第83 回 日本分析化学会有機微量分析研究懇談会 第

第83 回 日本分析化学会有機微量分析研究懇談会
第101 回 計測自動制御学会力学量計測部会
第33 回 合同シンポジウム
投稿原稿
テーマ:マイクロピペットを利用した界面活性剤等の分注精度について
(英題:The study of dispensing accuracy for surfactant and others with
using micro-pipette)
(株)エー・アンド・デイ 第1設計開発本部
出雲直人、深見雄二、有賀千佳
主催:日本分析化学会有機微量分析研究懇談会
共催:SICE (社)計測自動制御学会力学量計測部会
後援:岩手大学
協賛:日本分析化学会・日本化学会・日本薬学会
会期:2016年5月26日(木)~28日(土)
会場:いわて県民情報交流センター(アイーナ)
岩手大学理工学部復興祈念銀河ホール
マイクロピペットを利用した界面活性剤等の分注精度について
㈱ エ ー ・ア ン ド ・デ イ
1.
設計開発本部
第 5部
出雲直人、○深見雄二、有賀千佳
はじめに
マイクロピペットは元素分析から製薬・バイオ関連の研究分野において使用さ
れ 、日 本 国 内 で 年 間 10 万 台 以 上 の 市 場 を 形 成 し て い る 。例 え ば 、大 き な 研 究 部 門
では1部門で、数千台のマイクロピペットを使用している所もある。当然、それ
らのマイクロピペットは色々な分注作業に使用されており、ピペットで扱う液体
の種類も多岐に及んでいる。そしてピペットによる分注精度は、実験や研究現場
に お い て 最 も 川 上 に 位 置 し 、実 験 結 果 や 分 析 結 果 の 品 質 を 決 定 し て い る 。そ こ で 、
昨年にひき続き、今年は分注の難しいと言われる界面活性剤や増粘剤の分注精度
と、それに関わるピペット操作及びチップ材質の関係について実験した。
2.
実験方法
被 試 験 ピ ペ ッ ト と し て 電 動 ピ ペ ッ ト:MPA-200( 容 量 200μL)を 利 用 し 、ま た
被 測 定 チ ッ プ と し て 、 PP 製 標 準 チ ッ プ と チ ッ プ 表 面 を シ リ コ ン 処 理 し た 、『 シ リ
コナイズチップ』を用意した。そして、同一ピペットを使用し、色々な界面活性
剤について、リバース動作とブローアウト動作による分注精度の比較を行った。
な お 、 容 量 テ ス タ ー と し て は 、 マ イ ク ロ 天 び ん : BM20+ OP-14
(容 量 テ ス タ ー
キ ッ ト )と 容 量 計 算 ソ フ ト “WinCT-Pipette”を 利 用 し た 。こ れ ら の 手 法 に つ い て は
ISO8655 に 重 量 か ら 容 量 を 求 め る 方 法 と し て 規 定 さ れ て い る 。 ( Fig.1)
BM-20
OP-14
Fig.1 容 量 テ ス タ ー 関 連 設 備 /ピ ペ ッ ト 校 正 室
3.
結果
① 4 種 類 の 界 面 活 性 剤 と 1 つ の 増 粘 剤 ( HPC) の 分 注 量
一 般 的 に 言 わ れ て い る PP 製 標 準 チ ッ プ と シ リ コ ナ イ ズ ド チ ッ プ の 性 能 差 は 認
められなかった。一方、リバース動作やブローアウト動作など、操作方法によ
る分注量の違いが確認された。実験結果から、リバース操作を行えば上記5溶
液 に 関 し て 、 ほ ぼ ISO8655 の 規 格 内 と な る 分 注 の “ 正 確 さ ” が 得 ら れ る 事 が 判
明 し た 。( Fig.2)
Fig.2
4 種 類 の 界 面 活 性 剤 と 1 つ の 増 粘 剤 ( HPC) の 分 注 結 果 ( 正 確 さ )
② 4 種 類 の 界 面 活 性 剤 と 1 つ の 増 粘 剤 ( HPC) の 再 現 性 (繰 り 返 し 性 )
分注量と同様な結果となり、チップの種類よりもピペットの操作方法による再
現性の差が大きい事が確認された。リバース動作による適格な操作を行うと、
標 準 チ ッ プ で も 再 現 性 は ISO8655 に よ る 規 格 値 の 約 1/3 と な る 、高 い 繰 り 返 し
性 が 得 ら れ た 。( Fig.3)
Fig.3
4.
4 種 類 の 界 面 活 性 剤 と 1 つ の 増 粘 剤 ( HPC) の 分 注 結 果 ( 再 現 性 )
まとめ及び考察
シリコナイズチップの特徴と言われている液切れの良さは、今回測定した4種
類 の 界 面 活 性 剤 と 増 粘 剤:HPC で は 確 認 さ れ な か っ た 。実 験 結 果 か ら は 、チ ッ プ
の 種 類 (材 質 )よ り も ピ ペ ッ ト の 操 作 の 方 法 が 、 分 注 性 能 と な る 正 確 さ & 再 現 性 共
に 影 響 の 大 き い こ と が 示 さ れ た 。ま た 、こ れ ら 分 注 が 難 し い と 思 わ れ る 液 体 で も 、
電 動 ピ ペ ッ ト の リ バ ー ス モ ー ド を 利 用 す る 事 で 、ISO8655 の 規 格 に 対 し て 十 分 な
分注精度の確保される事が判明した。
以上
The study of dispensing accuracy for surfactant and others with using
micro-pipette.
Naoto IZUMO, ○ Yuji FUKAMI, Chika ARIGA
A&D Company Limited
ABSTRACT
We tested the dispensing accuracy for surfactant and thickener and also report the
relation between those and the pipette handling or the materials of pipette tip.