Title 精神科病棟における居室性を兼ね備えた保護室のメリッ トとデメリット Author(s) 篠原, 有美; 遠藤, 淑美; 心光, 世津子 Citation 大阪大学看護学雑誌. 14(1) P.11-P.19 Issue Date 2008-03 Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/11094/56761 DOI Rights Osaka University 大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vo1.14No.1(2008) 一報 告 一 精 神 科 病 棟 に お け る居 室 性 を兼 ね 備 え た 保 護 室 の メ リ ッ トとデ メ リ ッ ト 篠 原 有 美*・ 遠 藤 淑 美**・ MERITS AND DEMERITS OF FROM THE PSYCHIATRIC Shinohara Y, SECLUTION NURSE'S Endo Y, 抄 心 光 世 津 子** ROOM DESIGN PERSPECTIVE Shimmitsu S 録 従 来 の安 全 性 ・耐 久 性 を 重 視 し た 保 護 室 と 、居 室 性 を 重 視 し た 保 護 室 に は そ れ ぞ れ どの よ う な メ リ ッ トと デ メ リ ッ トが あ る の か を 看 護 師 の 視 点 か ら明 らか に す る 目 的 で,単 科 精 神 病 院4施 設 の 看 護 師 と看 護 部 長12名 に イ ンタ ビ ュ ー を 行 い 、 プ ラ イ バ シ ー,安 全 性,快 適 性,機 能 性,イ メー ジの 点か ら分 析 を行 っ た.そ の 結 果 、4施 設 す べ て に 共 通 して 改 修 が 行 わ れ て い た の は,ト イ レ,ベ ッ ド,鉄 格 子 に 関 わ る こ とで あ り,プ ライ バ シ ー,安 全 性,快 適 性,機 能 性,イ メー ジのす べて の 点で メ リッ トが 増 え て い た.そ の 反 面,新 た な デ メ リ ッ トが 特 に 安 全 性 に 関 して 生 じて い た.一 方,こ の よ う な 居 住 性 が 向 上 す る こ と は,看 護 師 の 患 者 に 対 す る態 度 や 患 者 の 治 療 意 欲 に よ い 影 響 を もた ら して い る こ と が 明 らか に な っ た 。 キ ー ワ ー ド;保 護 室,環 境,ア *大阪大学 医学部 附属病院**大 メ ニ テ ィ,看 護 阪大学 大学院医学 系研究科保健 学専攻 一11一 大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vo1.14Nal(2008) に は そ れ ぞ れ どの よ うな メ リ ッ トが あ る の か 、 1.は じめ に ま た 、② 保 護 室 を 、居 室 性 を 兼 ね備 え た もの と 保 護 室 は 、 興 奮 、 自傷 行 為 、衝 動 行 為 な どが して 改 善 しよ う とす る に は どの よ うな 問 題 点 や 、 み られ る 患 者 を 、一 時 的 に 保 護 す る 目的 で 収 容 不 都 合 な 点 が あ る の か を 、看 護 師 の 視 点 か ら明 す る こ とか ら 、そ の 構 造 は 、 日常 か らか け離 れ らか に し、 患 者 に と っ て 、 よ り居 心 地 が 良 く 、 た 、殺 風 景 で 牢 獄 を イ メ ー ジ させ る よ うな も の 安 全 で 、治 療 的 効 果 の 発 揮 で き る保 護 室 の構 造 で あ る こ と が 多 い 。 例 え ば 無 機 質 な コ ン ク リー とは ど の よ うな もの か に っ い て 考 察 を加 えた 。 トの 壁 に 囲 ま れ た 、剥 き 出 しの トイ レ と床 に直 接 敷 い た 布 団 だ け が 設 置 され て い た り,鉄 格 子 II.研 が は め られ 、複 数 の 監 視 カ メ ラが 設 置 され て い 1.対 た りす る 。 究方法 象 最 近 精 神 科 病 棟 を 改 修 、ま た は 新 設 した 大 阪 そ の 非 日常 さ と圧 迫 感 が,精 神 科 や 精 神 病 院 府 下 の 民 間 単 科 精 神 病 院4施 設(病 床 数:267 を象 徴 す る も の で あ る か の よ う言 わ れ る こ と も ∼948床)の あ り,治 療 の 観 点 か ら非 常 に マ イ ナ ス と な っ て 改 修 前 後 の 変 化 を知 る 看 護 師)各2名 い る.確 か に 、 保 護 室 を 、 居 室 性 を兼 ね 備 え た 長 も し く は 改 修 工 事 に 関 わ っ た 人 各1名 、 計12 も の と して 改 善 し よ う とす る と、安 全 面 な ど 名 に イ ン タ ビ ュー を 行 っ た。 様 々 な 問題 が 懸 念 され る.し か しな が ら、治 療 2.方 、① 看 護 師(改 修 前 か ら勤 務 し 、 、② 看 護 部 法 の た め の 部 屋 で あ る な らば 、保 護 室 に 居 室 性 を 半構 造 化 面 接 法 に よ りイ ン タ ビュ ー を 行 い 、 持 た せ る可 能 性 を 探 る こ と は意 味 あ る こ とだ ろ イ ン タ ビ ュ ー 内 容 を念 頭 に 置 き な が ら、で き る う と考 え る. だ け 自由 な語 り を促 した 。相 手 の 承 諾 が 得 られ 医学 中央雑 誌 にて キー ワー ド 「 保護 室 」で検 索 し た過 去10年 れ ば イ ン タ ビ ュ ー 内 容 を録 音 した 。承 諾 が 得 ら の 研 究 の うち さ ら に 環 境 や ア メ れ な い 揚 合 は 、 イ ン タ ビ ュー 終 了 後 速 や か に イ ニ テ ィ に 限 定 して み て み る と、そ れ らに 関す る ン タ ビ ュ ー 内 容 を想 起 し 、書 面 に した 。イ ン タ 研 究 自体 が 少 な い こ とが 分 か っ た 。保 護 室 に 関 ビ ュ ー は 一 人30分 か ら1時 間 程 度 行 っ た 。 す る研 究 は 、保 護 室 に 入 室 し て い る 患 者 へ の ケ 3.イ ア や 援 助 に つ い て の 事 例 研 究 が 主 で あ っ た1)2)。 ンタ ビュー 内容 看 護 師 に 対 して は 、① 改 修 前 後 で 、具 体 的 に 治 療 に 関 す る研 究 は い くつ か 行 わ れ て お り、薬 ど の よ うに 構 造 が 変 化 した か 、② 改 修 後 の構 造' 物 の 選 択 に よ り、保 護 室 入 室 回数 減 少 に っ な の メ リ ッ トとデ メ リ ッ ト、③ 改 修 後 の構 造 に つ が っ た 事 例 が 報 告 され て い る3)。 い て の 患 者 の 反 応 、 ④ 看 護 師 の 視 点 か ら、 改 修 しか し,保 護 室 の 構 造 や 環 境 に 関 して は 、解 前 後 で 患 者 の 病 状 や 回 復 状 況 に 変 化 が あ った と 説 、 特 集 な どで,構 造 や 設 備 に 工 夫 が 見 られ る 思 うか 、⑤ 改 修 に あ た り も っ と こ う した 方 が 良 保 護 室 の 紹 介 や そ の メ リ ッ トを 解 説 す る に と ど か った と思 う点 は あ る か を 尋 ね た 。看 護 部 長 や ま り、デ メ リ ッ トに ま で 目 を 向 け 考 察 され た も 改 修 に 関 わ っ た 人 に 対 して は 、① な ぜ 改修 が 行 の は な い.ま た 、 こ れ ら は,病 院 管 理 者 や 建 築 わ れ た か 、② 改 修 前 後 で 具 体 的 に どの よ うに 構 関係 者 が 書 い た も の が ほ とん ど で 、患 者 に最 も 造 が 変 化 し た か 、③ 改 修 後 の 構 造 の メ リ ッ トと 近 い 存 在 で 最 も保 護 室 に 入 室 す る機 会 の 多 い 看 デ メ リ ッ ト、④ 改 修 に あ た り も っ と こ う した 方 護 師 が 、看 護 の視 点 か ら述 べ た も の は ほ とん ど が 良 か っ た と思 う点 は あ る か を尋 ね た 。 な か った。 4.分 析 そ こで 、 本 稿 で は 、① 従 来 の 安 全 性 ・耐 久 性 ①録 音 したイ ンタ ビュー 内容 を逐語 録 に起 こ を 重 視 した 保 護 室 と 、居 室 性 を 重 視 した 保 護 室 し、 各 病 院 の 旧館 、 新 館 ご と に 、 トイ レ、ベ ッ 12 大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vo1:14No.1(2008) ド、 窓 、 空 調 、 照 明 、 扉 、 壁 、 床 、 機 器 類 な ど、 4病 院 に共 通 し て 行 わ れ て い た 改 修 は,1) 保護室 の 構造 や設 備 につ いて述 べて いる部分 を トイ レが 洋 式 にな り,間 仕 切 り,手 洗 い 設 備 が 抽 出 した 。 ② 取 り出 した 構 造 ・設 備 ご と に 、 プ 設 置 され,部 屋 の 外 の 操 作 板 で 水 の 流 出 の可/ ライ バ シ ー 、 安 全 性,快 適 性 、 機 能 性 、 イ メ ー 不 可 が 選 択 で き る よ う に な っ た.扉 の 観 察 窓 は 、 ジ を加 え た5つ の カ テ ゴ リー に分 類 し 、 さ ら に 改 修 後 も4病 院 全 て に 設 置 さ れ て い るが 、上 半 そ れ ぞ れ を メ リ ッ トとデ メ リ ッ トに 分 け た 。③ 身 し か 見 え な い よ う に 工 夫 され,観 察 窓 に ロ ー 各 病 院 ご と に取 り出 し た ② を あわ せ て 比 較 検 討 ル カ ー テ ン や ブ ライ ン ドを 設 置 す る な ど、保 護 した 。④ 保 護 室 の構 造 や 設 備 に含 ま れ な い 内 容 室 内 が 外 部 か ら丸 見 え に な らな い よ う配 慮 さ れ に つ い て も分 析 した 。 た,2)ベ 5.倫 理 的配 慮 ッ ドの設 置 が さ れ た(た だ し,ベ ド自体 の 工 夫 は さ ま ざ ま)3)鉄 対 象 者 の 都 合 の よ い 日時 を設 定 して イ ン タ ッ 格 子 がす べ て 撤 去 さ れ た と い う3点 で あ っ た. ビ ュー を 行 い 、イ ンタ ビ ュ ー に よ っ て 知 り得 た 2.改 情 報 に つ い て は 個 人 が 特 定 出 来 な い よ う配 慮 し メ リッ ト 修 前 後 で み た 構 造 ・設 備 の メ リ ッ ト ・デ た 。 ま た 、 答 え た くな い 質 問 に つ い て は 答 え な 構 造 ・設 備 に対 す る メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ ト と くて も よ い こ と を 保 障 した 。研 究 後 、録 音 デ ー して 語 られ た 内容 を,改 修 前 後 そ れ ぞ れ に対 し タ は 破 棄 した 。 て,プ ラ イ バ シー,安 全 性,快 適 性,機 能 性, イ メ ー ジ の 視 点 か ら分 類 し た も の を表3に 皿.結 1.各 果 示し た。 病 院の 保 護室 の概 要 トイ レは 、 プ ラ イ バ シー 、 快 適 性 、イ メー ジ 各 病 院 、 旧館 ・新 館 の 保 護 室 の 概 要 を表 一1, が 、新 館 に 改 修 され る に あ た っ て 改 善 さ れ た 。 2に 示 した 。 表 一1各 旧館uA病 院lB病 様式 ト イ レ ベ ツ ド 窓 院IC病 和式 院iD病 和式 和式 あ り(ベッ ドか らは丸 見 え) 院 和式 つい たて なし あり 洗浄 職員 自分 で流せ る 一__ 洗浄 の選択 不可 可能 一 一 一 可能 手洗 い設備 なし なし あり なし 設置 なし 一 段上が った と ころ に畳 なし なし なし を敷 き、そ の 上 に布 団 若干 の高 さが あ り、 そ の 上 に畳 、そ の上 に布 団 ベ ッ ド ら し き段 は あ り。 直 接床 に布 団(患者 によ って は解体 式ベ ッ ドを持 ち込 み) 開閉 5セ ンチ 程可 可能 自分 で可 能 鉄格子 後室 横向 きの 鉄格子 あり あり 形式 ブ ライ ン ド 調 節 扉 床 位 置 機 器 類 病 院 の 休 館 保 護 室 の概 要 なし 一 一 一 空調 全室 一律 の調 節 一 一 一 不可 一__ なし あり ー ト貼 り UVシ なし 自分 で流 せる あ り(常 なし なし に 閉) 全室一 律 の調節 一 一 一 照明 調節 不可 全室 一律 、調 節不可 観察窓 あり あ り あり あり 硬度 硬い 硬い 硬い 弾 力あ り 詰所 か らの距 離 目の 前 遠い 扉 が あ りそ の向 う 遠い 遠い 扉が あ りその向 う 監視 カ メ ラ なし なし 集音 マ イク なし なし なし ナース コー ル なし なし なし 格 子が横 向 き 壁や 床 を ピンク に した り、 とい う工 夫 何度か 先進 的な改 修 が行わ れ て いた そ の 特 有 の工夫 点 他 一13一 一 一 冖 な し(H5に 一 冖 一 なし 設 置) 一 冖 一 なし 一__ 大 阪大 学 看 護 学 雑 誌Vo1.14No.1(2008) 表_2各 病 院 新 館 保 護 室 の概 要 新館uA病 院IB病 様式 ベ ッ ド 洋式 あり 洋式 あ り(症状 別 に3タ イ フ) あ り1なし(症状 に よ り変 更 で き る) 外の操作板 で可 自分で流せ る 外の操作板で 可 自分 で流せる 外 の操作 板で可 自分 で流せ る 外の操作 板で可 あり あり あり あり あり あり あり あり ロー ベ ツ ド ベ ッ ドボ ー ドに ク ッ シ ョ ン 作 りつ けで 固定 して あ る 壁 に収納可能 不可 可/不 可(患者 の状態 によ り 使 い分 け) 不可 可能 ■ 洗浄 洗 浄の選択 手 洗い設備 自分で 流せ る ■ 設置 ■ 形 式(工 夫) ■ ギャッジ 開閉 不 可(後 室 の 向 う に あ る 窓 は 外 か らのみ可 鉄格子 後室 なし なし なし あり あり なし ■ 外 に あ り(自 動) なし 扉 1室 照明 観察窓 硬度 床 位 詰所 か らの位置 置 一 一 一 1室 ご とに 調 節 可 あり あり あり あり 保護室 前室 がある ブ ライ ン ド付 ロー ル カー テ ン付 な し 弾 力あ り 木(や や あ り?) 弾 力あ り 弾 力あ り 詰所 のす ぐ横 詰 所 か ら離 れ た と ころ に あり あり なし 一 一 一 離れた所 にある 前室 もあ り 詰所 の 目の前 監視 カメ ラ 7室 中2室 設 置 集音 マイ ク 全室設置 一 一 一 ナー ス コ ー ル ポ ー タ ブル なし 壁 が木 目 シ ー ツ や ブ ライ ン ドな どが カ ラ フル 保護室周辺 に工夫 そ の 特有 の工夫 点 他 なし あ り(手動) 個々 に強弱調 節可 1 ブ ライ ン ド なし 個々 に強弱調節可 ■ ■ 機 器 類 一 一 一 ご と に 調 節 可1 あり テ レビ設置 最 も景観 の良 いと ころに 保護 室を建設 一 一 一 あ り(会 話 も可) あ り なし なし 3タ イ ブ あ り、 患 者 の状 態 に よ っ て 使 い 分 け可 能 患 者 の状 態 に合 わ せ 、 扉 の 開 閉 に よ り隔 離 の段 階 を選 択 で き る。 一 (注)イ ンタビュー よ り読 み とれ なか った部 分 につ い て は一 表 一3構 プラ イバ シー 安全性 快適性 ● ● ● ● 機能性 ● イ メー ジ 糲 と記 している 造 ・設 備 に 対 す る メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ ト トイ レ OK Bad 旧館 上 は 開か な い) あ り(自 動) ■ 空調 可 能(11cm以 不可 可) ■ ブ ライ ン ド 調 節 院 個室の ような形 扉 はな し ついたて ■ 窓 院ID病 洋式 ■ ト イ レ 院lC病 洋式 プラ イバ シー 1 ■ イ メー ジ ● ● 1 ■ ● ■ ■ ■ 1 ・ ● ● ■ ■ ● ● ● ● ● ● OK 1 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ● ・ ■ ■ ● ● ● ・ 扉 ■ Bad ● ● ■ ● ● ■ ■ ・ OK ■ ● 快適性 機能性 Bad 1 ■ 窓 ■ OK ・ ● 安全性 ベ ッド ■ ● ● ■ ■ ・ ■ ● ・ ● ● ● 壁 ・床灰 井1位 :..・ OK ■ Bad ● ● ● ● ● ・ 1 ● . ■ ■ ■ ● ・ ● ・ii・ i ゜1 ■ ・ ● ● ● ● ■ ● ・ 機器類 I OK . 1 ■ ■ ■ ・ii・ ・II・ ・i ・ ● 1 ● ・ ■ ● ● ● C・ ● ● ● ■ ■ ■ 1 1 ■ ● ● ■ ● ■ ■ ● ● 空 調 ・照 明 OK Bad l Bad 1 ■ ■ ● 一14 ・ii・ 置 Bad ● ■ ■ ● ● 大阪大学看護学雑誌VoL14N(〉.1(2008) 上 述 した プ ライ バ シ ー に 関 す る こ と だ けで は な くに看護 師が いる と安心 」と いう患者 の 声が あ く,〈 トイ レを 自分 で 流 せ る 〉 〈トイ レ ッ トペ ー りメ リ ッ トと され て お り、逆 に離 れ て い る と パ ー ホ ル ダ ー が あ る 〉な ど快 適 性 の 改 善 が み ら 「 遠 い 為 寂 し い 」 と い う理 由 で デ メ リ ッ トにな っ れ た.し か し新 館 で は 間 仕 切 り設 置 等 に よ り死 て い た 。 ま た 、 他 の 患 者 か ら 見 え な い こ とが メ 角 が 増 え た こ とで 、安 全 性 に 関 して は 新 た な 課 リ ッ ト と され て お り、改 修 に よ り改 善 され て い 題 が 生 じた 。 た。 ベ ッ ドに 関 して は 、 旧 館 で は4病 院 と も 設 置 モ ニ タ ー は 、 旧 館 で は4病 院全 て設 置 が され さ れ て い な か っ た た め 、新 館 で は 設 置 した こ と て い な か っ た が 、 新 館 で は 、設 置 さ れ て い る 病 に 関 して 様 々 な 意 見 が 聞 か れ た 。例 え ば ケ ア の 院 と さ れ て い な い病 院 、一 部 に 設 置 さ れ て い る しや す さや 自傷 行 為 の 危 険 性 等 の 観 点 か ら、安 病 院 と、3パ タ ー ン に 別 れ 、 そ れ ぞ れ の 病 院 に 全 性 、 機 能 性 に つ い て 、 メ リ ッ トと デ メ リ ッ ト よ って メ リ ッ トや デ メ リ ッ トにつ い て も意 見 が の 両 方 が 挙 げ られ た 。 「 ギ ャ ッ ジが で き る」 もの 割 れ た。 と、 「 ギ ャ ッ ジ で き な い ロ ー ベ ッ ド」 を採 用 した 空 調 や 照 明 につ い て は 、 旧館 で は 各 々 の 部 屋 病 院 そ れ ぞ れ に よ っ て 、意 見 が 別 れ て い た 。 で の調 節が 出来 なか った ことが快適 性 にお いて ギ ャ ッ ジ ベ ッ ドは 、拘 束 さ れ た 状 態 で も 上 半 身 デ メ リ ッ トと さ れ 、新 館 で は 改 善 さ れ て い た 。 の 拘 束 を解 い て 自分 で 食 事 を取 れ る こ とや 、看 ま た 、照 明 が 明 る く な っ た こ とで 、安 全 性 に っ 護 師 が ケ ア を しや す い 、 と い う メ リ ッ トが あ る い て も改 善 され て い た 。 一 方 、ギ ャ ッ ジ で き な い ロ ー ベ ッ ドを 採 用 した そ の 他 、そ れ ぞ れ の 病 院 にお け る 工 夫 に っ い 病 院 か らは 、ギ ャ ッ ジ ベ ッ ドは 突 起 物 が 多 い 為 、 て も 、 メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トの 両 方 が 見 られ た 。 自傷 行 為 の 危 険 性 が 増 す 恐 れ が あ る と い う 意 見 例 え ば 、テ レ ビ の 設 置 は 拘 束 中 の 患 者 で も 暇 つ が あった 。 ぶ し が で き 、 患 者 に好 評 で あ る一 方 、 病 状 に よ 窓 に 関 して は 、 旧館 で は 、 窓 の 開 閉 が で き る り見 せ られ な い 時 に トラ ブ ル とな る 、 と い っ た こ と の み が メ リ ッ ト と して あ げ られ て い た 。新 よ う な こ とが あ げ られ る。 保 護 室 周 りの 設 備 が 館 で は 、強 化 ガ ラ ス を採 用 し た こ と や ブ ラ イ ン 充 実 した こ と 、保 護 室 が 広 く な っ た こ と に っ い ドを 設 置 した こ とで 採 光 調 節 が 可 能 に な っ た り, て は 、 メ リ ッ トの み が 述 べ られ て い た 。 景 色 が 見 え る な どの メ リ ッ トが 増 え た が 、 開 閉 3.保 不 可 で あ る こ とや 、強 化 ガ ラ ス の デ メ リ ッ ト 患 者,看 護 師 自身 へ の 影 響 (コ ス トが か か る 等)が あ げ られ て い た 。 護 室 の 構 造 や 設 備 が 変 化 した こ と に よ る イ ン タ ビ ュ ー で は 、環 境 や 構 造 が 新 し くな っ 扉 は 、 旧館 で は 防 音 性 や 観 察 窓 に 関 して 、 デ た こ と に よ る,患 者 や 看 護 師 自身 に 生 じた 変 化 メ リ ッ トが 多 くあ げ られ て い た 。新 館 で は そ の に つ い て も語 られ て い た.A病 点 は 改 善 さ れ た が 、観 察 窓 の 存 在 等 か ら 、 プ ラ の看 護 師は 〈 環 境 が 綺 麗 だ と 、お 世 話 を させ て イ バ シ ー 、快 適 性 に つ い て 依 然 デ メ リ ッ トが 頂 い て い る サ ー ビ ス 業 と い う意 識 が 職 員 に も で 残 った 。 き る の で は な い だ ろ う か 。〉 〈環 境 が 良 くな る こ 壁 ・床 ・天 井 で は 、 新 館 旧館 共 に 、耐 久 性 や 院 お よ びB病 院 とで 看 護 者 の 姿 勢 も 変 わ っ て き た 。患 者 を 尊 重 素 材 に 関 す る メ リ ッ トと デ メ リ ッ トが あ げ ら れ す る 気 持 ち も、 自然 に 出 て き た よ う に思 う 。〉 と て い た 。 新 館 に改 修 され る こ と で 、 イ メ ー ジ は 看 護 師 の 対 応 の 変 化 に つ い て 語 られ て い た 。 ま 改 善 され た が 、傷 が つ きや す い ・修 繕 費 が か か た 、 環 境 の 良 さが 、看 護 師 の 精 神 面 を 楽 に す る る な ど 、機 能 性 と して は 課 題 が 増 え た 。 こ と 、患 者 の 入 院 に対 す る 抵 抗 感 を減 少 させ 、 保 護 室 の 位 置 に つ い て は 、新 館 旧館 関 わ らず 、 治 療 を 受 け る 機 会 を 増 や す と い う こ とが 語 られ 保 護 室 とナ ー ス ス テ ー シ ョ ン が 近 い こ と は 、 「 近 て い た 。 例 え ば,A病 15一 院 の看 護 師 は く旧館 は 大阪大学看護学雑誌Vol.14No.1(2008) せ っ か く見 学 に き て も 、 『 汚 い か ら入 院 した くな り、 排 泄 し睡 眠 を取 る 生 活 空 間 で あ り、 そ れ が い 、や め ま す 』 と な り、 せ っ か く治 療 の 機 会 が 外 部 か ら丸 見 え で あ る こ と の ス トレ ス は 計 り知 あ っ た の に 、治 療 ま で こぎ つ け られ な い 患 者 さ れ な い 。外 部 か ら 自分 の 居 住 空 間 を 隔 て る こ と ん が 出 て くる 。〉 と述 べ て い た 。 が で き る よ う に した 工 夫 は非 常 に 有 意 義 だ と考 そ の 一 方 で 、居 室 性 を 重 視 し た こ と に よ り、 え られ る。 患 者 が 保 護 室 か ら 出 た が らな く な っ た と い うデ メ リ ッ トが3病 監 視 カ メ ラ の 設 置 に 関 して は 、各 病 院 の 考 え 院 か ら聞 か れ た 。D病 院 の 看 護 方 が そ れ ぞ れ で あ っ た た め 、そ の メ リ ッ トと デ 師 による と、〈 非 常 に 高 い ア メ ニ テ ィ を 追 求 して メ リ ッ トにつ い て も 意 見 が 割 れ て い た 。全 国 立 い く と 、患 者 が そ こか ら 出 た くな くな って しま 精 神 医 療 施 設 ア ンケ ー ト調 査 で 斎 藤 治 は 、『「人 う 。一 中 略 一 権 、 プ ラ イ バ シ ー 保 護 」 の た め に使 用 す べ き で 一般 病室 の方が む しろ居心 地 が 悪 い と 感 じ さ せ て し ま う側 面 が あ る と、本 来 の な い と い う見 解 と、 厂 行 動 制限 を実 施す る 治療 者 隔 離 室 とい う 形 で は 使 用 しに く くな っ て し ま う 〉 側 が 安 全 に 対 して 万 全 を 期 して 責 任 を 果 た す 」 の だ と い う。 た め に 必 要 と い う見 解 との 拮 抗 』4)が あ る と 述 一方 ,保 護 室 を改 善 す る こ とで 、 病 状 の 回 復 べ て い る 。 今 回 の イ ン タ ビュ ー で も、監 視 カ メ に影 響 が あ っ た と は っ き り述 べ る 病 院 は な く、 ラ に つ い て の 意 見 が 割 れ た の は これ ら の見 解 の 薬 の 進 歩 や 病 状 の 違 い 等 、患 者 の 回 復 状 況 に は 拮 抗 の た め だ と 考 え られ る 。監 視 カ メ ラ の 設 置 部 屋 の 居 室 性 以 外 に も様 々 な 要 因 が あ る た め 、 一 概 に は 言 え な い と い う 回 答 が 多 か っ た 。環 境 や使 用 の仕方 、そ の是 非 につ いて は、今後 の課 の 改 善 と病 状 の 回 復 に は 関 係 が な い と 明 言 した 安 全 を 守 る 為 に密 な 観 察 を 必 要 とす る保 護 室 回 答 も あ っ た 。 そ して 、様 々 な 工 夫 を こ ら し保 の患 者 の プ ライ バ シ ー を 保 護 す る こ と は 、非 常 護 室 を改 善 して も 〈 鍵 を か け 、 隔 離 して い る 〉 に難 し い 。 し か しそ の 中 で も 、 工 夫 次 第 で で き と い う こ とは 不 変 の 事 実 で あ る こ と を 、3病 院 る限 り プ ライ バ シ ー に 配 慮 し た 構 造 を 目指 す こ 共 通 して 語 っ て い た 。D病 院 の 看 護 師 は 、 〈 患者 と が 、 これ か ら の 保 護 室 建 設 で は 求 め られ る で が 『私 は こ の 部 屋 に 閉 じ込 め られ て い る 』 とい あ ろ う。 う認 識 を持 っ た 時 、看 護 師 は ど の よ う に 関 わ っ 2.安 て い くか 、 ど う い う風 に 説 明 し た らい い の か 、 保 護 室 は 自傷 他 害 か ら患 者 を 保 護 す る 為 の 部 屋 と い う こ とが 大 切 〉 と語 っ て い た. で あ る 。そ の 為 、今 回 の イ ンタ ビ ュ ー で は 全 て 題で あ る。 全性 の確 保 の構 造 や 設 備 に つ い て 、安 全 性 に 関 す る メ リ ッ IV.考 察 トとデ メ リ ッ トが 語 られ て い た が 、 プ ラ イ バ シ ー 保 護 や 快 適 性 の 向 上 と安 全 性 を確 保 す る こ 改 修 前 後 の 保 護 室 に つ い て 、 プ ライ バ シ ー 、 快 適 性 、 機 能 性 、 イ メ ー ジ,安 全 性 の 、5つ の との 間 に は ジ レ ン マ が 存 在 す る こ とが 分 か っ た 。 観 点 の 関連 を 考 慮 しな が ら,居 室 性 と安 全 性 に そ れ を 解 決 す る た め に 、各 病 院 が 様 々 な 工 夫 を つ いて以下 に考察 す る。 こ ら し て い る こ と 、 そ して 最 後 は 人 の 力 、す な 1.プ ライバ シ ーの保 護 わ ち 看 護 師 の 力 に よ って 安 全 性 に お け る デ メ 旧館 の 保 護 室 で は 、排 泄 場 面 を人 に見 られ る と リ ッ トを補 お う と し て い る こ とが 分 か っ た 。B い う 、最 低 限 の プ ライ バ シ ー す ら守 られ な い 状 病 院で は、 〈 あ れ も これ も安 全 で な い と い け な い 況 に あ る病 院 も あ っ た が 、新 館 に 改 修 され る に と い う こ と以 前 に 、 まず は事 故 に つ な が らな い あ た り、4施 設 共 に 、 保 護 室 内 が 外 部 か ら丸 見 よ う に 、 綿 密 な 観 察 を す る と い う こ と。 そ れ か え に な らな い よ う配 慮 さ れ た 。保 護 室 に 入 る 患 ら、壊 れ る こ と が も し か した らあ る か も しれ な 者 に と っ て 、 保 護 室 内 が 着 替 え を し、 食 事 を 取 い が 、そ れ は ま た 修 復 した ら い い じ ゃ な い か 、 16一 大阪大学看護学雑 誌Vol.14No,1(2008) とい う こ と を、 自分 た ち に言 い 聞 か せ て き た 。〉 の だ が 、 少 し 足 が 遠 の き 、患 者 と関 わ る 時 間 が 、 と語 られ て いた 。 ま たC病 今 に比 べ 短 か か っ た か も しれ な い 。」 と い う意 見 院で は、 〈 本 当 に急 性 期 の 大 変 な 時 期 に は 、何 も な い 保 護 室 で い い と が 聞 か れ た 。 以 上 の こ とか ら、 ナ ー ス ス テ ー 思 う が 、 あ る 程 度 回 復 して き て か らは 、 き ち っ シ ョ ン と保 護 室 の 距 離 が 近 い こ と は 、患 者 に安 と患 者 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 取 る こ とで 、 心 感 を も た らす と共 に 、看 護 師 の 意 識 を 保 護 室 や っ て い け る 部 分 もあ る の で は な い か 。〉 と、 構 に 向 け や す く させ る 結 果 、互 い に メ リ ッ トが あ 造 で は な く看 護 師 の 力 で 守 る こ とが 出来 る部 分 る 、 つ ま り物 理 的 距 離 は 心 理 的 距 離 に影 響 して が あ る と語 られ て い た 。 い る といえ る。 高 階(2004)が 4.保 「 絶 対 安 全な 飛行 機 は飛 ば な い 護 室 の 構 造 ・設 備 の 機 能 性 飛 行 機 で あ り、絶 対 安 全 な 自動 車 は 走 らな い 自 機 能 性 に 関 す る メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トは 、 そ れ 動 車 で あ る よ う に 、絶 対 安 全 を確 保 す る た め に ぞ れ の 病 院 の 工 夫 か ら出 て く る も の が 多 か っ た 。 は 本 来 の 機 能 を 完 全 に 損 な う しか な く、絶 対 安 あ る メ リ ッ トを考 慮 しそ の 機 能 を 持 た せ た と し 全 は 不 可 能 で あ る 。一 中 略 一 絶 対 安 全 な 隔 離 室 て も、別 の 視 点 か ら は デ メ リ ッ ト とな る こ とが は 患 者 を 収 容 しな い 隔 離 室 で あ る 」6)と 述 べ て 多 々 あ る と い う こ とで あ る 。そ れ ぞ れ の 病 院 に い る よ う に 、保 護 室 の 構 造 に絶 対 安 全 を 求 め る よ っ て 、看 護 師 の 数 や 看 護 理 念 、 病 院 の 方 針 は の で は な く 、い か に リス ク を 軽 減 す る か が 大 切 違 う 。 どの よ うな 機 能 を 持 っ た 保 護 室 の 構 造 ・ で あ り、 そ の 一 つ に 、 マ ンパ ワー を 用 い る こ と 設 備 が 良 い と い う画 一 的 な も の は な く 、各 病 院 が有効 な の だ といえ る。 が 、それぞ れ の状 況 を踏 まえた上 で 、メ リッ ト 3.保 とデ メ リ ッ トの 兼 ね 合 い を考 慮 し た 機 能 を 持 た 護 室 にお ける快 適性 せ る こ とが 大 切 だ と考 え る 。 保 護 室 を 改 修 す る 動 機 の 一 つ に 、保 護 室 の 居 5.保 心 地 の 良 さ 、つ ま り快 適 性 を 向 上 さ せ る こ とが 護室 の イ メー ジ 「 他 科 に な く 、精 神 病 院 を最 も特 長 づ け る 場 所 あ る と言 え る 。そ れ を 裏 付 け る よ う に 、 イ ン タ ビ ュー の 中 で 語 られ た 構 造 ・設 備 の 全 て に 、快 は 保 護 室 で あ る 。 一 中 略 一精 神 病 へ の 偏 見 を 生 適 性 の メ リ ッ トとデ メ リ ッ トが 語 られ て い た 。 み 出 す 原 因 とな っ て い る 場 の1つ で あ る」8)と しか し メ リ ッ トと さ れ て い る そ の 内 容 を見 て み い わ れ て い る が 、今 回 の イ ン タ ビ ュ ー の 中 で も 、 る と 、 〈トイ レ を 自分 で 流 せ る 〉 〈 窓 が 開 閉で き 旧館 の 保 護 室 の イ メ ー ジ に 関 して 〈 暗 い〉 〈 牢獄 る〉 〈 鉄格 子 が な い〉 〈 防 音 に配 慮 さ れ て い る 〉 とい っ た 感 じ〉 〈閉 塞 感 が あ る〉 と い う意 見 が 聞 な ど 、ほ とん どが 一 般 科 の 病 棟 や 家 庭 に お い て か れ た 。そ して 新 館 に 改 修 し た こ とで 、 〈一 般 病 ご く当 た り前 の 事 柄 で あ る 。保 護 室 の 快 適 性 と 院 の よ う〉 〈 ち ゃ ん と療 養 で き る 雰 囲気 〉 〈明 る は 、 い か に 当 た り前 の 状 態 に 近 づ け る か 、 と い い 〉 と い っ た 、 ポ ジ テ ィ ブ な 意 見 が 語 られ て い う こ と に あ る と考 え られ る。 る こ とか ら、保 護 室 の イ メ ー ジ は か な り改 善 さ も う一 つ 注 目 した い こ とが 、 ナ ー ス ス テ ー れ た と言 え る 。 た だ 、 居 室 性 を 重 視 し た 新 館 の シ ョ ン と保 護 室 の距 離 で あ る 。新 館 旧館 関 わ ら 保護 室で も、〈 監視 カ メ ラが患者 を管理 して いる ず 、保 護 室 と ナ ー ス ス テ ー シ ョ ン が 近 い こ と は 感 じ〉 〈 拘 束 の た め の ベ ッ ドの 金 具 が マ イ ナ ス イ 患 者 に安 心 感 を 与 え る 結 果 、メ リ ッ トと さ れ て メ ー ジ 〉 と い っ た こ とが 語 られ て お り、精 神 科 お り、逆 に 離 れ て い る と デ メ リ ッ トに な っ て い 特 有 の 設 備 が イ メ ー ジ に 関 して デ メ リ ッ ト と た 。 また 、 今 回 の イ ン タ ビ ュ ー の 中 で 、 「 以 前は な っ て い た 。 し か し保 護 室 の 使 用 目 的 か ら考 え 構 造 上 ナ ー ス ス テ ー シ ョ ンか ら離 れ た と こ ろ に て も 、完 全 に 一 般 科 の 病 棟 と 同 じ水 準 の ア メ ニ あ っ た の で 、場 所 と して も 隔 離 した よ う な 感 じ テ ィを確 保す る ことはで き ない。大切 なの は、 が し た 。 遠 い と い う こ とで 、そ れ で は い け な い 完 璧 な ア メ ニ テ ィ で は な く 、「 保 護 室が 名実 と も 17一 大阪大学看護学雑誌Vo1.14No.1(2008) に精 神 科 集 中 治 療 室 と な り偏 見 や 誤 解 を 克 服 す こ と を こ の 結 果 は 示 して い る と い え よ う 。 る こ と」4)で あ ろ う 。 2)居 6.居 居 室 性 が よ く な る こ とは,患 者 が 退 室 し た が ら 室 性 の 向上 が もた ら した 患 者 お よ び 看 護 心 地 の 良 さ に 伴 う弊 害 師 自身へ の影 響 と不変 で あ った こ と な い と い う別 の 弊 害 を 生 じる こ と に な っ て い た. 1)肯 状 態 が 安 定 し総 室 に 出 られ る 状 態 に な っ て も、 定的な 影 響 ベ ッ ドが 設 置 され トイ レ も プ ラ イ バ シ ー に配 慮 環 境 が 良 く な る こ とは 、看 護 師 の 患 者 に 対 す る接 し方 自体 に も影 響 を 与 え る こ と が イ ンタ され 、 居 心 地 も 良 け れ ば 、 個 室 と 同 様 の 状 態 に ビ ュ ー に よ り明 らか に な っ た 。 「 訪 問 時は ノッ ク な る わ け で あ る か ら,患 者 が 「 保 護室 のま まで を し、返 事 を 待 って ドア を 開 け る と い う 当 た り い い 」 と思 う気 持 ち も 了 解 で き る 。 こ こ で 大 切 前 の こ と を 、 当 た り前 にす る よ う に な っ た 」9) に な っ て く る の は 、や は り看 護 師 の 関 わ り方 で とい っ た よ う な 先 行 研 究 で 見 られ た 内 容 が,本 は な い だ ろ うか 。 「 保 護 室 を使 用 す る 目 的 は 何 イ ン タ ビ ュ ー で も 同様 に語 られ て い た 。以 前 の か 」そ して 「 今 の患 者 の状態 で は保護 室 が必 要 保 護 室 で 、看 護 師 が 患 者 を 尊 重 して い な か っ た な い こ と」 を 説 明 し 、 い か に 患 者 の 目 を 外 に 向 と い う こ とで は な い が 、 も し看 護 師 の 意 識 の 外 け る 関 わ りを し て ゆ くか が 大 切 だ と考 え る 。 で 、患 者 へ の 接 し 方 が 環 境 に 影 響 さ れ て い る な 3)保 護 室 を 改 善 して も 変 わ ら な か っ た こ と ら、今 な お ほ と ん ど の 病 院 で 劣 悪 な 環 境 の 保 護 病棟 環 境 を 「 精 神 科 にお け る最大 、最 重要 な 室 が 使 わ れ 続 けて い る こ と は非 常 に 大 き な 問 題 治 療 用 具 で あ る 」8)と 述 べ た 文 献 や 、 「 患者を を は らん で い る と言 え る 。 取 りま く環 境 や 空 間 が 治 療 の 成 果 に深 く 関 わ っ て い る 」 と い う認 識 の も と に行 わ れ た 研 究5)が ま た 、 保 護 室 が 改 修 さ れ 、居 室 性 を 兼 ね 備 え た こ と が 、看 護 師 の 精 神 面 を 助 けて くれ て い る あ る こ と か ら、筆 者 ら も 「 保護 室 の環 境が 患 者 と い う。 「 隔 離 室 に 患 者 を 収 容 す る 時 、我 々看 護 の 回 復 状 況 に影 響 す る 」 と い う予 想 を し て い た 。 者 は 閉 じ込 め る と か 、 自 由 を 奪 う と か 、 拘 束 す 本 研 究 で は 、 保 護 室 の 環 境 の 良 さが 直 接 、患 者 る と い う ネ ガ テ ィ ブ な イ メ ー ジ か ら、 つ い 自分 の 回 復 状 況 に影 響 す る と い う こ と は 明 らか に な 自 身 に 罪 悪 感 を 抱 く こ と が 多 い」10)「看 護 職 員 らな か っ た が 、 上 記 の よ う に 、環 境 が 良 くな る は 一 中 略 一 望 ま し い ア メ ニ テ ィ と医 療 の現 状 の こ と で 看 護 師 の 対 応 が 良 くな る と い っ た 効 果 も 狭 間 で 、 矛 盾 を抱 え な が ら悩 み 、入 院 患 者 の 最 あ り、そ れ らが 間 接 的 に 患 者 の 回 復 に 良 い効 果 も近 く に い て 日常 を と も に して い る」8)と い っ を与 え て い る 可 能 性 は あ る 。 こ れ は 今 後 の課 題 た よ う に,保 護 室 に 患 者 を 入 室 さ せ る 看 護 師 の と して 研 究 さ れ る 必 要 が あ る と言 え る 。 そ して 最 後 に、 〈 保 護 室 を 改 善 して も 『隔 離 す 苦 悩 が あ る こ とは 以 前 よ り認 め られ て い る こ と で あ る 。 これ に対 して,居 室 性 が よ くな る こ と る 』 と い う事 実 は 変 わ らな い 〉 と言 っ た 対 象 者 で 、 この 苦 悩 が か な り軽 減 さ れ る こ とが 明 らか の言 葉 を加 え て お き た い 。 「 保 護 室 に入 室 す る こ に な っ た とい え る 。 と に よ り圧 迫 感 を 感 じた 患 者 は 多 く 、そ の 原 因 そ して も う 一 つ 語 られ て い た メ リ ッ トが 、 〈 病 が 施 錠 ・行 動 制 限 に よ る も の だ と い う こ と は 明 棟 見 学 に 来 た 時 に 、患 者 が 治 療 を 受 け る気 に な らか で あ る 」11)と 述 べ る 文 献 も あ る 。 い く ら保 る 〉 とい う こ とで あ っ た 。本 イ ン タ ビ ュ ー で 語 護 室 の 環 境 が 改 善 さ れ 居 心 地 が 良 く な り、看 護 られ た こ と は,他 の 文 献 に お い て も 「隔 離 室 や 師 の 精 神 面 が 楽 に な っ た と して も 、患 者 に と っ 閉 鎖 病 棟 の 雰 囲気 に 、患 者 さ ん や 家 族 の 方 が 入 て はや は り 「 保 護 室 は 隔 離 され る 場 所 」 で あ る 院 を 躊 躇 さ れ る こ と も あ っ た 」9)と い っ た よ う こ とを 忘 れ て は な らな い 。 な 同 様 の 内 容 が見 出 せ る.環 境 が 良 い こ と が, 患 者やそ の 家族 の治 療 の意欲 を引 き出す とい う 18 大 阪 大 学 看 護 学雑 誌Vo1.14No.1(2008) 雑 誌23(12)、61-65. V.本 7)清 研 究 の 限界 と今 後 の 課 題 本 研 究 で は 、4病 院 、 計12名 水 賢 他(2004):隔 離 室 の ア メ ニ テ ィ. 日 本 精 神 科 病 院 協 会 雑 誌23(12)、36-40. のイ ンタ ビュー 8)花 に よ り分 析 ・考 察 を 行 っ て お り、数 的 に 十 分 な 房 香(2001):病 棟 環 境 の ア メ ニ テ ィー デー タで あ る とは言 えな い。 また、病 院 の規模 看 護 者 と 建 築 家 と の 関 係 を め ぐ っ て.精 や 、そ の 病 院 に 求 め られ る機 能 の 違 い を 考 慮 し 科 看 護 、104、8・12. 9)八 て いな い。加 えてイ ンタ ビュー は、大 阪府 下 の、 関 連 の あ る4病 重 美 枝 子(2004);個 室 看 護 の 取 り 組 み. 精 神 科 看 護 、144、12-17. 院 で 行 っ た た め 、そ の 地 域 性 、 10)中 文 化 や 理 念 が 類 似 して い た 可 能 性 も考 え られ 、 嶋 眞 由 美 他(1999):改 よ り偏 りの な い研 究 を行 う為 に は 、違 う 地 域 の 護 室)の 病 院 と の 比 較 検 討 も必 要 で あ っ た と言 え る 。今 会 誌 、42(1)、605-607. 11)百 後 、様 々 な 地 域 に お い て 、 よ り多 く の デ ー タ を め て 隔 離 室(保 意 義 を 考 え る.日 武 理 子 他(2003):精 本 精 神科看 護 学 神科 病 棟 にお け る 得 て 、保 護 室 の環 境 を 考 え て い く こ とが 必 要 で 保 護 室 環 境 を 考 え る.福 あ る 。今 回 明 らか に で き な か っ た 保 護 室 の 環 境 校 看 護 研 究 論 文 集 、26、13-23. と患 者 の 回 復 状 況 と の 関 連 性 に つ い て は 、今 後 明 ら か にす べ き 課 題 で あ る 。 VI.引 用 文献 1)福 田 一(2005):困 難 な 症 例 か ら学 ぶ 長期 間 の 隔 離 施 錠 を 必 要 と した 統 合 失 調 症 の 一 例.SchizophreniaFrontier(1345-8639)、 6(4),295-297 2)羽 根 田 和 彦 他(2003):38年 間 の保護 室 生活 か ら 一 般 病 室 へ 移 る こ と が で き た 一 例.一 陽 会 病 院 紀 要(10)14-16 3)伊 藤 寿 彦 他(2005):【 統 合 失調症 急 性 期 の重 症 例 治 療 】重 症 統 合 失 調 症 患 者 の 急 性 期 入 院 治 療 に お け る 非 定 型 抗 精 神 病 薬 の効 果 の 検 討.臨 4)斎 床 精 神 薬 理8(10)、1545-1549 藤 治 他(2002):精 神科 集 中治 療一 求 め ら れ る 治 療 環 境.厚 生 労 働 省 精 神 ・神 経 疾 患 研 究 委 託 費11年 ∼13年 総 括研 究 報 告書 『今 後 の 精 神 医 療 の あ り方 に 関 す る 行 政 的 研 究 』、147-155. 5)山 田 理 紗 他(2003):精 神科 急 性期 病 棟 の 病 室 利 用 に関す る研究 一精神 科 急性 期 医療 を 対 象 と す る 病 棟 の 建 築 計 画 的 研 究(1).病 院 管 理 、40(1)、15-23. 6)高 階 憲 之(2004):隔 離室 で の通 信 、面 会、 食 事 や 入 浴 に つ い て.日 神 本精 神 科病 院 協 会 19 岡県 立 看 護 専 門 学
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