4~5ページ 特集:守りたいもの その2(Adobe PDFファイル 1.3MB)

知る
全てが揃ってようやく育つ
幼虫が育つ水中、成虫が飛ぶ
し て い て 水 分 し か 摂 取 せ ず、
いう間です。成虫は口が退化
成虫として生きられるのは
約1~2週間…本当にあっと
求めて光るのです。
して羽化した後、交尾相手を
ナギの状態で眠ります。そう
約1カ月ほど土マユというサ
土に潜り、成虫になるために
~5月になると陸に上がって
ケボタルの2種類。幼虫は4
タルは、ゲンジボタルとヘイ
ます。市内に生息する主なホ
ことにもつなが
くことが、豊かな自然を残す
タルが住める環境を残してい
準にもなります。つまり、ホ
それだけ変化に敏感な昆虫
※
なため、指標昆虫にも指定さ
なってしまいます。
は一気に過酷な生育環境に
害されると、ホタルにとって
人工物の設置などによって阻
のいずれかの環境が、汚染や
が揃わないといけません。そ
中など、ほぼ全ての環境条件
れ、良好な自然環境を示す基
幼虫期に蓄えた栄養だけで過
るのです。
(約10日)
岸辺
水中
ホタルの存在は
自然が残されている証
一生の大半が水中
ホタルは甲虫で、カブトム
シなどと同じ仲間です。ホタ
空中のほか、産卵するコケ類
日の命
ルの一生は約1年。そのうち
のある岸辺、サナギが眠る土
羽化して
約 カ月を幼虫の姿で過ごし
ホタルは一生のうちにあら
ゆ る 環 境 を 介 し て 育 ち ま す。
副会長 君島 章男 氏
ごします。
卵
土中
時間をかけて
育むことが大切
次第に崩れる共存バランス
ホタルは昔から人と共存し
てきました。しかし、近年こ
のバランスが崩れつつありま
す。主な要因として農薬の散
布、人工光の増加、エサの減
少、水辺の開発などがあげら
れます。これらはいずれも人
間の生活要因によるもの。
「光害」
と呼
人工光の増加は
ば れ、 光 に 敏 感 な ホ タ ル は、
人工光が照るところから姿を
消してしまいます。また、幼
虫の餌であるカワニナなどの
巻貝の減少は、水質汚染によ
る影響が大半。人間が配慮す
ることで共存できる余地は大
いにあると思います。
復活は時間をかけてゆっくり
ホタルは生息する水系ごと
に 固 有 の 遺 伝 子 を 持 ち ま す。
実際に東日本と西日本とで発
光間隔が倍以上異なる個体群
もいるほど。そのため、ただ
いたずらにホタルを放すのは
よく考えなければなりませ
ん。ホタルが減った原因を分
析し、今ホタルがいるところ
をこれからも守っていくこと
が最も大切だと思います。
産卵
(約30日)
孵化
(約30日)
土マユ(サナギ)
(コケ類)
(4月頃)
交尾
成虫
羽化
(6~7月頃)
4
平成28年6月5日号
平成28年6月5日号
5
ボなども指定されている。
とが確認された。
ることが必要です。この地域で長年ホタル
を見守ってきた君島さんに話を伺いました。
ホタルの一生
6 月下旬~ 7 月
陸上・空中
ほかにタガメやハッチョウトン
広く生息しているこ
い る こ とが1つ の 指 標 と な る。
プ。河川部を中心に、
環境に生息するため、生息して
作成したホタルマッ
市動植物調査研究会
ホタルが見つかった地点
体長7~10mm で ゲ ン ジ
ボタルより一回り小さい。
前胸部の中央に太く黒い
縦の帯がある。ゲンジボ
タ ル に 比 べ て 光 は 弱 く、
発光間隔が短い。
体長12 ~ 20mm。
前胸部の中央に丸
い黒紋がある。光
が強く発光間隔の
長さが特徴。
種類の昆虫のこと。良好な自然
査した結果をもとに
10
前胸部
※環境調査のために選ばれた10
市 が 平成21年 に 調
10
ヘイケボタル
ゲンジボタル
地域資源でもあるホタルの保護。そのため
には生態やホタルが置かれている現状を知
幼虫(~3月)