ひきこもり・ニート状態からの自立・脱出

子どもの自立をどう支援するか?
―ひきこもり・ニート状態からの自立・脱出―
講演会
報告書
日時:平成 28 年 5 月 21 日(土)
13:30~16:00
場所:黒部市立図書館
講師:
特定非営利活動法人 教育研究所 理事
にいかわ若者サポートステーション総括 C
宇奈月自立塾 寮長
牟田 光生 氏
1.ひきこもりが多くなってきた理由
① 1980 年~90 年代には外に出る仕掛けが多かった。
インターネットの全国的な普及でひきこもっていても様々な情報を取得出来るよ
うになったこと。
② 平成 4 年に対応方法を「登校刺激型」から「受容的対応」に変わったこと。
不登校状態でも義務教育課程では進級や卒業が出来るようになったこと。
登校しなくても良いという、問題先延ばしで不登校増大したこと。
2-1.子どもが不登校になる前ぶれ【状態面】
①学習に集中できなくなる。
②忘れ物が多くなり、宿題などを忘れる。
③遅刻が多くなる。
④身体状態(頭や腹痛・微熱・下痢・動悸等)
2-2.子どもが不登校になる前ぶれ【心理状態】
①原因が無いのに落ち込んでいる。
②「おっくう」
「かったるい」
「だるい」感じが抜けない。
③何となく「不安定」が募っていく。
④他人との気分的なズレを感じる。
⑤寝つきが悪くなり、長い時間眠っていても寝た感じがしない。
⑥理由なくイライラしている。
3.そうなった時は。
(退行と母親)
①心から母親を求めて行動してる事を理解してあげる。
②話を一生懸命聞いてあげ、本人の言葉を否定したり、また必要以上に励ましたりし
ないように。
③言われたことを判断したり、結論を出したりしない。
④自分もストレスを受けるのでストレス解消を。
※退行とは、後退すること。
つまり年齢が、子どもや赤ちゃんに逆戻りしたような行動をとること、を退行と云う
わけですが、本人は無意識に、そうした行為をしています。
4.登校(社会復帰)刺激のポイント
①両親2人で行わない。
(役割分担をする)
②身体症状が出ている時は行わない。
③話を明確に。表情・変化を見逃さない事
④繰り返しは NG
⑤刺激後の話は充分に聞き入れる。
5.ひきこもりの特徴
①人間関係を構築するスキル不足
②コミュニケーション能力の低下
③労働観の欠落
④権利意識が強い。
⑤社会性が育っていない。
⑥体力不足、生活リズムが整っていない人が多い。
⑦親に対する態度(支配的、無視、共依存的)
⑧気が弱く、自発的な行動や決断が出来ない。自信がない。
6.ひきこもりの原因
①核家族のミニマム化
②共稼ぎで一人遊びで時間を過ごす
③地域社会の人の結びつき希薄化
④活躍・必要とされる場面が希薄
7.脱出するために必要な事
①家庭機能の回復
②専門性のある支援者のアドバイス
③あきらめない事
④両親・支援者との情報共有
⑤支援方法をころころ変えない。
8.社会参加
①履歴・職歴の遅れ・空白部分
②コミュニケーション力不足
③体力低下
④スキル不足
⑤アドバイスできる人がいない
⑥価値観のずれ
9.社会参加のためのアドバイス
①在籍校の保健室など
②適応指導教室など
③各教育センター
④民間の支援団体(フリースクールなど)
⑤ひきこもり支援センター
⑥ヤングジョブ
⑦サポートステーション
⑧民間の支援団体
⑨にいかわ厚生センター
⑩病院(心療内科など)
⑪発達障害の支援センター
⑫社会福祉法人等障害者の支援所
⑬生活困窮者支援センター
⑭民間の支援団体
10.解決への道
①親子関係の改善
②ひきこもり世界よりも現実世界の楽しさを充分に伝える。
③カウンセリングよりも雑談としての自由な会話の中で、本人が興味を持っている事
を話させ、信頼関係を構築し趣味以外の世界へ誘導する。
④思い切って環境を変え、合宿生活などの共同生活を送ってみる。
所 見
自分たちが子どもの時は、不登校の同級生は一人もおらず、自分自身も学校へ行
かなければいけないものだと思っていました。それが、学校へ行かなくても卒業で
きる時代、先生の対応の仕方も違ってきたんだという事が講演会を聴いて分かりま
した。そして、それが悪いというわけではないのですが、子どもたちの心理的なと
ころから環境があまりにも変化しすぎて追いつかなくなったんだというのが分かり
ました。
今回、講演会を開催するに当たり、講師の牟田さんと話し合いの中から決まった
のですが、悩んでいる人がどれだけいるのか見えない状況で開催しても何人来るの
だろうと思いました。結果、支援している方も含めて 10 名以上の方が参加してくだ
さったことは、本当に開催して良かったと思った次第です。
子ども達だけではなく、親御さんも対応が出来なくなってきているのでしょう。参
加者同士で話されているのを見て、一人で抱え込まないように悩みを共有できる場
所が必要だと強く思いました。
今後もこういった事を繰り返し行うことで、少しでも地域からひきこもり・ニー
トで悩んでいる方が居なくなる社会の実現が出来たらと思います。
以上