マレーシア:Tenaga Nasional 社 石炭長期安定供給確保へ 537 百万 USD 輸送契約締結 2016 年 5 月 26 日掲載 4 月 28 日付けの地元報道によると、政府系電力会社 Tenaga Nasional(TNB)社は、石炭の長期安定供給 確保のため、輸送契約 5 件(総額 537 百万 USD)を締結した。用船契約(COA)はマレーシアの 4 社(ばら積 運送会社を含む)と締結され、インドネシア炭を 750 万トン/年輸送する。COA は、運行会社の合意のもと、 長期間の契約となる。 TNB 社は、必要石炭量の半分以上をインドネシアから輸入するが、想定される需要増に対応するため、 10 年契約・15 年契約と輸送契約の分散化を図っている。全契約での取扱量は、全輸送量の 30%未満又は 2,700 万トン(2016 年度 TNB 社の必要量)。2019 年には年間 4,000 万トンの石炭が必要。 TNB 社は、国家の必要電力の 50%以上を担い、主たる燃料は石炭とガス。残りの電力は、民間の独立 発電事業者(IPP)にて対応。TNB 社の火力発電所用燃料の 49%は石炭であり、インドネシア、豪州、南ア フリカ、ロシアから輸入。燃料の 47%はガスと天然ガス。その他の発電所は水力。 アナリストは、TNB 社は現状のスポット価格より高いレートで支払うことになるが、契約相手側にとっ ては、長期にわたるコストの固定化に寄与するとした。10~15 年間で 82.5 百万トンの石炭輸送では、輸送 価格は平均で 6.51 USD/トン、スポット価格 5.75 USD/トンより高め。プレミア価格だが、今回の合意は、肯 定的に見ているとした。 TNB Fuel Services 社(TNB 社が 100%所有)は、TNB 社および TNB 社に売電する他の IPP に対する石 炭・燃料供給事業者に指定されている。COA の長期契約にて、TNB Fuel Services 社の輸送契約では、市 場の状況に合わせて、期間 COA 60%、スポット契約 20%、長期 COA 20%と分散化が図られる。 TNB 社は、COA の長期契約は、マレーシアの輸送会社の成長を促進するとした。 (石炭開発部 辻 誠) おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確 な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとら れた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の 図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願 い申し上げます。
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