車車間通信(ミリ波レーダ) 慶應義塾大学理工学部電子工学科 眞田研究室 4年 湯川 卓海 -1- ミリ波レーダ[1] ミリ波レーダ ミリ波(30~300GHz)を前方に照射し, 戻ってきた電波を測定することで 障害物を検知する 現在使用できる周波数帯は60GHz帯および76GHz帯 レーダー前方の障害物までの距離を測定する距離測定機能 レーダー前方の障害物に対する速度を測定する速度測定機能 -2- ミリ波である理由[1] 大気伝搬性 波長 大気による減衰が大きく, 伝搬距離が短い(60GHz帯の減衰が特に大き い)→遠くに届かないためレーダー間の干渉が小さく, 少し離れていれば 同じ周波数を繰り返し利用できる アンテナの開口長𝐷は波長を𝜆, ビーム幅をΘ𝐵 として, 𝐷 ≈ 𝜆/ Θ𝐵 と表すこ とができる. ミリ波は波長が短いのでレーダの小型化が期待できる. →スペースの限られた自動車にとってメリットになる 比帯域(帯域幅/周波数) 周波数が高いと比帯域が小さくなり, 広い周波数帯域の占有が可能に なる →高い距離分解能が得られ, 小型バイクなど小さい目標も検出可能に なる -3- ミリ波レーダの実用化例[2] 衝突予防システム さまざまなセンサを使うことによりそれぞれのメリットデメリットを利用して 実用化されている 歩行者や自転車など小さな障害物に対する検知能力が弱いとされ ていたが, 歩行者認識機能を搭載したミリ波レーダも登場してきた -4- 車車間通信システム[3] 車車間通信 車両同士の無線通信により周囲の車両の情報(位置, 速度, 車両制御情 報等)を入手する ミリ波レーダなどの技術などとも組み合わせることにより, 安全運転や自 動運転への活用が期待されている 求められる周波数特性 700MHz帯 回り込み特性があるので見通し外の通信に適している 電波が飛びすぎる 5.8GHz帯 狭域への通信に適当 直進性が強く見通し外には回り込みにくい -5- 車車間通信の課題(1)[4] 電波伝搬・リンク形成技術 必要なエリアへの情報伝達 700MHz帯や5.8GHz帯について, 実測やシミュレーション解析が進められ, ある程度の予測はできるようになっている 単一アンテナの対向, 2素子アンテナでの受信(ダイバーシチ受信), 送受 信で複数のアンテナを用いるMIMO方式などが検討されている. -6- 車車間通信の課題(2)[4] システム技術・ネットワーク技術 たくさんの車の情報を混信なく送受信する必要がある 限られた周波数帯域で走行距離10m毎には, すべての車両と情報を交 換し終える必要がある →100台以上の車に対して0.1秒以内で情報を交換する必要がある 車同士での通信なので基地局などはなく, 自律分散制御型システム →電波の衝突、情報交換効率の悪化 方式は国際標準規格IEEE 802.11p CSMA/CAベースの無線LAN方式 -7- CSMA/CA方式(概要)[5] CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance) 無線LANの通信規格IEEE802.11a, 802.11b, 802.11gの通信手順として採 用されている トラフィックが低い場合は非常に有効だが, トラフィックが高いと以下のよ うな問題が生じる可能性がある. 障害物などによって位置が認識できない(隠れ端末問題) パケット同士の衝突や信号の到達に大きな遅延が発生する -8- 参考文献 [1] 桐本哲郎, ”自動車レーダの基礎,” http://apmc-mwe.org/mwe2008/pdf/src/TL08-01.pdf [2]“日本経済新聞 |車の衝突予防 ミリ波レーダ進化で普及加速へ” http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78095290X01C14A0000000 /?df=2 [3]“総務省 | 第2章 ITS安全運転支援無線システムの在り方” http://www.soumu.go.jp/main_content/000019515.pdf [4]唐沢好男(2009)”ITS車車間通信の研究開発動向と課題” http://www.radio3.ee.uec.ac.jp/Megurokai_ITS_IVC.pdf [5]“Wireless LAN-CSMA/CA“ http://www.infraexpert.com/study/wireless6.html -9-
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