23 章 補 充 問 題 炭水化物 A23.01 D −ガラクトースの二つのピラノース形を書け. A23.02 アラビノースはペントースの一つであり,C2 の立体配置だけがリボースと異 なる.D –アラビノースの鎖状構造を Fischer 投影式で示し,さらにフラノース形の 構造も示せ. A23.03 23.1 節の図 23.1 にあげた単糖のうち,還元によってアキラルなポリアルコー ル(アルジトール)を与えるものはどれか. A23.04 D −フルクトースの還元によって得られる二つの立体異性アルジトールの構 造を示し,その特徴を説明せよ. A23.05 酵素触媒による酸化によってヘキソースの第一級アルコールを選択的にカル ボン酸に変換することができ,その生成物をウロン酸という. D –グルコースから は D −グルクロン酸が得られる. D −グルクロン酸の鎖状構造を Fischer 投影式で示 し,さらにピラノース形の構造も示せ. A23.06 D −グルコン酸( D −グルコースのアルデヒドを酸化して得られる酸)の二つの 環状構造を書け. A23.07 D –グルコースは血液中にも含まれ血糖とよばれ,血糖値は酵素酸化によって 決定される.この酵素はβ–D –グルコピラノースだけを特異的に酸化するにもかか わらず,(α–D –グルコースも含めて)全血糖値を決定することができる.その理 由を説明せよ. A23.08 D −フルクトースは,弱アルカリ性水溶液中で異性化して D −グルコースと D − マンノースになる.この異性化の機構を鎖状構造で書き,二つのアルドースがで きることを示せ. A23.09 サリシンはヤナギの樹皮に含まれる消炎作用を示す物質であり,系統的名称 は o–ヒドロキシメチルフェニルβ− D −グルコピラノシドである.サリシンの構造 を示し,酸触媒加水分解の機構を書け. A23.10 L –アスコルビン酸(ビタミン C)は二塩基酸で,その pKa は 4.1 と 11.8 であ る.ビタミン C が比較的高い酸性度を示す理由を説明せよ. CH2OH H OH O O L–アスコルビン酸 HO (ビタミンC) OH A23.11 心臓病治療薬のジゴキシンは,ジギトキソースというジデオキシ糖(酸素が 2 原子少ない単糖)の三糖のグリコシドである.この三糖はジギトキソースがβ 結合でつながった構造をもっている.その構造を示せ. CHO H H H OH H OH H OH CH3 ジギトキソース A23.12 甲殻類や昆虫の殻の成分であるキチンは β(1→4) グリコシド結合をもつ N− アセチルグルコサミンのポリマーである.このグリコシドは,D −グルコースの 2− OH がアセチルアミノ基に置き換わったものである.キチンの部分構造を示せ. A23.13 核酸塩基は互変異性構造をもっている.アデニン,グアニン,シトシンおよ びチミンの互変異性体の構造式を書け. A23.14 ヌクレオシドは弱アルカリ性水溶液中では安定であるが,酸性水溶液中では 加水分解され,核酸塩基とペントースになる.2’–デオキシアデノシンの酸触媒加 水分解の機構を書け. A23.15 リボースのヌクレオシドのリン酸化は,下に示すように,2’–と 3’–OH を保護 し,クロロリン酸ジベンジルを用いて行われる.この反応がどのように進むか示 せ. HO O B OH OH ヌクレオシド HO O O BnO BnO P O B (BnO)2P(O)Cl O B O O HO HO P O O B O O O OH OH ヌクレオチド A23.16 D –グルコースを酸性条件でベンズアルデヒドと反応させると,下の反応式に 示すように,二環性アセタール A が得られる.しかし,プロパノンと同じような 反応を行うと,二環性アセタール B は得られないで,主生成物はジアセタール C になる. (a) アセタール A が生成する反応の機構を書け. (b) アセタール B が不安定である理由を説明せよ. (c) ジアセタール C の生成を説明する反応式を書け. OH O HO HO OH O Ph PhCHO OH 2x O O HO H+ O A OH OH O H+ H+ O H O O O O O HO OH OH B O H O H HO C ア ミ ノ 酸 と タ ン パ ク 質 A23.17 イソロイシンとトレオニンはそれぞれ二つ目のキラル中心をもつアミノ酸 である.したがってジアステレオマーをもつが,天然の L −α−アミノ酸は表 23.1 に示したような単一ジアステレオマーとして存在する.これらのアミノ酸のキラ ル中心の R,S 配置を帰属し,主鎖をジグザグ形に示した三次元式でその構造を表 せ. A23.18 グルタミン酸とチロシンの pKa は次に示す通りである. + H3N + CO2– H CH2CH2CO2– H3N CO2– H グルタミン酸 pKa = 2.19, 4.25, 9.67 チロシン pKa = 2.20. 9.11, 10.07 OH (a) それぞれの pKa 値がどの官能基に由来するか示せ. (b) これら二つのアミノ酸の等電点を計算せよ. A23.19 ジペプチド Gly-Glu とトリペプチド Glu-Gly-His の pH 7 における解離状態を 構造式で示せ. A23.20 ペプチドを合成するためには,一方のアミノ酸のアミノ基ともう一方のアミ ノ酸のカルボキシ基を前もって保護しておく必要がある.ジペプチド Ala-Gly の 合成について,次の問に答えよ. (a) クロロギ酸ベンジル ClCO2 Me と Ala の反応を書け. (b) メタノール中における Gly のエステル生成反応を書け. (c)上で得られた二つの保護されたアミノ酸を,DCC を用いて縮合させ,保護され た Ala-Gly を得るための段階的な反応を示せ. A23.21 α−アミノ酸をそのまま DCC で反応させると次のような環状二量体が得られ る. + CO2– H3N R H N O O N H R DCC H R (a) この変換反応を段階的な反応式で表せ. (b) α−アミノ酸が純粋なエナンチオマーでない場合にはジアステレオマーが得ら れる.α−アミノ酸の ee が 84%のとき,二量体のジアステレオマー比の範囲と エナンチオマー比の範囲を計算せよ. 脂 質 A23.22 マーガリンは植物油の水素化によって製造されている. (a) 水素化によって液体の油が固体になるのはなぜか. (b) この製造過程で「トランス脂肪」が生じ,健康によくないといわれる.この不 純物が水素化の工程でなぜ生じるのか説明せよ. A23.23 次のテルペンとテルペノイドのイソプレン単位を示せ. CHO OH シトロネラール citronellal (レモン) αテルピネオール "-terpineol (松根油) αフェランドレン "-phellandrene (ユーカリ) βカジネン !-cadinene (ケード油) CHO CO2H OH レチナール βユーデスモル H グランジソール grandisol (ワタミハナゾウムシ の性フェロモン) chrysanthemic acid (視物質) (ホップ) OH 菊酸 retinal !-eudesmol (除虫菊) H H HO カリオフィレン マノアリド (チョウジ) (海綿) caryophyllene manoalide O O O HO A23.24 プロスタサイクリンは体内で容易に次のような変化を起こす.この反応の機 構を書け. CO2H HO2C HO O O HO HO OH プロスタサイクリン prostacyclin (PGI2) OH
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