別紙様式第２号 横浜国立大学 学位論文及び審査結果の要旨 氏 こばやし 名 小林 たくみ 匠 学 位 の 種 類 博士(工学) 学 位 記 番 号 工府博甲第490号 学位授与年月日 平 成 28年 3月 24日 学位授与の根拠 学位規則（昭和28年4月1日文部省令第9号）第４条第１項及び横浜国 立大学学位規則第５条第１項 学府・専攻名 工学府 物理情報工学 専攻 学位論文題目 Interference mitigation based on orthogonal matched filter using orthogonality of pulses and sequences in time and space domains for UWB systems （パルスと系列の直交性に基づく直交マッチドフィルタを用いた UWBシステムのための時空間干渉除去） 論文審査委員 主査 横浜国立大学 教授 河野 隆二 横浜国立大学 教授 濱上 知樹 横浜国立大学 教授 辻 宏之 横浜国立大学 教授 落合 秀樹 横浜国立大学 准教授 李 還幇 横浜国立大学 准教授 杉本 千佳 論文及び審査結果の要旨 本論文は，医療や高度交通システム(ITS)などに広く応用されつつある超広帯域(Ultra Wide Band ;UWB)無線を用いた多様な UWB システム（電波法で割り当てられた同一周波 数帯に共存する）の間の干渉を、同一 UWB システムのユーザ間の干渉と共に、除去する手 法として、従来の系列の直交性を用いるだけでなく、パルス形状の直交性を用いる直交マッ チドフィルタ（Orthogonal Matched Filter; OMF）と、適応アレーアンテナを適応ディジ タルフィルタと組み合わせた時空間領域の OMF を考案し、考案とその性能解析に関する研 究を英語でまとめたものである。 本論文は、異なるパルスや系列を DS-IR(Direct Sequence(DS) - Impulse Radio(IR)UWB 無線システムが、電波法に基づき同一周波数帯に共存する場合の相互干渉を、異なる UWB システム間干渉と、同一 UWB システム内のユーザ（ノード）の送信信号間干渉に対 する(1)パルス間における直交性と(2)系列間における直交性に注目し、(A)適応ディジタルフ 別紙様式第２号 横浜国立大学 ィルタによる時間領域の OMF と、(B)アダプティブアレーアンテナによる空間（角度空間） 領域の OMF により干渉除去する(1)x(A), (1)x(B), (2)x(A), (2)x(B)の４つの組み合わせにつ いて、各章でまとめている。UWB の同一と異なるシステムの各種の共存環境における性能 の劣化とその対策となる時空間領域の OMF による干渉除去を考案し、通信品質の向上を理 論的に解析し、定量評価し有効性と性能限界を示している。 以上のように、本研究は同一および異なる UWB 無線システムの共存環境における干渉 対策技術として、共存システムの限られた事前情報下での最大限の通信や測距精度を発揮 する実用性の高い干渉対策技術を考案し、その性能を理論的に導出したことに高い価値が あり、実用環境での有効性と限界を示し、産業的に価値が高い成果を上げ、これに続く今後 の研究開発が期待される。これらの一連の研究成果は、学会論文誌、国際会議などに既に発 表され評価を得ており、本論文は博士（工学）の学位論文として十分な価値を有するものと 認められる。
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