単元名「太陽の動きと季節変化」

中学校
第3学年
「地球と宇宙」
単元名「太陽の動きと季節変化」
1
この単元で身に付けさせたい力は何か
季節による昼夜の長さ,太陽高度の変化などの観察を行い,その観察記録を,地球の公転や地軸の
傾きと関連づけてとらえることができる。
第2分野
2
内容(6)地球と宇宙
ア(イ)より
この単元事例で解決しようとしている課題はこれだ!
季節の移り変わりが,太陽と地球の位置関係(地球の地軸の傾きと公転)によるものであることを,
太陽と地球のモデル(資料1)と測定器(資料2)を使って見いださせよう。
3
指導のポイントはこれだ!
○コンピュータシミュレーションで夏至と冬至の太陽の南中高度が大きく変化することを提示し,興味・
関心を高めさせよう
○測定器具を使い,太陽の南中高度と,昼夜の長さの違いを測定し,そのモデル(太陽と地球)の位置
関係から地軸の傾きと公転に着目させよう
○天文ルーム(簡易的なものでよい)を設置し,太陽(白熱電球)と地球儀で,太陽系の具体的なイメー
ジをもたせ,空間概念の育成を図ろう
4
実際に授業をしてみよう
(1)単元名
「季節が移り変わるのはなぜだろうか」
(2)目標
①「季節が移り変わるのはなぜだろうか」という課題に興味・関心をもち,意欲的に追究しようと
する。
②天文ルームでの実際の活動を通して,太陽の南中高度や昼夜の長さの変化は地球の地軸の傾きと
公転によるものであることを見いだす。
(3)
時
学習指導計画
主な学習活動
(全2時間)
指導・支援のポイント
1 季節による太陽の南 ・天文ルームを設置する。
主な評価の観点
関
課題に興味・関心を
中高度の変化を,地 ・夏と冬の太陽の南中高度の違いをコンピュ もち,意欲的に追究しよ
本 球の地軸の傾きと公
ータシミュレーションで確認する。
うとする。
時 転によるものである ・太陽と地球のモデルを使い,具体的な地球
ことを見いだす。
の公転のイメージをもたせる。
関
太陽の南中高度や昼夜
・太陽と地球の位置関係(季節・地軸の傾き) の長さの変化は地球の地
を確認する。
軸の傾きと公転によるも
・太陽高度測定器で夏冬の南中高度を測定す のであることを見いだす。
る。
2 季節による昼夜の長 ・昼夜の長さ測定器で測定する。
さの変化を前時で学
習したことと関連づ ・太陽高度と温度変化の関連も説明する。
けてとらえる。
第1時の指導
①ねらい
・
「季節が移り変わるのはなぜだろうか」という課題に興味・関心をもち,意欲的に追究する。
・天文ルームでの実際の活動を通して,太陽の南中高度の変化は地球の地軸の傾きと公転によるも
のであることを見い出す。
②学習指導過程
学習活動
主な発問と予想される生徒の反応
◇留意点
★評価の観点
<導入>
1
2
日本の四季の変化をVTRで
◇日本のすばらしい,美しい四季の風景
視聴する。
を視聴させることで,学習課題への興味
学習課題の把握。
・関心を高める。
季節が移り変わるのはなぜ
★課題に興味・関心をもち,意欲的に追
だろうか。
究する。関(観察)
<展開1>
3
課題について予想し発表する。 ○季節が移り変わるのはなぜだろう。 ◇この段階では理由や根拠を問わず,漠
・太陽と地球の距離が変化するから。 然とした予想でかまわない。
・日が長くなったり短くなったりする
から
・気温が高くなったり低くなったりす
るから
4
季節によって変化するものは
何かを考え発表する。
究する。関(観察・発表)
○季節によって変化するものは何だ
◇課題に迫るために活動3の内容を整理
ろう。
していく。
・昼夜の長さ
5
★課題に興味・関心をもち,意欲的に追
・気温
・太陽高度
追究1
◇それぞれどのように変化するのかも含
めて発表するようにさせる。
太陽の南中高度が変わる原因は
○太陽の南中高度が変化する原因は何 ◇夏冬の南中高度の違いをコンピュータ
何か。
だろう。
・自分の予想や考えを書く。
・グループで意見交流する。
シミュレーションで確認する。
◇太陽の南中高度の変化に着目させ,そ
・太陽自身が動いているから。
れらが変化する原因を天文現象と結びつ
・地球の地軸が傾いているから。
けて考えさせる。
・地球が公転しているから。
<展開2>
6
グループごとに公転軌道上に
○公転軌道上の冬の地球の位置に正し ◇グループ活動に移る前に,太陽の南中
く地球儀を置いてみよう。
地球儀を置いてみる。
7
地球の冬の位置について,
設置した根拠を発表する。
確認する。
・太陽との位置(角度)関係から,冬 ◇地球の位置,地軸の方向と段階的に確
は南半球側を照らす。
・地軸を北側に向ける。
8
高度の高低と地球儀の仙台の位置関係を
地球儀上で実際に冬と夏の仙
認し,理解を確実にさせる。
★課題に興味・関心をもち,意欲的に追
究する。関(観察・発表)
台における太陽の南中高度を太
陽高度測定器使って測定する。
①夏と冬の太陽の南中高度の測定
②コンピュータへの測定結果の入
◇測定結果はコンピュータに入力し結果
力
をすぐに処理できるようにする。
③結果の確認
9
結果から太陽と地球の位置関
係によって太陽の南中高度が大
きく変化することに気づく。
◇実際に地球儀を持ち,移動させながら
論理的に説明できるようにさせる。不十
10
太陽の南中高度が季節によっ
て変化する原因を考え説明する。
○南中高度が変化する原因を発表し
よう。
分な説明には,他の人が補充するように
し,全員が納得できるように十分に時間
・地球の公転
をかけるようにする。
・地球の地軸の傾き
★太陽の南中高度の変化は地球の地軸の
・地球が地軸を傾けながら公転してい 傾きと公転によるものであることを見い
るから
<まとめ>
11
5
本時の授業を自己評価する。
だす。思(観察・ワークシート・発表)
◇本時の学習への取り組みをじっくりと
振り返させる。
参考資料
(1)
教材(資料1・資料2)について
季節が移り変わりるのは,「地球が地軸を傾けながら公転しているから」であること見いださせ
るためには,机上で推論させるのではなく,簡易的なものでかまわないので,特別教室(視聴覚
室等)や空き教室を使い,天文ルーム(資料1参照)を設置するとよい。天文領域での大きな課
題である空間概念をはぐくむには非常に有効である。さらに,一度設置すると,単元を通して活
用できる。また,測定器(資料2)等を作成し実際に測定することで,生徒の関心がより高まる。
測定値も考察に活用するのは十分な値が得られる。
資料1
<天文ルーム例>
資料2
①太陽高度測定器
透明の直径10cmの円盤(水平板)に分度器を垂
直に立て,光源(太陽)からの光の影を,中心に向か
うようにして測定する。球面に水平板が固定するよう
ネジで高さを調節できるようにする。これによって様
々な径の地球儀への対応が可能となるよう工夫した。
②昼夜の長さ測定器
仙台における季節による昼夜の長さの変化を調べ
る。地球儀が光源からの光を受け,昼(光が当たる部
分)と夜(影の部分)が生じる部分に,透明な円盤状
に15°(1時間)ごとに目盛りをつけたものを,北
緯38度の円周上に置いて昼夜の長さを読み取る。
(2)
小学校との関連
小学校では4年生において「月は絶えず動いている」「星の集まりは,1日のうちでも時刻によっ
て,並び方は変わらないが,位置が変わること」などを学習している。