 (B1)
6.1
0.022
620 〃 (A1)
11.9
0.055
1,700 〃 〃
260
0
12,000 〃 〃
5
0
550 微燃 (A2)
29
0
3,400 不燃 (A1)
13.8
0
1,300 〃 〃
52
0
4,300 微燃 (A2)
0
3,780 不燃 (A2/A1)
0
1,650 〃 〃
0
1,980 〃 〃
0
2,210 〃 〃
数ヶ月
0
<3
可燃 (A3)
数週間
0
<3
〃 〃
14
0
<1
微燃 (B2)
>50
0
1
不燃 (A1)
フロン回収処理
フロン回 収 作 業
1. 事 前 調 査
作 業 環 境
重 大 事 故 、酸 欠 事 故 等 を防 ぐために、換 気 、安 全 確 認 等 を行
う。
搬 入 経 路 、期 日 、時 間 、電 源 の確 認 、近 隣 の状 況 等 の確 認 。
未 然 にトラブルを防 ぐには
・ 事 前 に作 業 現 場 に赴 く
・ 現 場 図 面 を入 手 する
・ 電 話 や FAX で情 報 を入 手 する
ことが役 にたちます。
2. 準 備
・ 回 収 機 器 の準 備 、・回 収 容 器 の準 備 、・その他 機 材 の準 備
3. フロン回 収 作 業
冷 媒 回 収 事 業 所 、冷 媒 改 修 技 術 者 の資 格 認 定 が必 要 です。
4. 効 果 的 な回 収 方 法
安全
1. 高 圧 ガス保 安 法
・ 高 圧 ガス保 安 法 の目 的
・ 高 圧 ガス保 安 法 の構 成
・ 高 圧 ガスの定 義
・ 冷 媒 回 収 に係 わる高 圧 ガス保 安 法 の概 要
・ 法 の適 用 除 外 のフルオロカーボン
・ 高 圧 ガスの製 造
・ 容 器 と充 填 できる高 圧 ガスの種 類
・ 容 器 の表 示
・ 容 器 の再 検 査
・ 容 器 の移 動
・ 容 器 の貯 蔵
2. 過 充 填 防 止
容 器 が液 で満 杯 になることを液 封 と言 い、冷 媒 液 の体 膨 張 によ
り容 器 が破 裂 することがあります。このために過 充 填 にならないように
しなければなりません。回 収 装 置 には、質 量 権 知 式 と液 面 検 知 式
とがあり、これらを用 いて過 充 填 を防 止 しなければなりません。
3. 空 気 混 入 の防 止
冷 媒 と異 なり空 気 は液 化 しませんので、温 度 が変 化 すれば膨 張
し圧 力 が急 上 昇 することがあります。このため回 収 装 置 内 に空 気 が
入 らないようにすると共 に、入 った場 合 は必 ず排 出 するようにしてくだ
さい。
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フロン回収処理
4. 運 転 中 の回 収 装 置 の監 視
冷 媒 回 収 装 置 の運 転 中 は、常 に圧 力 、温 度 、容 器 の液 面 に注
意 し事 故 防 止 に努 める。
5. 日 常 の安 全 管 理
その他 通 常 の安 全 注 意 事 項 も確 実 に実 行 する。
フロン回 収 破 壊 法
1. イントロダクション
日 本 では、モントリオール議 定 書 、京 都 議 定 書 などの国 際 的 な取
り決 めにより、フロン類 の大 気 への放 出 を規 制 するため、次 のような
法 律 が制 定 されております。
オ ゾ ン 層 保 護
地 球 温 暖 化 防 止
モ ン ト リ オ ー ル 議 定 書
京 都 議 定 書
1988・ 9 月 批 准
オ ゾ ン 層
保 護 法
2002・ 6 月 批 准
フ ロ ン 回 収
破 壊 法
地 球 温 暖 化 対 策
推 進 大 綱
家 電
リ サ イ ク ル 法
京 都 議 定 書
目 標 達 成 計 画
自 動 車
リ サ イ ク ル 法
※業 務 用 冷 凍 ・空 調 機 器 については、フロン回 収 破 壊 法 が適 用 され、
家 庭 用 冷 蔵 庫 、冷 凍 庫 、ルームエアコン等 については、家 電 リサイ
クル法 が適 用 され、カーエアコンについては、自 動 車 リサイクル法 が
適 用 される。
2. 改 正 フロン回 収 ・破 壊 法 の概 要
改 正 前 のフロン回 収 破 壊 法 の主 役 は、機 器 の所 有 者 (回 収 依 頼
者 )、フロン類 回 収 業 者 、フロン類 破 壊 業 者 でしたが、改 正 により、メ
ンテナンス業 者 、設 備 、解 体 、廃 棄 、リサイクル業 者 、等 が加 わり回
収 率 の向 上 を目 指 しています(3 割 →6 割 )。
3. 業 務 用 冷 凍 空 調 機 器 とは
フロン回 収 破 壊 法 で言 う業 務 用 冷 凍 空 調 機 器 とは、第 1 種 特 定
製 品 として、店 舗 用 エアコン、ビル用 マルチエアコン、小 型 チラー室 外
機 、ガスエンジンヒートポンプ、ターボ冷 凍 機 、冷 凍 冷 蔵 ショーケース、
業 務 用 冷 凍 冷 蔵 庫 、輸 送 用 冷 凍 ユニットなどであります。
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フロン回収処理
4. 行 程 管 理 制 度 と工 程 管 理 表
フロン回 収 の行 程 は次 の表 のように行 われ最 終 的 に経 済 産 業 大
臣 、環 境 大 臣 に報 告 されるようになっております。
これらを管 理 するために工 程 管 理 表 が作 られております。
工 程 管 理 表 は特 に様 式 は定 められておりませんが、様 式 の異 な
る行 程 管 理 表 が出 回 ると、混 乱 を招 き回 収 率 も悪 くなる可 能 性 も
あります。このため関 連 の各 団 体 、ユーザー、建 設 、解 体 、設 備 業
界 、回 収 事 業 者 、機 器 メーカー団 体 などが協 力 してフロン回 収 推
進 産 業 協 議 会 (INFREP)が設 立 され行 程 管 理 表 を標 準 化 しまし
た。
行 程 管 理 票 の流 れ
機 器 の 所 有 者
依 頼
確 認 書
事 前
確 認 書
解 体 工 事 元 請 業 者
依 頼
確 認 書
設 備 ・ 解 体 ・ 廃 棄 ・
リ サ イ ク ル 業 者
機 器 の メ ン テ ナ ン ス
業 者
フ ロ ン 類 回 収 業 者
記 録
フ ロ ン 類 破 壊 業 者
記 録
都 道 府
県 知 事
経 産 大 臣
環 境 大 臣
行 程 管 理 表 は通 常 「汎 用 版 」(6枚 綴 り)を用 い、3 回 以 上 行 う場 合
「補 足 用 」を用 います。
この他 、直 接 引 取 り用 、一 次 委 託 用 などがありますが、詳 細 は業 界
団 体 または前 記 の INFREP にお問 い合 わせください。
以 上
なお、この、「フロン回 収 処 理 」は、RRC 冷 媒 回 収 推 進 ・技 術 センタ
ー 発 行 の DVD「冷 媒 回 収 処 理 技 術 」によるもので、本 件 に関 する詳
細 事 項 については、
RRC 冷 媒 回 収 推 進 ・技 術 センター
〒105-0011 東 京 都 港 区 芝 公 園 3-5-8 機 械 振 興 会 館 内
(社 )日 本 冷 凍 空 調 設 備 工 業 連 合 会 内
Tel:03-3435-9411
までお問 い合 わせください。
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