学級活動指導計画 学級 3年A組 37名 授 業 者 藤島 美子 共同研究者 森 和彦 Ⅰ 題材名と指導のポイント 「よりよい生活を築くために-問題に自ら気付き,解決する主体性を高めよう-」 ~生徒会活動と学校行事とをつなぐ話合い~ 活動内容 (1)-学級や学校の生活づくり ウ-学校における多様な集団の生活の向上 (2)-適応と成長及び健康安全 ウ-社会の一員としての自覚と責任 Ⅱ 目 標 (1) 話合い活動に進んで参加し,自分たちの生活に対する問題意識を高めている。 (2) 異なる意見を尊重し合うことで,よりよい問題解決を図ろうとすることができる。 (3) 学校生活の中にある問題に自分たちで気付き,主体的に改善していこうとすることの大切さに 気付くことができる。 Ⅲ 生徒について 生徒たちはこれまで,学年集会や縦割り活動などを通して,代表委員を中心に自分たちの生活を よりよくするための活動を重ねてきた。中でも昨年は,学習旅行のルールを見つめ直すための話合 いを何度も行った。細かいルールを決めなくても自分たちで判断できるようになることが大切だと いう結論を得たことは,より自主性を高めて学習旅行に臨むことにつながった。最上級生となり, 生徒会活動や部活動,学校行事等で後輩を導き,よき伝統を引き継ぐべき立場になった。一人一人 がこれまで以上に学校を動かす一員としての自覚をもち,学校生活に存在する解決すべき問題に自 ら気付き,その解決に向けて積極的に判断・行動できる「主体性」をさらに高めたい。 Ⅳ 題材とねらい 特別活動における共通の目標は,望ましい人間関係の形成と,自主的・実践的な態度の育成であ る。望ましい人間関係は,学級や学年,学校などの所属集団において独自の取組を企画・運営する ことで,一人一人が抱く「自分たちの集団」という強い所属意識とともに形成される。また,より よく活動しようとすればこそ,直面したり自ら発見したりする諸問題を,自分たちで解決しようと するがゆえに,自主的・実践的な態度が育成されると言える。 総合研究発表会と文化祭が融合した最大の行事であるDOVE FESTAが,DOVE ACADEMYへと,本来の 目的である研究発表の場としての側面に重点を置くように変化することになった。最高学年として, 新たな行事のゴールとは何かを追究する中で,どのようにして新たな伝統を創り,後輩に引き付く かを考える話合いは,まさに主体的に問題を発見し,解決する活動と言える。また,話合いを通し て自分の伝えたことが集団の役に立ったという実感は,自己有用感を高め,よりよい人間関係の形 成をもたらす。これらは,将来所属する集団や社会においても,その中に存在する問題を主体的に 捉え,解決しようとする意欲や態度につながると考える。 Ⅴ 社会に参画する主体の育成を目指して (1) 話合いに主体的に臨む姿勢を導き出す工夫 日目標の反省をする際に,自分たちの取組状況に対するアドバイス(「振り返りサプリ」)を 班ごとに考える活動を継続する。これは,現状を変える具体的な方策を考えることはもちろん, 方策とその結果を論理的に考える訓練になり,実際の問題解決の場面に活用できる力となる。 (2) 明確な役割分担と意志決定による,集団の一員としての自覚の向上 ファシリテーション・グラフィックの手法を用いた小グループでの話合いにより,役割を交代 で取り組ませる。また本時では,問題解決と意志決定の場面において,「振り返りサプリ」の思 考を活用し,話合いの結果に対する責任と集団や行事を動かす主体としての自覚を高める。 (3) 自己を肯定的に捉えるための振り返りカード 各時間における自己の変容を,「N:もっとよくしたいところ」,「E:自分をほめたいとこ ろ」,「S:満足したところ」の3つの情意面から振り返ることで,自分のよさに改めて気付か せ,その積み重ねによってよりよい生活を生み出す主体としての自信につなげる。 Ⅵ 本活動内容の指導計画(総時数3時間) 指 導 計 画 教科・領域・総合との関連 事前の指導・活動等…学活,短学活等 4月 ・「人生の樹」の再制作,鑑賞,コンプリメントレター ・総合:コースコ ・学校行事後の振り返りに対する生徒相互のコメント ンセプトの話合い ・日目標に対する「振り返りサプリ」の記録…問題意識をもつためのきっかけ ・ファシリテーション・グラフィックの手法を用いたグループディスカッション 5月 事前の指導・活動等…放課後 ・総合:DOVE ・生徒会執行部・総合コース長合同会議(問題点の把握と今後の方針について) ACADEMYに向けたコ ・学年朝集会(DOVE ACADEMYの趣旨の確認と,自分たちの立場の自覚を促す) ースごとの話合い 50 題材名 DOVE ACADEMYのゴールとは何かについて考えよう 分 ねらい DOVE ACADEMYのゴールについて問題意識を高めることができる。 主な活動 新たに始まるDOVE ACADEMYのゴールはどうあるべきかについて, そのイメージを話し合う。 評価規準 DOVE ACADEMYのゴールはどうあるべきかについて考えることで, 様々な立場や条件を踏まえて問題意識を抱いている。 事前の指導・活動等…放課後 ・生徒会執行部・総合コース長合同会議(問題点の把握と今後の方針について) ・話合い活動に関する打合せと,前時で出されたイメージの分類(学級代表委員) 50 題材名 DOVE ACADEMYのゴールとは何かについて考えようpart2 分 DOVE ACADEMYが終わったときの理想のイメージを話し合うことを ねらい 本 通して,自分たちの問題を主体的に考えることの大切さに気付く 時 ことができる。 主な活動 DOVE ACADEMYが終わったときの理想のイメージを話し合う。 評価規準 DOVE ACADEMYが終わったときの理想のイメージを話し合うことを 通して,自分たちの問題を主体的に考えることの大切さに気付い ている。 6~9月 ・総合:DOVE 事後の指導・活動・異学年交流等 ACADEMYに向けたコ ・生徒会執行部・総合コース長合同会議(学活の内容確認と今後の方針について) ースごとの話合い ・DOVE ACADEMY実行委員会(生徒会執行部・コース長・研究チーム代表の話合い) 及び研究,実践 ・DOVE合同研究発表会(各学年の代表者の発表及び質疑応答) DOVE ACADEMY(10月)各学年,コースごとに研究発表を行う。 50 題材名 DOVE ACADEMYについて振り返ろう 分 ねらい DOVE ACADEMYでの自分たちの行動に対する意識の変化に気付く。 主な活動 DOVE ACADEMYでの成果を話し合い,振り返りサプリを作成する。 11~12月 評価規準 DOVE ACADEMYでの行動に関する意識の変化に気付いている。 ・総合:研究レポ ート作成 事後の指導・活動・異学年交流等 ・生徒会活動 ・DOVE成果報告会 Ⅶ 本時の計画 1 ねらい ○ DOVE ACADEMYのゴールとは何かを考えることを通して,自分たちの問題を主体的に考える ことの大切さに気付くことができる。 2 展 学 過程 問 い の 練 り 上 げ ・ 課 題 設 定 開 習 活 動 司会および進行は生徒が行う。 1 今日の議題を確認する。 予想される生徒の姿 ○ DOVE ACADEMYのゴールとは何だろう ~終わったときの理想のイメージを考えよ う~ 2 分類されたイメージを見ながら,そ れぞれの内容について司会の説明を聞 き,どれがふさわしいか考える。 予想:観客のリアクション/新発見/ 質問が多い/賛辞/次への追究意欲 ○ 3 出されたイメージが,それぞれふさ わしいものか話し合う。 ○ 課 題 追 究 DOVE ACADEMYのゴールにふさわしい,自 己満足ではないイメージとはどんなものか について,前時の話合いから問題意識を高 めている。 「拍手喝采を浴びているイメージが自分 の考えに近い。」 ○ 「質疑応答でしっかり答えられているイ メージは理想だな。」 ○ 「お客さんが楽しんでくれればいい。」 「リアクションが多いと頑張った甲斐が あってうれしい。」 ○ 「質問がたくさん来ると困るけど,興味 をもってもらえた気がするからいい。」 ○ 「もっと研究したい気持ちはどうすれば 生まれるのか?」 ○ 「後輩からの賛辞があることは,来年に 繋がるので大事だと思う。」 ○ ・ 問 い 直 し 4 ま と め ・ 振 り 返 り 5 DOVE ACADEMYのゴールとは何かを考 える。 今回の話合い活動を振り返る。 「どのイメージも間違っていない。それ ぞれのイメージにたどり着くためのポイン トがあるような気がする。」 ○ 「研究について観客に興味をもってもら えたら,イメージに到達すると思う。」 ○ 「研究に興味をもってもらえたかどうか は,自分たちの研究の面白さが相手に伝わ ったと実感できてこそ分かることだ。」 ○ 周りの意見を取り入れながら自分の考え を修正して発表し,話合いに貢献できた。 ○ 様々な立場の意見を聞いて、求めたいゴ ールとは何かについて深く考えることがで きた。コースでの話合いも充実しそうだ。 ○ 学校行事を自分たちのこととして考え, 作っていくことはとても意義がある。これ からも自分たちのことを自分たちで決めら れるようにしたい。 3 ○ 評価規準 DOVE ACADEMYのゴールとは何かを考えることを通して,自分たちの問題を主体的に考える ことの大切さに気付き,感じたことをまとめている。 =評価 指 導 の 手 立 て 前時までの話合いの過程,DOVE ACADEMY の趣旨と自分たちの立場をホワイトボード に提示することで,常時話合いの土台を確 認しながら話し合えるようにする。 ○ ◎の内容は,司会者と事前に打ち合わせ ておくことで適宜指示させるようにする。 ○ 各自のイメージ図を分類したものを配付 し,それらをキーワード化したものを提示 することで,判断しやすいようにする。 ○ 「振り返りサプリ」を拡大した用紙を前 時から使用,掲示することで,サプリの考 え方で解決している状況を示す。 =目指す生徒の姿 期待される生徒の姿 ○ 互いの所属コースを示すことで,異なる 意見をすり合わせて問題解決をする必然性 が感じられるようにする。 ◎ 意見を述べる際は,様々な立場に置き換 えたり具体例を挙げたりすることで,広い 視野で意見交換できるようにと伝える。 ◎ それぞれのイメージに対する見解を板書 で整理することで,それぞれのもつよさや 共通点に気付くようにする。 ◎ 理想のイメージが成り立つ共通の背景を 考えることで,DOVE ACADEMYにふさわしい ゴールが見えることに気付くように,振り 返りサプリを使って図示する。 ◎ 個人の「振り返りサプリ」に,自分で選 んだDOVE ACADEMY後の理想のイメージと, 全体で考えたゴール(目標)を記入させる ことで,目標達成の過程(サプリの内容) は今後のコースの取組次第だと示唆する。 ○ DOVE ACADEMYの伝統をつくり後輩に引き継 ぐ立場であることを踏まえつつ,異なる意見 にも理解を示すことで,どれがイメージとし てふさわしいかを話し合おうとしている。 ※「話合い資質・能力」表 受信(4),発信(10) ○ ○ 自分のよさや成長に気付くことができる ように,観点を明確にした振り返りカード を用意する。 ○ 自分の思いを伝えるために,様々な立場で 根拠をもって話せるよう,考えながら意見を 述べている。 ○ 表現上の違いはあっても,DOVE ACADEMYと して何を目指せばそれぞれのイメージに近付 くかは共通していると気付く。 ○ DOVE ACADEMYのゴールにふさわしいイメー ジは,本気で追究してきた研究の面白さが伝 わった実感によるところが大きいと気付く。 ○ 「振り返りサプリ」で示すことで,理想の イメージに近付くためには,今後のコースで の主体的な活動が重要だと気付いている。 お互いの発言を認め合うことで,主体的 に話合いに臨むことの意義や充実感を実感 できている。 議題に対する考え方や話合いの資質・ 能力の変化に気付くことができた。
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