国立大学法人 滋賀医科大学 研究シーズ 研究シーズNo.1502 シーズ分野;医療:循環器疾患 研究シーズ -DPP IIIは動物実験で顕著な降圧作用を発揮- ■研究概要 タンパク質分解酵素DPP III(Dipeptidyl peptidase III)は、高血圧 に関わる重要なホルモンのアンジオテンシンIIを分解して、高血圧 モデル動物において顕著な降圧作用と臓器保護効果を有すること が明らかとなった。 ■研究の背景・目的 高血圧は脳梗塞や冠動脈疾患などの重篤な病気を引き起こしうるが、 日本の高血圧患者数は、約3,000万人も達するといわれる。これまでに多 くの降圧薬が開発され、臨床応用されている。しかし、これらの降圧薬だ けでは適切な血圧コントロールが出来ていないケースも数多く存在する。 この様な背景から、DPP IIIに着目して、この酵素の新規高血圧治療薬と しての可能性を追求することを目的とした。 ■研究者紹介 ・研究課題; 新規降圧薬の開発に関する研究 心不全の予防と治療開発の研究 動脈硬化の予防と治療開発の研究 ■研究内容・特徴 アンジオテンシンII投与下 200 180 マウス心臓 の外観 心筋の線維 化(青色部 分) 160 収縮期血圧(mmHg) ・氏名;扇田 久和 ・所属;分子病態生化学 ・職名;教授 ・取得学位;医学博士(大阪大学) ・専門分野;生化学、循環器内科学 140 120 100 静注 80 DPP IIIによ る降圧作用 60 ■応用展開・共同研究希望テーマ 40 ・上記研究課題の基礎研究、橋渡し研究および臨床研究 20 PBS静注(コントロール) DPP III静注 0 ■関連文献・特許 Pre 0h 1h 3h 1d 4d 時間 心肥大の抑制 心筋線維化の抑制 ・特願2015-121371 【図1】 DPP IIIによる降圧作用 お問い合わせ先 滋賀医科大学 研究協力課 産学連携担当 077-548-2847 E-mail;[email protected] アンジオテンシンIIを持続投与して 高血圧にしたマウスに、DPP IIIを 静注することで、有意に血圧を低 下させることができた。 【図2】 DPP IIIによる心保護作用 DPP IIIの静注により、高血圧の影響 で生じる心肥大(心負荷)や、心筋の ダメージの指標である線維化を抑制 することができた。
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