機能性表示食品制度の施行状況について 平成28年5月26日 消費者庁

第5回 機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会
機能性表示食品制度の施行状況について
平成28年5月26日
消費者庁
資料1
食品の機能性表示制度(食品表示法施行後)
食品
医薬品
健康食品を始めとする加工食品
農林水産物
【特定保健用食品】
個別審査型
・医療用医薬品
・一般用医薬品
保健の機能の表示ができる
(例)
おなかの調子を整えます。
「いわゆる
健康食品」
食物繊維
オリゴ糖
他
き
【栄養機能食品】
規格基準型
栄養成分の機能の表示ができる
(例)
カルシウムは骨や歯の形成に
必要な栄養素です。
【機能性表示食品】
事前届出制
企業等の責任において
保健の機能の表示ができる
(疾病リスク低減表示を除く)
ビタミン
ミネラル 等
医薬部外品
1
機能性表示食品の届出状況について
公表の状況
※平成28年5月25日時点
1)公表件数
302件
2)食品形態別公表件数
サプリメント形状の加工食品
その他加工食品
生鮮食品
142件
157件
3件
3)届出者の所在地
東京、大阪、愛知
202件
(東京132件、大阪44件、愛知26件)
上記以外
100件
北海道1件、山形1件、群馬4件、埼玉3件、千葉3件、神奈川8件、新潟3件、富山3件、
山梨1件、長野2件、岐阜2件、静岡4件、京都8件、兵庫9件、鳥取3件、岡山3件、
広島2件、愛媛1件、福岡36件、熊本1件、鹿児島2件
2
生鮮食品の公表品目について
大豆イソフラボン子大豆もやし
(届出番号:A80)
三ヶ日みかん(届出番号:A79)
1.届出者
三ヶ日町農業協同組合(静岡県)
2.機能性関与成分
β ‐ クリプトキサンチン
1.届出者
株式会社サラダコスモ(岐阜県)
2.機能性関与成分
大豆イソフラボン
3.表⽰しようとする機能性
3.表⽰しようとする機能性
本品には、β ‐ クリプトキサンチンが含まれています。β ‐ クリプトキサ
ンチンは骨代謝のはたらきを助けることにより、骨の健康に役立つこ
とが報告されています。
本品には大豆イソフラボンが含まれます。大豆イソフラボンは骨の成
分を維持する働きによって、骨の健康に役立つことが報告されてい
ます。
4.表⽰⾒本
4.表⽰⾒本
※この他、「ベジフラボン」(A206)が公表されている(届出者、機能性関与成分等は上記「大豆イソフラボン子大豆もやし」と同一)。
3
地方・中小企業※の公表品目について
・ 届出事業者数(本年4月28日時点)は109社。このうち、地方・中小企業からの届出も。
めばえ(届出番号:A27)
1.届出者
八幡物産株式会社(鳥取県)
資本金4800万円、従業員103名(小売業)
2.機能性関与成分
ルテイン
大麦効果(届出番号:A100)
1.届出者
株式会社はくばく(山梨県)
資本金9800万円、従業員320名(製造業その他)
2.機能性関与成分
大麦β-グルカン
3.表⽰しようとする機能性
3.表⽰しようとする機能性
本品にはルテインが含まれます。ルテインには目の黄斑部の色素量
を維持する働きがあり、ブルーライトなど光の刺激からの保護や、コ
ントラスト感度の改善によって、目の調子を整える機能があることが
報告されています。
本品には大麦β‐グルカンが含まれます。大麦β‐グルカンにはコレステ
ロールを下げる機能、腸内環境を改善する機能があることが報告さ
れています。
4.表⽰⾒本
4.表⽰⾒本
この他、「メラックス」(A102)「北の国から届いたブルーベリー」
(A164)の届出を公表している。
※ 当該企業のウェブサイト等から情報を収集し、「中小企業基本法」の定義に沿って整理したもの。
例)製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人。
4
機能性が表示された食品が約5倍に
新たに機能性の表示が可能とされた食品数
400
350
300
250
273
200
約5倍
150
100
50
68
61
50
H22
H23
H24
68
66
H25
H26
92
0
特定保健用食品(許可)
H27
年度
機能性表示食品(届出)
5
適正な制度運用のための普及・啓発等
・ 制度施行以来、消費者向け、事業者向けパンフレットの作成や、様々な機会を捉えた制度内容の普
及・啓発に努めているところ。
・ 併せて、届出資料作成に当たって留意すべき事項等を整理した文書を発出するとともに、広告等に
関する留意点を整理した文書を発出し、適正な制度運用にも努めているところ。
説明会の開催
26年7月 パブコメ案に係る説明会
~9月 (全国7か所、計16回)
27年3月 消費者庁主催説明会
(全国7か所、計9回)
6月 消費者庁主催説明会
(全国9か所、計11回)
3月 健康食品に関するリスクコ
ミュニケーション(計2回)
5月 政府広報オンラインお役立ち
情報
7月 政府インターネットテレビ(動画)
「徳光&木佐の知りたいニッポン」
(スタジオ収録、20分程度)
各種パンフレットについては、消費者庁
ウェブサイトに掲載。
<消費者向け>
<事業者向け>
【機能性表示食品】
28年1月 消費者庁主催説明会
~2月 (全国9か所、計11回)
27年4月 新聞突き出し広告
モバイル携帯端末サイト広告
政府インターネットテレビ(動画)
「大切な情報を伝える 食品表示
が変わります」(10分程度)
パンフレットの作成・公表
【
食品表示基準一般】
健康食品に関するリスクコ
ミュニケーション(計2回)
政府広報の活用
6
適正な制度運用のための普及・啓発等
【届出等に関する留意事項を示した文書】
届
出
〇 「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項について」発出 (平成27年6月2日)
〇 「機能性表示食品の届出書作成に当たっての確認事項について 」発出(平成27年9月30日)
〇 「機能性表示食品の届出に関するガイドライン」の一部改正」発出(平成28年3月31日)
普
及
啓
発
〇 「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点」発出(平成27年6月19日)
○ 「生鮮の機能性表示食品の広告等に関するQ&A」発出(平成27年11月24日)
〇 「バランスのとれた食生活の普及啓発パンフレット」発出(平成27年11月24日)
7
届出データベースの構築等について
○ 本年4月から、機能性表示食品の届出データベース(DB)を構築。
・ 消費者はキーワード検索等により情報が入手しやすくなり、
・ 事業者はオンライン申請が可能となり、資料提出に係るケアレスミスも、DBによるチェックで減少。
○ 今後、QRコードによるデータベースへのリンク等を通じ、本データベースの利便性を高めていく予定。
◆例:DBで、「目」に関する機能性を表示している商品を検索した場合
届出
番号
届出日
届出者名
商品名
食品
区分
機能性関与
成分名
変更
A〇〇
15/4/〇〇
株式会社△△
〇〇〇
サプリ
××
15/〇/〇
15/〇/〇
詳細
A〇〇
15/5/〇〇
△△株式会社
〇〇〇〇
サプリ
×××
15/〇/〇
詳細
A〇〇
15/8/〇〇
株式会社
△△△
〇〇〇〇〇
サプリ
×
16/〇/〇
詳細
A〇〇
15/12/〇〇
△△△株式会
社
〇〇
サプリ
××××
A〇〇
16/2/〇〇
△△△△株式
会社
〇〇〇〇〇〇
その他加
工
×××××
詳細
16/〇/〇
詳細
8
事後確認・執行状況について
9
機能性表示食品制度の基本的な考え方
従前の課題
【栄養機能食品】
栄養成分に限定されている。
【特定保健用食品】
食品ごとに有効性や安全性に係るヒト試験が必
須であるため、許可手続に時間と費用が掛かる。
⇒中小事業者にはハードルが高い。
【特定保健用食品(トクホ)
の仕組み】
○ 加工食品及び農林水産物について、企業等の責任で科学的根拠
をもとに機能性を表示できる新たな方策を検討 、平成27年3月末まで
に実施
○ 検討に当たっては、米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を
参考
○ 安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭
【新制度の基本的な考え方】
「事後チェック制度」を導入
事前個別許可制度
・一つ一つの食品ごとに
事前許可を受ける
<導入のためのポイント>
① 安全性の確保(十分な食経験があること)
② 機能性の科学的根拠の明確化
③ 届出制による事業者把握、事故情報収集、買上調
査・収去試験
「文献評価(システマティックレビュー)」も認める
ヒト試験が必須
・費用と時間の負担
事業者自らのヒト試験実施は不要
表示ルールを作成(特定保健用食品とほぼ同様)
「国が評価したものでない」旨を明記。
※医薬品と誤認される表示は新制度でも不可
生鮮食品の実績はなし
・既許可品は加工食品のみ
「生鮮食品」でも表示を実現
安全性の
確保
消費者の誤認を招かない、
自主的かつ合理的な商品選択に
資する表示制度
機能性表示を
行うに当たって
必要な科学的
根拠の設定
適正な表示
による
消費者への
情報提供
事後チェック制度の下で、生鮮食品についても機能性表
示が実現(外国にも例がない取組)
10
機能性表示食品の事後確認について
・ 機能性表示食品に係る事後確認については、
① 届出資料を基に寄せられる疑義情報
② 消費者庁による予算事業(平成27年度:機能性表示食品制度における機能性に関する
科学的根拠の検証-届け出られた研究レビューの検証事業、買上げ調査を実施)
等の結果を踏まえて行っているところ。
・ 最終的には、食品表示法に基づく指示・命令や届出資料の修正等の指導などの形で対
応することとなる。
・ 制度施行から1年が経過し、今後、対象食品の増加が予想されることなども踏まえ、事後
確認を行うための体制・ツールを充実させていく予定。
・ また、届出を受け付ける消費者庁食品表示企画課と、執行を担当する表示対策課食品
表示対策室が緊密に連携し、対応しているところ。
11
消費者庁による平成27年度予算事業の概要
Ⅰ 機能性表示食品制度に対する消費者意向等調査事業
Ⅱ 「機能性表示食品」制度における機能性に関する科学的根拠の検証
-届け出られた研究レビューの検証事業-
Ⅲ 機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業
12
Ⅰ
機能性表示食品制度に対する消費者意向等調査事業①
【調査事業の目的】
保健機能食品等の制度の違いや機能性表示食品の課題を整理し、機能性表示食品制度が国民にとって分かりや
すく、利用しやすい制度とするための検討に資する基礎資料を得ること。
【調査方法】
<調査手法> インターネット調査
<調査機関> 株式会社インテージリサーチ
<対象者の抽出方法> 調査対象者は、調査委託会社モニターから条件適格者を抽出、回収した。母集団準拠につ
いては、平成22年国勢調査をベースに毎年の人口移動を加味した母集団推計を用い、性別、年代、全国10地区※1及
び未既婚についてアクティブモニター※2から20~69歳の男女3,000名を割り当て抽出した。
※1 全国10地区(北海道、東北、関東、京浜、北陸、東海、京阪神、中国、四国、九州)
※2 アクティブモニター(調査委託会社のインターネット調査専用に登録された全国約132万人、実稼動数約45万人(平成28年2月現在))
<調査票> 調査票は、グループインタビュー調査(首都圏(一都三県)に在住する男女20歳~69歳の4グループ計
24名)を行い、そこで把握した基礎的知見を用いつつ、有識者の意見を踏まえて作成した。
<調査実施期間> 平成28年3月18日(金)~22日(火)
<主な調査内容>
・ 健康に関する項目(主観的健康感、食生活の状況、疾病の有無、栄養に関する知識 等)
・ 健康食品※3に関する項目(摂取状況、態度、認識、表示情報 等)
・ 保健機能食品に関する項目(各制度の認知 等)
・ 機能性表示食品に関する項目(一般向け公開情報の閲覧経験及び関心度 等)
・ 属性(性別、年齢、家族構成、職業、世帯年収、最終学歴 等)
※3 健康食品の定義は、「広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般(特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、
いわゆる健康食品)を指している」とした。
<集計の値> 四捨五入のため、内訳合計は必ずしも一致しない。
<有効抽出数>
(人)
TOTAL
TOTAL
男性
女性
3,091
20代
469
1,559
1,532
235
234
30代
40代
608
318
290
性・年齢階級別に必要なサンプル数が集まるまで配信を行った。
715
364
351
50代
612
305
307
60代
687
387
350
13
Ⅰ
機能性表示食品制度に対する消費者意向等調査結果②
<主な結果>
(1)健康食品及び医薬品に関する認知度
特定保健用食品、医薬品の認知度(「どのようなものか知っている」、「名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」と回答
した者)は約8割であった。機能性表示食品の認知度は6割強であった。
問 あなたは、図※に示された制度があることを知っていましたか。
※各制度の詳細を示した図を提示。ここでの図は省略。
(人数)
特定保健用食品(トクホ)
平成3年施行
栄養機能食品
3091
3091
平成13年施行
機能性表示食品
3091
平成27年施行
(%)
いわゆる健康食品
3091
医薬品
3091
28.6
52.7
17.1
18.7
57.3
13.2
25.7
52.7
19.7
どのようなものか知っている
名前を聞いたことはあるが、
どのようなものか知らない
34.1
49.1
31.2
53.3
33.0
知らない
13.7
(2)保健機能食品に関する詳細認知
上記質問で「どのようなものか知っている」又は「名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」と回答した者のうち、保健機
能食品に関する詳細認知について、「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない」ということの認知は、各制度とも5割強で
あった。
問 あなたは、保健機能食品について、以下の内容をご存知でしたか。
特定保健用食品
栄養機能食品
(%)
(人数)
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づい
て認められ、「コレステロ ールの吸収を 抑える 」等の表
現が許可されている
2512
2512
食品ごとに消費者庁長官が許可している
2512
疾病の診断、治療、予防を 目的としたものではない
43.3
一日に必要な栄養成分(ビ タミン やミネラ ル等)が
不足しがち な場合、その補給・補完のために利用で
44.5
55.5
2298
(%)
( 人数)
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた
機能性を 表示した食品である
2037
36.7
63.3
きる 食品である
表示されている 効果や安全性について国が審査を
行っている
製品には、上記図の赤枠で囲まれている マークが表
示されている
56.7
機能性表示食品
(%)
(人数)
2512
2512
62.3
44.9
60.7
59.1
37.7
すでに科学的根拠が確認された栄養成分を 一定の
基準量含んでいれば、届出を しなくてもよ い
2298
国が定めた表現で機能を 表示する ことができる
2298
販売前に、安全性及び機能性の根拠に関する 情
報等が消費者庁長官に届け出られたものである
76.9
23.1
トクホとは異なり、消費者庁長官の許可を 受けたも
55.1
33.2
66.8
のではない
製品には「機能性表示食品」や「届出番号」が表示
39.3
されている
製品には「栄養機能食品」と表示されている
2298
疾病の診断、治療、予防を 目的としたものではない
2298
43.3
2037
2037
56.7
安全性及び機能性の根拠に関する 情報が公開さ
れていて、購入前に見る ことができる
40.9
56.7
2037
43.3
2037
31.9
68.1
30.6
69.4
24.1
75.9
22.1
77.9
知っていた
知らない
疾病のある 方、未成年者、妊産婦(妊娠を 計画し
ている 方を 含む)、授乳中の方を 対象に開発され
た食品ではない
2037
34.5
65.5
44.0
56.0
<本事業結果の活用>
検討会における参考資料として活用するとともに、今後の消費者教育の検討に当たっての基礎資料として用いる予定。
疾病の診断、治療、予防を 目的としたものではない
2037
14
(参考)保健機能食品の認知度
【平成27年度消費者意識基本調査】
消費者の日常の消費生活における意識や行動等を調査し、その結果を分析することで、消費者問題の現状や求
められる政策ニーズ等を把握し、消費者政策の企画立案にいかすため、消費者庁が実施した調査
<調査対象>
母集団:全国の満15歳以上の日本国籍を有する者
標本数:10,000人
抽出方法:層化2段無作為抽出法
<調査期間> 平成27年11月5日~29日
<調査方法> 訪問留置・訪問回収法(調査員が調査票を配布、回収する方法)
保健機能食品の認知度
保健機能食品それぞれの認知度(「どのようなものか知っていた」、「名前を聞いたことはあったが、どのようなものか分からない」と回
答した者)は、特定保健用食品(トクホ)(86.3%)、栄養機能食品(64.4%)、機能性表示食品(49.2%)であった。
問 保健機能食品とは、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という機能性の表示や栄養成分の機能の表示をすることができる食品
のことを指します。保健機能食品には、特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品があります。
あなたはこのような保健機能食品を知っていましたか。(ア)~(ウ)のそれぞれについて、当てはまるものを1つずつお選びください。
(%)
特定保健用食品(トクホ)
(ア) 特定保健用食品(トクホ)
46.5
どのようなものか知っていた
13.3
39.8
0.5
栄養機能食品
食 品
(イ) 栄 養 機 能
20.8
43.6
34.4
1.2
名前を聞いたことはあったが、
どのようなものか分からない
知らなかった
無回答
機能性表示食品
示 食 品 10.5
(ウ) 機 能 性 表
38.7
49.4
1.4
(人数=6,513)
※四捨五入のため、内訳合計は必ずしも一致しない。
15
Ⅱ 「機能性表示食品」制度における機能性に関する
科学的根拠の検証―届け出られた研究レビューの検証事業―①
【検証事業の目的】
機能性に関する科学的根拠は最終製品を用いた臨床試験、最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュ
ーのいずれかで説明することとなっている。
研究レビューによる場合、事業者が定性的研究レビュー又は定量的研究レビューを実施し、totality of evidence
の観点から、表示しようとする機能性について査読付き論文で肯定的と判断できるものに限り、科学的根拠になり
得ることとしている。
本制度が消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するためには、科学的根拠として十分な研究レビューが
行われる必要がある。
そこで、開示された研究レビューを検証し、本制度をより適正に運用していくための課題を抽出し、研究レビュー
の質を高める方策等の検討を行うことを本事業の目的とした。
【委託機関】
みずほ情報総研株式会社
【研究レビューの検証内容】
専門家によるワーキンググループを設置し、平成27年10月31日までに公表された122食品のうち、51編の研究レ
ビューを対象に、以下の検証を行った。
①「PRISMA声明チェックリスト」に基づいた検証
②検索に関する適正性の検証
③個々の論文のバイアスリスク評価の適正性の検証
④エビデンス総体の評価の適正性の検証
⑤メタアナリシスの手順・記述の適正性の検証
⑥その他(レビュアーの特性、ハンドサーチの実施、スクリーニング者の独立性、採用した研究デザイン、疾病罹患者データ採用の有無) 16
Ⅱ 「機能性表示食品」制度における機能性に関する
科学的根拠の検証―届け出られた研究レビューの検証事業―②
【主な結果】
①「PRISMA声明チェックリスト」に基づいた検証
計画的に実施され、丁寧な記述をしている研究レビューもあった。しかし、不備のある(評価の記述がない、
あるいは不十分な)研究レビューが半数以上を占める項目もあった。
②検索に関する適正性の検証
評価結果にばらつきがあった。適切にキーワード等を組み合わせ、最適な検索式をデータベースの特性に
合わせて設定している検索もあったが、検索キーワードが不足しているものや検索対象年、アウトカム等で不
必要に絞り込みを行い、検索式を正しく記載していないものもあった。
③個々の論文のバイアスリスク評価の適正性の検証
バイアスリスクの評価については方法、結果、考察ともに十分な記述がされていないものが多かった。
④エビデンス総体の評価の適正性の検証
十分に記述されていないものが多く、第三者がエビデンス総体の評価内容を十分に把握し、理解できるもの
は少なかった。
⑤メタアナリシスの手順・記述の適正性の検証
メタアナリシスの手順及び記載はほぼ十分な内容であった。
【本事業結果の活用】
研究レビューの質の向上の一助となるよう、当該報告書の付録として作成された、「「PRISMA声明チェックリスト:
機能性表示食品のための拡張版」に基づく適正なSRの記載方法(仮題)」を公表する予定。
17
Ⅲ 機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業①
【検証事業の目的】
届出された機能性関与成分の分析方法を検証し、届出資料として添付されている機能性関与成分の分
析方法の問題等を整理するとともに、機能性表示食品の買い上げ調査を実施し、機能性関与成分の含有
量の検証を行い、機能性関与成分の分析方法に係る届出資料の質の向上及びより適切な事後監視を行
うために必要な基礎資料を得ること。
【事業の内容】
○ 機能性関与成分の分析方法に関する検証
・ 機能性表示食品の届出資料のうち、機能性関与成分の分析方法に関する資料の確認を踏まえた課
題の整理。
・ 分析が可能な成分とそれ以外の成分に選別した上で、第三者機関において分析ができない成分の分
析方法の問題等を整理し、届出資料の質の向上及びより適切な事後監視を行うために必要な課題の
検証。
○ 機能性表示食品の買上調査
機能性表示食品を購入、機能性関与成分の含有量を分析し、対象商品に表示されている機能性関与
成分の表示値の妥当性等の評価。
18
Ⅲ 機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業②
【機能性関与成分の分析方法に関する検証】
1.対象
・ 平成27年4月1日から9月30日までの間に届出された機能性表示食品
・ 機能性表示食品 146件(撤回届が提出されたものを除く。)
・ 機能性関与成分 164成分
2.検証事項
(1) 定性確認について
・ 記載された分析法により、機能性関与成分として届出された成分を定性的に同定可能か(特異性があるか)。
(2) 定量確認について
・ 記載された分析法により、機能性関与成分として届出された成分を定量可能か。
・ 届出された分析法で第三者が実際に分析可能かどうか。
3.結果
(2)定量確認について
(1)定性確認について
評価項目
機能性関与成分に特異性が高い分析法*
機能性関与成分にやや特異性が低い分析法
機能性関与成分に特異性がない分析法
計
件数
114
23
27
164
*既に特定保健用食品の関与成分の分析法として確立しているものを含む。
割合
(70%)
(14%)
(16%)
(100%)
評価項目
そのまま分析可能と考えられるもの
若干の情報が欠けているもの*
届出された情報が不十分で、第三者が自分で論文/文
献等を調べて分析する必要があるもの
計
件数
103
14
47
割合
(63%)
(9%)
(29%)
164 (100%)
*定量分析用標品等一部の情報がない、対象物のクロマトグラフィー上の保持時間情報がない、
ブランク値の記載がない 等
4.今後の対応
定性確認に関する分析法及び定量確認に関する届出情報が不十分な場合には、追加で資料を求めることについても検討。
19
Ⅲ 機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業③
【機能性表示食品の買上調査】
1.対象
平成27年4月1日から9月30日までの間に届出された機能性表示食品(146件)のうち、17件の機能性表示食品(機能性
関与成分としては6成分)について、買上調査を実施。
2.検証方法
・ 機能性表示食品として販売されている商品を購入。
・ 機能性関与成分の含有量を分析し、その結果に基づいて、対象商品に表示されている機能性関与成分の表示値の妥当
性を評価(一部の届出書類については、分析方法の妥当性についても検証)。
・ 1製品につき2ロット(又は2パッケージ。ただし、一部例外あり。)。
3.検討結果
届出書類に記載されている分析方法の多くに不備がみられ、そのまま実施することが困難であったことから、分析法を一
部修正するなど補足して実施したところ、
・ 機能性関与成分の含有量が、表示値を下回っている、若しくは過剰に含まれている
・ 同一製品にもかかわらず2ロット(又は2パッケージ)間でのばらつきが大きい
など、品質管理上の問題点が見つかった。
4.今後の対応
「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」において、定量試験の分析方法が変更される場合、分析方法を示す文
書及び試験成績書を添付することとなっているので、届出資料の分析方法を詳細に記載したものに修正するよう届出者に
対して求めるなど、事後の対応について検討する。
20
食品表示法の執行状況について
・食品表示法の食品表示基準に係る国(消費者庁、国税庁及び農林水産省)による平成27年度
上半期(平成27年4月~9月)の指導等の件数の公表実績は、以下のとおり。
平成27年度
上半期(4月~9月)
件数
指導
指示
命令
144
1
0
(うち機能性表示食品関係:1)
(うち機能性表示食品関係:0)
指導した機能性表示食品の主な違反内容:規定された日数前に機能性表示食品として販売、機能性表示食品の
届出表示の誤表示
指導:「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、常習性がなく過失による一時的なもの
であることが明らかであり、かつ、違反事業者が直ちに改善方策を講じている場合に行う行政指導
指示:「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、指導に該当しない場合に行う行政指導
(食品表示法第6条第1項及び第3項)
命令:食品表示法第6条第1項の指示を、正当な理由なく履行しない事業者に対する行政処分(食品表示法第6
条第5項)、「食品表示法に基づく命令等の指針」に照らし、食品の回収又は営業停止等を行う行政処分
(食品表示法第6条第8項)
注
:食品表示法は、食品衛生法、健康増進法、JAS法に規定されていた食品表示に関する規定を統合し、平
成27年4月から施行した。
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食品表示法の執行の流れ
食品衛生法の執行の流れ
安全性・機能性等の科学的根拠に基づかないにも関わ
らず、機能性表示食品として販売しようとする場合、食品
表示法に基づく指示・命令等の対象となる。
公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽又は誇大な
表示又は広告をした場合、食品衛生法に基づく廃棄命
令、営業停止命令等の対象となる。
表示の改善等の指示
(第6条第1項、第3項)
命令・
処分
指 示・ 公 表
指示に
従わない場合
表示の改善等の命令
(第6条第5項)
容器包装等の
廃棄命令
(第54条第2項)
営業禁停止処分
(第55条第1項)
【消費者庁又は
都道府県知事】
【都道府県知事】
命令・処分に
従わない営業
者
命令違反
罰則
罰則
1年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
(法人の場合:1億円以下)
(第20条)
3年以下の懲役又は
300万円以下の罰金
(第71条第1項第3号)
※食品衛生法においては、有毒な、若しくは有害な物質が含まれて
いる食品等については、販売が禁止されている。
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いわゆる健康食品の表示の取締り
・ 健康増進法は、健康の保持増進の効果等について、虚偽・誇大な広告等の表示をすることを禁止。
・ 健康食品については、健康増進法、景品表示法や薬機法の運用機関と連携して効果的な取締りを実
施。
・ 保健機能食品を含む健康食品の容器包装における、食品表示法に基づく食品表示基準に基づかな
い表示や虚偽・誇大な用語については、関係法令運用機関が連携した取締りを実施。
何人も、食品として販売に供するものについて、その健康の
保持増進の効果等に関し、①著しく事実に相違する、②著し
く人を誤認させるような広告その他の表示をしてはならない。
立入検査等
健康増進法
健康増進法における法執行の流れ
・内閣総理大臣…立入検査・収去
(第27条第1項、第32条第3項)
・都道府県知事等…立入検査・収去
(第27条第1項、第32条第3項)
※権限の委任 消費者庁 →地方厚生局(政令第8条)
景品表示法
薬機法
勧告・
命令
事業者は、商品等の内容や取引条件について、一般消費者
に対し、実際のもの、又は競争事業者に係るものよりも著しく
優良、又は有利であると誤認させる表示をしてはならない。
何人も、医薬品にあって、まだ厚生労働大臣の承認を受けて
ないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性
能に関する広告をしてはならない。
国民の健康の保持増進に
重大なおそれがある場合
勧告
(第32条第1項)
命令
(第32条第2項)
食品表示法
注:保健機能食品とは、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品。
消費者庁
都道府県等
消費者庁
都道府県等
命令違反
罰則
食品表示関連事業者等は、食品表示基準に従った表示がさ
れていない食品の販売をしてはならない。
立入検査
等を拒んだ
とき
6か月以下の懲役又は
100万円以下の罰金(第
36条の2)
両罰規定(第39条)
30万円以下の罰金(第38条)
両罰規定(第39条)
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健康食品の機能性等に係るエビデンスのセカンドオピニオン事業
(平成28年度新規事業)
• 個別事案に応じて、各専門分野の専門家を複数選定し、迅速に適切なレビューを実施するた
めのセカンドオピニオンリーダーを担う中立公正な団体に、当該事業を委託する。
• 健康食品の安全性・有効性データベースを用いた国民への情報のフィードバック(アウトカ
ム)。
レビュー依頼
専門家への依頼
セカンドオピニオンリーダー
文献検索の実施
臨床系
医学系
薬学系
消費者庁
食品表示対策室
専門家意見を踏ま
えて措置を決定
機能成分
評価公表
・分野別に選定した複
数の専門家の公正性
の確認
・事例を想定し専門家
の組合せを作成
成果取りまとめ
栄養系
化学系
食品系
根拠の実証状況
健康食品
安全性・有効性DB
事業者
消費者
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機能性表示食品の広告等に関する留意点の啓発について
【機能性表示食品の広告等に関する留意点リーフレット】
【生鮮の機能性表示食品の
広告等に関するQ&A パンフレット】
平成27年6月19日公表
平成27年11月24日公表
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健康食品の表示、広告の取締りについて
健康増進法の勧告事例
➢ライオン株式会社に対する件
(平成28年3月1日)
【表示の概要】
・ 健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令別記様式
第3号に定める特定保健用食品の許可証票とともに、「ライオンの『トマ
ト酢生活』は、消費者庁許可の特定保健用食品です。」
・ 本件商品についてのヒト試験結果のグラフとともに、「臨床試験で実証
済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』。」
・ 本件商品を摂取している者の体験談として、「実感できたから続けられ
る!10年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活
で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長
続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できていま
す。今では離すことのできない存在です。」
・ 「50・60・70・80代の方に朗報!」、「毎日、おいしく血圧対
策。」、「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々を
サポートしようとライオンが開発した『トマト酢生活』。」
等と記載することにより、あたかも、本件商品に血圧を下げる効果があると
表示することについて消費者庁長官から許可を受けているかのように示し、
また、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善す
る効果を得られるかのように示す表示をしていた。
【実際】
実際には、本件商品は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血
圧が高めの方に適した食品です。」を許可表示とし、食生活の改善に寄与す
ることを目的として、その食品の摂取が健康の維持増進に役立つ、又は適す
る旨を表示することのみが許可されている特定保健用食品であって、血圧を
下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けてい
るものではなく、また、高血圧は薬物治療を含む医師の診断・治療によらな
ければ一般的に改善が期待できない疾患であって、薬物治療によることな
く、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られるとは認めら
れないものである。
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