生物多様性おきなわブランド発信事業委託業務仕様書 1 業務名 生物多様性おきなわブランド発信事業委託業務 2 目的 本県を含む琉球列島は、東洋のガラパゴスと称され、世界的に見ても生物多様性の宝庫である。 島ごと地域ごとに異なるその特徴は、多様な文化の素地であり、先人たちはその恩恵を賢明に利用 しながら受け継いできた。各地域の文化的背景を含めた生物多様性は、本県の普遍的な価値であり、 振興に資する大きな可能性を秘めている。 しかし、生活様式の近代化にともない、人々と生物との関わりは薄れ、地域の生物多様性の価値 は忘れられ、その重要性が認知されないまま失われようとしている。島嶼という虚弱な性質ゆえに、 本県の生物多様性の損失は急速に進行すると考えられることから、今後、的確かつ効果的な保全策 が求められる。 本事業では、各地域に残された生物多様性の現状を把握し、総合的に評価した上で適切に保全し、 かつ適切な利用を促進するとともに、生物多様性の秘められた価値を発掘し地域ブランドとして発 信していくことを目的として、平成 28 年度~平成 33 年度にかけて沖縄県全土を対象に以下の事業 を展開する。 ○地域の生物多様性の現状を把握・評価するとともに、そのブランド価値を発掘する。 ○地域の生物多様性の実情に応じた保全と利用に関する指針を策定する。 ○地域の生物多様性のブランド価値を県内外に発信する。 3 業務の履行期間 契約締結日~平成 29 年 3 月 31 日 当該委託業務は平成 34 年 3 月 31 日までを計画しているが(別紙年次計画を参照)、平成 29 年度 以降の業務委託については、今年度実績の評価などをもとに検討することとする。また、国の予算 措置及び補助金の交付を前提としており、次年度以降の事業を保証するものではない。 4 事業全体の業務内容 (1)生物多様性の現状把握 ア 現地調査 (ア) 対象地域:沖縄県内の全域※の陸域及び沿岸域 ※2次メッシュ(国土地理院発行2万5千分の1地形図の1葉の区画)で区切 った、合計76の地域。その内訳を以下に示す(「自然環境の保全に関する 指針」に準ずる) 。 ①沖縄本島地方:29地域 ②八重山地方:18地域 ③宮古地方及び久米島地方:13地域 ④沖縄島周辺離島及び大東諸島:16地域 (イ) 調査対象:レッドデータおきなわ掲載種を基本とし、この他に生物多様性の指標となり 得る種等より、専門家の意見を踏まえ決定する。 (ウ) 調査方法:陸域は踏査、沿岸域は潜水調査を基本とする。 (エ) 調査箇所:現地調査は、各2次メッシュにつき陸域3地点程度、海域2地点程度で実施 する。なお、具体的な調査位置、調査箇所数は、専門家の意見等を参考に検討 し決定する。 イ 文献調査(対象区域は現地調査に準ずる) (ア) 現地調査の情報を補完するために、多様な文献データを精査し、過去に確認された調査 対象種とその確認位置について地図上にプロットする。 (イ) 地史や自然環境の特性、人間による当該自然環境の利用の歴史、保全すべき区域等につ いて情報を収集する。 (ウ) 貴重な植物群落等、生物多様性保全上重要な生物群集や希少種の重要な生息地に関する 情報を収集する。 (エ) 御嶽や文化財等、地域の人々と生物の関わり、生物や自然環境を賢明に利用してきた歴 史等を示す資料を収集する。 ウ その他 生物の分布情報などについて、必要に応じ専門家からのヒアリングを実施する 。 (2)「生物多様性保全利用指針(仮称)」(以下「指針」という)の策定 ア 調査結果の集計 (1)の調査結果を GIS データ化し、3次メッシュ(約1km×約1km)ごとに整理しデー タベース化するとともに各3次メッシュ毎の生物多様性の現状を評価する。データの形式や 整理の方法については、専門家の意見を参考に十分検討し、本事業の目的以外にも広く活用 できる汎用性の高いものとする。なお、海域については3次メッシュによる必要はない。 イ 生物多様性への配慮の考え方及び手法の検討 三次メッシュ(または海域)ごとの生物多様性の実情に応じた配慮の考え方及び手法を検 討する。 ウ 生物多様性ブランド価値の検討 三次メッシュ(または海域)ごとの生物多様性の特性(利用の歴史等を含む)を抽出し、 ブランド価値として発信できる要素を抽出する。 エ 三次メッシュ診断カルテ(仮称)の作成 (ア) 上記ア~ウの結果を三次メッシュ(または海域)ごとにカルテとしてまとめる。 (イ) 本指針は以下の目的のために作成されることから、カルテの作成にあたっては、目的の 達成に必要な内容を盛り込む。 ①事業者や一般市民に対し、地域の生物多様性の重要性を示し、配慮の考え方と具体的な 手法を示す。 ②観光業者や教育現場などにおける基礎資料としての活用を視野に、生物多様性や自然環 境に対する理解を深める内容とする。 (ウ) カルテには次の内容を含める。 ①当該地域の生物多様性の特性 ②当該地域の生物多様性保全について、配慮の考え方及びその手法 ③当該地域の生物多様性のブランド価値 ④当該地域の生物多様性の適切な利用の考え方とその手法 オ 生物多様性保全上重要な地域の抽出 生物多様性が特に高い地域や希少種の重要な生息地等、将来自然保護区として指定すべき区 域や利用に際し特に配慮を要する地域(または海域)を抽出する。 カ 以上の内容を取りまとめ、 「指針」として公表する。 (3) 情報発信 ア 「指針」の公表 冊子版(普及版)やWeb版(詳細版)等、一般に利用しやすい形で公表する。 イ ホームページの作成 作成した「指針」を閲覧、活用するための HP を作成する。なお、HP 作成にあたっては、 外国人観光客等の需要も考慮して、英語での概要版 もあわせて作成することとする。 ウ 映像コンテンツの作成 環境教育や観光(エコツアーなど)等での活用を目的とし、著作権フリーの映像コンテンツ (動画・静止画)を作成する。なお、映像コンテンツでは、英語版もあわせて作成すること とする。 エ シンポジウムの開催 沖縄県の生物多様性の普及を目的としたシンポジウムを実施する。 オ その他 その他、本県の生物多様性のブランド価値を普及する上で有効な手法があれば、適宜提案し、 実施するものとする。 5 平成28年度の業務内容 (1) 検討委員会 ア 上記業務の実施にあたり全体的な方針を決定するため、検討委員会を組織し運営する。委員 会の開催は年2回程度とする。 イ 受託者は発注者と協議の上、委員の選定及び連絡調整をする。 (2) 事業の全体計画作成 平成 28 年度の事業計画及び、平成 28 年度から平成 33 年度までの事業計画を作成する。 (3) 「指針」の圏域診断カルテ(仮称)のひな形作成 前述の「指針」が求められる機能を踏まえ、圏域診断カルテ(仮称)のひな形を作成し、検討 委員会の意見を踏まえて決定する。 (4) 現地調査及び文献調査 沖縄本島地方で2次メッシュ5箇所程度を対象として、上記の現地調査及び文献調査を実施する。 (5) 情報発信 ホームページの作成、映像コンテンツの作成等を実施する。 (6) 平成29年度事業計画の作成 平成 28 年度の事業実施状況及び全体計画を踏まえ、平成 29 年度の事業計画を作成する。 6 業務進捗状況及び打ち合わせ 業務の進捗状況や業務内容等に関する打ち合わせを実施する。打ち合わせには、本業務を監理す る立場の者と担当者が参加する。 7 著作権 成果品および調査データの著作権及び所有権は沖縄県に帰属する。ただし本委託業務にあたり、 第三者の著作権等その他の権利に抵触するものについては、受託者の責任と費用をもって処理する。 8 成果品 成果品として、以下のものを納品する。 (1) A4版報告書(※長期の使用に耐えうるよう作成すること) 平成 28 年度 生物多様性おきなわブランド発信事業委託業務報告書 20部 (2) CD-ROM{報告書の電子データ(PDF、テキストファイル、ワード、エクセル、画像ファイ ル等)を収納した電子媒体} 3部 9 その他 (1) 本契約履行にあたり、業務に関する県所有の資料については、その必要に応じ受託者に貸与 又は閲覧可能である。 (2) 本仕様書に明記されていない事項で、当然具備されなければならない事項は、これを省略し てはならない。 (3) その他業務実施にあたり、疑義が生じた場合は、県及び受託者で協議の上決定する。 10 留意事項 (1) 委託業務の経理 ア 委託事業が完了したときは、実績報告書を提出すること。 イ 実績報告書により委託契約額を確定した結果、概算払いにより受託者に支払った委託費に残 額が生じたとき、又は、委託費により発生した収入があるときは、その額を返還すること。 ウ 委託業務に係る経費については、会計帳簿を備え、他の経理と明確に区分して収入額及び支 出額を記載し、委託費の使途を明らかにしておくこと。 エ 雇い入れた労働者の出勤簿、賃金台帳、労働者名簿等の書類を整備、保管すること。 オ 委託費の支出内容を証する経理書類を整備して、会計帳簿とともに委託業務の完了した日の 属する会計年度の終了後5年間、いつでも閲覧に供することができるように保存しておくこと。 カ 委託先が委託業務を実施する場合に必要とする備品について、取得は認めないものとする。 (2) 沖縄県は、委託事業の適正を期するため、必要があるときは、委託者に対し報告を求め、又 は沖縄県職員に事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問 させることができるものとする。 (3) 委託業務完了にあたり、帳簿類の確認ができない場合については、委託料を減額される場合 がある。 (4) 委託事業終了後、国の会計検査院の実地検査が行われる場合がある。
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