今月の本誌 - ゆく春俳句会

闘
緑
魂
風
の
は
光
艶
昔
る
を
の
貰
こ
ひ
と
て
よ
峠
残
越
り
え
花
新
の
檻
も
親
子
の
絆
風
光
る
ぎ こ ち な く 居 住 ひ 正 し 新 茶 汲 む
ど
爪 切 り も 日 々 欠 か さ ず や 新 社 員
光
を
操
る
技
や
大
道
芸
エ ン ブ レ ム 寡 黙 で 多 弁 風 光 る
春
横 浜 み な と み ら い の 造 化 風 光 る
内 山 眠 龍
1
草 笛 集
花吹雪
倉 林 潮
耐えきれずぽつとほころぶ初桜
花筏
竹 灯 籠 花 と 重 な り 大 人 出
花筏彼岸に沿ひて曲りをり
大 津 浩
廃 校 は 廃 車 置 場 や 花 吹 雪
紋白蝶有料道路を右ひだり
素通りの園は近道チューリップ 黒土の畠を染めゆく花の塵
竹林の催し
のどけしや鳥型小舟足で漕ぎ
古民家の敷居跨げば風光る
山縣先生を偲ぶ
バス停に到着予告電波の日
井 村 美智子
折鶴や伝授してゐる春炬燵
春の日や空母は湾に納まらぬ
明 易 や 心 電 計 の 電 子 音
春炬燵
犬ふぐりフェンスの先にある戦争
將来は野球のバット苗木植う
植 村 文 彦
春の宵イージス艦のいま灯る
対 岸 に 国 後 島 や 朝 霞
サイフォンのこぽこぽこぽと春眠し
芝 桜 親 子 の 口 笛 肩 車
平和
肩 幅 に 余 る 卒 業 証 書 か な
4
草 笛 集
川 又 曙 光
剪るに惜し散らすも惜しき八重桜
囀り
大樹伐り酒もて詫ぶる春愁
樒 花 こ ぼ れ 万 粒 地 の 湿 り
山 田 瑛 子
花守にこの爛熳を謝してをり
大空に五線譜浮かべ囀れり
風 光 る 霊 峰 映 す 湖 の 寂
山朱萸の花は小声に日を呼べり
風光る
銅板に寄進のサイン風光る
一 碧 の 天 は 無 伴 奏 囀 れ り
朝ドラ終演
「あさが来た」杖つく人に花菜燃ゆ
村 上 博 幸
山城の備へは桜攻め上げず
失 念 の 脇 役 の 名 や 遠 蛙
馬関にも築地の文字や菜種河豚
古扇
採 譜 す る 才 無 き 耳 や 遠 蛙
文 豪 の 俳 論 多 し 草 若 葉
岩 永 紫好女
最終のクラス会なる朧かな
校庭へ出られぬ子にも新樹光
少 し づ つ 伝 説 変 る 櫻 か な
四季のある国に生まれて古扇
遠蛙
倍速で駆ける小鴨や花吹雪
5
草 笛 集
鈴 木 良 子
春一番つまづき易くなりしかな
春一番
花 守 と 思 ほ ゆ 吉 野 杉 木 立
大 仏 の 膝 を 好 み し 雀 の 子
髙 橋 純 子
稜線はパステルカラー山笑ふ
霾やミサイル発射へ包囲網
元 禄 の 美 人 絵 姿 菖 蒲 園
若草や頬を撫でゆく散歩道
吉野
花冷えや外孫は絵に描いた餅
新 美 久 子
春 な か ば 太 公 望 の 竿 長 し
亀鳴くや
小満ん
山葵田や無垢なる水と思ひけり
春日傘
もの思ふこころが廻す春日傘
内耳の奥の
柳家小満ん師匠の俳句
入 相 の 鐘 嫋 嫋 と 桜 散 る
かたつむり
花に酔ひ人に酔ひつつ歩を運ぶ
相ふれし指の想ひ出春炬燵
花屑や濁世の彩にはや染みて
6
◆この一句(五月号より)
高 久 靖 人
かるがると背おうてみたき春の山
かるがるの一言で決めた
リアル句会報
四月二十三日(土)
博幸報
於 TEORIYA
あや子
ともこ
浩 ゆり子
武 るり子
博 幸
兼題「春の季語一切」
(特に潤いや水分を感じさせるもの)
長靴の脱げても駆けるしゃぼん玉
起き抜けの猫を抱いて春炬燵
ほろ酔いの見上げし空の朧かな
雨上がり光集めるハナミズキ
富士山のかたちやわらか春霞
キリル文字つづる指先春の虹
せせらぎを膝まで浸かり座禅草
見事な春の山、外に
付け加えることなく
拍手喝采
川崎春浪 選評
六月号担当 高久靖人
※春浪さんは体調を崩し病床からの選評をい
ただきました。
リアル句会の第三回目を実施しました。ゆ
く春フェイスブックページ読者の中から有志
が集まった句会です。俳句に興味はあっても
作句経験のほとんどない初心者の方々です。
従って句会形式をとりながらも、勉強会の要
素を強くしています。
今回も助詞の使い方を指導したところ、改
作にて見違えるほどよくなった例がいくつか
ありました。
7
春 雷 集
旭 川 髙 取 杜 月
円心の決まりて春の虹開く
トンネルの出口飾りし木の芽かな
消し忘れの豆電球や別れ霜
春泥を付けて列車の街に入る
公魚の跳ねてそのまま固まれり
花びらを踏んで行列土手の道
天 窓 が 開 き 集 ま る 桜 魚
茨 城 上 野 明 子
寺 町 の 音 な き 昼 や 草 団 子
山 裾 を 黄 一 色 に 三 椏 咲 く
河原より中洲へ跳びぬ諸葛菜
春昼やコーヒー売りは花粉症
点 線 の 点 が 太 り ぬ 柳 の 芽
札 幌 前 橋 金 田 葉 子
草笛に長調を吹く健児かな
あざやかな稜線立つや涅槃西風
初蝶の黄色が残る目の奥に
鯖節を載せてツマミの冷奴
門前の花舗のにぎはひ入彼岸
諸 中 一 光
噴水の溜まりや河馬の玩具浮く
梅の香や吾日の本の人なりて
雁点てふ謂れのやうに雁帰る
秋 田 髙 辻 シ ヅ
畑 柵 の 前 を た ぢ ろ ぐ 袋 角
亡夫の書にルーペの栞春燈
もののふに葉隠ありぬ夏木立
横 浜 船 橋 貞 夫
散りいそぐ山の桜へ酒一升
雪囲ひとる音たて弾く庭の木々
なか
若 草 や 未 来 を 語 れ 十 八 歳
中 布 団 外 し て 軽 し 春 炬 燵
共白髪六十路迎ふる雛もまた
横 浜 浦 野 和 子
春灯や君来るまでのハイボール
春泥や爪先止まるハイヒール
白木蓮の天に雲なし蒼き空
8
春眠てふ退職祝ひもらひけり
二ツ目はこし餡選ぶ桜もち
著莪の花ひっそり誰かを待っている
韮 の 花 舞 妓 の 簪 夢 に 見 る
節 分 の 鰯 も 薬 闘 病 中
美 唄 斎 藤 新一郎
彼岸会や先師の分も献笛す
山縣先生を偲ぶ四句
散る桜手のひらにのせランドセル
花吹雪虚無僧奏す師の墓前
狛犬に添うて桜も阿吽かな
川 崎 雪消えを待ちて始まる苗木市
江ノ島の潮の溜まりにアオサかな
雪折れの枝に花芽の艶々と
関 谷 正 道
鉢植ゑに耐えて椿の咲きにけり
岩海苔の黒き岩場に白き波
あと何回千鳥ヶ淵の花浄土
ヒヨドリは蜜吸いながら逆上がり
ジャンケンは開くばかりの辛夷かな
三匹のプードル連れて春疾風
東 京 札 幌 木 村 洋 平
お散歩の黄帽子はしゃぐ花吹雪
夜 桜 や 赤 信 号 が 照 ら す 時
片栗の摘まれぬ事を祈りたり
山楂子白し枝しなるほどに咲く
花 筏 崩 し て 光 る 水 と 風
片 海 幹 子
みちのくの廃線のわき水芭蕉
横 浜 大 窪 ト ミ
片栗の花反り返り土手の径
反射炉の焚き口せまし花連翹
花ありなむ雲水下る山の道
軽やかに髪カットして花見かな
雨 上 が り 筍 探 す 足 の 裏
長老の歌も飛び出す花見かな
カップルは花に頬寄せ自撮り棒
川 野 富 美
ホノルル 新しき眼鏡馴染めぬ春時雨
四月馬鹿今年は負けじと策をねる
孫ポリス学校卒業す
制服もりりしく定めて卒業す
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