第 回 番外編 所(理研)調査委員会の最終報告 せん」という表明は、理化学研究 誤解されかねず、到底容認できま 前田 小保方さんの「STAP 細胞の発見自体がねつ造であると る人が少なくないようです。 ――「STAP細胞論文ねつ造 疑惑」で小保方晴子さんを同情す 道されています。裁判所が決定理 まま釈放された「袴田事件」が報 に再審開始が認められ、死刑囚の 冤罪事件を考えてみましょう。 最近では、死刑確定後、 年ぶり 提出したことは事実ですから。 不適切なものを証拠とした論文を このような本性が人間にはある からこそ、裁判では無罪の推定を しまう傾向にあるともいえます。 り、不具合があっても正当化して ている」という過度の使命感があ るぎない自信と「世の中を背負っ 犯します。能力が高い人ほど、揺 全く別の問題です。 をどのように決着をつけるのかも ろん、小保方さんが理研との関係 問題として考えるべきです。もち ない論文が提出されたこととは別 しかし、どんなに能力を備えた 同情するのは適切ではありません。 〝スペシャリスト〟でも間違いを 〝ねつ造〟 から真実の全貌を考えてみる 34 キルを備えた刑事がいてもおかし はいます。つまり、独自の究明ス ロセスで解明するスペシャリスト も難問を常人には理解しがたいプ いうことはまれです。どの分野に ただ、容疑者が無実だと分かっ ているのに犯人に仕立て上げると たことが注目されています。 るとの疑問は拭えない」と批判し に対する限定した意見表明であり、 由の中で「ねつ造されたものであ 連動していきません。 決めなければ次の進歩・発展には かどうかではなく、証拠によって るかどうかは、その研究者が優秀 研究者の発見、発明が真実存在す れば有罪としない、という仕組み を基に一定のハードルを超えなけ 働かせながらも、価値のある証拠 た衣類は、サイズからして容疑者 ンク内で犯行着衣として発見され ょう。袴田事件でいえば、味噌タ ろにある、と考えた方がよいでし についても同じだと思いませんか。 論自体が、実は真実と離れたとこ があります。科学の世界の研究者 が着用不可能にもかからわず、検 ことしかできません。私たちの結 され構成された事実を受け止める に示されることはなく、取捨選択 判断しています。生のまま目の前 結局私たちは、真実を判断する に十分な資料のない中で、物事を 知らなかった人は多いはずです。 察側は「味噌づけになってサイズ くはなく、常に現場に直面してい それは、証拠の裏付けの るという点では、机上で培われる 前田 が縮んだ」と説明していた事実を 裁判官の真実探求能力を超越して ――STAP細胞には大きな期 待をもっていたのですが…。 48 いる場合もあるかもしれません。 交通事故・後遺症、過払い請求などについての相談は無料。電話相談可。 0120・48・1744 (24 時間受付) 無料メールマガジン「企業法務ピンポイントレッスン」の登録も受付中。「メルマガピンポイント弁護士」で検索してください。 前田尚一法律事務所 HP は 91 前田 尚一 弁護士 まえだ ・ しょういち/ 1959年 1月 22日岩見沢 市生まれ。北大法学部卒。 93年前田尚一法律事務 所開設。UHB「のりゆ きのトークDE北海道 」、 STV「 どさんこワイ ド 」 出演。JR札幌病院 倫理委員・臨床研究審査 委員。元・ 北海道大学法 科大学院実務家教員
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