プレスリリース - 岩手経済研究所

=プレスリリース=
平成 28 年 5 月 19 日
岩手県内新入社員の職業観と生活観
-平成 28 年新入社員意識調査より-
標記について概要を取りまとめましたので公表いたします。
なお、詳細は機関誌「岩手経済研究」28 年 6 月号に掲載予定です。
<調査要領>
1.調査時期 平成 28 年 3~4 月
2.調査対象 岩手県内事業所に勤務(予定含む)する新入社員等
3.調査方法 当研究所主催の新入社員研修会等における無記名アンケート方式
4.回答者数 合計 344 人
最終学歴
男性
女性
出 身 地
男性
女性
高 校
専門学校
46
37
65
18
短 大
10
25
大 学
83
46
大学院
県 央
99
77
沿 岸
17
26
県 北
県 外
19
10
県 南
43
39
7
7
無回答
8
0
1
5
総 計
185
159
0
0
総 計
185
159
無回答
盛 岡 市 中 ノ 橋 通 一 丁 目 2 番 16 号
一般財団法人
理
事
長
岩手経済研究所
高
橋
経 営 相 談 部 ( 担 当
T E L
真
裕
岩 渕 )
0 1 9 - 6 2 2 - 1 2 1 2
1
<調査結果の要約>
<就職活動の厳しさは?>
○「就活」の感想は厳しさが和らぐ
就職活動を振り返った感想は、
「大変厳しかった」と「厳しかった」
(以下、
「厳しい」
)との回答の合計が 48.0%
(前年比 7.2 ㌽減)となった。一方、
「それほど厳しくなかった」と「楽だった」との回答の合計は全体で 49.7%
(同 6.6 ㌽増)と増加して「厳しい」を上回った。特にも女性は「厳しい」が前年の6割強から5割弱に大幅に
低下しており、売り手市場を反映し、今年の新入社員の就職活動は厳しさが和らぐ結果となった。
就職活動を振り返った感想
0%
20%
40%
60%
80%
H28年4月
8.2
39.8
全 体
44.1
5.6
55.2%
H27年4月
100%
49.7%
48.0%
12.6
2.3
43.1%
42.6
39.1
4.0 1.7
46.5%
H28年4月
男
10.3
36.2
性
44.9
5.9
2.7
5.9
2.6
50.0%
H27年4月
13.8
36.2
41.5
49.7%
H28年4月
女
5.7
44.0
性
43.3
5.1
1.9
61.1%
H27年4月
11.1
50.0
大変厳しかった
厳しかった
1.9
36.4
それほど厳しくなかった
楽だった
0.6
その他
<就職先として県内企業を選んだ理由は?>
○男性は希望の会社の存在の割合が上昇
就職先として県内企業を選んだ理由は、
「地元への愛着があるから」が 48.8%(同 4.5 ㌽減)
、
「家族や友人が
近くにいるから」が 34.3%(同 3.9 ㌽減)
、
「希望の会社があったから」が 26.2%(同 3.4 ㌽増)などの順となっ
た。昨年のアンケートと同様、地元への愛着や家族・友人の存在を理由とする回答が多いが、男性では希望の会
社があったとする割合が大きく上昇している(同 8.1 ㌽増)
。
就職先として県内企業を選んだ理由(2つ以内の複数回答)
0
10
20
30
40
60 %
48.8
地元への愛着
があるから
51.9
45.3
34.3
33.0
35.8
家族や友人が
近くにいるから
26.2
希望の会社が
あったから
31.9
19.5
14.5
11.9
親が県内での就職を
希望したから
県外での就職を
希望したが条件が
合わなかったから
50
17.6
5.2
3.8
6.9
全体
その他
6.1
4.3
男性
女性
8.2
2
1.職 業 観
<勤務先選択の理由>
○堅実性・安定性と仕事の内容を重視
今の勤務先を選んだ理由は「会社が堅実で安定性がある」が 38.4%(同 2.9 ㌽減)
、以下「仕事の内容に興味
がある」36.6%(同 0.7 ㌽減)
、
「労働条件(勤務時間・休日・休暇等)がよい」25.0%(同 3.3 ㌽増)の順とな
った。堅実・安定性などは依然高いが、労働条件を重視する傾向が3年連続で上昇している。男性は仕事の内容
や適性などを、女性は労働条件や通勤の便などを重視する傾向がみられた。
今の勤務先を選んだ理由(2つ以内の複数回答)
0
10
20
30
40
50 %
38.4
38.9
37.7
堅実で
安定性がある
36.6
仕事の内容に
興味がある
46.5
32.7
労働条件(勤務時間・
休日・休暇等)がよい
25.0
19.5
13.7
仕事が自分の
性格に合う
9.4
31.4
20.1
12.5
15.7
11.3
スキルアップが
できる
11.3
将来性がある
14.1
8.2
通勤の便がよい
7.0
給料・ボーナス等
待遇がよい
6.7
6.5
6.9
10.2
13.8
7.0
6.5
7.5
自分の特技が
いかせる
全体
4.7
5.4
3.8
経営者に魅力
を感じた
男性
3.5
2.7
4.4
その他
女性
<社会人生活に期待すること>
○円滑で豊かな人間関係と社会貢献
社会人生活に期待することは、
「円滑で豊かな人間関係を築きたい」が 44.5%(同 4.5 ㌽減)と最も高く、以
下「社会へ貢献したい」35.5%(同 3.5 ㌽減)
、
「自分の能力を発見し発揮したい」32.0%(同 4.9 ㌽増)の順と
なった。
「円滑な人間関係」や「社会貢献」は男性が上昇し女性は低下した。
「自分の能力の発揮」については男
女とも上昇した。
社会人生活に期待すること(2つ以内の複数回答)
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
44.5
43.2
45.9
円滑で豊かな人間
関係を築きたい
35.5
社会へ貢献したい
40.5
29.6
32.0
31.4
32.7
自分の能力を
発見し発揮したい
様々な分野の
人たちと知り合い
になりたい
21.8
20.5
23.3
18.3
自己実現を
果たしたい
21.6
14.5
9.0
自分の存在感を
示したい
10.8
6.9
全体
1.5
その他
男性
0.0
女性
3.1
3
%
<働くことについての考え方>
○私生活とのバランスとスキルアップ
働くことに対する考え方については、
「仕事も大事だが個人の生活も大事にしたい」が 57.6%(同 5.2 ㌽増)
と最も高く、以下「自己のスキルアップができる仕事がしたい」が 43.0%(同 6.0 ㌽増)
、
「自分の能力を生かせ
る仕事をしたい」が 38.1%(同 0.8 ㌽増)となった。
「個人の生活も大事にしたい」とする女性の割合が大幅に
上昇したが男性は減少した。
「スキルアップができる仕事がしたい」については男女とも上昇した。
働くことについての考え方(3つ以内の複数回答)
0
10
20
30
40
50
仕事も大事だが個人の
生活も大事にしたい
60
50.8
70 %
57.6
65.4
43.0
44.3
41.5
自己のスキルアップが
できる仕事をしたい
自分の能力を生かせる
仕事をしたい
34.6
38.1
36.9
働きがいがあれば仕事
の苦労はかまわない
28.3
給料など待遇が
良ければ仕事の
苦労はかまわない
21.8
42.1
44.3
27.6
15.1
18.3
18.4
18.2
人並みに働ければよい
10.2
11.4
8.8
できれば楽な仕事が
よい
給料は少なくても残業
はない方がよい
4.9
4.3
5.7
会社で命じられたこと
はなんでもやる
4.4
5.9
2.5
全体
男性
0.9
1.1
0.6
その他
女性
<社会人生活で不安を感じること>
○仕事がこなせるかと人間関係が上位
社会人生活で不安を感じることは「仕事がうまくこなせるか」が 71.2%と最も高く、以下「職場の人間関係」
41.9%、「私生活とのバランス」19.2%となった。男女とも上位二項目が抜き出ている。
社会人生活で不安を感じること(2つ以内の複数回答)
0
10
20
30
40
50
19.2
19.5
18.9
私生活とのバラン
スがとれるか
13.7
10.8
17.0
新生活の環境変
化への対応
8.7
8.1
9.4
十分な収入が
得られるか
6.4
5.9
6.9
自分のやりたい仕
事ができるか
その他
80 %
41.9
40.5
43.4
職場の人間関係
不安なことはない
70
71.2
70.8
71.7
仕事がうまく
こなせるか
リストラや解雇
60
4.4
5.4
3.1
0.6
3.5
5.9
全体
男性
1.2
0.0
2.5
女性
4
<定年まで今の勤務先で働くか>
○過半数が今の勤務先で定年まで働きたい
定年まで今の勤務先で働きたいと考えるかについては、
「今の勤務先に定年まで勤めようと思っている」が
ポイ
55.8%(同 0.5ポイ
、
ント増)と過半数を占め、以下「きっかけ、チャンスがあれば転職したい」が 26.2%(同 0.8ント増)
ポイ
ポイ
「いずれは家庭に入りたい」10.6%(同 3.5ント
減)
、
「きっかけ、チャンスがあれば独立したい」が 7.4%(同 2.2ント
増)となった。
定年まで今の職場で働きますか?
0%
20%
H28年4月
40%
60%
55.8
80%
26.2
100%
10.6
7.4
全 体
H27年4月
55.3
H28年4月
男
14.1
63.8
26.5
64.0
26.9
5.2
1.1
8.6
性
H27年4月
H28年4月
女
25.4
46.1
26.0
1.6 7.5
22.1
5.8
性
H27年4月
45.3
23.6
28.6
2.5
今の勤め先に定年まで勤めようと思っている
きっかけ、チャンスがあれば、転職したい
いずれは家庭に入りたい(専業主婦・主夫など)
きっかけ、チャンスがあれば、独立したい
2.生 活 観
<理想とする生き方>
○平凡で幸福な家庭と趣味にあった暮らし方
理想の生き方の考えについては、
「平凡で幸福な家庭生活を送りたい」が 59.3%(同 9.1 ㌽減)と低下し、
「自
分の趣味にあった暮らし方をしたい」が 56.4%(前年比 6.0 ㌽増)となった。男女別では、男性は「自分の趣味
に合った暮らし方」が「平凡で幸福な家庭生活」を上回り、女性は「平凡で幸福な家庭生活」が「自分の趣味に
あった暮らし方」を上回ったが、女性も「自分の趣味にあった暮らし方」が増加している。
理想とする生き方(2つ以内の複数回答)
0
10
20
30
平凡で幸福な家庭生
活をおくりたい
52.8
社会のために尽くした
い
6.9
5.2
地位や名声を求め、資
産を築きあげたい
その他
60
70 %
59.3
66.7
56.4
59.5
12.5
11.4
13.8
自分の能力をためす生
き方をしたい
自分のことより、会社
の発展に尽くしたい
50
53.0
自分の趣味にあった暮
らし方をしたい
まじめに勉強して名を
あげたい
40
2.5
3.5
0.0
10.2
13.0
7.6
6.5
1.2
1.6
0.6
全体
男性
2.0
2.2
1.9
女性
5
<30 歳での理想の年収は>
○300 万円~500 万円未満が約6割
30 歳での理想の年収を尋ねたところ、
「300 万円~500 万円未満」との回答が 61.2%と最も多く、以下「500 万
円~700 万円未満」が 25.2%、
「300 万円未満」が 8.9%となった。男女別にみると「500 万円未満」との回答は
男性では 62.3%であるのに対し、
女性では 80.2%であり、
女性は男性に比べて将来の理想年収が低くなっている。
30 歳での理想の年収は?
0%
H28年4月
20%
40%
8.9
60%
80%
61.2
100%
25.2
1.9 2.8
全 体
H27年4月
10.8
59.6
22.1
4.7 2.8
62.3%
H28年4月
男
6.7
55.6
30.0
3.3 4.4
性
H27年4月
5.4
55.7
28.1
5.4
5.4
80.0%
H28年4月
女
11.7
68.3
19.3
0.7
0.0
性
H27年4月
17.0
64.2
300万円未満
300万円~500万円未満
700万円~1000万円未満
1000万円以上
0.0
3.7
15.1
500万円~700万円未満
<結婚について>
○30 歳までの結婚希望が減少
何歳ぐらいで結婚したいかに対し、
「25 歳~30 歳未満」が 43.8%(前年と同じ)
、
「23 歳~25 歳未満」が 23.1%
(同 8.1 ㌽減)
、23 歳未満が 7.9%(同 1.3 ㌽増)となり、30 歳までに結婚したいと考える割合が 74.8%(同 6.8
㌽減)となった。一方、
「30 歳~35 歳未満」が 5.2%(同 0.2 ㌽減)
、
「未定」が 20.0%(同 7.0 ㌽増)となった。
何歳ぐらいで結婚したいと考えていますか?
0%
20%
40%
60%
80%
100%
74.8%
H28年4月
7.9
23.1
43.8
全 体
H27年4月
H28年4月
男
20.0
6.6
31.2
5.0
43.8
14.0
5.4
46.9
7.8
13.0
26.3
性
H27年4月
H28年4月
女
5.2
81.6%
3.7
25.5
45.2
11.3
34.0
9.9
37.9
8.5
40.0
17.1
2.0
12.7
性
H27年4月
23歳未満
23歳~25歳未満
42.2
25歳~30歳未満
6
30歳~35歳未満
1.9
未定
8.1
○女性の8割が出産後も仕事の継続を希望
女性の回答者に出産後の仕事について尋ねたところ、「ぜひ仕事を続けたい」が 22.2%(同 1.2 ㌽増)、
「環境が
整えば続けたい」が 56.9%(同 2.0 ㌽増)で、79.1%(同 3.2 ㌽増)が出産後も仕事の継続を希望している結果と
なった。1億総活躍社会を目指す中、県内の新入女性社員の就業意欲も強まっており、女性が働きやすい環境整
備に社会全体で取り組む必要がある。
出産後の仕事の継続(女性に対し)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
79.1%
H28年4月
22.2
56.9
10.4
10.5
75.9%
H27年4月
21.0
ぜひ仕事を続けたい
54.9
環境が整えば続けたい
仕事を辞め育児に専念したい
13.6
10.5
わからない
まとめ
調査結果から、今年の新入社員は仕事と生活のバランスをとりながらも、仕事を通じて自分のスキルアップに
努め、能力を発揮し社会に貢献していきたいという意欲を持っていることがわかる。
生活については平凡ながら趣味に合った暮らし方を希望する割合が高まっている。結婚については、30 歳まで
の結婚希望が減少し、特に男性は結婚の目標年齢を決めていない割合が上昇したが、出生率向上のためにも早め
の世帯形成を促したいところである。女性の多くは出産後も仕事の継続を希望するなど、社会への進出意欲が高
くなっており、子育ての支援体制の充実が必要となっている。
また、職場でうまく仕事をこなせるか、職場に溶け込めるかなど、実際の仕事を目の前に不安も抱いている。
少子高齢化社会を迎え労働力人口が減少する中、若手の早期戦力化による生産性向上が求められており、職場の
先輩諸氏におかれては、新入社員が不安を解消し思う存分力を発揮できるよう、成長に向け厳しくも温かい指導
をお願いしたい。
以上
7